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議会質問・討論

ほり信子議員(右京区)代表質問,「校則」,不登校,性教育,奨学金支援

2023.02.27

〈代表質問の大要を紹介します〉

 右京区選出のほり信子です。日本共産党市会議員団を代表して、市長に質問をします。

1、人権侵害となる「校則」はなくすべき

 まず初めに教育です。「児童は人として尊ばれる。児童は社会の一員として重んぜられる。児童は良い環境の中で育てられる。すべての児童は、心身ともに健やかに生まれ、育てられ、その生活を保障される。」これは、1951年(昭和26年)5月5日に制定された児童憲章です。日本国憲法の精神に従い、児童に対する正しい概念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために定められたものです。今、児童・生徒にとって、学校が楽しい、いそいそと通える居心地のよい空間になっているでしょうか。
 一つ目は、中学校や高校の学校生活において大きな影響を及ぼす「校則」の問題です。議員団では、子ども・若者アンケート調査を実施しました。生徒からは、「校則の何かを変えたいという次元ではなく、校則について議論する場をしっかり設けるべき」「ツーブロック禁止など、必要性の感じられない校則は、早急に撤廃すべき」「制服はなくてもいいと思う。制服があるから、トランスジェンダーの友だちは中学に行きたくないと言っている。悲しい思いをする人たちがいるのに、制服がどうしているのかわからない」といった回答が返ってきました。
 全国で「校則」が問題になり、特定の髪形の禁止や下着の色指定などの校則を見直す動きが、各地で広がっています。文科省は、12年ぶりに改訂した「生徒指導提要」を通して、校則についての見直しを提起しました。教育福祉委員会や代表質問を通して、「子どもの権利条約の視点での校則の見直しや公開」を求めてきました。教育委員会も各学校のホームページで「校則」を掲載するよう校長会で話し合い、すべての学校とはなっていませんが、ホームページに掲載されました。校則の見直しを通して、「学校生活のあり方」を見直すチャンスです。
 そのためには、子どもが幸せに生きるための「子どもの権利条約」の4つの基本原則に照らして校則の見直しをすることです。「安心して生きる権利」「心も体も豊かに育つ権利」「自分を守る権利と守ってもらう権利」「地域や社会に参加する権利」。この中には最も大切な「意見表明権」が入っています。昨年6月に制定され、今年4月から施行される「子ども基本法」は、子どもの権利条約の国内法で、第3条4条でも子どもの意見の尊重が明記されています。学校生活をより良いものにするために求められるのは、自らの意見や考えを出し合いながら「校則」を変えていくことです。児童生徒を権利主体と捉え、児童生徒の手による校則の見直しが必要です。
 各学校のホームページを調べました。「一日の学校生活」「みんなのきまり」「生徒心得」等各学校で「校則」の表し方はさまざまでした。登校から下校までの一日をここまで規定するのかと思うほど、事細かく書かれている学校もありました。服装に至っては、シャツの下に着る色まで指定している学校、校内でも、寒ければ防寒着を着用すべきと考えますが、その着用は特別な事情がない限り校内で使わないとしている学校もありました。これらのことは見直しが必要で見直すべきです。髪形に対しても「中学生らしい髪形」としながらも、その判断は学校に依拠し、禁止される等の声も聞いています。64の中学校の内26校ほどで「来年度に向けて生徒会を通じて、生徒が主体的に関わる『校則』の見直しを進めていきます」と掲載していました。しかし、人権侵害につながる項目については、ただちに、削除すべきだと考えますがいかがですか。
 また、校則全般については、生徒会本部と学校生徒指導部とで決めていくのではなく、すべての生徒が「自分のこと」として受け止め取り組みを進めていくことが必要です。生徒の中には、「何度も言ったけれど取り上げてもらえなかった。」「言っても無理」というあきらめ感のある生徒もいます。話し合いの前に、「子どもの権利条約」や生徒指導提要の「校則の見直し」の部分を学習して取り組むことが求められます。「不合理な理不尽な校則は自分たちで変えることができる」と学ぶことは、主権者としての自覚を培うことに繋がります。また、生徒たちが、各校の校則を交流する場を設けることで、視野を広げ、さらにより良い学校生活へと繋がると確信しています。
 すべての中学校、義務教育学校、高校で、ホームページで、見つけやすく「校則」を公開すること。すべての中学校・義務教育学校・高校で、子どもの権利条約の視点で、全校生徒による校則見直しの取り組みをすすめること。また、中学校や高校の代表が集まり、「校則」ひいては学校のあり方を考えるシンポジウムを開催し交流すること。そして小学校における「がっこうのきまり」についても高学年児童や児童会を中心に見直しすることを提起します。いかがですか。

