日本共産党 京都市会議員団

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【声明】2月市会を終えて

2023.03.22

日本共産党京都市会議員団
団長 井坂博文

 今期最終となる2月市会は、2月16日開始し、35日間の審議期間を終え3月22日終了、2022年4月に開会した通年市会が閉会しました。
 今市会は、岸田政権が「安保3文書」を閣議決定した下で、敵基地攻撃能力をもつ、5年間で43兆円もの軍事拡大を示すなど戦争か平和かが鋭く問われる中で開かれました。また、コロナ禍に加え物価高騰により、市民の暮らしと生業の厳しさが増す中、市民の暮らしと中小零細業者の生業を守る行政の役割発揮が求められている中での議会でした。

一、 市長提案議案に対する態度
 市長からは75議案(人事案件1議案)が提案され、党議員団は、22年度一般会計補正予算、23年度一般会計予算、国民健康保険事業特別会計予算、水道・下水道事業特別会計予算、自動車運送事業特別会計予算、行財政改革計画を固定化する財政条例、新景観政策の骨格を壊す都市計画緩和具体化の用途変更等の条例、病院機能の後退を示唆する市立病院機構中期計画、西陵・小栗栖中学校区小中一貫校整備契約など29議案に反対、運賃値上げを回避した高速鉄道事業特別会計予算、第二市場特別会計予算、「一日」の範囲を利用開始から24時間に変更する自転車駐車場条例など46議案に賛成しました。

一、予算関連議案について
 予算では、全員制の中学校給食実施に向けた調査費の計上、通院医療費上限月200円を小学校卒業までに拡充、75歳以上のインフルエンザ接種料金引き下げ、国保の出産一時金引き上げと法定減免所得基準の引き上げ、学生支援を行う大学への支援継続など、重要な前進がありました。市民の粘り強い運動が反映し実現したものです。また、学校給食無償化を求めた党議員の質疑に対し「給食費の保護者負担軽減に向け国に財政支援を要請する」と教育長が初めて答弁し、指定都市として国への要望が行われました。

<補正予算>
 22年度補正予算について、国の総合経済対策を活用した防災対策やバリアフリー化、光熱費高騰対策など必要なものです。しかし、多額の予定外の収入上振れ分を、痛み押しつけで悲鳴をあげる市民生活に充てず、特別の財源対策の「回避」として73億4000万円を充てるものです。

<一般会計予算等>
 市長は「3年間で750億円の収支改善」「22年ぶりに収支均衡を達成」「財政難克服への道筋」をつけたとしています。2025年の公債償還基金残高は、目標の1045億円から、約2倍の2002億円とされました。市長は「市民の皆様のご理解とご協力のもと」「ご理解とご負担を頂いた」と強調しましたが、市民は「理解」どころか負担撤回を求める声が高まっています。「行財政改革計画」の撤回こそ求められています。
 党議員団は、市長の提案する予算に対し、「行財政改革計画」の撤回・市民サービスの復元、予算の1%をつかってできる子育て支援策や、生業支援、生活支援で好循環の経済を実現するよう提言、予算組み替えを提案しました。他会派は組み替えに反対、市長は「未来に責任を持つ改革」だと強弁し、「行財政改革計画」の撤回を拒否しました。
 市長が提案した予算は、「行財政改革計画」にもとづいて昨年度行った53億円に上る市民負担増と補助金カットの継続、約2万5000人が交付をあきらめた敬老乗車証負担金のさらなる引き上げ、京都市勧業館内にある伝統産業ミュージアムの有料化、ごみ処理手数料(持ち込みごみ)値上げ、児童発達支援センター食費助成見直し等、7億円の新たな負担増の押し付けとともに一層の職員削減を行う予算であり、自治体の公的責任を放棄する姿勢を変えていません。一方、市庁舎整備、学校統廃合、三施設一体化事業、市立芸大整備など不要不急の大型公共事業の見直しはなく、将来に多大な負担を残す北陸新幹線京都延伸や北山エリア整備は推進の姿勢です。大企業や富裕層に対して応分の負担を求めるべき、との党議員団の提案に応えないだけでなく、「都市の成長戦略を加速させる」として高さ規制の緩和などで呼び込み型開発を進めようとしています。国がデジタル企業の求めに応じて自治体DXを押しつけ、地方自治も個人情報保護も重大な危機にさらされています。
 22年度に13億円削減した民間保育園職員給与等補助金は、保育関係者から撤回と復元を求める要望がくり返し出されていますが、赤字支援と引き替えに保育園に対してさらなる人件費カットを強いる新たな仕組みを導入。保育実施責任者である市が、職員処遇改善に責任を持たない姿が浮き彫りになりました。
 党議員団は物価高騰の下での中小零細事業者・商店街・伝統産業の実態を示し、「物価高騰支援金」に続く生業支援を求めましたが、市長は「企業立地促進プロジェクト」や、農地の物流センターへの転用など、大企業・成長産業呼び込み、インバウンド、万博頼みの姿勢を崩しませんでした。
 消防指令センター共同化について、1年間かけて南部9消防本部による非公開の共同整備調査をおこない、議会と住民に知らせることなく府の計画通り共同化を実施しようとしています。住民の命を守る市町村消防独立の法原則を逸脱したものだと批判し中止を求めました。消防職員の体制を後退させる3交代制から2交代制への移行について中止を強く求めました。
 ウィングス京都(京都市男女共同参画センター)について、市は「行財政改革計画」で「存廃も含めた検討」とし、民間活用のアイデアを営利企業に求めるサウンディング調査を実施。このことに対して党議員団は、女性の困難解決とジェンダー平等を推進するウィングス京都の今日的役割を明らかにし、公の役割発揮と充実こそ求められると主張しました。また、施設の在り方検討にあたっては、女性団体や市民、専門家の意見を聞くべきだと厳しく指摘しました。
 「財政条例(持続可能な行財政の運営の推進に関する条例)」について党議員団は、「行財政改革計画」を固定化し先々の収支を縛るものであり、コスト掲示にみられる通り、権利保障とは真逆だと反対しました。京都・維新会派が修正案を提出、党議員団は修正案について、新たな計画策定を求め拘束を強めようとするものだと批判し反対しました。

