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議会質問・討論

2023年度一般会計予算等に反対討論,かまの議員

2023.03.22

 日本共産党市会議員団は、議第1号 令和5年度一般会計予算、議第3号 令和5年度国民健康保険事業特別会計予算、議第4号 令和5年度介護保険事業特別会計予算、議第19号 京都市勧業館条例の一部を改正する条例の制定について、に反対の立場を表明しておりますので、その理由を述べて討論します。

 今、岸田内閣は相手国の奥深くまで攻め込む「敵基地攻撃能力」の保有や、5年間で43兆円もの大軍拡、そのための大増税をすすめようとしています。戦後の国のあり方を根底からくつがえすものです。

 このように国が軍事拡大に前のめりになっている時に、コロナ禍に追い打ちをかける異常な物価高の下でくらしの防波堤として市民の命・くらし・福祉を守る地方自治体の役割が大きくなっています。

 京都府政策企画部のデータによると、2020年を基準とした、2023年1月の京都市消費者物価指数総合指数は104.7、前年同月比は4.1%の上昇で、前年同月比・17か月連続の上昇が続いています。特に「食料7.1%」「光熱・水道14.6%」「家具・家事用品8.7%」など、くらしに密着する費目が大きく上昇しています。コロナ禍に加え、物価高騰が市民生活や中小企業・小規模事業者の営業にさらなる苦難をもたらしていることは明らかです。

 今、地方自治体が行うべきは、そうした市民の苦難を軽減することです。そのために最大限の力を尽くすことを求めるものです。

 今回の京都市予算案に反対する第1の理由は、「財政危機論」が破綻したにもかかわらず、行財政改革計画を撤回せず、市民サービス削減を継続・拡大する姿勢に立っているからです。

 市長は予算案を発表する際に、「23年度予算で一般会計における一般財源の収支均衡を22年ぶりに達成し、財政難を克服する道筋をつけた」として、「京都市は財政破綻しません。安心してください」と述べました。

 党議員団は、市長が「500億円の財源不足」「このままだと財政は破綻しかねない」と述べたことについて、当初から事実に基づかない誇大宣伝で「財政危機」を煽り市民を脅すものだと指摘してきました。21年度決算の実質102億円の黒字に続く、23年度予算案における「財政破綻はしない」宣言は党市会議員団の指摘が正しかったことを示しています。

 市長は、「行財政改革計画」のもとで行われたこうした「ご負担」に「ご理解」「ご協力」いただいたと言われますが、違います。ご理解が得られていないからこそ、「負担増や補助金カットを元に戻してほしい」「元に戻すだけでなく、拡充してほしいと」市長への要望や議会への請願や陳情が寄せられているのが現実です。

 にもかかわらず、今年度実施した53億円の負担増・補助金カットを来年度も継続しようとしています。

 敬老乗車証制度値上げによる11億円負担増、学童保育料値上げの継続、民間保育園補助金削減13億円の継続と赤字への支援と引き換えに人件費抑制を強いる新たな仕組みの導入、勧業館常設展示場や自転車駐輪場など7億2636万円の使用料・手数料値上げなど、新たな負担増が目白押しです。

 そのうえ、過労死ラインの現状があるもとで、人件費115人分・9億円削減計画など、到底認められません。あまりにも異常な状態を即刻正し、産業政策相談窓口、DV相談窓口設置など、必要な人員配置を行ない、市民サービスを充実することこそ必要です。

 敬老乗車証制度について、「制度を持続可能なものとするために見直した。」と言いますが、昨年10月末の交付率37.6%、一昨年比7%減です。物価高騰の中、年金は下がるばかりの高齢者の生活が大変な中、敬老乗車証の負担増は撤回し、70歳以上の方すべてを対象にした元の制度に戻すことが急務です。

 民間保育園等給与等補助金について、現場では昇給停止や賞与のカット、見通しが持てず若い保育士の退職など、補助金カットの影響が出ています。来年度予算で赤字となった園に人件費の一部を支援する方針を示したことは、当局が給与水準が維持できなかったことを認めるものです。保育分野の処遇改善の流れに逆行しています。

 この間財政危機を叫びながら、子どもたちのための遠距離通学補助金135万5040円を削減しました。30代の女性の乳がん検診823万円を市長は廃止しました。こういうやり方は到底市民理解をえられるものではありません。市民負担をまず元に戻すこと、「行財政改革計画」を撤回すべきことを強く求めます。

 第2の理由は、市民のくらし・なりわいを守り応援する施策が、きわめて不十分だからです。

 子どもの医療費無料化について、わが党は1974年から求めてきましたが、助成制度を小学校卒業まで拡充されたことは評価できるものです。ただ、府内26市町村で中学卒業まで、4月からは13市町村で高校卒業まで無料となります。市長は「トップレベル」の子育て環境と言われますが、実態は府内ワーストレベルです。2021年度の医療費に基づけば、中学卒業までなら2億円、18歳までなら7.9億円あれば京都市でも無料化できます。

