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議会質問・討論

山本陽子議員(山科区)代表質問,まちづくり,公共交通,中学校給食

2023.02.27

〈代表質問の大要を紹介します〉

 山科区選出の山本陽子です。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。

1、高さ規制の緩和・都市計画の見直しをやめ、山科盆地の景観、住民のくらしと環境を守れ

 まず、高さ規制の緩和と景観政策について質問します。今、京都市は、当時、全会派一致で議決した新景観政策をかなぐり捨てて、高さ規制の緩和で高層ビルの誘致をすすめようとしています。
 景観問題は、京都の先人が長年、「京都が京都であり続けるために」いかなるまちづくりをすべきか、住民運動と市民的大論争で語られてきた、古くて新しい京都問題です。2007年当時、桝本市長も景観論争に終止符を打つと銘打ち、100年の計として規制を強化したのが新景観政策です。市長はこれを15年で否定ようとしているのです。
 高さ規制を緩和して周辺部に高層のビルを作ることが、「京都が京都であり続けるために」必要なのか、私は、市民が誇る京都らしい歴史的景観が失われ、ひいては京都のすばらしさが失われていくものであるということ、また高層ビルにより市民の生活環境が壊されていくことを、指摘したいと思います。
 対象地域となっている東部外環状線沿いの山科区では、今回の都市計画の見直しで、外環沿いの高さ制限が無制限となります。道路界から50メートルも幅をとって、山科の中心部に現行31メートルの高さを越える巨大な高層ビルや高層マンションを誘導しようとしています。山科には、奈良時代・大化の改新の中臣鎌足や、天智天皇陵などの古代の遺跡、また室町時代の蓮如上人の山科本願寺の広大な遺構がありますが、それはこの地が、南は宇治や奈良、そして東の近江や東国へ通じる東山道の要所で、音羽山や醍醐山、山科川など山科醍醐の自然豊かな盆地形ともあいまって歴史的景観を形作ってきたことを表しています。
 そもそも、新景観政策では、「悠久の時の流れの中で培われてきた歴史都市京都の優れた景観」は「“盆地形”を基本に自然と共生する景観形成」が特色であり、「借景や眺望景観のように、個々の空間を超えてそれらが重層し、融合することにより構成される魅力的な景観」これを守るのだと述べられています。
 新景観政策の理念からすれば、京都盆地の田の字地域の高さが規制されているのと同様に、山科盆地の中心部の景観も守る価値があるのではないですか、いかがですか。
 市長の見直しのねらいは、ホテルや宿泊施設の激増で地価高騰を招いた中心部での開発が困難となったことにより、事業者の儲けとなる開発を周辺部に誘導することにあります。都市計画の見直しでは、周辺地域を抽出し、そこに「都市機能の集積」や「都市空間の魅力の創出」を図るとしていますが、周辺地域の穏やかな生活環境を壊してしまう懸念があります。先日2月7日、学者専門家28人の方が呼びかけ人となって、高さ制限などの緩和に向けた都市計画の見直しの中断を求めるアピールが発表されました。「今回の高さ制限の緩和に伴う超高層建築の出現は、都市にさまざまな環境上の負荷をもたらし、市民の暮らしの環境をおびやかす危険をはらむもの」と警告されています。イギリスやアメリカでは、高層マンションはコミュニティが希薄になり、生活環境が後退することが問題であるとして、低層のまちづくりこそ持続可能であると、転換が進められています。身近にも、自治連合会の皆さんからは最近のマンション建設では住民の自治会への加入が課題で苦労しているとの声も聞こえます。
 景観は住民の豊かな暮らし豊かな歴史そのものであり、高さ規制の緩和は「新景観政策の進化」どころか、オンリーワンの代えがたい住民の暮らし、そして市民が誇る京都のすばらしい歴史的景観を壊してしまうのではないですか。いかがですか?

