2023年度京都市予算案の組み替え提案
2023.02.28
日本共産党京都市会議員団
団長 井坂博文
コロナ禍に加え物価高騰により、市民の暮らしと生業の厳しさは増すばかりです。今、行政がするべきことは、市民の暮らしと中小零細業者の仕事を守るために、最大限の力を尽くすことです。
2023年度予算案で、市長は「22年ぶりに収支均衡を達成」「財政難克服への道筋」をつけた、としています。しかしその内容は、「行財政改革計画」にもとづいて2022年度に行った、市民負担増と補助金カットの継続、及び、新たな負担増の押し付けを行う予算であり、自治体の公的責任を放棄する姿勢を変えていません。
その一方で、市庁舎整備、学校統廃合、三施設一体化事業、市立芸大整備など不要不急の大型公共事業の見直しはなく、将来に多大な負担を残す北陸新幹線延伸や北山エリア整備を推進しようとしています。大企業や富裕層に対して応分の負担を求めるべき、との党議員団の提案に応えないだけでなく、「都市の成長戦略を加速させる」として高さ規制の緩和などで呼び込み型開発を進めようとしています。
「行財政改革計画」を策定する際に市長が言い続けてきた、「毎年500億円以上の赤字」で「財政が破たんしかねない」との話は、党議員団が当初から指摘してきたとおり、事実にもとづかない誇大宣伝であったことが、すでに明らかになっています。2021年度は実質102億円の黒字決算であり、また、2024年に枯渇しかねないとしていた公債償還基金は、「計画」で残高目標を1,000億円としていましたが、それを1,000億円も上回る、2,002億円の残高見通しが立ったことが示されています。
子どもの医療助成の拡充や全員制の中学校給食の調査費計上など、市民の願いに一部応える予算も含まれていますが、苦境に陥っている市民の命と暮らしを守るために、さらなる対策を講じることが求められています。
よって、日本共産党京都市会議員団は、以下の趣旨に沿って予算案を組み替えることを求めます。
<負担増や補助金カットについて>
1.「行財政改革計画」を撤回し、2022年度に行われた53億円の負担増と補助金カット(敬老乗車証改悪や保育園補助金カットなど)を継続させない。7億円の新たな負担増と115人の職員削減を中止する。
2.交通局への一般会計からの繰り入れを拡充し、市バスの運賃値上げ方針を撤回する。
<暮らしや中小業者・労働者の支援について>
3.18歳までの医療費無料化、小学校のような全員制の中学校給食の具体化、給食費の無料化を行う。
4.子どもの学びを保障するために教職員の増員を図る。
5.市独自の給付制奨学金制度の創設、学生の通学定期券の引き下げを行う。
6.新型コロナウイルス感染症対策を強化するために、大規模な検査の実施、医療機関に対する支援と連携の強化、保健所を各行政区に戻し公衆衛生行政を拡充する。介護・保育・障害等のエッセンシャルワーカーへの支援を拡充する。
7.中小業者が事業や雇用を継続し、賃上げできるだけの支援をする。
8.公契約基本条例に賃金条項を加える。
9.高さや容積率など、都市計画上の規制緩和を中止する。
10.企業立地プロジェクトは抜本的に見直すなど、大企業呼び込み型方針をやめる。
<財源確保について>
11.北陸新幹線やリニア新幹線(総事業費2.1兆円以上)、堀川・油小路地下バイパストンネル(総事業費1,200億円)推進方針を撤回することを含め、不要不急の大型事業を中止する。
12.法人市民税の超過課税を他都市並みの8.4%に引き上げるなど、大企業に対して応分の負担を求める(5億円/年)。
13.個人市民税を累進制にし、高額所得者への課税を強化するよう国に求める(100億円/年)。
14.「三位一体改革」以来の地方自治体への財源を削減する国の方針の転換を求め、自治体の財源を国に保障させる。