市営住宅の家賃減免制度を元に戻せ,請願について討論,西野議員
2024.06.20
日本共産党京都市会議員団は、「市営住宅の家賃減免制度の見直し」を求める請願について、採択すべきという立場を表明しておりますので、その立場から討論をいたします。
家賃の減免制度の見直し前は、所得税法を準拠して判定され、減額率は80%、60%、40%、20%の減額が行われてきたものを、生活保護基準の最低生活費の算出方法をもとにした手法に変更され、さらに減額率も70%、50%、30%、10%と低く変更されました。京都市は、見直しの結果が急激な負担増をもたらすことを自覚し、最大5年間の激変緩和措置が設定されました。しかし、その結果は、8割減免がなくなる世帯が出ることや、4億5千万円もの市民負担増が発生することも明らかになっています。これを受けて、市営住宅の家賃減免制度の見直しが行われた2022年にも請願が出されています。その時にも住民の悲痛な声が議会に届けられました。しかし、「行財政改革」のもと、見直しの検討さえ行われていません。異常な物価高騰に苦しむ住民から、再度、請願が出されました。
市営住宅は世帯の収入によって家賃が低く決定されています。そして、最も低い収入区分の家賃の世帯であっても、特に収入が低く、支払いが困難な世帯には、家賃減免制度を設けて京都市が支援をしてきました。ところが、市民の暮らしの現状を考慮せず、2009年の住宅審議会の答申で、「社会的困窮度の減額率への反映、応益性を取り入れた最低家賃額、生活保護基準を参考とした収入認定等の見直しが必要」として、早急に制度の見直しが必要との指摘を受けたとして、「行財政改革計画」を推進する立場から、減免制度の見直しが行われたものです。しかし、審議会答申には「見直しに当たっては,市民の理解を十分に得るべきことが特に重要である」とも指摘されていることは重要です。異常な物価高騰を反映するどころか、政府が生活保護基準の引き下げを行ってきた結果、暮らしていけないと、全国各地で生存権裁判が行われ、保護費を引き下げた厚労相の判断は「裁量権の逸脱や乱用があると言わざるを得ない」として違法との判断が続いています。生活保護基準では、市民の暮らしの基準を引き下げることにつながっているのです。
これまでの所得税法に準拠して算定していたものを、生活保護基準をもとにした手法に変更した結果、8割減額が適用されて4800円に下げられていた世帯が、5年間で2万4000円になり、減額対象から外れる世帯が出ます。特に影響が出るのは年金生活者です。私のところにも、物価高騰に加えて、夫が入退院を繰り返す事態になり、医療費の支出がかなり多くなった結果、生活が困難になった、そのため家賃の減免を申請したという方から「見直し前は減免され、助かったが、今度は対象外と言われ、途方に暮れている。家賃滞納はしたくないしどうすればいいのか」との声が寄せられました。家賃を滞納すれば退去が求められます。この方は「行財政改革」の犠牲者と言えるのではないでしょうか。市営住宅は居住権を守る最後のセーフティネットです。だからこそ、世帯収入で算定された家賃であっても、生活実態に応じての減額が行われてきたのではないでしょうか。「行財政改革」の結果、家賃滞納の可能性が出てくるのです。5年間の激変緩和期間が終われば、「生活保護の申請を」との指導がされていると聞きますが、生活保護の申請にはハードルがいくつもあります。京都市の制度変更で生活保護申請を増やすことになるのは、本末転倒ではないでしょうか。「行財政改革計画」を撤回し、市民生活を支援する立場に立ちきり、改悪された市営住宅の家賃減免制度の見直しを元に戻すことを求める請願に、同僚議員の皆さんの賛同を求めまして、私の討論といたします。