【答弁→市長】 景観の守るべき骨格の堅持を前提に、土地利用の状況を分析し、容積率と高さのバランスを検討。新景観政策を転換するものではない。山科盆地でも景観の守るべき骨格は堅持。山裾に向かって建物が低くなる、住環境や自然環境・風致との調和、一定規模以上は景観審査を充実する。山科エリアの核となる外環状線沿道は、にぎわいと沿道でセットバックした場合のインセンティブを付与し、計画の自由度を向上させ事業者の創意工夫を引き出しながら、若者・子育て世代のニーズに合った住環境を創出する。

【山本】 もう一つの重大な問題は、今回の都市計画の見直しが、「若い世代に選ばれる千年都市」とうたいながら、若い世代のニーズも調査せずに、高さ規制を緩和すれば若い世代が住んでくれる、まちが発展すると述べ、根拠なく進められている点です。
 京都市は、外国人を除く20代30代の市外転出が顕著で人口が減少していることが明らかになりました。この点、新景観政策が人口減を招いたかのような評価を喧伝する向きもありますが、京都市が行った新景観政策10年の検証では、高さ規制が都市の住宅新規着工数に影響したとは言えないと総括し、むしろ高さ規制が都市格を高め、活性化したと述べられていることは申し添えておきます。
 若い世代に選ばれる街とは何なのか?京都市が、本気で人口減少を克服する思いがあるなら、若者・子育て層が京都から出ていく要因を分析し検証すべきです。この点、まちづくり委員会で、高さ規制の緩和で人口減少を克服するという根拠はあるのか質したところ、「根拠はありません」とはっきり答弁されました。高さ規制の緩和で高層ビルを誘致すれば、まちは活性化する人口減少を克服するとの考えは、高度経済成長期やバブル期の発想であり、昔の栄光にしがみついた根拠なき政策と言わなければなりません。
 今議会では都市計画の見直しに係る関係条例の改正案が提案され、そして、都市計画審議会に提案の高さ規制の緩和の内容が縦覧されています。もっとも、その内容を見ると、先日行った市民意見を反映する変更はありませんでした。市民の声を無視し、新景観政策をかなぐり捨てる暴挙と言わなければなりません。市民意見募集の結果について、市長は真っ先におおむね7割の賛同と言われましたが、その後5割とも言われ、当局に意見を賛否に分けた基準を質すと説明さえできませんでした。問題点を指摘する市民の意見にこそ耳を傾け、慎重に検討すべきです。拙速な判断で京都のまち壊しにもなりかねない高さ規制の緩和、都市計画の見直しは、人口減少を克服するという根拠もない政策であることは明らかであり中止すべきです。いかがですか?

【答弁→市長】 多くの市民意見を頂き、真摯に受け止め見解を丁寧に示した。期待の声もあり、中止する考えはない。7割賛同については担当職員が客観的・中立的に精査し信頼性は確保されている。
若い世代が京都を選択し、くらし続けられるまちづくりを、推進する。             

【山本】 市長から高さ規制の緩和についてご答弁がありました。いくら景観の骨格を堅持すると言いつのっても、今市長がやろうとしている都市計画の見直しは、景観の骨格をこわすものです。京都の歴史に禍根を残すことはやめるよう、重ねて中止すべきと求めます。

2、公共交通の充実で住み続けられるまちづくりを

(1)住民のボランティアバス推進でなく、山科の公共交通に責任を

 山科区小金塚の地域循環バスは、京阪バスが撤退し、住民によるボランティアバスになって1年がたとうとしています。来年度も運行を継続できるのかと、利用調査が行われました。
 「のぼりがきつく助かっています」「生活するのにこのボランティアバスは必要不可欠な存在です」「バスがあるというだけで安心しています」など、切実な声が寄せられ、9割の方が利用継続を希望されています。外出の目的は「買い物」利用が100%、「通院」利用が8割と圧倒的に多く、高齢者の方にとってバスがなければ暮らし続けられないことを示しています。住民の皆さんは、公共交通ができるまでの「つなぎ」だと、心も体も鞭うって循環バスを維持するために頑張っておられます。
 京都市は、この土地に住宅開発を許可し、公共交通のための道路整備も進めてきました。それならば、高齢者を中心とするボランティア運行を持続可能なモデルだと言って推進するのではなく、市として公共交通の運行再開の努力をすべきです。いかがですか?

