小学校給食調理業務の民間委託化は見直しを,請願について討論,山本議員
2024.03.27
請願第37号~336号、小学校給食調理業務の民間委託の見直し、及び請願第337号、学校給食の外部委託に係る十分な説明等について不採択に反対の態度を表明しておりますので、議員団を代表し討論します。
まず、大原学院保護者からの請願337号には、保護者世帯の半数を超える247筆の賛同署名が添えられ、また、37号から336号まで全行政区から300名の個人請願が届いています。いずれの請願も、給食調理業務を直営から民間委託に変える理由や影響について、理解しがたいことによる疑問や不安から、説明会の開催を求められています。そして、「品質を下げないこと」「理解を得た上での実施」を求め、「理解が得られない来年度の実施の見送り」も明記されています。提出されたいずれの請願も、まったくもって妥当かつ当たり前の要望です。その当たり前の要望請願を採択して保護者の声を届けるのは当然の議会の責任であります。
そもそも学校給食は、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のため、栄養バランスのとれた 豊かな食事を提供することにより、健康の増進、体力の向上を図ることに加え、食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材とされ、学校給食法のもと教育の一環であるとされています。そして、給食調理員は調理を通じて栄養教諭と共に、当該校の児童に対応した食育を実践してきました。大原学院では、ニンジンの苦手な子ども達が食べたくなるようにウサギ型で型抜きした「ラッキーにんじん」を給食に入れてくれると評判です。調理を通じた食育の素晴らしい実践です。その実践をすすめてきた調理員が4月から突如来なくなっても良いのかということが提起されているのです。
請願審議の中では、教育委員会の理事者は、栄養教諭と給食調理員との共同した食育について、直営から民間委託になっても、「何も変わりません」と答えられました。しかし、具体的に栄養教諭が給食調理員に現場で指示することができるのかについて質すと、民間委託すると「偽装請負となりできない」と述べられました。「民間で何が悪いのかと」いうご意見もありましたが、偽装請負の観点から栄養教諭と給食調理員の共同の食育ができなくなることは、学校給食の食育にとって重大な後退ではありませんか。
今、学校給食は、有機農業や地産地消の推進とタイアップした地域ごと学校ごとの献立とするなど、豊かな給食へと進化する自治体に注目が集まっています。本来なら、大原地域も独自の食材調達や献立で充実を目指せる地域です。マニュアル業務が求められる民間委託で、独自性から遠ざかることになります。また地産地消の拡充にも逆行するものです。
最後に、雇用の問題についてです。現在、民間委託対象校について受託を受けた民間会社が、給食調理員を募集しており、賃金は18万5千円からと広告されています。一方、直営の給食調理員は最高額39万2900円の給与が保障されていますが、同様の処遇が民間委託でも保障されるのでしょうか。民間会社は営利を目的とする以上、同じ経費の中で人件費のコスト削減により利益をあげるしかありません。直営で給食調理員の処遇を保障し、公教育の役割を果たしてこそ、学校給食の質を守ることができます。
以上、教育の一環として、これまでと同様に豊かな学校給食を実施するために、保護者・市民の要望に応えていただきますよう、本請願の採択を求めて討論とします。ありがとうございました。