 小学校のようなあたたかい全員制の中学校給食の一刻も早い実現に加え、給食の無償化に踏み出すべきです。全国では今年度までに254自治体が無償化、そして来年度京都府内では9市町村が学校給食費の減免を実施します。49億円で小学校の給食費の無償化が実現します。

 学童保育の利用料金が応益負担になり、通えなくなっている子どもが出ています。新たな保護者負担は1.5億円であり、元に戻すことは可能です。

 食料・生活物資支援プロジェクトに数百人の学生が行列をつくる実態があります。給付制の奨学金制度の創設、通学定期券の値下げが求められます。

 中小企業等物価高騰対策支援金に続く中小企業・個人事業主への支援制度の拡充、商店街支援、需要喚起策としての賃上げも含め、くらし応援で経済を活性化させ、京都市財政の改善につながるという好循環づくりに向け、京都市の役割発揮が求められています。

 第3の理由は、都市の「成長戦略」と称して、引き続き呼び込み型開発を進めようとしているからです。

 門川市長は、2020年9月の「行政改革推進本部」幹部職員への訓示で「社会的な課題の解決、これを税金で、公務員が、行政がやらなければならないという時代は終わっている」と述べました。これは公務「放棄」宣言と言うべきものです。

 そして「2023年度予算議案門川市長説明」では、「今後は・・都市の成長戦略が一層重要になってまいります」とあり、「持続可能な行財政運営の推進に関する条例の制定についての議案説明資料」では「都市の成長戦略を加速させるため、引き続き、改革の継続と成長により、財源を確保していくことが重要である」としています。これは「成長戦略」推進宣言と言うべきものであり、その意味は、“財源確保は成長戦略のため”ということです。「成長」とは財界の総本山経団連の方針書の表題「新成長戦略」とあるように、財界の戦略そのものです。

 実際、首都圏企業誘致等のために「誘導エリア」のみ補助金を上乗せし、テナントビル建設企業に最大1億円支援する、企業立地促進プロジェクトを推進しようとしています。呼応するかのように、都市計画緩和を具体化する用途変更や高さ規制の緩和を進めようとしています。新景観政策の後退につながるものであり、認められません。

 働く場の創出のためには、大規模オフィイスを呼び込むのではなく、後継者難や人手不足で事業継続が困難である、問題を抱えている、既存の事業者や伝統産業従事者を支援し働く場を創出することこそ必要です。

 市庁舎整備、学校統廃合、三施設一体化事業、芸大整備等不要不急の大型公共事業の見直しはなく、将来に多大な負担を残す北陸新幹線延伸計画や北山エリア整備を推進しています。現行基本計画に織り込み済みの堀川・油小路地下バイパス・1号線・9号線バイパス等、ビッグプロジェクトはそのままです。

 まさに、くらし・福祉・営業を応援し「福祉の増進」よりも、「成長戦略」推進です。到底認めることはできません。 

 第4に、高すぎる国民健康保険料や介護保険料等の引き下げという市民の切実な要求を拒否しているからです。

 5年度保険料は、すえ置いたと言っても、4年度に値上げした保険料の据置であり、コロナ禍・物価高騰の影響が大きい国保世帯への引き下げが必要です。現在残っている23億円の基金を使い、自治体の役割を果たすべきです。

 今年度から国が子どもの未就学児にかかる均等割分を5割軽減しています。本市として残りの5割分を軽減し0円にするための人数と費用は、4月10日現在で約6600人、1億5000万円で可能です。その金額を支援すること、また傷病手当の本人・家族・従業員全てに適応するよう国にしっかり提案し、本市で先駆的に実施するよう求めるべきです。

 市民の生活実態からして、高すぎる介護保険料を引き下げすることも何としても実施しなければなりません。「特別会計決算で出た黒字分を介護給付費準備基金に積み立てた上で次期の計画期間における介護保険料の上昇抑制に充てる」とは言いますが、「一般会計からの独自の繰入は、負担と給付の関係が不明確になり、保険制度による運営の趣旨を著しく損なう。厚生労働省からも引き上げを抑制するための繰入は認められないという趣旨の強い指導を受けている」「国に引き続きしっかり要望していく」との姿勢ではなく、市民に寄りそう立場に立ち、本市独自の判断で一般会計からの繰入れを行い、介護保険料を引き下げるべきです。

 議第19号 京都市勧業館条例の一部を改正する条例の制定については、京都市伝統産業ミュージアムの入館料を無料から有料にするものであり、反対です。

 とりわけ、修学旅行生からも徴収するのは問題です。有料化により入館者が減ることも想定されていること、有料化による収益を伝統産業品の購入等に当てるとしていますが、一般会計による予算を増額して対応すべきものです。

 今回の予算案には、子ども医療費助成(通院200円)の3歳未満から小学校卒業まで拡充、全員制の中学校給食実施に係る調査費計上、保育料が昨年に続いて2年連続据え置き、地下鉄運賃値上げの回避などが盛り込まれています。党議員団は、引き続きみなさんと力を合わせ、市民の暮らしの願い実現へ全力を尽くす決意を述べて討論とします。