日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

インボイス制度の実施中止を,意見書について討論,河合議員

2023.10.30

 日本共産党議員団は「インボイス制度の実施中止を求める意見書(案)」に賛成の態度を表明していますので、私は議員団を代表し、その理由を述べ、討論します。

 岸田内閣は、長引く物価高騰で中小・小規模事業者の営業が大きな打撃を受け、倒産や廃業の危機にさらされている中、10月からインボイス制度を導入しました。

 これまで年間の課税売上高が1000万円以下であれば、消費税の納税は免除されていましたが、インボイス制度の登録事業者になれば、売上高にかかわらず納税義務が課せられます。しかし、売上げが1000万円以下の事業者の44%が、「消費税分を価格転嫁できていない」といわれているのが実情です。財務省の試算では、インボイス導入による国の税収増は約2,480億円、対象事業者はおよそ161万社といわれており、課税業者になった小規模事業者、フリーランスには単純計算すると1社あたり15万4000円もの新たな負担が増えます。「1か月分の売り上げが吹っ飛ぶ」と悲鳴が上がっています。インボイス制度は、まさに、税率引き上げを伴わない大増税です。

 また、発行する請求書の様式の変更やシステムの入替え・改修などインボイス制度に対応して新たな事務や経費まで生じます。さらにインボイス制度に登録しない消費税免税事業者にはインボイス(適格請求書)が発行できないため、課税業者との取引から排除されれば、廃業を余儀なくされます。

 本市の伝統産業やものづくり産業はいくつもの工程を経た分業が多く、それぞれの工程で新たな税負担等が生じてきますからこの影響は本当に深刻です。伝統産業産地を直撃する課税に危機感を強められた京都工芸産地協会は、インボイスの実施を延期すること、高齢小規模事業者を対象から除外することなどを求める要望書を5月に国税庁に提出されました。

 全国で「インボイス制度は実施するな」という署名が制度導入前の9月末には53万筆も寄せられるなど中小業者はもとより、国民の反対運動が一気に広がりました。しかし、この声に全く耳を貸さず実施を強行したのが岸田政権です。いま、物価高騰対策として、世界では107の国と地域が消費税・付加価値税を減税しているときに、中小零細事業者に2,480億円も増税する国でいいのでしょうか。

 「ストップ!インボイス」ネット署名は、政府が激変緩和措置を打ち出してからも、インボイスが導入されてからもどんどん広がり既に56万筆を超えています。議会から国へ「インボイス制度の延期・中止を求める意見書」は8月までで207自治体に及び、インボイス制度実施前後の9月市会で意見書を採択している自治体がさらに広がっています。こうした下でも、岸田首相は消費税の減税も、インボイス制度の中止も拒んでいます。

 まちの文化を育み、地域経済を支えている中小・小規模事業者が9割以上を占めている京都市で、この事業者が廃業に追い込まれるようなことになれば、京都市の経済の底が抜けてしまいます。伝統産業、中小業者のまち、京都市。本市会でこそ、インボイス制度を中止せよという議会の意思をしめそうではありませんか。

 先輩・同僚議員の皆さんのご賛同を心から呼びかけまして、私の討論としたします。ご清聴ありがとうございました。