<公営企業予算>
 水道・下水道事業について理事者は、府の広域化推進プランに基づき、「長期的幅広い視野で広域化を検討」すると表明。下水道への出資金休止、職員削減と民間委託を進め、水道料金・下水道使用料の値上げを含む現プランの立場を維持しています。党議員団は、住民福祉向上という公営企業法の理念にたち、物価高騰下での料金減免を求め、広域化は進めるべきでないと主張しました。
 市バス事業については、京都市が突然バス一日券の廃止を発表したことを強く批判。市バス運賃値上げ方針を維持し、路線・ダイヤの縮小を進めようとしていることに対し、運賃値上げを中止し、市民の交通権を守れと論戦しました。地下鉄事業については、特別減収対策企業債発行の延長と緩和債、特別債による資金調達により、運賃値上げ回避を実現したことは、この間、「市バス・地下鉄運賃値上げ反対」する市民運動が急速に広がっていること、値上げは絶対に避けるべきという党議員団の論戦、全会派一致の市会意見書(20年9月市会)の成果です。

一、市民生活を守って論戦
 新型コロナ感染症第8波で、介護施設に留め置かれた高齢者42人が亡くなった事実を重く見て、重症化リスクの高い施設入所者は原則入院とすべきと迫りました。「必要な方は入院している」との市長の認識にたいし、5類移行で医療機関の混乱が予想される、検査・公衆衛生の強化で命を守れと主張しました。
 障害者福祉施策について、関係者が行ったアンケート結果から、暮らしを支える社会資源が不足していると指摘。グループホームやショートステイなど希望をふまえた抜本的な環境整備と人的支援を求めました。
 学校教育について、人権侵害となる「校則」は直ちに見直すこと、教職員の抜本的増員とともに不登校の子どものための校内フリースクール設置、少人数学級の前倒し実施、包括的性教育を位置づけることを求めました。
 指定管理者制度について、上鳥羽南部いきいき市民活動センター所長の生活保護不正受給や、スポーツ施設のワンオペなど、市の管理が行き届かない問題や、福祉施設をはじめとする継続性の確保や労働条件確保など、期間を区切った公募の問題点を指摘しました。
 原発再稼働の加速、老朽原発の運転期間延長と新規原発建設など、原発推進への大方針転換に対して即時原発ゼロの立場に立つよう迫りました。

一、 意見書・決議について
 「食料安全保障の確立に向けて地域の特色を生かした農業振興対策の強化を求める」「エネルギー・食料品をはじめとした価格高騰への追加対策を求める」「こども政策の強化に向けた」「認知症の人も家族も安心な社会の構築を求める」「新型コロナウイルス感染症の後遺症の方々の日常を守る取り組みの強化を求める」「アスベスト被害を抑える対策の強化を求める」「性的指向・性自認に関する理解促進をはかるための法整備を求める」意見書が全会派一致で可決しました。「性的指向・性自認」意見書については差別解消こそ掲げるべきと主張し、討論しました。「地域のグリーントランスフォーメーション(GX)の促進を求める」意見書が可決しましたが、党議員団は、GXは原発推進が前提であるとして討論し反対しました。党議員団は、「我が国の食料自給率向上を求める」「物価高騰に見合う生活保護基準の引き上げを求める」「保育・学童保育制度の改善を求める」「日本国憲法9条を生かした外交を求める」意見書を提案し、討論しましたが、他のすべての会派と無所属1議員が反対し、否決されました。

一、 終わりに
 いよいよ、市会議員選挙です。戦争準備の大軍拡・大増税反対を唯一掲げて、自公政権と正面から対決、国民の命と利益、平和と民主主義を守って市民との共闘を誠実に進め、市民生活破壊と呼び込み型開発優先の市政を市民本位に転換する先頭に立つ、日本共産党の市会議席をなんとしても守り抜き前進させることが必要です。戦争準備を進める岸田政権への国民の怒りの声が広がる中、事実に基づかない党攻撃が行われています。党議員団は、とことん民主的な党運営に力を尽くす日本共産党の姿を大いに語って、市民とともに党議席の前進を勝ちとるため、全力を挙げます。