日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

新道児童館を廃止し,株式会社に移管する条例に反対討論,河合議員

2022.12.12

 日本共産党市会議員団は、議第199号京都市児童館及び学童保育所条例の一部改正に反対の態度を表明していますので、私は議員団を代表し、討論致します。

 本条例案は、御前児童館の移転、新道児童館の廃止が提案がされています。御前児童館については耐震化された場所への移転であり、必要な措置であると考えます。移転先については、広さの確保、施設改修について現施設の職員等の意見を反映したものとするよう求めます。

 一方、新道児童館の廃止は、現在、社会福祉法人洛和福祉会が指定管理者として運営している公設民営児童館を、児童館の建物も施設運営も民間に移管してしまおうというものです。市民の財産である新道児童館は公設のまま運営すべきであり、廃止は認められません。

 以下、その理由を述べます。

 まず、移管先は株式会社です。本市のラクト健康・文化館、伏見公園などを管理されたことはある事業者ですが、児童館・学童保育事業を行った実績はありません。児童館という0歳から18歳までの幅広い児童と保護者を対象とした事業を任せることができるのか、と児童館・学童保育関係者はじめ市民からの不安の声が上がっています。これまで本市の児童館・学童保育事業はすべて社会福祉法人に委託されてきました。今回初めて株式会社に委託するものです。委員会審議の中で、当局は「事業の安定性、継続性については、令和3年9月7日に地元自治会と事業者と本市の三者で締結した覚書で「安心安全に配慮しより多くの子どものための開かれた施設運営」が約束されていること、土地はNTT都市開発に対し、東山女子学園が60年間無償貸与としていることから、安定性が担保されている。」と答弁していましたが、そのことによって児童館・学童保育事業が継続できるという担保とはならないのではありませんか。

 そもそも株式会社は、株主に利益を分配するという目的があり、利益を生まなければ、事業を継続できません。委託料と利用料という決まった収入で運営する児童館事業では、支出を抑えるために人件費で調整するということになりかねません。全国的にも、株式会社や民間企業が運営する保育園などで事業の採算が合わず撤退している例があり、経営状況によって急に撤退する可能性は否定できません。

 以前、京都市は、市立病院院内保育所青いとり保育園を民間企業に民間委託し、低い委託料で職員を低賃金で働かせました。その上、短期間で委託先が変わってしまい、その民間企業はベテランの保育士を皆やめさせてしまいました。馴染みの保育士さんが皆いなくなってしまい「先生は僕のことが嫌いになったから、やめてしまったの?」と、子どもの心まで傷つけたことがあります。

 株式会社への委託はやめるべきです。

 さらに、公設民営から民設民営となることにより、指定管理で少なくとも5年間は委託が継続していたものから本市との委託契約が1年ごとになります。今回、民設民営にしようとしている4月からの職員体制について、現在の新道児童館職員が次の事業者の正規職員として継続雇用されるのか」と質問しましたが、「新しい人が雇用される」と当局は答弁しました。児童館や学童保育の事業は子どもや保護者との信頼関係、安心抜きにはありえません。そのためには安定したサービスが継続されることが不可欠です。職員が継続して働き続けられることが子どもや保護者の安心の前提であり、1年ごとの不安定な委託契約は、子どもや保護者の安心、職員の継続した雇用の前提を崩すものになりかねません。

  最後に、本条例にある新道児童館の廃止提案は、本市が元新道小学校を含めた跡地を「花街文化の発展と新たな賑わいづくりを通して、更なる地域の活性化と魅力あるまちづくりに貢献する施設」として活用する事業を進めることに伴い、発生した事案です。新道児童館は、昨年11月まで元新道小学校の校舎に設置されていましたが、元小学校の工事のために、現在の仮設の児童館に移転しました。しかし、公設民営であり、現在の指定管理者の指定期間中の移転なのですから、本来、本市が施設を確保し、公設で児童館を続けていくべきであります。本条例案の説明資料には『公の施設として新道児童館を廃止しても、利用者の利便性が引き続き確保される』から現在の指定管理期間をもって廃止しようとする」と説明されていました。しかし、利用者である学童保育の子どもや保護者などに事前に説明し意見を聞くこともなく「利便性が確保される」などと言うのは、あまりにも無責任です。

 しかも、行財政局の跡地活用方針には既に方針が示されているにもかかわらず、その重大な中身について議会に一切の説明がないまま、既定のこととして今回条例提案されたことは余りにも無責任、議会軽視と言わざるを得ません。

 行財政改革計画における公有地の民間活用方針のもと、市民の財産を民間企業が活用し儲けをあげること、そのことによって収入を得ることを本市が最優先することで、子どもの最善の利益は後回しにされています。このような姿勢は断じて容認できません。

 w以上、本議案にある新道児童館の廃止は、市民の財産である公設の児童館を名実ともに壊してしまい、新たな児童館を初めて株式会社に委託し民営化するもの、公的責任の後退であり、認められません。

 このことを再度申し上げ、反対討論と致します。ご清聴ありがとうございました。