くらた共子議員(上京区)代表質問,大軍拡・大増税ストップ,「行財政改革計画」撤回を
2023.02.27
〈代表質問の大要を紹介します〉
上京区選出のくらた共子です。山本陽子議員、ほり信子議員と共に予算議案と市政一般について市長に質問します。
1、大軍拡・大増税ストップ、原発再稼働ストップを
まず、はじめに我が国の安全保障体制にかかわり、岸田政権が閣議決定した安保3文書で「敵基地攻撃能力を保持強化する」としていることについてです。これは日本国憲法の下、これまでの政権がとってきた専守防衛を逸脱し、日本を戦争する国へと国の在り方を変えるものです。5年間で43兆円に軍事費を増やすとしていますが、国内総生産比2%以上の軍事費となればアメリカ、中国に次ぐ、世界第3位の軍事大国となります。しかも、その財源として東日本大震災の復興財源や公的病院の積立金も投入するという暴挙を許せば、住民福祉の増進を図る自治体の在り方も根底から変わることになります。市長は、このような憲法に反する大軍拡、大増税の閣議決定に反対の声をあげるべきではありませんか、明確にお答えください。
また、岸田政権は、東日本大震災での東京電力福島第一原発事故を忘れたかのように、原発再稼働の加速、老朽原発の運転期間延長、新規の原発建設など原発推進への大転換を表明しています。しかしこの間、福井県・高浜原発4号機の原子炉自動停止事故が発生しました。市長は、原発ゼロの立場に立ち、国に対して原発推進にきっぱりと反対すべきです。いかがですか、お答えください。
【答弁→財政局長】 防衛力の整備に係る財源の確保については、税制措置のみならず、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設など、国において総合的な検討が行われている。安全保障政策については、国において議論が進められるべきもの。
【答弁→危機管理監】 本市では、平成24年3月の市会決議や「京都市地球温暖化対策計画」でも、「原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会」の実現を目指し、国に対しても原子力発電所の早期全廃に向けた抜本的なエネルギー政策の転換を一貫して求めている。
2、財政危機を煽り、市民負担を押し付けた「行財政改革計画」は撤回を
次に、来年度予算案についてです。市長は3年前、「毎年500億円の財源不足」「このままだと財政は破綻しかねない」と「財政危機」を煽り敬老乗車証や学童保育料の値上げ、民間保育園への補助金削減など市民負担増と市民サービスの低下を押し付けてきました。
わが党は、過大な見積もりで財政危機を煽り、市民を脅すものと批判してきました。2021年度決算の実質102億円の黒字に続く、2023年度予算案における市長の「財政破綻はしない」との宣言は、共産党議員団の指摘が正しかったことを示しています。
いま、必要なことはコロナ以前からの不況とコロナ禍、これに重なる物価高騰の影響から市民のいのちと暮らしを守る自治体の責任を果たすことです。そのために、更なる福祉の切り捨ては止めるべきです。2022年度の市民負担増53億円を元に戻し、「行財政改革計画」は撤回すべきです。いかがですか、お答えください。
【答弁→市長】 計画の趣旨は、本市独自のかつ全国トップ水準のあらゆる施策について、その理念を生かし、社会経済情勢の変化に対応しながら、総体的に高い水準を維持しつつ、持続可能なものとなるようあり方を見直し、将来世代への負担の先送りを解消、未来に責任をもつ改革である。
3、「行財政改革計画」による市民負担増の復元を
(1)市民の宝、敬老乗車証制度を元に戻せ
「行財政改革計画」で市民の暮らしはどうなっているでしょうか。
第1は、敬老乗車証制度についてです。市民が宝としてきた敬老乗車証制度の改悪で、利用者負担は昨年9月から2倍に、今年9月には3倍に引き上げられ、支給年齢も70歳か75歳へと段階的に引き上げる内容です。市民から「高齢者は市バス地下鉄を使うなということだ」などの悲鳴があがっています。京都市は、これまで「制度を持続可能なものとする」と繰り返し、新たな見直しで高齢者バス回数券を示していますが、その購入にあたって相談対応窓口を設置しなければならないほど複雑なしくみです。民営バス敬老乗車証の適用地域を拡大するとしたことは公共交通網として前進ですが、一部負担金が3倍化する値上げとの抱き合わせでは市民が活用できません。