【答弁→坂越副市長】 小金塚地域の地域公共交通確保に、市も一体に取り組んできた。民間事業者による実証運行は採算性から終了、住民ボランティアによる無償運送に運行補助している。地域の皆様に敬意を表する。ボランティアバスの安全安定運送の支援を続ける。

【山本】 そして、山科で交通不便は小金塚だけではありません。小山・大塚地域からバス路線の充実を求める陳情が出されて2年が経ちましたが、今だに実現されていません。鏡山循環バスも1日3便のみで3時台で終了するため、「行きはよいよい帰りは怖い」と、夕方の増便が切望されています。バスが通る幹線道路の外側の地域、安朱や陵が岡、百々でも高齢化で交通不便の声が上がっています。来年度、初めて地域公共交通計画が策定される年度となっています。山科でも、京都市として、地域公共交通の維持のみならず充実の方向性を示していただきたい。観光路線ではなく生活路線の地域公共交通の充実について、いかなる方策をお考えかお伺いします。いかがですか?

【答弁→坂越副市長】 令和5年度中の地域公共交通計画を策定、山科区でも地域公共交通会議で生活交通のあり方を議論している。地域の利用促進の取り組みを支えつつ公共交通の維持確保について検討していく。

(2)市バス運賃値上げストップ、市民の足を守れ

 あわせて、市バスの運賃値上げと市バス一日乗車券廃止の撤回を求め質問します。
 市民の声に応えて、地下鉄運賃の値上げは見送られました。しかし、市民にとって生活の足を広くカバーしている市バス路線の運賃値上げを行うとしており問題です。また、市長公約の乗継無料がいまだ実現していないのに、市バス一日乗車券の廃止はサービスの後退であり、市民の移動する権利を制限することにつながります。
 今回の改訂は、観光客の混雑対策として地下鉄利用へ誘導するためと言いますが、物価高騰や年金削減が続くもとで、市民の負担増に思いを至らせないのでしょうか。市バス運賃値上げ、市バス一日乗車券廃止は撤回すべきです。いかがですか?

【答弁→交通局長】 燃料費や人件費の高騰で、運賃収入で運行経費を賄いきれない状況。市バスネットワークの維持には運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりなく、引き続き経営改善に努める。バス一日券は9割が観光客の利用で、混雑の一因となっていた。地下鉄バス一日券や地下鉄への無料振替で分散、快適なバスをめざす。ひとりあたり乗車単価の改善にもつながる。

3、小学校のような全員制の中学校給食早急実施を

 次に、子どもの成長発達を支え、子育て世代の願いの一つでもある小学校みたいな全員制の中学校給食の実施について質問します。
 小学校のような全員制の中学校給食の実現は、市民の皆さんの11年にもわたる粘り強い住民運動で要望されてきました。その間、日本共産党市議団は、16件の請願すべてに紹介議員となり、給食の意義を繰り返し訴えて採択を求めてきました。今回、全員制を視野に入れた調査費の計上という、大きな一歩を歓迎しています。
 これから、いかなる調理方式ですすめるかの検討に入ります。この点、教育的観点、また子ども達の声、保護者の声を聞いて検討を進めるべきです。

