日本共産党 京都市会議員団

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【声明】11月市会を終えて

2024.12.12

日本共産党京都市会議員団
団長 西野さち子

一、はじめに
 11月市会は、15日間の日程を終えて12月11日に終了しました。門川「行革」に代わる松井市政の「新京都戦略」(骨子)(2024-2027年度)が示された下でひらかれました。党議員団は11月市会に先立つ11月7日、松井孝治市長に対し、「2025年度京都市予算編成に対する要求書」を提出。物価高騰の折、暮らしの底上げを行うことを求め徹底論戦しました。

一、党議員団提出議案について
 党議員団は無所属・井﨑議員と共同で、二つの無償化条例案(子ども医療費支給条例の一部を改正する条例、市立学校の学校給食費の助成に関する条例の制定)を提案しました。京都府内で最も遅れた子ども医療費支給制度を18才まで拡充し、全国約4割の教育委員会がふみだしている小中学校給食費無償化にふみだすことを提案しました。
 自民党・公明党議員等が「首長の予算提案権を侵害する」「財源の根拠がない」などと、議会の条例提案権は首長が認める財源でなければ行使できないかのように議論を「矮小化」しました。また、「総合的検討と国への働きかけ」(給食費無償化)、「府市協調による充実(15才まで)と国への働きかけ」(子ども医療費)との市長の方針を容認する姿勢を示し反対。党議員団及び井﨑議員のみの賛成少数で否決されました。
 党議員団は、アンケートで寄せられた切実な声を紹介し、子育てに係る経済的負担の軽減は、子どもと保護者の権利保障であり、京都市の遅れを取り戻すことが重要であると論戦しました。財源についても、2023年度88億円の大幅黒字決算である中、徹底した予算の精査を行えば十分確保でき、また、4つの歳出入改革(不要不急事業の見直し・大企業への法人市民税超過課税・市債発行と返済のあり方見直し・財源の精査)により財源を捻出することが可能であることを示しました。
 今回の条例提案と審議を経て、「京都市立学校の給食費の無償化を求める決議」が全会一致で採択されました。「京都市として学校給食費の無償化を進めることは極めて重要である」として、京都市独自で「市長の今任期中に市立学校における給食費の無償化の道筋を付けることができるよう取り組むことを求める」とするものです。党議員団は子育て・福祉・暮らしの応援の市政に向けて引き続き頑張ります。

一、市長提出議案について
 市長からは計79件の議案が提出されました。党議員団はくらし応援給付金などを計上する追加の一般会計補正予算等62件について賛成し、地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例など17件について反対しました。

〈補正予算〉
 補正予算については人事委員会勧告をふまえた改定である職員給与は物価高騰に対応する賃上げであるものの、巨大給食センターをPFI方式で設計・建設・運営する446億7000万円の債務負担行為の設定であることから反対しました。質疑を通じて、民間調理場13校5500食の委託料は概算で100億円にものぼることが明らかになり、2時間以内喫食についても従来「2時間以内喫食はマスト、遵守、2時間過ぎたら給食を止めることもある」としてきたにもかかわらず、「2時間喫食できないからと罰則や保健所からの処分があるというものではなく『望ましい』と示しているもの」と安全に対する認識を後退させる重大な答弁がありました。学校調理の実施検討こそ求められることを討論でも述べました。

〈条例議案〉
 市営住宅14団地108棟3850戸に指定管理者制度を適用させる「指定管理者の指定」については、公的責任を後退させるコスト削減は現場労働者の労働強化、処遇の後退、管理そのものの質の低下につながることから、反対しました。
 地区計画の区域内における建築物等の制限に関する条例の一部改正については、向島国道1号周辺地区の営農・自然環境を破壊するものであり、吉祥院宮ノ東町地区の変更は1企業の利益のために大幅に規制を緩和するものであることから反対し、西京桂坂地区計画については住民の発意により住宅宿泊事業を規制するものであり、必要なものであることを結了委員会で述べました。
 新北庁舎新築工事の請負契約については当初計画から不必要な過大整備が含まれており反対しました。質疑を通じて市庁舎整備基本計画で277億円とされていた総事業費が、現段階で383億5千万円となっていることが明らかになりました。
 市立芸術大学が徴収する料金の上限の変更の認可は、第3期中期計画において「施設を有効活用」する仕組みが構築されたもとで新たに大学施設を貸し出すものであり、貸し出し対象施設はすでに6~9割使用されていることからも、あくまで教育・研究活動のために同大学の施設を使用することを優先すべきことから反対しました。