【答弁→教育長】 市立中学校・高等学校では、熱意ある教職員によって、子どもを主体に人権に配慮した校則の見直しを既に終え、また、昨年10月までに全校で校則のホームページ掲載を完了している。来年度に向けて、新たに、服装や髪形に関する「自分たちの決まりごと」としての校則を策定している。毎年、「京都市こども未来会議」を実施している。
 また、高校では、本年4月に開校する開建高校の校章や校歌、校則を現在の塔南高校の生徒が主体となって作成するなど、各校での取組を推進している。

2、不登校については、学校のあり方を変えるべき

(1)「洛風中」「洛友中」から学び、弱音が出せる学校に

 二つ目は、不登校の児童生徒のことです。11月市会で、とがし委員が代表質問で取り上げました。不登校の児童生徒が、昨年の文科省の資料で過去最高の24万人となっています。その内、京都市は2022人。この10年で急増し、小学校で4.9倍、中学校で1.6倍も増えています。なぜ、こんなにも増えるのか。「学校のあり方」の問題として捉える必要があるのではないでしょうか。
 京都市には、国の特区指定を受けて開校した「洛風中」や夜間中学と併設の「洛友中」という二つの不登校特例校があります。そこでの実践を取り入れるべきではないでしょうか。1月8日付の新聞に不登校特例校の記事が掲載されていました。洛風中学校長は「不登校の原因はさまざまで、不安を取り除き、学校を居場所と感じてもらうことが大切だ。保護者も子どもの将来を心配するが、学校に行ってくれることで安心してもらっている」と取材に応じています。「少人数」での学び、学年の枠を超えた「縦割り交流」での社会性の学び、校則はあるものの「してはいけない」という否定的な表現を控え、生徒を理不尽に締めつける「校則」と見受けられるような決まりも制服もない。定期テストは設けておらず、単元テスト等で評価している。「不安を取り除く」ことで、年間30日以上の欠席をする生徒はおらず通学できているといいます。学校のあり方の問題ではないか、との点について認識はいかがですか。
 「洛風中」「洛友中」の実践から学ぶべきこと、成果をすべての学校で生かしていく。すべての学校で、登校しづらい要因は何か、それを取り除くためには何が必要か。不登校の児童生徒に寄り添い、保護者の思いも受け止めて、率直に話し合い、各学校のあり方を変えるべきです。いかがですか。
 自らの学校生活を見つめ直し、さらにより良いものにするために、教育委員会として、教職員や生徒に「学校のあり方」を考えるためのアプローチ・時間の保障を求めます。また、メンタルサポートの観点から、児童生徒にとっても教職員にとっても、弱音がだせる、しんどさがだせる学校にすべきです。いかがですか。
 「学校に子どもたちを合わせるのではなく、子どもたちに合った学校」をつくるという理念を教育委員会も学校も持つべきことを指摘しておきます。

【答弁→教育長】 「不登校は問題行動ではない」との認識の下、どの子どもにも起こり得る可能性があり、その背景や経過は一人一人異なることを前提に、学習保障のあり方含め丁寧に対応している。特に、不登校特例校2校での実践事例を参考に、市立学校全ての教員が持つ冊子にまとめ、指導に生かしている。
 中学校30人学級とともに、一学級の児童生徒数の少なさが政令市トップ水準の体制を整え、チーム学校として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを交えた校内会議で関わり方を協議し取り組んでいる。

(2)不登校の子どもの校内フリースクールの設置を

 不登校の要因は様々です。ここで提案したいことは、不登校の児童生徒の居場所をそれぞれの学校内につくることです。
 愛知県岡崎市で取り組まれている「校内フリースクール」。新聞報道によると2020年度の3校から始めて2023年度には20校あるすべての中学校で実施完了とのことです。岡崎市教育委員会によると、導入校では不登校率が抑制される効果が出ており、小学校への展開も検討中とのことです。この取り組みにかかる主な支出は、「支援員の費用ぐらいで、やる気があれば、どこでもできる」と岡崎市教育相談センター所長は答えています。また、京都府内の小学校でも、「校内フリースクール」のモデル事業が取り組まれています。保健室登校や別室登校だった児童を、専任の教員が児童の状況に応じて学習や活動を支え、在籍クラスの担任とも連携をして取り組みが進んでいるといいます。府教委はこのモデル校での成果をもとに、来年度、実施校の拡充も含めて検討していく考えとのことです。
 京都市の特例校の取組だけでは、不登校児童生徒の3%ほどしか対応できません。年間30日に満たない不登校児童生徒を含めれば、不登校児童生徒はもっと増えるでしょう。目の前にいる不登校・不登校気味の児童生徒をどうするのか、具体的な対応を求めます。この提案「不登校の児童生徒の居場所をそれぞれの学校内につくること」は、京都市の支援団体の方も関心を寄せています。「やる気があれば、どこでもできる」まずは京都市長、教育長の決断を求めます。いかがですか。

