日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

「京都市学校給食センター整備事業検討委員会」設置の条例に反対討論,えもと議員

2024.06.20

 日本共産党京都市会議員団は、議第77号 京都市執行機関の付属機関の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について反対しておりますので、その理由を述べて討論をします。

 この議案は、京都市が全員制中学校給食の実施に向け、PFI事業の受託者選定に関する諮問機関を設置するためのものです。京都市が先日アドバイザリー業務を委託した「アトラスワークス」は、PFI手法の導入効果を検証し、給食センター建設予定地の地質・測量調査、配膳室整備計画など実施方式や整備計画等を作成するとされています。今回設置されようとしている「京都市学校給食センター整備運営事業検討委員会」は、その実施方式や整備計画等に基づいたPFI事業の受託候補者からの提案を基に、受託者を選定するために必要な事項等について諮問する機関です。

 今まで公的部門が行ってきた公共施設の設計、建設、維持管理、運営等の業務を民間の資金を活用して行うPFI事業は様々な問題点が指摘されています。その一つは、大規模な事業になるため地元企業の参入が難しいという問題です。わが党議員団が求めた資料によると、PFI手法による給食センターの整備で市内企業の参入率は、神戸市25%、堺市37%、福岡市57%、大津市13%、川崎市17%でした。給食センターの規模が大きければ大きいほど地元企業は参入しにくくなるのではないでしょうか。

 また、給食事業というものは、安定した運営が重要です。しかし大規模な民間事業者は収益をあげるため、経費を削減するので必然的に現場では非正規雇用が拡大しています。さらにPFIのために設立された特定目的会社が経営破綻する事例や債務不履行が発生しているという問題もあります。

 それより、中学校や元小学校に給食室を設置した方が、建設工事を地元工務店が行い、食材を地元農家や商店から仕入れるなど独自献立も可能になり、学校の給食室を中心に地域経済が循環していくのではないでしょうか。

 今、給食センターの建設に伴い、予定地としている東吉祥院公園を廃止したのは違法として、南区の住民が提訴しています。同公園は広域避難場所に指定されており、給食センターが建設されれば広域避難場所の機能は喪失してしまいます。広域避難場所とは地震に伴う大火災等による二次災害の危険から生命の安全を確保できる場所で、京都市は、安全面積が概ね1ヘクタール以上の公園、グラウンド、河川敷などのオープンスペースを指定しています。

 京都市は、広域避難場所はほかに吉祥院グラウンドもある、大きな影響はないとのことですが、近隣住民からは「東吉祥院公園という広域避難場所が近所にあるから安心していたのに」「炎が迫っている中、遠くまで走れない」と不安の声があがっています。また、大規模給食センターは食中毒が発生したときの被害が甚大、学校への配送は間に合うのか、何十校ものアレルギー対応は困難、配送車のドライバー不足、地域の住環境の悪化などリスクが大きすぎます。

 学校という公の施設で安心して栄養バランスの整った給食を食べることは、子どもの権利です。私たちは子どもの食の権利を保障しなければなりません。可能な限り学校に給食施設を設置し、中学生にも小学校と同じように授業中に調理のおいしい匂いがしてくる、温かい出来立ての給食を提供すべきではないでしょうか。また、学校の給食施設は災害時の炊き出しに活用することもできます。栄養教諭の配置もより充実できます。

 わが党議員団は、学校調理での中学校給食の実施、大規模給食センターの見直しを求めています。学校給食施設は公の施設として子どもの権利保障や住民自治に関わるものであって、京都市が責任をもって設置をし、公正に管理運営すべきです。よって、特定目的会社を選定するための諮問機関である「京都市学校給食センター整備事業検討委員会」の設置をする必要はないと申し述べ反対討論とします。