学校調理による全員制中学校給食の実施を,決議について討論,えもと議員
2023.12.12
日本共産党京都市会議員団は、わが党提案の「学校調理による全員制中学校給食を求める決議(案)」及び、維新・京都・国民市会議団提案の「実施方式を含む全員制中学校給食のより丁寧な検討を求める決議(案)」について、賛成の立場を示しておりますので、私は日本共産党京都市会議員団を代表し、その理由を述べ討論します。
現在、京都市は全員制中学校給食実施に向けて動いています。塔南高校跡地に給食センターを建てて、26000食の給食をつくり、63校に配送する計画を進めていますが、市民からは、まるで給食工場のようだとの声があがっています。この規模は、全国どこの自治体もやっていません。なぜやらないのか、リスクが大きすぎるからです。
令和2年、埼玉県八潮市では、民間給食センターで調理された給食で児童・生徒、職員3453名が下痢や腹痛等を発症する集団食中毒が発生しました。海藻を戻す際に熱処理せず、水で戻したことが原因です。食中毒の発生後、全校で4カ月にわたって給食の提供が中止されました。
食中毒のリスクが高まるため、学校給食衛生管理基準では「調理後2時間以内の喫食に努めること」となっていますが、京都市は63校2時間喫食可能としています。しかし、配送車はすべてのおかずが揃うまで出発できません。観光シーズンは平日でも道路は渋滞しているので、全校2時間喫食は極めて困難ではないでしょうか。また、ドライバー不足も深刻な状況の中、63校に食器や食缶を配送する車やドライバーを確保できるのか疑問です。センター給食を実施している他都市の中では、2時間喫食が守られず、議会で問題になっているところもあります。この計画は、安全性、安定性にリスクがあり、子どもたちの発達、教育活動を阻害する恐れがあると考えます。
建設予定地についてですが、200メートル先に小学校があり、センターから何十台もの配送車が行きかうことになれば交通事故が心配と、地元から建設見直しを求める請願が出ています。また、建設予定地は洪水浸水想定区域で想定浸水深3.5メートルであり、給食センターを建設するなら防災対策として盛り土が必要です。施設が高所だと配送車が通るスロープも急な勾配となり、積んだ食管の内容物がこぼれる恐れもあります。各地で大水害が相次ぐ中、2020年、宅建法が改正され不動産取引時に水害ハザードマップの説明が義務化されましたが、教育委員会からは、浸水リスク、防災対策、それに係る経費などなんの説明もありません。
アレルギー対策については、京都市内全中学生の中で食物アレルギーを持っている生徒が何人いるのか、生徒一人ひとりが何にたいしてアレルギーを持っているのか、万全の対応ができるのか等不安の声もあがっています。市民の声に耳を傾けること、議会への説明、議論も全く足りていません。維新・京都・国民市会議員団の決議案には、実施方式に関して、様々な意見に耳を傾けつつ、より丁寧な検討を継続することを求めていることから賛成します。党議員団の決議案は、学校調理による全員制中学校給食の実施を求めています。
給食は単に栄養をとるだけでなく、給食を通して味覚を育て、食への理解や関心を広げる大切な教育です。子ども達の身近で生産された食材を使った給食は、農業や地域を学ぶ機会になります。その中で、食育、献立作成、物資の確認、アレルギー対策、調理、提供、子どもが食べ終えるまでの衛生管理が職務である栄養教諭が各学校に配置されることは重要です。栄養教諭が子どもと顔を合わせるからこそ、肥満や接食障害など子どもの食の問題にも向き合えます。給食調理員との交流も大切な食育です。全校に給食施設がある京都市の小学生はこの環境の中で育っています。中学生にもこの環境を保障すべきです。学校調理だから実現できるのではないでしょうか。また、災害時においては、ライフライン、道路が寸断され、食料等の配送が迅速にできないことが十分に予想されます。避難所で一番必要とされる薬が整腸剤なのは、冷たいパンやおにぎりなどの食事が続く現状があるからです。避難所となる中学校に給食施設があれば、被災者は早期に温かいものを口にすることができます。これは生きる力につながります。
子どもたちの健康と豊かな食育、地域住民の避難所における適切な食事の確保のためにも、実施方式については丁寧な議論を継続し、大規模給食センターではなく、学校調理による全員制中学校給食の実施を求めて、賛成討論といたします。ご清聴ありがとうございました。