 日本共産党市議団は、昨年の9月~11月、中学校給食に関するアンケート調査を行いました。その中で、58人の中学生の回答を得ることができました。
 市議団の調査でも、給食を注文しているのは29.3%と、市全体の喫食率24%の実態を反映するものになりました。注文していない理由を聞いたところ、「美味しくない」「家庭弁当が好き」が多く、「友達が注文していないから」、「休み時間がとれなくなる」が続きました。
 一方で、小学校の給食は好きだったかどうかを聞いたところ、75%の子どもが「好き」だったと答え、また、現行の選択制と、小学校のような給食のどちらがいいか聞いたところ、69%が小学校のような給食がいいと答えました。「美味しかった」「好きなメニューがあった」「みんなで食べるのが好きだった」。私は、子ども達が小学校の給食を良かったと思っていること自体が、学校給食の食育の意義・成果を示すものであり重要であると実感します。
 また、現行の選択制の問題も明らかになりました。保護者68人に、給食を注文しない場合、弁当を作るのは誰か聞いたところ、母と答えた方は83.8%でした。共働き家庭が増えている中でも、母の負担によって維持されてきた京都市の中学校の昼食。家庭弁当を当たり前だとする考えは社会的性別役割分業を固定化し、ジェンダーの問題も含んでいると指摘しておきたいと思います。
 今回、政令市の「市立中学校における全員喫食方式での給食の実施」についても調査しました。20政令市中、13都市がすでに全員制に移行し、4都市が全員制を予定または検討中、実施する見通しがないと答えたのは新潟市、名古屋市、京都市の3都市でありますが、京都市の喫食率24%は一番少なく早期の転換が求められています。
 傾聴すべきは、すでに全員制の中学校給食を実施している都市の理由です。「栄養摂取面や食育の観点から学校給食は重要であり全員喫食が望ましい(福岡市)」「市内全校で地場産を使用した給食等を提供することができ、食育の実施が可能である(千葉市)」「弁当持参との選択制については、同じ食事を通したコミュニケーションの醸成や配膳作業を通した協調性の醸成など、食育のための学校給食の意義が十分に全うされない問題がある(北九州市)」と言います。
 来年度、調査を行い、中学校給食の調理・提供方法を検討する際には、是非とも学校給食の教育的意義を重視すべきです。そこでお伺いします。今回、京都市が子育て支援ともなると考えて全員制の中学校給食の検討に踏み切ったのは、給食をどのように意義のあるものと捉えたのですか?また小学校のような学校調理は、調理員とのコミュニケーション、アレルギー対応、分散型の危機管理としてもすぐれており、小学校のような学校調理を求めたいと思いますがいかがですか?さらに、全員制の意義を思うなら少しでも早く実施をと求めたいと思いますがいかがですか?

【答弁→教育長】 他に優先すべき課題があるとしてきた。共働き家庭が増えるなど家庭環境が変化、次元の異なる少子化対策が示され、社会全体で子育て家庭の支援や少子化対策に踏み出すため調査に着手する。自校、親子に限らず、センターやデリバリー、組み合わせも含め円滑な運営、将来も含めたコストを考慮し最適な方法を検討する。

【山本】 併せて申し上げたいのは、国会では児童手当の所得制限の撤廃が議論され、子育て支援、少子化対策は、子育ての責任を家庭に押し込める考えではなく、社会で支える考え方を重視すべきとの声が大きくなっていることです。市長はこの点についていかがお考えですか?社会で支える子育て支援を拡充していくことが必要です。わが会派が提案した京都市予算の1%でできるパッケージの中の学校給食費の無償化は、全国では254自治体が踏み出しています。京都市でも学校給食費の無償化が必要であると考えますがいかがですか?お答え下さい。