【答弁→教育長】 学校では、子どもの実態に応じて、校内別室で、学びのパートナー等のボランティアスタッフが寄り添う取組を行っている。別室では、カーテンなどで仕切り、ソファーや畳などを置き、安心して過ごせる工夫など、校内フリースクールと目的を同じくする居場所づくりを、各校の状況に応じて既に取り組んでいる。
 特に、別室へのオンライン授業配信などICTを活用した学習支援等の実践事例をまとめ、教職員に共有している。

(3) 化学物質に対するアレルギーの子どもが学校に通えるような対応を

 このところ問題になっている「あらゆる化学物質に対するアレルギー反応」で、学校に通えない児童生徒の声を耳にします。ICTを有効に活用して、学習権を保障する、進級・卒業に必要な出席日数にカウントする等の対応ができるのではないでしようか。また、民間のフリースクールの情報提供をするとの答弁がありました。京都市内全域・さらには近隣自治体での情報の提供を求めます。いかがですか。

【答弁→教育長】 国で、出席扱いの「要件」が示されているため、本市独自に「要件」を設定することは難しいが、一人一人の状況も踏まえ、ICTも生かし、丁寧な対応を進める。
民間フリースクールの情報提供は、令和4年12月から電話相談窓口等で開始した。市内のフリースクールの情報を提供している。

3、学校教育に「包括的性教育」の位置づけを

 三つ目は、来年度から文科省が進めようとしている「いのちの安全教育」についてです。目的は、性犯罪・性暴力の被害者にも加害者にも、そして傍観者にもならないための教育をすることです。この「いのちの安全教育」は三年がかりでまとめられ、性犯罪・性暴力を根絶していくには、子どもたちに、社会に、「いのちの尊さやすばらしさ、自分はもちろん相手も尊重し大事にすること、一人ひとりが大切な存在であるというメッセージを強力に発信し続けることが重要である」と指摘しています。
 それにもかかわらず、文科省はこの「いのちの安全教育」の中に、「性教育」を位置づけていません。「いのちの安全教育」を進めていく上で、性暴力や性被害・性虐待の予防や対処をするためには、発達年齢に即して、性を人権の視点で捉え、心や体、人間関係など幅広い側面から体系的に学ぶ「包括的性教育」を位置づけることが必要です。あらゆる性別が平等であり、多様な性のあり方があることを前提に、性に関することを生殖だけでなく、コミュニケーションや人間関係も含めて学ぶことは性犯罪や性暴力、性虐待をなくしていくことに繋がるのではないでしょうか。いかがですか。
 昨年12月4日の新聞に、京都市内の中学校での「いのちの安全教育」の中にある「デートDV」を取り上げた実践が掲載されていました。担当した教諭は、授業をするにあたり、保護者や小中学校の教職員を対象とした性教育の研修会を開く等、地域の理解を得ながら準備を進めてきたとのことです。また、この中学校では、性の多様性やいのちをテーマにした人権教育を進めてきた中で、担当教諭は自分の出産経験を語る等、性について比較的オープンに話してきたことで、生徒が性の悩みや疑問を伝えてくるようになったとのことでした。「大人が隠さず教える姿勢を見せれば、生徒が性の問題で困ったとき、大人に相談でき、一人で抱え込まずに済む。」と担当教諭は語っています。信頼して相談できる大人としての教職員の存在が性暴力・性犯罪・性虐待から子どもたちを守るといえるのではないでしょうか。
 「いのちの安全教育」の進め方について、教育福祉委員会でも質疑をしましたが、文科省からの教材や指導の手引きを通知・配付するだけでなく、各学校で取り組むための共通認識が必要です。保健主事への研修を考えているとのことでしたが、保健主事だけにとどまらず、養護教諭や男女平等教育主任も交えた議論、そして、すべての教職員がこの取り組みに主体的に関わっていくことが必要になるのではないでしょうか。文科省からの方針「教材の内容については各学校の加除や改変を行なったうえでの使用も可能」とのことなので、各学校で、子どもたちの実態に合ったカリキュラムを構築し、性犯罪・性暴力・性虐待の被害者にも加害者にも、そして傍観者にもならない教育の推進を求めます。いかがですか。
 そして、子どもたちに、ジェンダー平等をすすめていく上でも、子どもの成長発達のためにも、よりよい人間関係を築く性の学びの保障、包括的性教育を学校教育の中に位置づけることを求めます。いかがですか。

