住民の要望に沿った東部クリーンセンター跡地利用の検討を,請願について討論,西野議員
2023.12.22
日本共産党京都市会議員団は、請願第22号「住民の要望に沿った東部クリーンセンター跡地利用の検討等」の不採択に反対の立場を表明していますので、議員団を代表して討論を行います。
東部クリーンセンターは、2013年に稼働が停止しました。同時に余熱利用センターについて、住民の皆さんから継続を願う声が大きく出されました。クリーンセンターの余熱を活用して温水プールや老人保養センター、醍醐図書館があり、当時も多くの住民が活用されていましたから、存続を願う声が上がるのも当然です。温水プールは廃止されましたが、住民の声に押され、保養センターのお風呂などは新たにボイラーを設置して継続されました。
ところが、2014年度からは市の情報館の「市有地一覧リスト」に東部クリーンセンター跡地が掲載され、売却の対象として公表されました。その後約10年間は年に数件のオファーはあるが土壌汚染と建築物の除却などが壁になって、売却ができなかったのです。京都市は「このままでは事業者に活用を促せない」と昨年9月の地歴調査に続き、今年4月には都市計画を見直し、高さ規制の緩和や用途地域の変更が行われ、11月市会で土壌汚染調査費5000万円が計上されました。そのうえ、商業集積ガイドプランの見直しで店舗面積の上限が変更され、「跡地活用の絶好のタイミング」と理事者が答弁するまでの民間活用のためのお膳立てを整えたわけです。しかも、不動産調査報告書によれば更地の価格は約40億円ですが建物の除却に約27億円かかります。土壌の表層調査に5千万円、土壌汚染が確認された場合はさらに深くまで掘って行う深度調査が必要になり、土壌改良も必要ですから、土地を活用するためには約40億円の土地に今の段階でも約28億円以上の費用が掛かることが想定されます。土壌汚染の改良などは原因者責任ですから必要経費ではありますが、結局は更地で40億円の土地を約4分の1前後で売却する方針です。これだけの費用をかけてお膳立てをして、京都市は「売却か賃貸にするのかまだ決まっていない」と言いますが、もう一つの選択肢が抜け落ちています。京都市が市民の声を聴き、市民のための活用をするという視点がありません。だから今回「民間に売却せずに市民の声を聴き市民のための活用を」という請願が提出されたのです。市民のごく当然の願いではありませんか。
この請願に対し、「土地活用の選択肢を狭める」と委員会で不採択にされた共産党以外の委員の皆さんは、市民の声を真摯に受け止める気持ちがあるのでしょうか。市民の財産を市民のために活用することに背を向けるべきではありません。
さらに請願の議論の中では、「老人保養センターは当初は活用地から除外していたが、外環とつながるため、活用範囲が広がる」との答弁がありました。保養センターや図書館も活用地として売却の対象にしているのです。ところが、この老人保養センターは、今、次期の指定管理者を公募中です。次期の指定管理期間は、R6年4月1日からR11年3月31日までの5年間です。昨年事業者が行った利用者アンケートでは、また利用したいという人が89.4%もおられます。年間38,000人もの住民が活用している施設でもあります。ある方は「リハビリで通っていた温水プールがなくなって困った」高齢の一人くらしの方は「毎日お風呂に行くのが楽しみ。自分にもしものことがあっても誰かの目があって安心だし、友達と交流もできる」とおっしゃいます。住民の声で残した老人保養センターを民間活用という名目で廃止の対象にすることは許されません。次期指定管理期間の終了する5年後以降も市民の憩いの場としての活用をすべきです。最後に、来年度で小中一貫校に統合される石田小学校跡地まで含めての活用は、住民のコミュニティの中心を奪うことになりますから、絶対にすべきでないことを申し上げて、わたくしの反対討論とします。