日本共産党 京都市会議員団

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中小・小規模事業者が輝くまちを!

2023.02.08

【日本共産党京都市会議員団 中小・小規模事業者政策提案】

日本共産党京都市会議員団

(はじめに)
 コロナ禍が続く中、原材料など海外に依存する経済構造の脆弱さがサプライチェーンの混乱で原材料不足や物価高騰を引き起こし、中小・小規模事業者の営業と暮らしに深刻な打撃となっていました。そのうえ、異次元の金融緩和による円安が一層の物価高騰に拍車をかけています。日本共産党京都市会議員団は2022年の4月から6月にかけて「物価高騰・コロナ影響調査アンケート」に取り組み、100件余りの小売商店や小規模事業者を直接訪問し、声をお聞きしてきました。石油製品や燃油高騰による物流コストの負担が襲い、食料品から建設資材など価格が高騰し、あるいは原材料が調達できない事態となり、すべての業種で悲鳴が渦巻いていました。

 アンケート調査の結果では物価高騰の影響を、「かなり受けている」「受けている」併せて、 
92%と、ほぼ全ての事業者が売上の増減に関わりなく深刻な影響を受けていました。この実態 
を示し、減収要件を緩和し全ての事業者への支援を求め続けてきました。

 こうしたなか、「中小企業等物価高騰対策支援金」が創設されました。「あらゆる事業者に影響を及ぼしている物価高騰に対する支援」として減収要件を無くしたもので、わが党議員団が求めてきたものです。

 「事業の継続の意思のある事業者に本市がとりうる最大の取組」だとされていますが、法人5 
万円、個人3万円の給付額です。厳しい経営環境にさらされている中小・小規模事業者が廃業に追い込まれることの無いよう、切れ目のない小規模事業者支援が必要です。

【1】緊急の課題・コロナ対策・物価高騰対策 
■国への要望
 
〇消費税の緊急減税を求めます。
 物価高騰対策として最も効果がある消費税減税と、小規模事業者を廃業に追い込むインボイス
制度の実施は中止するよう国に求めます。

〇異次元の金融緩和の見直しと、大幅賃上げの為の中小・小規模事業者への直接支援を求めます。
 アベノミクスで積み上げられた内部留保に時限的課税を行い、その財源で雇用の7割を担っている中小企業を支援し、大幅賃上げを行います。
国内総生産の5割以上を占める家計消費を、消費税の減税と大幅賃上げで温め、経済の好循環
を作り出します。

〇過剰債務問題-中小企業・小規模事業者をつぶさないよう金融政策の充実を求めます。
 長引くコロナ禍、物価・原材料高騰、過剰債務という「三重苦」が中小・小規模事業者にのしかかっています。「コロナ対応融資(ゼロゼロ融資)」の2022年3月末残高は約42兆円にのぼります。
・コロナ対応融資(ゼロゼロ融資)を「別枠債務」にして、事業継続に必要な新規融資が受けられるようにします。

・債務の減免をふくめた「中小企業・事業再生スキーム」を、より小規模な事業者にも適用できるように対象拡大します。

・「地域経済再生給付金」(仮称)を創設します。
 コロナ危機の影響、原材料高の影響、過剰債務の状況は、地域、業種によって格差があります。全国一律の対策だけでなく、地域、業種の実情に応じた支援の仕組みが必要です。

 京都府、京都市、政府系金融機関、地域金融機関、地域中小企業団体などで構成する「地域経済再生委員会」をつくり、基準と要件を明確にし、透明性を確保したうえで、必要と判断した地域の産業、業種の事業者の再生を支援することができる「地域経済再生給付金」(仮称)を創設します。

〇伝統産業支援は国の責任で行うよう求めます。
伝統的工芸品産業支援補助金の2022年度予算要求額は僅か3.6億円で桁違いに少ない額です。国の責任で伝統産業支援を求めます。

■京都市への要望
〇「中小企業等物価高騰対策支援金」の速やかな給付を行います。

 創設された「中小企業等物価高騰対策支援金」が対象となるすべての事業者へ支援が速やかに届く必要があります。「中小企業等総合支援補助金」は、書類不備などの理由で2ヶ月以上経って給付が届かない実態がありました。この点からも京都市直接の常設中小・小規模支援の窓口が必要です。 

 せめて3月10日締め切りまでの期間だけでも区役所に相談窓口を設置し、申請の受付が出来るようにします。同業組合、業者団体を通じた申請の受付や経営相談の実施が必要です。また、あと16億円あれば、法人10万円、個人5万円の給付が可能でした。京都市として、さらなる支援の充実と全ての事業者にもれなく、速やかに給付します。