「制度をなくすに等しい」との怒りは当然で、2月2日現在、「敬老乗車証制度の改悪中止・充実を求める署名」68199筆が提出されています。高齢者の外出や社会参加を促す敬老の名にふさわしい制度として復活するために、改悪した制度を2021年当時に戻すべきです、いかがかですか、お答えください。
【答弁→市長】 政令市7市が敬老乗車証制度を廃止または持たない中、制度を維持していくため見直しを行うもの。来年度からは、敬老パス回数券の新設、民営バス敬老乗車証の適用地域の拡大を行う。
(2)「こころのふれあい交流サロン」の運営費増額、職員の処遇改善、体制の確保を
第2に、精神障害者や生きづらさを抱える市民の居場所である「京都市こころのふれあい交流サロン」について述べます。こころのふれあい交流サロンは、精神に障害のある市民の自立と社会参加を一層促進することを目的に、障害のある市民も、ない市民も誰もがこころのバリアを取り除き、地域で共に生活し、気軽に交流できる場として各行政区に1箇所設置されてきたものです。平成26年4月からは相談機能を有する機能強化型こころのふれあい交流サロンを市内2箇所設置し、既存のサロンに相談員を派遣する活動も行われていました。
ところが、京都市が2022年度に補助金制度の仕組みを変えたことなどにより、3か所のサロンが閉鎖しています。
あるサロンでお話を伺うと、利用者の方は「ここがなければ人と話す場がなくなり、自宅でひきこもるしかない」と述べておられ、閉鎖したサロンを利用されていた方も遠方から利用を希望されるなど、なくてはならない場所であると実感しました。職員やサポーターからも、「サロンでの対話を通し悩みや生活上の課題の解決につなげることができた」と教えていただきました。京都市当局は、「制度改定後の状況は認識している」と答弁してきましたが、現場から「今年度は寄付金や募金でしのいだが、このままでは事業は続けられない」と悲痛な声を聞いています。
市長は、今年度、削減した予算を戻し、賃貸料含めサロンが安定して運営できるよう増額措置すること、精神に障害をもつ方などの地域での生活を支援するために支援者の育成が図れるよう処遇の改善、体制の確保を求めます。いかがかですか、お答えください。
【答弁→市長】 令和4年度からこれまでの事業を統合し、事業統合後も受託事業者の意見や各サロンの運営状況をふまえ、必要な見直しを行っている。
(3)ウイングス京都は存続・体制強化し、発展を
第3は、ウイングス京都についてです。ジェンダー平等社会を実現する拠点施設であるウイングス京都を、市長が廃止も含めて検討する施設の一つとしていることは問題です。コロナ禍3年目を迎えるなか、非正規労働者比率が高い女性の貧困と自殺が社会問題化すると同時に、新自由主義の弊害が明らかとなりました。
ウイングス京都の大切な機能は、個別的相談事業で、男性の相談にも対応できる重要な役割を担っています。本来、相談事業は自治体が直接、責任をもつべき事業です。そのウイングス京都について民間営利企業に活用策の提案を求めていることは重大です。仮に民間の店舗が入れば若者サポートステーション、図書情報室や子どもの部屋など公的スペースが縮小するおそれがあります。男女共同参画社会の推進、ジェンダー平等社会の実現に対する公的責任を放棄することは、断じて認められません。
市長はウイングス京都の優れた相談事業実績を市民に知らせ、より多くの市民の相談窓口として機能できるよう体制を強化して発展させることを求めます。いかがかですか、お答えください。
【答弁→市長】 昨今の社会構造の変化、民間市場調査の結果等をふまえ、施設の理念を生かしつつ、市民サービスの向上につながる施設となるよう、あり方を検討している。
4、福祉の充実、人口増、税収増の好循環こそ持続的な財政確立の道
「行財政改革計画」で住民のサービスを低下させている京都市は京都経済を落ち込ませ一層の人口流出を招いています。
一方、京都府大山崎町政が公立保育所を存続させ、上下水道料金の基本料を16か月無料化し、中学校の給食は自校方式で無償化するなど手厚い住民福祉をすすめる中、人口規模は京都市の100分の1の大山崎町で、3年間で260世帯の居住人口が増え、結果として税収を増やし、基金積み立ても3倍に増やしています。
日本共産党議員団は、福祉を前進させるために京都市の一般会計の約1%、約100億円で実現できる3つの提案をお示ししています。
