日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

「京都市持続可能な行財政の運営の推進に関する条例」制定及び「一部修正案」に反対討論,加藤議員

2023.03.22

 日本共産党市会議員団は議第339号 京都市持続可能な行財政の運営の推進に関する条例の制定、及び京都党・日本維新の会から提出されています「一部修正案」に反対しておりますので、以下理由を述べます。

 本条例の問題の第一は、将来にわたり先の予算を拘束するもので、市長の予算編成権、ひいては、市会の議決権を形骸化させるものであり、財政民主主義に反する、ということです。

 市当局は条例において「計画の策定を義務付けている」もので「条例自体が強い財政規律で縛っているものではない」と説明していますが、計画の策定を通じて予算に縛りをかけるのですから、縛っていることに違いはありません。はじめから、枠が決まっていれば、形だけの編成と議決となるのではありませんか。

 地方自治法は第211条において「普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調整し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない」と定めています。すなわち、市長がおっしゃる「深刻な経済恐慌、大規模災害が起こったとき」に限らず、本来、予算は毎年、毎年、社会経済情勢を勘案し制定するものであります。そのために予算編成権が首長にあり、議会には縦横な議論を通じて、結論を下す議決権が付与されているわけです。将来にわたり予算を拘束力を持って機能する本条例は極めて不当であります。二元代表制のもと、首長の予算編成権はもちろん、議会の権能を十分に発揮する方向こそ求められます。

 問題点の第二は、「お金がかかっている」ことを市民に理解させようという、権利保障とはま逆の考え方が示されていることです。

 本条例、3条において「本市の事業が本市の財源でまかなわれることについて市民の・・理解を深めるよう配慮して・・事務または事業の費用を市民に周知しなければならない」と定めていますが、主客が転倒しています。

 主権者は住民であって、地方自治体は、その権利がいかに保障されているかを自ら点検すべきであります。権利擁護のために豊かな住民サービスを提供する責務は地方自治体の側に課されているのです。

 実際に、条例に先んじて、この考えに立って実施されてきた「コスト掲示」では障害者施設において、権利擁護のためにある公共施設で、それとはまったく異なるメッセージが発信され、障害者団体の方々が「ナチスが障害者抹殺計画を実行する前に障害者にどれだけ税金が使われているかをポスターにして掲示し、市民との分断と優生思想を広め障害者抹殺への正当化に利用した」と告発をされ、コスト掲示は不当だと撤回を求められたことは、総務消防委員会でも、市長総括質疑でも述べた通りであります。

 議員必携の「議員の職責」の項には以下のように述べられています。「議員は住民から選ばれ、議員の一言一句はとりもなおさず、住民の意見であり、住民からの声というべきであり、議員が行う質問や質疑・討論は、同時に住民の疑問であり、意見である」と。私は、この立場から、職責を果たすべく、障害者団体のみなさんの声を代弁しました。市民の悲鳴をとらえず、障害者差別を助長するような行政を放置する京都市会なら「世界各国から非難を浴びる」のではないでしょうか。市長は市長総括質疑で「十分な配慮が必要であり、表示等についても指摘のあった分については是正する取組を行っている」と述べましたが、本当に反省しているなら、このような条例は提案できないのではないでしょうか。市長はこの声を受け止め、権利を本人の利益とみなす考え方は改めるべきです。 

 第三に、根本的な問題として申し上げたいことは、行財政改革計画を固定化する本条例の不当性です。条例には、行財政改革計画はこの条例に基づくものとみなす経過措置が盛り込まれています。

 市長、ムダな大型公共事業を推進する一方で市民に痛みを押し付ける行財政改革計画のもとで、耐え難い痛みに市民から悲鳴が上がっているではありませんか。それを一顧だにせず、市民への痛みを固定化するなど、到底容認できません。

 最後に、京都党・日本維新の会から提案された一部修正案についてのわが会派の立場を申し述べます。京都党・日本維新の会の一部修正案は、項目に財政調整基金も加え、さらに拘束を強めようというものであります。また、行財政改革計画を是認したうえで、更なる新たな計画策定を求める趣旨から、条文から経過措置を削減するものであります。

 こうした措置を講じようという考え方の底流には、くらしを切り捨て大型開発や大型公共事業を優先するという、市長と共通する考えがあります。そもそも、コロナ禍と物価高騰のおり、最も公共性を発揮し、福祉の増進を図らねばならない時に、全く逆行した市政を進めてきた財政運営を飲み込んだうえで、もっとやれと迫るなど、到底賛同できません。 

 いま、京都市に求められるのは、市民に痛みを押し付ける行財政改革計画の固定化やさらに輪をかけた痛みおしつけではありません。「行財政改革計画」を撤回し、市民の痛みに手当を行うことを進めることであります。そのことを申し述べて反対討論とします。