【2】京都市として中小小規模事業者独自支援の抜本強化を実施します。
〇産業振興予算の大幅増額を行います。

 コロナ禍で産業観光局予算の98%が融資制度預託金と、中小・小規模事業者への支援は金融支援に限られています。京都市からの既存の中小小規模事業者への支援は、ほぼないに等しいのが現状です。 

 産業振興予算を大幅増額し、雇用の7割を占め、京都経済と市民生活を支えている中小・小規模事業者を直接支援し、中小零細事業者で働く労働者の大幅賃上げを行い、京都経済の好循環をつくります。

〇各行政区に事業者相談窓口を設置します。
・中小企業支援センターを復活します。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた中小・小規模事業者、フリーランス等に対して、市が直接、経営相談を実施できるよう、区役所に中小商工業振興対策等の部署を設置し、専門相談員を配置します。 

・財務診断員制度を復活し、業者団体を通じたあっせん融資を復活します。 

・全庁挙げて、京都市職員が直接全ての事業所を訪問し中小・小規模事業者(家族経営、個人商店、自営業者など)の実態把握を行い、行政区単位の業種単位の振興計画を立案します。

〇地域内循環で需要喚起すすめます。
・区役所等の公共施設の事務消耗品等の物品は、地元中小企業から購入する仕組みが必要です。2021年度で終了した、建設局建設企画部監理検査課が所管の「京都市小規模事業者契約制度」を復活します。

公共施設ごとに地元事業者が登録できる制度をつくります。
・保育所・福祉施設などの給食食材等の地元商店からの調達を推進します。
京都市の認可施設へ地元小売商店支援の要請を行うなどの支援を行います。

【3】伝統産業・商店街の振興対策の具体化のために実態調査を実施します。
〇商店街支援を強化します。

 商店街が年々減少し、地域のコミュニティーが失われています。商店街の規模や商店構成に応じ、地域特性を生かした商店街支援が必要です。京都市はこの3年間で3度にわたり商店街支援事業を実施しましたが、148商店街のうち3回すべての支援を受けた商店街が48商店街でした。一方で54商店街が全く支援されていません。構成員が10店未満の商店街が19商店街、100以上の商店街は、9商店街です。商店街の規模や構成員、立地条件は様々です。一律の支援では全ての商店街へ届き切りません。商店街へコーディネーター派遣や、経営指導を行うため、京都市の経営相談専門職員を育成します。

〇実態に合った支援のためにも商店街悉皆調査を実施します。

〇大型店の京都市独自の出店規制を。商業集積ガイドプランに商業調整機能を設けます。
 過去5年間で大規模・中規模小売店舗が47店も出店し7店が撤退しています。集積ガイドプランは、売り場面積の上限を決め、ゾーニングで大型商業施設を誘致する制度です。現行の制度では1万平米の店舗の直近で同規模のスーパーの進出は可能です。望ましい商業集積に何ら寄与していません。商業調整と合わせ、24時間営業や休日なし営業の規制を行います。

〇伝統産業支援を強化します。
 2020年(令和2年)に実施した「伝統産業つくり手支援事業補助金」の参加者を対象にしたア
ンケート結果が、2021年(令和3年)に「つくり手支援事業補助金申請者 アンケート調査結果」にまとめられています。

 きわめて規模の小さな事業者が沢山参加されており、京都の伝統産業は小規模事業者によって支えられ、極めて深刻な現状が見て取れる状況です。そのうえで、売り上げが戻らなければ令和3年以降廃業を考えると答えた方が91.0%。5年前と比較し大幅減少34.5%、減少39.9%。あわせて74.4%となっており、もともと厳しい業界に、コロナが襲い極めて深刻な事態です。

 京都市伝統産業活性化推進条例に基づき74品目が京都市の伝統産業に決定されています。74品目の実態調査と各種支援を行います。

 伝統産業などの従事者の低工賃問題は深刻です。年金を受給しながら従事する職人さんや副業をやりながら仕事をされている方が大半です。工程の消滅、材料道具類の枯渇、後継者問題等事態は深刻です。現状を放置すれば和装産業はじめ京都の文化そのものが失われかねない深刻な事態。市場開拓や新商品開発の支援とともに、伝統産業従事者へ直接支援します。

・職人の地位を保障します。
 ドイツのマイスター制度を参考に 「伝統工芸士」「認定工芸士」「伝統産業技術功労者表彰」等の制度の枠組みを活用し、また、地位を保障する業界や行政が関与するような資格の創設の検討が必要です。