【答弁→教育長】 本市は、学習指導要領の内容を踏まえ「学校における『性に関する指導』」についての資料を作成し、児童生徒等が生命の尊重や男女平等の精神などに基づき、性に関して正しく理解し、適切な行動を取れるよう、学校教育全体を通して指導することとしている。
 指導にあたっては、男女交際のあり方や性情報への対応、LGBTQ等、性の多様性への理解を深める内容など、様々な観点から、発達段階を踏まえた適切な学習が行われている。
 これまでの取組を土台として、児童生徒が、人間関係や現在および将来の生活において直面する性に関する様々な課題に対して、適切な意思決定や行動選択ができるよう、今後も学習指導要領に基づく着実な指導に努めるとともに、「生命(いのち)の安全教育」の推進に向けた教職員研修の実施など、指導の充実に取り組んでいく。

4、独自の予算で、5・6年生の35人学級の前倒しを

 四つ目は、子どもと向き合う時間を確保するための教職員の働き方についてです。教員の長時間労働が問題視され、文科省は改革に乗り出しましたが、なかなか解消しません。多忙化の中、精神疾患で病休になる教職員が増えています。年度の初めから担任の教員が足りない。こういった教員不足が起こるのはなぜなのか。文科省の進める「チーム学校」のやり方だけでは、本質的な解決にならないということを現しているのではないでしょうか。国に対して、教員の持ち時間数を減らすことや担任を持たない専科制の導入等を通して、教員を増やすことを要望していただきたい。いかがですか。また、子どもたちの小さな変化に気づくためにも、少人数学級の方が良いに決まっています。 文科省は、2021年度から、40年ぶりに小学校の定数改善をし、来年度からは小学校4年生まで35人学級になります。そこで、市独自の予算で、5・6年生の35人学級の前倒しをすること。教育委員会からの資料で試算をすると、20名の教員がいれば可能です。正規で雇用しても1.8億円で実現できます。いかがですか。

【答弁→教育長】 専科指導や教科担任制についても、本市独自で順次拡大しているほか、高学年の教科担任制を推進し、教員1人当たりの授業持ち時間数や担当教科数の負担軽減を行うとともに、担任任せにならない組織的対応で児童理解が深まるなどの効果も得られている。
 35人学級の前倒しについては、毎年変更のある国の加配定数に頼りながら安定して実施することは難しく、引き続き、教員配置に責任を持つ国に対し、計画的な定数改善等を要望していく。

5、困難をかかえた家庭への支援を

 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは、困難を抱えた家庭や児童生徒が増えている中で、とても重要な役割を担っています。教員への指導・助言といった現在のやり方ではなく、困っている児童生徒やその家庭を直接支援できる体制に整えることが必要だと考えます。いかがですか。
 コロナ禍と物価高騰で、経済的に困難な家庭が増えています。この間、家計急変での就学援助制度を行なっていますが、さらなる拡充が必要ではないでしょうか。少なくとも生活保護世帯の児童に給付される項目、例えばクラブ活動費、PTA会費等を就学援助にも広げる等の取組をしていただきたい。いかがですか。憲法26条、「義務教育は無償」が原則です。お金の心配なく安心して教育が受けられる環境整備を求めておきます。 

【答弁→教育長】 スクールカウンセラーは、教職員への助言等のみならず、日常的に児童生徒及び保護者の相談に応じている。スクールソーシャルワーカーは、子どもや家庭の状況を十分に見立てて個別支援し、直接的な支援も行っている。
 就学援助は、生活保護基準や物価水準等に準じる引き下げを行わず、実質的には基準緩和している。卒業アルバム費を新設(R2年)し、新入学学用品費は、平成28年度から倍増させ、令和5年度も増額する予算計上等をした。引き続き、負担軽減に努める。