(パネルをご覧ください)1つは、子育てを応援する3点セットです。市民のみなさんがこの11年間で16回もの議会請願に取り組まれてきた「小学校のようなあたたかい全員制の中学校給食」は6か年年次計画でなら28億円、同時に小中学校の給食費を無償化するためには49億2000万円、子ども医療費18歳まで実質無料化するためには市単費7億9千万円で実現できます。
2つ目は、学生のまち京都に相応しい学生への支援として、返さなくてもいい給付制奨学金制度は1億7500万円、大学生の通学定期の値下げは2億6900万円あれば実現できます。
3つ目に、公契約基本条例に賃金条項を明記し、公共の現場労働者の賃金を引き上げることで、市域内のくらしと経済の好循環をつくり出すことができます。本市でも、市民のくらし、子育て応援、福祉を拡充してこそ、市民が安心して暮らしつづけることができ、人口増加、税収増、持続可能な財政の確立という好循環がうまれるという認識はありますか、いかがかですか、お答えください。
【答弁→市長】 安定した収支の均衡、過去の負債の解消、京都の強み、ポテンシャルを活かし人口減少の歯止め、税収増につながる都市の成長戦略の推進が重要である。持続可能な行財政の運営の推進に関する条例では、将来にわたって、改革の必要性や理念、財政運営の目標を明記した計画を策定していく。
5、課題山積、北陸新幹線延伸計画はキッパリ断念せよ
今後の財政運営を考えたとき、極めて重要なのは不要不急な事業の精査と大型開発事業を見直すことです。とりわけ、市民生活と本市財政にとって百害あって一利もない巨大開発である北陸新幹線延伸については、党議員団は当初より計画の無謀さを指摘してきました。福井県の敦賀から新大阪までの総延長140㎞のうち8割がトンネル区間で大量の残土が発生するにもかかわらず、その残土の処分方法は未定で、掘り出した土に含まれる砒素などの重金属の環境放出という新たな公害源となることや、残土を山林や谷筋に盛土することになれば、熱海で起こったような盛土崩壊による災害が発生する危険があることを指摘してきました。
地下40mを掘り進める大深度地下工事は、京都の産業と文化をはぐくんできた地下水脈と水質に取り返しのつかない影響を与えることになり、茶道関係者からも「なんとか止めてほしい」との声があります。
京都市内の地下大深度の工事を必要とする北陸新幹線延伸計画の問題が次々と顕在化する中、推進の先鋒に立ってきた自民党の西田参議院議員が「残土と水の問題解決なしには進められない」と発言し、自民党内から「米原ルートの方が現実的」などの意見も出ています。
関西広域連合議会では三日月連合長が「ルートは決まってはいない、様々な課題がある」と認めています。しかも、総事業費が2兆1000億円以上とされていましたが、今では、自民党石川県連最高顧問の県会議員が「2兆1000億円が4兆円ぐらいになり完成は2040年」と述べたと報道されるなど費用の膨張は必至です。
市長、計画は完全に行き詰まっているのではありませんか。このような計画に突き進むことは、将来世代に莫大なツケを負わせた上に、先人たちが大切にしてきた京都の自然と環境、産業と文化を破壊することになります。市長は、この巨大開発事業である北陸新幹線延伸計画の中止を国に求めるべきです。いかがですか、お答えください。ひとまず、ここまでの答弁を求めます。
【答弁→坂越副市長】 現在、事業主体である鉄道・運輸機構が環境影響評価手続きを進めている。本市としては、府知事に対し、自然環境や生活環境への影響が可能な限り回避・提言されるよう求める意見書を提出した。具体的な事業計画については、国や鉄道・運輸機構において、今後検討されていくもの。
【くらた】 市長から、切り下げた福祉予算を復活する答弁がなかったことはきわめて重大です。福祉や暮らしの削減を「成長戦略」などとして巨大開発のために使うことは断じて認められません。自治体の役割は、住民の福祉の増進をはかることだということを重ねて指摘いたします。
6、新型コロナ対策へ、医療・公衆衛生の強化を
次に、感染症対策と医療体制についてです。コロナ第8波は第7波を超えて死者数が過去最大となっています。第7波で大きな問題となった高齢者施設における感染者の留め置き問題について、第8波でも同様の対応となっていることは看過できません。必要な方が必要に応じて入院できる医療体制の抜本拡充は喫緊の課題です。
ところが、国はこのことには背を向けたまま新型コロナウイルス感染症の法的位置づけを現在の2類から5類へ5月8日に変更するとしており問題があります。