【答弁→教育長】 単費での無償化は多額の経費を要し、困難だが、引き続き給食費の保護者負担軽減に向け国に財政支援を要望する。

4、民間保育園に対する保育士給与補助金の削減撤回を

 続いて、民間保育園に対する保育士給与補助金の削減撤回を求め質疑します。
 昨年は、保育に関わり園バスの置き去り事故や児童虐待が連続し、社会問題にもなりました。この背景には、保育士不足の影響があると指摘されています。保育の質の向上は親の願いであり、ゆとりをもって保育できる配置基準、そして働き続けられる保育士処遇に改善されなければなりません。
 このように保育のさらなる充実が求められているときに、2022年度予算で京都市が行ったのは保育士給与補助金の13億円のカットでした。来年度もカットを継続すると言います。これによりどんな影響が出ているのか。福祉保育労働組合の調査によれば、300人の回答のうち、補助金のカットによって「一時金が削減された」のが41%、「昇給がストップし基本給が下がったのが」18%にも上っています。
 昨年市長は11月の記者会見で「給与水準は維持できると確信している」と言われました。しかし、今回、赤字となった園に人件費の一部を支援する方針を示されました。これは「給与水準が維持できていなかった」ことを認めるものではないですか。いかがですか?
 赤字を支援すると示した枠組みは、3年間限定で段階的に縮小し、その支援と引き換えに人件費の抑制を強いる内容です。京都市は給与の適正化を口実にして、保育の質を引き下げるほどのカットを断行しています。
 具体的には、保育士の経験年数12年以上の昇給の財源をカットし、ベテラン保育士の賃下げを求めることになります。また一つには、障害児保育は国基準で非常勤単価となっていますが、京都市では配置基準より手厚く常勤雇用すると常勤単価で換算していたのが、年間170万円も低い非常勤単価となります。また、調理師の雇用も国基準に合わせ3人以上では一人が非常勤となり、これも処遇が引き下がります。
 市長は「給与水準を維持する」というなら、これまで保育関係者の長年の努力で、保育の質向上のために積み上げられてきた前述の京都市の補助制度をもとに戻すべきです。いかがですか?
さらにひどいのは、国が行う賃上げの処遇改善加算の財源を、京都市の上乗せ基準の財源に取り込んでしまった結果、国が想定する賃上げを確保できない予算になっていることです。国は、自治体の上乗せとは別に、国の処遇改善加算を行うべきと言っています。国の処遇改善加算は別途給付を保障すべきです。いかがですか?
 保護者の皆さんの運動で、13億円の補助金カットの中止を求める署名は3万筆にものぼっています。子どもたちに最善の利益を、子ども達と向き合える保育を、保育士が安心して働ける給与の保障を、保育士さんや保護者の皆さんの思いも代弁し、強く強く求めます。

【答弁→子ども若者はぐくみ局長】 国の給付費に加え多額の人件費補助金を上乗せしてきた。実態調査で人件費の収入が支出を年20億円上回り、公費が積立に回っている。また保育士分の補助金が他職種に上乗せなどが明らかになった。職種毎に補助する仕組みとし、行き渡る透明性の高い制度に再構築。国の処遇改善については全国平均を100万円以上上回る給与水準を設定、国の加算適用は十分可能。
 各園でバランスのとれた運営をおこなうべきだが、付帯決議をふまえ段階的サポートに新たに5億円を確保した上で53億円の人件費補助を計上した。元に戻すのは課題が多く適切でない。補助金が処遇や配置の向上に活用されるよう把握し、結果を運営主体と共有し定着に取り組む。

5、障がい者福祉施策の抜本強化を

 次に、障がい者福祉施策の抜本強化を求め質問します。 
 2020年7月、京都市の特別支援学校に通う高等部2年生の障害のある男子が、母親によって命を断たれました。この事件を他人ごととは思えない家族、そしてその寸前にあると感じる皆さんが集まって、〈子どもと親のSOSをキャッチする仕組みを考える実行委員会〉を立ち上げられ、二度とこのような事件を起こさないために、取り組みを進めて来られました。意見交流を重ねられる中で、市内で暮らす障害者・家族・事業所ともに安心した暮らしが保障されているとは言えない、という認識を強くし、昨年、障害のある人が地域で暮らし続けるという視点から、京都市内の社会資源の利用実態についてアンケート調査が行われ463人の回答を得ています。
 障がいのある人たちの生活支援は十分なのか。まず、ガイドヘルパーの移動支援については、利用していない方が41.2%おられました。また、短期施設入所のショートステイは、71.5%の方が利用していませんでした。これは、支援が必要なかったから少ないのではありません。京都市の障害者施策推進計画によると、移動支援の見込み数は延べ人数4070人、ショートステイの利用見込み数は延べ人数1006人を必要量としています。しかし、療育手帳を持つ18歳以上の人口は1万人以上ですから、サービスの提供数があまりにも少ないために利用できない結果なのです。家族の方は「今助けてほしいというときに利用できない、数カ月先の予約を入れてやっと使えるもので、困ったときに利用できるようにしてほしい」「移動支援、居宅介護、グループホーム、入所施設どの場面においてもヘルパーさんが足りていない」と述べています。
 また暮らしの場について、アンケート調査では親亡き後、67%の方が施設やグループホームの暮らしをと希望されています。一方、京都市の施設入所の定員数は地域移行を進めるためと、減らしてきており現状1219人の定員はいっぱいです。グループホームの定員数は2023年度で996人。毎年70人程度の増員を見込むのみです。障害のある方の暮らしを支える社会資源が圧倒的に足りていません。この厳しい現状をどのように思われますか? 日本では、まだまだ家族のケアに頼る障害者施策に課題があります。2020年のような痛ましい事件を二度と起こさせないために、京都市としてどうすべきとお考えですか?
 私はこのような現状を生んでいる原因は、京都市が、障がい者施策の推進計画において、現状のサービス利用を必要量とするのみで、求められるサービス提供数の確保を目標に設定していないために、拡充が遅々として進まないことに問題があると考えます。来年度が次期障害者施策推進計画策定年度です。国連では障害者権利条約にもとづき、総括所見が示されました。「私たち抜きに私たちのことを決めないで」は障害者権利条約のスローガンです。京都市として、社会資源がどれだけ足りていないのか、利用希望の全体像を掴み、確保すべきサービス提供数を計画推進の目標に掲げ、抜本的な環境整備を行うべきです。いかがですか?
 また、障がいのある人が地域で生活するためには、生活をサポートする人が必要です。名古屋市では、障がい者の暮らしの場を支え増やすために、人件費への補助となる障害者共同生活援助事業補助金があります。京都市としても、グループホームの職員配置について国の基準に上乗せする支援を行うべきです。いかがですか?

