西田氏に抗議,沖縄戦の歴史に真摯に向き合うことを求める決議(案)の討論,山田こうじ議員(右京区)
2025.06.06

日本共産党京都市会議員団は、維新・京都・国民議員団、改新京都、無所属議員2名と共同提案している「沖縄戦の歴史に真摯に向き合うことを求める決議(案)」に賛成し、自民党、公明党、無所属議員提案の「京都と沖縄の絆を次世代に伝え平和社会の実現を目指す決議(案)」に反対していますので、その理由を述べ討論します。
自民党の西田昌司参議院議員が、ひめゆりの塔の展示を巡り、「歴史の書き換え」や、「沖縄の場合には地上戦の解釈を含めて、かなりむちゃくちゃな教育のされ方をしている」「アメリカが入ってきて、沖縄は解放された。そういう文脈で書いてるじゃないですか。」と発言し、批判の声が広がっています。
西田氏は、「ひめゆりの塔」に言及したことを、「TPO(時、場所、場面)をわきまえるべきだった」と弁明しましたが、事実をゆがめる発言や、沖縄の歴史教育や平和教育を非難した根幹部分は謝罪も撤回もしていません。その後も、雑誌等で「これでは亡くなった方々は救われない。歴史を書き換えられると、こうしたことになってしまう」と繰り返し発言しています。
西田氏の発言は、沖縄戦の実相をゆがめ、戦没者や戦争体験者を冒涜し、沖縄県民の尊厳を踏みにじるものであり、歴史を修正しようとするものであります。沖縄県議会では、超党派で「西田昌司参議院議員による沖縄戦の実相をゆがめ、否定する発言に対する抗議決議」を採択されました。
太平洋戦争末期の沖縄戦は、本土決戦の時間稼ぎの「捨て石」とされ「持久戦」を強いられたため、住民を巻き込み、軍人も、武器をもたない住民も、混在したまま、日本国内で唯一の地上戦となりました。沖縄県民の4人に1人、を含む20万人が犠牲となりました。
「ひめゆり学徒隊」は、沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の教員・生徒たち240人が招集され。陸軍病院で負傷兵の看護にあたり、あわせて136人が命を落としました。
沖縄戦では、防衛招集として14歳から16歳の学徒も動員された「鉄血勤皇隊」は正規部隊に併合され、実際に戦闘に参加し多くの戦死者を出しました。
沖縄戦による日本の死者・行方不明者数はアメリカとその連合国軍の約9倍になり、日本の歴史の中でも類を見ない悲惨な戦いとなりました。
沖縄戦の激戦地となった嘉数の高台には、沖縄戦で命を落とした2530余の京都出身将兵の死を悼み、沖縄と京都を結ぶ絆として、蜷川虎三元京都府知事が、その碑文を書き建立した京都の塔があります。これは当時の野中広務京都府町村会会長が協力を惜しまなかったという歴史が語り継がれています。京都選出の政治家として、西田氏はこのような歴史こそ謙虚に学ぶべきです。
自民党、公明党提案の「京都と沖縄の絆を次世代に伝え平和社会の実現を目指す決議(案)」は、いま問われている西田発言には全く触れていません。西田氏の発言を容認しながら、沖縄の人々の筆舌に尽くしがたい艱難辛苦に寄り添うことができるのでしょうか。
いま求められているのは、京都市会として、戦没者や戦争体験者を冒涜し沖縄県民の尊厳を踏みにじる西田昌司参議院議員の発言に対して、満身の怒りをもって抗議すること、また、ひめゆり学徒や沖縄戦体験者の証言をゆがめ、否定する発言について、謝罪し、撤回するよう求めることであります。
以上、自民党、公明党提案の「京都と沖縄の絆を次世代に伝え平和社会の実現を目指す決議(案)」に反対し「沖縄戦の歴史に真摯に向き合うことを求める決議(案)」への賛同を求め討論とします。