6、高等教育の無償化、奨学金の返済等の補助、返さなくてもいい奨学金制度の創設を

 五つ目は、高等教育の無償化です。議員団が実施した「働き方アンケート」で、働く上で国や自治体への要望を聞きました。「賃金を上げてほしい」「消費税を減税してほしい」「社会保障の充実」「長時間労働の是正」、そして、「家賃補助」や「奨学金の返済支援」がありました。コロナ禍のもとで、学生に対する直接的な支援として食料支援や教材の補助等拡充させてきましたが、アンケート結果からも、賃金があがらない状況のもとで、奨学金の返済等の補助が必要ではないでしょうか。そして、市独自の、返さなくても良い奨学金制度の創設等を求めます。いかがですか。

【答弁→市長】 奨学金等直接的な経済的支援は、国において、統一的に対応する必要がある。
本市独自には、大学が実施する学生支援を後押しする観点から、各大学が行う経済的支援や教材の購入費補助等に対し、補助を行ってきた。来年度からは、コロナ禍や物価高騰等の影響に対する大学や学生さんのご意見を踏まえ、ふるさと納税寄付金を活用し、学生さんを支援する各大学の取組を継続して後押しする。

【ほり】 市長から奨学金についてのご答弁がありました。現在の国の制度では不十分だからこそ、京都市独自での対策を求めているのです。学生のまち・京都でこそ給付制の奨学金制度をつくることを重ねて求めておきます。

7、公共の役割を発揮する「いのちの水」上下水道事業を守れ

(1)上下水道事業への出資金の再開を。窓口の集約化、人員削減、民営化を改めよ

 次に、公共の役割を発揮する「上下水道事業」に関わってです。「上下水道事業中期経営プラン」案では、「年次計画や経営基盤の強化としての取り組みを策定」となっています。水需要の減少やコロナ禍と物価高騰の影響で、経営環境は大きく変化し悪化をたどっています。中でも、京都市による5年間で98億円にも及ぶ出資金の休止は、下水道事業の資金繰りを厳しくしており、予算案では当年度過不足はないものの、累積資金で約20億円もの不足を生んでいます。上下水道局は、この資金不足を埋めるために、「施設の長寿命化や各事業の優先度の精査により、整備事業費の増加を抑制し資金収入の改善」を行なうとしていますが、その計画も効果も明らかになっていません。経営環境の変化が大きく起こっているもとでも、出資金の休止を続けていくことに無理があるのではないでしょうか。ただちに出資金の再開をすべきです。いかがですか。
 「中期経営プラン」案では、「業務執行体制の更なる見直し」で、職員の削減と民間活力の導入を同時に行おうとしています。その一つが、営業所の窓口業務の一元化です。窓口の集約化は、利用者にとっては、営業所が遠い存在になり、住民サービスの後退になるのではありませんか。
 また、これまで、全営業所での水道開閉栓業務の委託化、松ヶ崎浄水場の運転監視業務の委託化に続き、新山科浄水場や水環境保全センターの運転監視等業務の委託化、下水道管路管理センターの管路維持管理業務まで委託化する驚くべき状況です。根幹業務のみとなれば、包括委託に繋がり、民営化の道筋を自らつくっていると言わざるを得ません。
 海外ではフランスをはじめ37カ国で、水道の再公営化が進んでいます。人員削減とセットで民間委託化を進めることは時代後れであり、改めるべきです。いかがですか。

【答弁→公営企業管理者上下水道局長】 全会計連結の視点から、下水道事業への出資金休止を行う中でも、徹底的な経営効率化等により、経営の健全性を保持し、全国トップ水準の雨水整備率の向上や管路・施設の改築更新・地震対策の推進を図っていく。
 このため、下水道事業の資金収支については、施設の長寿命化等により整備事業費の増加を抑制することで、改善を図っていく。
 令和5年度からの新たな中期経営プランでは、経営基盤強化に向けた取組として、さらなる業務執行体制の効率化を進めることとし、電話受付業務を総合庁舎に一元化し、市内4か所の営業所は、来所窓ロや給水活動等の出動起点として、体制を再構築する。
 また、民間に委託してもサービス水準が維持され、十分な役割を果たすことができるものは、積極的に民間委託を進めていく。

(2)上下水道事業の広域化の検討はやめよ。上下水道料金の福祉減免制度の創設を

 次に、広域化の問題です。すでに、京都府は上下水道とも国の思惑通り、2022年度に広域化計画策定を進めています。府議会での我が党の質問に対して、「広域化という選択肢を示しておりますが、いずれにしても、最終的には、それぞれの市町村が最適な形を選んでいく」と答弁しています。上下水道事業は赤字や黒字、住民負担だけで水道のあり方を議論するのではなく、いのちと暮らしに直結する最も基本的なインフラとして、公的責任を果たすべきです。広域化の検討はやめるよう求めます。いかがですか。
 上下水道事業における役割の中心は「公共の福祉の増進」であり、市民生活が厳しい時こそ、その役割の発揮が求められます。多くの自治体が一時的にも行なっている上下水道料金等の引き下げや上下水道料金の福祉減免制度の創設を求めます。いかがですか。