これについて共産党議員団は、2月2日市長に申し入れを行いました。まず、国に対して公的医療機関の統合・縮小・廃止方針を撤回し、医療体制を抜本拡充すること、自治体への財政支援を継続するよう求めるべきです。京都市として、感染者の施設留め置きや、在宅死を生じさせないよう、京都府と連携して医療、保健所、PCR検査体制を強化するべきです。いかがかですか、お答えください。
年明け、市内に独りで暮らす29歳、てんかんの持病のある方がコロナに感染し40度の高熱を伴う症状が続きました。自宅療養とされましたが、高熱などのストレスが加わることでてんかん発作の誘発を危惧した母親が感染者の住むワンルームマンションを訪問されました。しかし、喘息と心臓病の持病がある母親は、自身の感染も防ぐ必要があると相談が寄せられました。そのことを京都市フォローアップセンターに連絡しましたが「医師が自宅療養でよいとしている」として、入院もホテル療養もできないとの回答でした。救急車を要請しても、搬送受け入れ先もなく命の不安を感じるとの市民の声でした。このことを京都市は重く受け止めるべきです。その後、送付の基準が30歳以上とされていたパルスオキシメーターは送られることとなりましたが、あらためて年齢にかかわらず感染者の全員が生活状況と合わせて症状観察される必要があることを痛感しました。今後、例え新型コロナウイルス感染症を乗り越えることができたとしても、新たな感染症対策は必須です。
本市における医療供給体制を万全にし、公衆衛生機能を再構築することが必要です。そのために、地域の各医療機関などと綿密な連携がとれるよう保健所を各行政区に再配置し、万全の体制とする必要があります。また、感染者を受け入れる医療機関及び高齢者施設や介護施設、保育・学童施設、障害者施設など濃厚接触によるケアを業務とするすべての現場に対する補償を行い、さらなる人員確保ができるよう支援することを求めます。いかがかですか、お答えください。
加えて、この冬、問題となってきたのが季節性インフルエンザとの同時流行です。コロナ新規株や、今後の新たな感染症との同時流行にも対応できるよう、高齢者のインフルエンザ予防接種を無料とすることを求めます。いかがかですか、お答えください。
【答弁→吉田副市長】 入院病床は、現在1027床まで拡充され、財政支援も各自治体と連携し国に要望している。公的医療機関の国方針は、統合や縮小・廃止を前提としておらず、今後の動向を注視していく。
感染対策は、全庁あげた保健所体制の構築、医師会や私立病院協会等との連携、大規模検査や「京都市版IHEAT」など大学との連携、訪問看護ステーション、フォローアップセンターなど、民間の力を借りた体制強化を講じている。全市的な危機事案には、集約した保健所体制が最適である。
医療機関や社会福祉施策には、感染対策に必要な経費が賄えるよう、国における診療報酬での対応のほか、本市でも、かかり増し経費等の助成を行っている。
高齢者インフルエンザ予防接種は、前年度と同じ摂取率で、影響は生じていない。摂取率の向上を図るため、重症度のリスクの高い75歳以上の方の自己負担を1000円に引き下げる。
7、介護保険制度の改悪に反対し、制度の充実を
次に、介護保険制度についてです。昨年11月28日厚生労働省の介護保険部会はケアプランの有料化、要介護1、2を介護保険の対象から外すこと、被保険者と補足給付の拡大については見送る方向としました。しかし、介護保険の利用料で現行の1割負担を2割にし、特別養護老人ホームの多床室の室料負担と第1号被保険者の保険料の引き上げについては実施を検討するとしており大問題です。
認知症の夫を介護する方からは「夜も眠れない。デイサービスを利用しているが、途中で退所し帰宅することもあるので、その日も一歩も家を空けることができない」との訴えが寄せられます。また、知らぬ間に、家じゅうのコンセントを抜いてしまうなど異常行動のある認知症の方を介護する家族は、「生活に疲れ果てている。お金があれば、本人を施設に預けて自分のペースで面会にいくことや世話をすることができるが、夫婦共にわずかな年金しかなく月20万円もの費用は払えず諦めるしかない」と訴えておられます。
市長はこうした認知症の家族介護の実態をどう認識しておられますか。認知症のある方への症状に応じたきめ細やかな介護支援が負担能力に応じて受けられるようにならなければ、市民は安心できません。このことからも今以上の介護保険料、利用料の値上げなど認められません。介護保険制度は2000年に導入されて以降見直しの度に負担は重くサービスは薄く国民の期待を裏切る方向に改悪が進められてきましたが、抜本的に見直すことが必要です。
