日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

原発活用・新増設許さず、再生可能エネルギー100%のまちづくりを,意見書について討論,とがし議員

2023.03.22

 日本共産党京都市会議員団は、自民党・公明党・京都党日本維新の会・無所属議員の共同提案の「地域からのグリーントランスフォーメーションの促進を求める意見書」に反対を表明しておりますので、その理由を2点に絞って述べます。

 第一に、このグリーントランスフォーメーションそのものが、原発への依存度を可能な限り低減する、新増設は行わないとしてきた政府方針を転換し、「原発の最大活用・新増設」に突き進むものだからであります。

 岸田総理大臣は、グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針の中で、2030年までの再生可能エネルギーの普及目標はわずか36~38%に低く抑え、東京電力福島第一原発事故などなかったかのように原子力発電の活用を太く打ち出しています。老朽原発を動かし続ける危険極まりない方針にとどまらず、革新的イノベーションと称して「廃炉が決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替え」「高温ガス炉・高速炉の開発」と、またぞろ新たな原発開発を各地方で進めようとしています。このような開発や新たな原発建設は、新たな原発事故のリスクと、そこから生まれる放射性廃棄物の永久的な管理費用も含め、膨大なコストを消費者・国民に押し付けることになります。日本原子力発電元理事の北村俊郎さんは、新型の原発は1基1兆円近くかかり、電力会社の自力ではできず国家予算による巨額の補助が必要になり、「もはやビジネスではなく、革新型軽水炉をつくるメーカーのための公共事業」と厳しく批判されています。今回の方針転換は、まさに、市民の安全よりも、原子力業界や財界、大手電力会社の目先の要求に応じることを最優先したものであり、断じて認めることはできません。

 原発事故の直後の本会議で私はこの場所に立ち、原発事故被害者の皆さんの声を紹介し、国は、この原発事故被害者の皆さんの思いに正面から応えるべきであると求めました。「いつになったら帰れるのか」「原発事故の被害者は自分達で最後にしてほしい」といわれた言葉が今でも耳から離れません。今年2月のNHKの報道では、原発事故による避難者数は福島県内が6392人、県外が2万1392人とのことでした。今なお原発事故は終わっておらず、この原発事故をなかったことにさせてはなりません。一ミリでも原発促進・推進につながるような動きを食いとめなければならないと思うのであります。

 第二に、この意見書では、省エネの推進や再生可能エネルギーの普及拡大も一部うたっておりますが、「原発の最大活用」を中心に据えたグリーントランスフォーメーションの枠組みそのものを改めさせない限り、本格的な省エネ・再生可能エネルギーの普及を成し遂げられないからです。自民党・公明党による岸田政権は、グリーントランスフォーメーション経済移行債を10年間で20兆円発行し、原子力発電や石炭火力発電にも投資する法案を国会に上程しています。脱炭素の財源として環境国債を発行している国は33か国・地域ありますが、あくまでも再エネ・省エネに対象を限定したものであり、原発を対象にしている国などありません。フランスでさえも、原子力、軍備、化石燃料を対象外としていることを知るべきです。原発がベースロード電源として存在するがゆえに、せっかく再生可能エネルギーでつくった電力が「出力抑制」によって捨てられ、事業者の損失となっています。将来世代に借金を押し付けてまで再生可能エネルギー普及の障害物となっている原発を推進するなど許されません。

 この間、もっとも電力がひっ迫した昨年3月でも、6月においても、報酬と引き換えに、電力利用者に一時的な節電を要請するデマンドレスポンスの手法によって、電力不足は回避されました。徹底した省エネ社会の実現と組み合わせ、すでに技術の確立した再生可能エネルギーを徹底して活用する道に進めば、原発から直ちに脱却することはもちろんのこと、化石燃料からの脱却の道も開くことができます。

 日本共産党は、エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、2030年までに2010年度比で温室効果ガス50~60%の削減は可能と提案しています。さらに2050年に向けて、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現できることを提案しています。気候危機打開、原発ゼロ・再生可能エネルギー100%のまちづくりにむけ、奮闘する決意をのべ、反対討論とします。