【答弁→公営企業管理者上下水道局長】 広域化についても、経営基盤強化のための一手法と考え、府内最大の事業者として役割を果たし、本市施設を活用した共同研修など実現可能な連携を進め、府や周辺自治体と協力し、それぞれにメリットがあるよう長期的視点、幅広い視野で広域化を検討していく。
 上下水道料金の引下げや福祉減免制度の創設については、減収相当額について企業債の発行が増加し、将来世代への負担の先送りや他の使用者への負担の転嫁につながるため、公平性の観点から実施困難である。

、仁和寺門前ホテル建設は許可すべきではない

 最後に、地元問題 として仁和寺門前ホテル建設に関わって質問します。「まちづくり」の基本は、住民の生活の質の向上です。このホテル建設が住民にとって、生活の質を向上させることに繋がるのでしょうか。世界文化遺産「仁和寺」のバッファゾーンに位置し、この場所での建築基準法の基準を大幅に上回る延べ床面積のホテルを建てる計画です。2019年以降、住民への説明会は開かれていませんし、2021年に計画の概要が投函されたようですが、敷地外駐車場の中止など、投函された計画とは大きく変わっているにもかかわらず、住民への説明会が開かれていないといいます。京都市から「上質宿泊施設」という特例措置をとっていますが、それで建設が認められたわけではありません。住民は、自宅の建設に関わって、厳しい規制を受け入れ、「静寂性」「景観」を守ってきました。
 この住宅街において許される最大の大きさは3000㎡です。建築審査会の委員からも、「景観が悪くなること、圧迫感があることは住環境に影響があり、反対」と発言しています。1月19日の公聴会でも、「景観」「交通」「住民合意」等、さまざまな角度から「住環境を害する」と住民の意見がありました。
 「上質宿泊施設」を利用される方が公共交通機関を使ってこられるとは考えにくく、タクシーの利用になるのではないではないでしょうか。きぬかけの道と福王子交差点からしか入れないと誘導するといいますが、今でも、交通渋滞のときは抜け道を通っている実態があり、何の保障にもならず、生活の場が脅かされるだけです。「近くには学校もあり、子どもたちの通学路や遊び場も危険になります。2月17日の建築審査会の同意案件に関する審議でも、「同意」には至りませんでした。
 まちづくり委員会で「ホテルの建設により住環境を害する恐れがない担保を確認していく」と答弁がありましたが、どう担保するのでしょうか。次回の建築審査会までに「覚書」「許可条件」を文言で整えるとのことですが、そのことで、住環境を害さない担保になるとは思えません。公聴会や建築審査会での意見を踏まえれば、建築を許可することはできない。許可すべきではありません。いかがですか。

【答弁→都市計画局長】 本件は、これまで、周辺住民の方々に丁寧に説明するプロセスが重ねられ、事業者は御意見も踏まえて計画を作成し、用途許可の申請がなされている。
その後、周辺の利害関係者に対する公聴会を経て、2月17日の公開での建築審査会で、同意に向けて、公聴会での意見や申請内容について審議が行われた。
 引き続き、次回建築審査会で、審議がなされる予定である。法令に従い、適正に手続を進めていく。

9、京都市が自治体本来の役割を発揮する歴史都市に(要望)

 昨年11月、韓国・安東市で開かれた「第18回世界歴史都市会議」に参加させていただきました。歴史都市が抱えている課題、それに対する各歴史都市の対策等を聞きました。保存と開発のバランスが都市再生のポイントであり、そこには、暮らしている人々の健康・幸せを守ることが大切である。まちづくりは、そこに住む人々の生活の質の向上はもちろんのこと、そこを訪れる人々に幸せを与えるものでなければならないということを学びました。
 また、会議の最終日に提案された「平和連帯声明」その中の「あらゆる紛争や対立は軍事的な手段によることなく、対話等により平和的に解決されるべきである」という一文に感銘を受けました。京都市が「対話による平和」「住民の暮らし優先」「福祉の増進」という自治体本来の役割を発揮する歴史都市になるよう求めて、私にとって、最後の代表質問を終わります。