国に対して制度改悪を止めよと求めるべきではありませんか。また、介護保険制度の設置主体である自治体として認知症患者の家族介護が限界に達していても経済負担を苦にしてサービスを諦めている市民の実態を直視し、京都市独自にサービス利用料の低減措置を行うべきです。要介護者と家族、双方の命にかかわる問題です。いかがかですか、お答えください。
【答弁→保健福祉局長】高齢化が進む中、被保険者や利用者の負担が過重にならないよう国に対し必要な要望を行っていく。介護保険は全国一律の社会保険制度であり、本市独自に利用者負担の軽減や補助等を実施する考えはない。
8、地域包括支援センターの改善を
次に、京都市が、京都市地域包括支援センターに対して、要支援1、2の高齢者が要支援状態から自立できたケースに対して加点し報酬を支払うとしていることについてです。京都市内全体で年間50ケースの自立事例を目指すとしていますが矛盾が生じるのではないでしょうか。市民が求めているのは、高齢者の見守りなどを含め、個々の実態に応じたきめ細かいサービスが市民の負担能力に応じて受けられることです。その結果として状態の改善や、症状の進行を遅らせることを期待するのです。この願いに応える総合的な支援サービスの構築は国と自治体の責任で行うべきで、その要となる地域包括支援センターを法人任せとしていることを根本から見直す必要があります。
現場からは、様々な課題をもちながら地域で暮らす高齢者や家族の実態をつかみ、各地域包括支援センターが住民から求められる役割が発揮できるよう、せめて各行政区に1箇所、京都市が直接担当する地域包括支援センターを設置し地域全体の実態把握から支援まで公的責任を果たす必要があると指摘されています。
市長は、地域包括支援センター関係者の声を受け止めるべきです。いかがですか、お答えください。
また、平成29年4月から導入された京都市総合事業については、生活支援を担うヘルパーの不足が問題となっています。高齢者の日常生活を支えるヘルパーの仕事が適切に評価されないことから事業として成り立たない状況となっていることは政策の破綻と言わねばなりません。市民の生活を支えるために専門職としてヘルパーを養成すること、ヘルパーへの適切な報酬を保証することが不可欠です。京都市が切り下げた生活支援型と支え合い型ヘルパーの報酬を元に戻すべきです。いかがですか、お答えください。
さらに、市民が必要とする支援サービスを見極めマネジメントする居宅介護支援事業所と京都市との連携で問題となってきたのが令和2年4月の京都市介護認定・給付業務の民間委託です。ケアマネジャーなどから「民間委託以降、双方の連絡連携がとりづらく時間がかかるようになった」と介護サービスの低下が指摘されています。
市長は、居宅介護支援等の現場の指摘を重く受け止めるべきです。各行政区の窓口が住民の介護給付や緊急時の対応に責任を持つことが切実に求められており、民間委託した介護認定・給付業務を元に戻すことを求めます。いかがかですか、お答えください。
【答弁→保健福祉局長】 地域包括支援センターは、本市が社会福祉法人等に運営を委託している公的な相談窓口であり、今後も、区や全市単位で設置する運営協議会において、地域課題や支援ニーズを把握・検討し、役割を果たしていく。
総合事業の報酬は、要介護者に係る介護報酬等を参考に設定している。近年、ヘルパーを含む介護の担い手確保が厳しくなってきており、国に対しては、一層の処遇改善を要望していく。
介護認定給付業務は、民間委託化を行い、平均処理日数は、民間委託化前から約10日早くなるなり、直営に戻す考えはない。
9、切れ目のない中小企業支援、インボイスの中止を
次に、地域経済の問題についてです。飲食業を営んでおられる方より「コロナ禍の影響、落ち込みの回復は難しい、やっと客足が上向いてきたが物価高で厳しい」との声を伺います。
減収要件を問わず、事業を継続するために市内事業者が申請できる京都市中小企業等物価高騰対策支援金制度は重要な制度であり、共産党議員団も求めてきたものです。市民から歓迎されている制度を1軒の事業者も取り残すことなく周知するためにも、3月10日までの申請締め切りを延長するべきです。さらに、額を引き上げて新しい支援制度をつくることを求めますが、いかがかですか。合わせて固定費補助制度も通年化することを求めます。いかがですかお答えください。国に対して市の制度に対する支援を求め物価高騰対策の交付額を大幅に引き上げることを求めるべきです。いかがですか、お答えください。
