上下水道・市バス事業に反対、地下鉄事業に賛成討論,玉本議員
2023.03.22
日本共産党市会議員団は、議第13号水道事業特別会計予算、議第14号公共下水道事業特別会計予算、議第15号自動車運送事業特別会計予算議案に反対し、議第16号高速鉄道事業特別会計予算には賛成する態度を表明していますので、私は議員団を代表し、その理由を述べ、討論します。
まず、高速鉄道事業特別会計について述べます。2024年に予定されていた地下鉄運賃の値上げを回避するとしたことを評価し賛成します。また、この間、前進した痴漢対策や社会的課題の解決として、地下鉄駅トイレでの生理用品の無料提供への検討などは、その必要性を交通局が認め取り組むことであり評価します。さらなる拡充を求めます。
交通局の経営ビジョン改訂版には、「市バス8 %程度、地下鉄7 %程度の運賃改定を見込む」とされていました。たしかに新型コロナウイル感染拡大により、市バスと地下鉄の経営は厳しい状況になりました。しかし、それは、「感染拡大を防止するために、不要な外出は控えましよう」という政府の呼びかけがあり、市バス地下鉄の乗客が減ったのは当たり前のことでした。その影響として、経営悪化となったことはやむを得ないことだと言えます。その上に昨年来からの物価高騰でさらに、厳しい経営状況になっているのも、交通局の責任でも市民の責任でもありません。したがって、運賃値上げで、市民・利用者に負担を転嫁するのはお門違いです。
経営ビジョン改訂版が2022年3月に公表されてから、運賃値上げのストップを求める市民の声が広まり、「市バス・地下鉄値上げストップ・公共交通を守る連絡会」が発足され、京都市や市議会にも要請に来られました。
公営交通を守ってほしいという市民の声が広がり、特別減収対策企業債や特例債、緩和債が
措置されたことにより、負担の平準化や累積資金不足の最大値を抑制する効果を得ることができるとしています。引き続き、国への要請を強めることを要望します。
改善すべき点として、期限なしに延期としている「鳥丸線の可動式ホーム柵の全駅設置事業」については、ホーム柵の設置は視覚障害者の皆さんからの強い要望であり、ただちに計画を立て、命を守る安全対策として急ぐべき課題です。べンチの設置を変更するなど工夫はされることになっていますが、早期の実現を求めるものです。地下鉄駅有人改札の5か所のリモート化についても、人件費削減として、4月より実施となっていますが、障害者の方をはじめ、市民から不安の声があがっています。有人による改札業務を求めます。
次に反対を表明しています自動車運送事業特別会計について述べます。第一に反対する理由は、2024年の運賃値上げ方針を撤回していないからです。市バスは京都市の多くの地域の交通を網羅するものであり、市民の足を守る役割を担っています。とりわけ、市民の暮らしがコロナ感染や物価高騰による影響で、極めて厳しい状況にある中、市バス運賃値上げによる負担の増大は絶対に避けなくてはなりません。
地下鉄同様に国への要請を強化すべきです。さらに経営ビジョンには「一般会計からの任意の財
政支援を受けない運営の継続」という目標が掲げられていますが、この目標自身を改めるべきです。「なりふり構わない経営改善」という言葉を使われていますが、本来「なりふり構わず、市民の負担の増大を避けるために努力する」ことこそ、今、京都市と交通局がやるべきことです。2024年の運賃値上げの回避を強く求めます。
反対する第二の理由は、市バス路線ダイヤの見直しで、利用の少ない路線の統合や減便を進めようとしているからです。利用頻度の高い人のみを重視する政策は、公営交通から市民を排除することになり問題です。すでに昨年3月のダイヤ改正による大幅な減便や民間バス事業者への移管は、敬老乗車証が使用できなくなる等、市民に不利益を生じさせています。市民の足を奪うような見直しはやめるべきです。