一、代表質問について
 「行財政改革計画」による職員削減を元に戻し、消防職員の2交替制から3交替制へ改めることを求めました。市長は、「必要な『行財政改革計画』をやり切る」とする一方で、「公共人材が疲弊しているのは、国も地方も現実だ」と述べました。また、「新京都戦略」では職員削減の数値目標を掲げないことが明らかになりました。
 また、中小企業・伝統地場産業支援、市独自の賃上げ支援、敬老乗車証制度を2021年度基準に戻し民間バスへの利用を拡大すること、加齢性難聴者の補聴器購入補助の実現を求めました。加齢性難聴者の補聴器購入について「多額の一般財源が必要であり、他の必要な福祉施策の実施との関係から、直ちに実現することは難しい状況にある」と答弁しました。
 市バス運賃値上げはせず公共交通への支援、「ミータス山科—醍醐」は開発優先でなく住民の意見を聞くことを求めました。
 国連女性差別撤廃委員会勧告の具体化推進として市職員管理職に占める女性の割合の引き上げや、各区役所への正規女性相談支援員配置を求めました。
 全員制中学校給食実施は巨大給食センターではなく学校調理方式を求めました。センター給食を実施している政令市の状況を調査し、調理から喫食まで3時間30分以上かかっている事例があることや、そもそも搬出からの時間しか行政がわからないケースもあったことを示しました。
 北陸新幹線延伸計画について、右京区の立坑建設による交通渋滞が避けられないこと等についての認識を質しました。また、今に至ってもなお4つの懸念(地下水保全・残土処分・建設地周辺の交通渋滞・財政負担)を述べながら「慎重に判断したい」などと市長が言うのは無責任として、与党PTのヒアリングに臨むにあたりきっぱりと中止を求めるべきと追及しました。市長は記者会見で与党PTのヒアリングへの出席意向を示し「懸念が簡単に払拭されるとは思えない。説得力のあるデータや根拠など安心できるという確信を与えてもらわなければ当然同意はできないだろう」と表明しました。

一、 議員提出議案について
〈意見書・決議について〉
(※1・・井﨑議員、※2・・片桐議員、※3・・小島議員、※4・・繁議員 、※5・・平田議員)
 「京都市立学校の給食費の無償化を求める決議」(再掲)、「『103万円の壁』を早急に解消することを求める意見書」、「能登半島地震の復興支援及び京都と北陸を結ぶ特急『サンダーバード』の拡充を求める意見書」、「第一種低層住居専用地域における届出要件や運用の厳格化等を求める決議」等7件を全会一致で採択しました。
 「自動運転移動サービス等の社会実装に向けた環境整備を求める意見書」(自民、公明、民主、無※4提案、党議員団反対)は賛成多数で可決。中止すべきことは明らかであるため党議員団が反対した「北陸新幹線の延伸ルートについて住民投票等により広く市民意見聴取を求める決議」(維・京・国提案、党議員団など他会派・無所属※4※5反対)は否決されました。
 党議員団が提案した「裏金問題の真相解明と企業・団体献金の全面禁止を求める意見書」は無所属※1・※5が、「紙の保険証廃止の撤回を求める意見書」及び「物価高騰等に対する事業者支援を求める意見書」は、無所属※1が賛成しましたが、他会派議員が反対し否決されました。それぞれ討論に立ち、総選挙で示された民意をふまえるべきことを主張しました。

一、請願・陳情
 12月10日、オスロで日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞されました。原爆の非人道的被害を受け、同じ苦しみを誰にも味わわせまいと一貫して核兵器の使用禁止・廃絶を求め訴え続けた活動が高く評価されたものです。これは、被爆者の方々の活動へのリスペクトとともに、世界の戦争を一刻も早く終わらせたいという願いが示されたものであり、核なき世界を実現する希望の光です。
 今市会では、請願「核兵器禁止条約への署名及び批准等の要請」が採決されました。党議員団と無所属議員※1以外が反対し、不採択とされました。世界で唯一の戦争被爆国である日本こそ率先して核兵器禁止条約に署名・批准すべきこと、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞した今こそ、京都市会が国に要請すべきことを討論で述べました。
 また、市民から「難聴者の補聴器購入に係る公的補助制度の創設」「敬老乗車証制度の交付基準の見直し」「西京区及び右京区の市営住宅への指定管理者制度導入の撤回」等の陳情が提出され、党議員団は委員会審議で願い実現に奮闘しました。

一、 最後に
 総選挙中の自民党裏金議員の「裏公認」問題のしんぶん赤旗スクープにより、国民の怒りが広がり、与党を過半数割れに追い込みました。国会とも連携し、市民の切実な暮らしの願いを実現するとともに、来年夏の参議院選挙勝利に力を尽くします。