 工賃が安すぎて職人のなり手がない実態であり、伝統産業を維持する上で生活できる工賃が支払われる仕組みをつくります。後継者育成もまったなしです。後継者育成は個々の職人任せであり、伝統産業技術後継者育成制度の支給額は上限40万円で、実績は毎年20件前後、決算額は400万円未満でまともな支援とは言えません。抜本的に拡大します。     

・各地の伝統産業産地と全国的ネットワークで連携し技術や部品の製造確保をすすめます。

・室町の問屋の機能を回復し職人さんの地位向上をすすめます。
 悉皆業者の実態を掴み、適正な工賃が保証できるよう流通過程の見直し、在庫の実態調査を行い、公的活用を推進します。公正な取引関係を目指し、適正な工賃支払いへ指導を行います。レンタルやリースなどの大量消費をする事業者が、室町の問屋を通さず直接職人に安い工賃で発注し室町の悉皆屋としての工程管理が崩壊し深刻な事態となっています。多くの工程を通り作られている着物の作成工程が失われかねません。現場の職人さんの声を聴き、早急に対策が必要です。

・生糸の実態調査
 生糸は輸入に頼っており、自給できていません。大半を中国からの輸入に頼り、生糸の輸入価格が高騰し白生地がほぼ生産できない事態になりかねません。国内生産を展望し長期的な計画及び、緊急に対策を行います。 

【4】「京都市地域企業の持続的発展の推進に関する条例」に中小企業振興を盛り込み、発展させます
 2019年(平成31年)4月1日施行の「京都市地域企業の持続的発展の推進に関する条例」は、規模を基準とした中小企業ではなく大企業を含めた「地域企業」の持続的発展を推進するとされています。京都市内企業の99.7%は中小企業です。現行条例を発展させ、中小企業の振興に関する施策を盛り込みます。

 大企業が中小企業の振興に果たす役割を明確にし、金融機関についても、中小・小規模事業者への円滑な資金調達の支援ができるよう役割を明確にします。

【5】公契約条例に賃金条項を盛り込み、公の仕事を適正単価にします
・技術力・専門力の強化と、担い手確保・育成について振興計画を立案し、具体化します。職人のなり手が不足する原因は低工賃です。物価高騰対策としても大幅賃上げが必要です。京都市が発注する公共工事の現場で大幅賃上げが求められます。「公契約の現場とその他の現場で格差が生じる」「事業者が賃金条項を求めていない」等で賃金条項を設けないことが問題です。設計労務単価に基づく賃金条項を公契約基本条例に規定します。  

【6】気候危機打開・災害に強いまちづくり
〇住宅リフォーム助成制度・商店リフォーム助成制度を創設すること。まちの匠の知恵を活かした「京都型耐震・防火リフォーム支援事業」「既存住宅省エネリフォーム支援補助金」を再開させます

・地域経済活性化と地域建設業者等の育成につながり、波及効果も大きい住宅リフォーム助成制度・商店リフォーム助成制度を創設します。まちの匠の知恵を活かした「京都型耐震・防火リフォーム支援事業」「既存住宅省エネリフォーム支援補助金」を再開し、拡充します。自然災害が多発する中、社会インフラの整備を担う建設業の人材不足は深刻であり、災害復旧が長期にわたり放置されたままや他都市の事業者に頼るという現状です。技術力・専門力の強化と、担い手確保・育成について振興計画を立案し、具体化を図ります。

・地方独立行政法人京都市産業技術研究所は、染織技術や繊維材料,高分子,金属,窯業,表面処理,バイオ,デザインにわたり幅広い分野の研究や企業への技術支援を行い、京都の中小企業を始めとする事業者を技術面からサポートする産業支援機関です。「技術相談」「試験分析」「機器・設備利用」「共同研究」「受託研究」「人材育成」「産技研 技術の業界移転」「企業マッチング」「企業認定」を通じて,京都産業の支援に取り組まれています。京都市は、行財政改革計画で運営交付金865,000千円カットされ、職員数は半減しています。産業技術研究所は直営に戻し、職員体制を充実します。

〇グリーン産業を振興します
 京都市は「京都市グリーン産業振興ビジョン【2014年(平成26年)5月】」を策定し、「伝統産業から先端産業まで高度な技術がある産業が集積し,大学や関係機関で優れた研究が積み重ねられ,グリーン産業が大きく育つ土壌が あります」としていますが、計画は2020年度までです。さらなる計画策定と具体化を進めます。