利用頻度の高い人のみを重視する政策のもと、突然バス1日乗車券の廃止をしようとしています。経営ビジョン改定版で各種企画券の見直しを掲げていたと、突然ではないと正当化しようとしていますが、ビジョン改訂版に明らかに廃止と記載していたのは「地下鉄・バス二日券」のみでした。しかも、廃止の理由がバスの混雑解消のために観光客を地下鉄に誘導するとしていますが、その説明はあまりにも説得力のないものです。観光客は地下鉄駅付近に目的地があれば乗車するかもしれませんが、市内の多くの観光地は市バスで移動しなくてはなりません。最も問題なのは、市民が便利に利用していることは無視をし、市民置き去りの施策となっていることです。IC乗り継ぎ割引の方がお得といいますが、これはあくまで、月3600円以上を利用した場合に限られています。事前の登録が必要で、しかも還元は1か月のちになり、一旦は全額支払いが必要です。ICOCAカードではチャージをしておかなくてはなりません。還元ポイントの取得もチャージしないといけないなど、市民の皆さんに説明すると「ややこしすぎる」「今のバスー日券をなくさないでほしい」というのが多くの市民の声です。バスー日券の存続を求めると共に市民の足としての公営交通の役割を果たすべきです。
次に反対を表明しています水道・上下水道事業についてその理由を述べます。
第1の反対理由は、市民の暮らしが厳しい状況にあるにも関わらず、水道料金・公共下水道使用料の値上げを阻止する立場に立っていないことです。節水型社会に加え、新型コロナウイルス感染の影響により水需要が大幅に減少していることは、やむを得ない事態であります。物価高騰の影響で、電気代、ガス代があがり、市民の暮らしは大変厳しい状況になっています。そんな時に京都市ができることは、京都市営水道の料金を下げることであり、少なくとも料金・使用料をあげないということです。水道法第1条にある「豊富低廉な水の供給を図る」ことの観点から、水道料金・公共下水道使用料の値上げはやるべきではありません。京都市も上下水道局も独立採算制を誇示されますが、今の現状は災害に準ずる状況と言えます。地方公営企業法17条ー3項にある通り、一般会計からの補助を行い、水道料金・公共下水道使用料値上げは何としても、阻止すべきです。
周辺自治体や多くの政令市において、基本料金の免除を実施していますが、京都市はやる気を見せなかったのはまことに残念です。コロナ対策として実施された「支払い猶予」は今年1月までに466件とのことで、6か月の猶予後、物価高騰が続き、市民の暮らしの状況はさらに厳しくなっていると思われます。分納など相談に乗るとの答弁はありましたが、猶予の延長や減免制度などの検討もすすめ、命の水の停水などは絶対に起こらないよう強く求めます。
公共下水道事業については「行財政改革計画に基づき、出資金休止し雨水処理負担金を含め、一般会計繰入金の縮減に努める」としている点も問題です。収支均衡している一般会計の状況下で、京都市からの繰り入れを行いに経営改善を行うべきです。
第2の反対理由は、第6期効率化推進計画による民間委託化に続き、第7期効率化推進、民間委託を進めていることです。民間委託の推進は本市自身の上下水道事業についてのノウハウの喪失につながり、ゆくゆくは監督さえもできなくなり、公的責任を果たせなくなります。
広域化についても、国が打ち出している効率的な経営手法として、広域連携の取組を検討するとされていますが、広域化によりすでに各自治体で民間委託された事業を際限なく広げていく事になりかねません。広島市では「将来的に県単一料金になった場合、受益者である市民の負担増による影響を懸念する」と不参加としています。京都市としても教訓とすべきであり、公共の福祉の観点で市民の負担の増大になりかねない広域化はやめるべきです。広域化による府内一元化が進むことによって、市民の声も自治体の意思も議会の関与も薄まり、なくなっていく危惧があります。大規模になればなるほど民営化への可能性が進み、安全性や労働環境など問題点がたくさん出てきます。市民の命の水と環境を守ることを第一に考え、民間委託化はやめ、広域化への不参加を求めて討論とします。