敬老乗車証制度を元に戻せ,請願について討論,北山議員
2023.09.29
日本共産党議員団は請願第8号から17号「敬老乗車証制度の交付基準の見直し」10件につきまして、不採択に反対し採択すべしと求めていますので、党議員団を代表して討論いたします。
敬老乗車証制度の目的は、「長年にわたり社会に貢献してこられた高齢者に敬老の意を表するとともに、さまざまな社会活動に参加し、生きがいづくりや介護予防に役立てていただくため、高齢者の福祉の増進に寄与すること」であります。高齢者の「生きがい対策」として半世紀前に創設されました。高齢化社会が進む中で、敬老乗車証の価値は一層高まり、「市民の宝」と称されるまでになったのです。2021年秋の制度改悪が強行されて以来、「敬老乗車証制度の改悪に反対する」請願・陳情が本市議会には3千件以上寄せられており、市民生活にとって切実であることは明白です。昨年の10月には本人負担が2倍となり2万5千人の方が申請をあきらめざるを得ない状態に追い込まれました。今年10月の3倍になればもっと申請できない市民が増えることは必至です。年金生活者の実態を見ない京都市に怒りが広がっています。
ましてや、私たちの暮らしはどうか。ガソリン代や電気代・ガス代、食料品や日用品などが高騰し、年金はどんどん引き下げられ、働いても賃金は上がらず、社会保障は後退するばかりですから市民生活はひっ迫しており、こんな時に京都市が負担を3倍にするなど到底市民は受け入れることはできません。今回の10件の請願趣旨は、少なくともこの10月からの3倍化は中止してほしい、と求められている内容ですから、議会としても採択して市民の暮らしを守る役割を果たそうではありませんか。
同じ敬老乗車証制度が実施されている名古屋市では本人負担の最高は5千円、京都市の最低負担が9千円、最高は4万5千円ですから、今回の改悪はあまりにもひどいと言わざるを得ません。
最後に、敬老乗車証は、単に高齢者の福祉に寄与しているだけではなく、社会参加が促進される仕組みによって、投入した税額の10倍に上る直接・間接の経済効果があることが明らかになっています。福祉施策はもとより、社会経済活動にも波及する値打ちのある施策ではないでしょうか。この9月市会に、京都市は77億円の黒字決算を発表し、一昨年の102億円の実質黒字とあわせると、毎年500億円、5年で2800億円の財源不足とした行財政改革計画の前提は完全に失われている状況となっています。敬老乗車証制度があるから、財政が破綻するということはありえないことがますますはっきりしているわけです。よって敬老乗車証制度を元に戻すことを求め、今回の請願不採択に反対し、採択することを求めるものです。