【答弁→保健福祉局長】 障害者生活状況調査や保健福祉センターへの相談などからサービス見込み量を定め推進している。10年間で予算は約2倍、引き続き生活を支援する。
 今後、家族や障害者の高齢化・重度化が進展、グループホームや生活介護の需要が増加しており優先的に整備を進めている。強度行動障害のある方のグループホーム等への入所の際の集中的支援や専門家の助言もおこなっている。国基準を上回る配置の生活介護や医療型短期入所事業所にも補助している。次期計画策定に向け調査をおこなっており、課題やニーズを把握し反映させる。

6、ラクトスポーツプラザ、コミュニティールームの運営継続を

 最後に、ラクトスポーツプラザ、コミュニティールームの運営継続を求め質問します。
 山科駅前再開発事業により公共施設として運営されてきた、ラクトスポーツプラザは2年前から休止、指定管理の募集さえ行わず、来年度コミュニティールームまで休止すると言います。
 運営継続を求める住民の皆さんは粘り強い運動を続け、施設の意義を各所で訴えて来られました。
 ラクトスポーツプラザのプールは、その都度利用が可能で、会員にならなくてもお友達や親せきを誘って利用でき、低廉な料金で泳ぐことができました。また、杖をつく高齢者や車いすの方も、プールへ通じるスロープが設置されバリアフリー、障害者割引もあって利用しやすいと、これらの点は近隣の民間施設にはない公共施設の意義があったと言われています。そして併設するコミュニティールームは他の貸室事業に比べて低廉に利用でき、健康教室や学習会など市民の活動を支えていました。このように住民にとって大切な公共施設を、突然一枚の張り紙で休止するなんてひどくないですか?それが市民の思いです。
 市長は、住民にとって公共施設はどのような意義があるものとお考えですか?ラクトスポーツプラザだけではない、公共施設を運営する京都市の公共の役割・責任が問われています。ラクトスポーツプラザ、コミュニティールームを運営できる民間事業者が見つからないなら、京都市が直営で運営する努力を行うべきです。最後に、市長の公共への認識を問い、私の代表質問を終わります。

【答弁→建設局長】 平成10年の開館当初から利用料金制導入、指定管理者が利用料金で管理運営費をまかなってきた。老朽化、周辺に民間スポーツ施設もでき、コロナの影響でプールやジムを休止している。指定管理期間終了で全館を休止する。公共施設は福祉増進を目的としているが、運営は民間の知恵やノウハウも生かし社会経済情勢の変化や市民ニーズに対応した不断の見直しが必要。民間の動向含め施設のあり方を検討する。