昨年6月補正の市内中小企業等総合支援補助金、農業者経営改善支援事業等の総合支援事業の給付が遅いとの声が寄せられていることを指摘してきました。市が直接対応する窓口を各区役所に設置し速やかな給付が行えるよう改善を求めます。いかがかですか。
また、返済時期が今年の夏となる新型コロナウイルス対応の無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資の新たな借り換え制度が実現したことは歓迎します。
一方で、国が免税事業者に新たな課税負担を求める「インボイス」を導入しようとしていることは看過できません。私の地元、西陣産地ではコロナに物価高、インボイス導入で産地が崩壊するとの危機感があります。なぜなら、20以上の工程を経て製品化される伝統産品の一つひとつの工程を担う事業者の多くが免税事業者にあたるからです。産地組合では、関連工程の事業者がインボイス取引の対応を行うことは困難で、関連工程事業者の負担をメーカー企業が被るしかない。しかし、メーカーの体力が持つか見通しが持てないとの苦悩があります。さらに、以前から指摘してきた「織機のメンテナンスができる調整工の確保」が重大問題となっています。インボイスは京都の伝統産業全般にかかる問題であり、国に対してインボイスの中止を求めるべきです、いかがかですか。
また、西陣産地内の調整工は現在ゼロ、丹後からの派遣調整を頼る以外になく、事態は切迫しています。この緊迫した事態に対する行政の対策支援が不可欠です。京都府とも連携し早急に対策することを求めます。いかがかですか、お答えください。
【答弁→産業・文化融合戦略監】 物価高騰対策支援金は、総合支援補助金を受けられた方には、手続きが簡素なもの制度設計した。約4万8千件の想定に対し、既に約4万件の申請があり、必要な期間は確保できていると考えている。
固定費補助等の支援制度については、物価高騰対策支援金を実施しているが、巨額の財政力が必要で基本的には国において措置されるべきものと考えている。
申請受付・相談等の窓口は、対象者や申請件数の見込み等を考慮した体制としている。
伝統産業の織機の修理等を行う技術者の育成は、令和2年、本市も支援し、西陣織工業組合内に「モノづくり事業部」を創設した。毎年、業界団体や補助金受給者に向けたアンケート調査や「西陣機業調査」を実施し、事業者が抱える課題等も反映して実施している。
インボイス制度は、消費税の軽減税率の実施に当たり、導入されるものであり、国に対して中止の要望を行うことは考えていない。
10、上京区・相国寺北ホテル建設はやめよ
最後に、地元の問題について質問します。上京区相国寺北、元成安高校跡地へのホテル建設計画についてです。
2月17日の京都市建築審査会において、審査会長が「何も建てなくても交通インフラは脆弱。何を建てても、交通の負荷がかかり、道路のキャパを超える。相国寺や地域も含めた議論が必要である」と言及されました。
この問題の本質は、京都市が都市計画ルールとしてホテルを建ててはならないとして規制してきた第二種中高層住居専用地域に市長が特例で建設を認めていることにあります。これまでに、ホテル建設計画地周辺の道路が通り名もない通学、生活道路でホテル建設計画地の北側の道路幅員が4mであることなど、住環境への影響は必至と指摘されてきました。建設はもとより、営業に伴う住環境への影響に多大な不安が生じることは当然であり、住居専用地域にホテルを建設することに問題があることは明らかです。
「相国寺北ホテル計画を考える会」など住民のみなさんが、計画が住環境を壊すもので、特例許可を適用すべきでないとする申し入れを行ったにもかかわらず、京都市が特例許可に向けて1月25日に開いた公聴会でも「住宅地にホテル建設は認められない」、「文教地域であり通学路の安全は確保できない」との意見が出されていました。都市計画ルールを破壊し、市民の反対を無視してホテル建設を進めることは断じて認められません。市長が特例許可の適用を撤回されることを強く求めます、いかがかですか、お答えください。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【答弁→都市計画局長】 建築基準法によって、宿泊施設の立地が制限されている区域においても、周辺の良好な住居の環境を害するおそれがないこと等の一定の条件の下で、周辺の利害関係者に対する公聴会での意見の聴取や、建築審査会における審議・同意を経て、許可を受けることで、建築が可能となる。