日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

都市計画の見直しに反対討論,山本議員

2023.03.22

 日本共産党議員団は、議第25号京都市都市計画産業集積特別工業地区建築条例、および議第26号京都市都市計画外環状線等沿道特別用途地区建築条例の制定について、反対の態度を表明していますので、議員団を代表し理由をのべ討論します。

 まず、議第25号は「市境エリアで、新たな産業拠点をつくる」として、淀駅周辺、向日町駅周辺の新たな産業拠点づくりとして、容積率の緩和等を行う都市計画の見直しを予定するものです。「都市の成長戦略」と言って、貴重な農地を潰し、工場や倉庫、研究施設などを呼び込むものですが、呼び込み型の開発はアベノミクスの失敗した政策の焼き直しであり、京都市の都市計画をないがしろにするものです。呼び込み型開発で潤うのは一部の企業であり、今求められる経済政策は、物価・エネルギー高騰に苦しむ既存事業者を支え経済の再建にこそ力を尽くすこと、そして人口減少に歯止めがかからない中で、地域を守る役割を果たす中小零細事業者や商店、ものづくり関連産業が経営を継続できるよう、販路開拓や後継者育成、技術支援、経営改善など、京都市自身が広く支援を行うことではないでしょうか。「都市の成長」は市民の暮らしが豊かになってこそ実現できるものです。99.7%の中小零細事業者支援こそ抜本強化すべきです。

 つづいて議第26号は、東部方面の外環状線沿道で、「若者・子育て世帯のニーズにあった居住環境を創出する」とし、住居専用地域等から商業地域への変更や、高さ規制・容積率の規制緩和で住環境の悪化をもたらす都市計画の見直しを予定しているものです。

 もっとも、「若者・子育て世帯のニーズ」調査も行わず、人口減少の歯止めをかけるという根拠も説明できないまま提案されたものであり、真の目的は、ホテルや宿泊施設の激増で地価が高騰した市内中心部を避け、周辺部へ開発を誘導するための規制緩和であることは明らかです。

 住環境の悪化についても、様々な問題があります。住居専用地域から商業地域に変更される地域は、日影規制がなくなり住環境への影響も懸念されます。マンション誘致により起こるコミュニティの希薄化や、高層ビルの建て替えの困難性、巨大地震などの防災の課題など、十分な議論が保障されたとは到底いえません。当局は、都市計画マスタープランの策定の段階から説明し、時間をかけて議論してきたと強弁しましたが、市民は具体的な都市計画の見直しの提案を知って初めて、自らの住環境の問題であると自覚できるのであり、地域住民を含めたまちづくりの議論が行われていません。当該地にとっては住環境に大きな影響を及ぼす都市計画の見直しを半年足らずで決めてしまうことはあまりにも拙速ではありませんか。

 そもそも、「盆地形」が基調をなす京都の景観は、山科も同じく守る価値があるというなら、どうして高さ規制を無制限とできるのでしょうか。「景観の守るべき骨格は堅持」と強弁すれば済まされるという姿勢は、きわめて不誠実な態度と言わなければなりません。

 さらに、都市計画見直しの市民意見募集では慎重に市民の意見を聞いて取り入れるべきなのに、市長が率先して7割の賛同とのべて推進の理由とし、都市計画の見直しに憂慮する市民の意見は全く取り入れられていないのは、重大な問題です。

 本件に関わる都市計画の見直しに対し、学者・著名人・法曹界、各界から中止を求める警告が発せられました。最後に、京都を代表するまちづくりの学者・著名人の方からの警告を引用します。

 「京都の歴史地理の特性を顧みない都市政策・都市計画は、京都の存立そのものを否定する自殺行為であり、『千年の古都』を消滅させる。都市計画規制を緩和する開発行政は『山河襟帯』『山紫水明』に象徴される京都の自然景観と歴史景観を抹殺する破壊行為であり、持続可能な京都観光の発展にとって致命的な文化的、経済的損失を及ぼす」ものである。

 京都の未来に禍根を残す都市計画の見直しは中止すべきことを求め、反対討論とします。