インボイス制度の実施延期を,意見書について討論,山本議員
2023.05.29
日本共産党市会議員団は「インボイス制度の実施延期を求める意見書案」に賛成しておりますので、議員団を代表し理由をのべ討論します。
岸田政権が消費税のインボイス制度の導入を予定する10月1日まで、4カ月となりました。インボイス制度で負担を強いられるフリーランスなどから「廃業を考えざるをえない」との悲鳴とともに、導入の延期や中止を求める声が大きくなっています。
インボイス制度の導入で、政府は約2480億円の税収増になるとしています。インボイスに登録して新たに消費税を課税される事業者が増えると見込んでおり、「税率を変えない消費税増税」と言わなければなりません。急激な物価高騰に直面し、経営が窮地に追い込まれているもとで、インボイス制度の導入は、1ヶ月分の収入に相当する増税となり、事業者を廃業・倒産に追いやるものです。
消費税法第5条には、納税義務者は事業者であるとあり、第28条には消費税の課税標準は課税資産の譲渡等の対価の額とすると書かれているだけです。このことは、消費税が、「預かり金」ではなく、単に取引価格の一定割合であることを示しています。この消費税の仕組みが、そもそも取引関係において弱い立場の零細事業者が常に値下げ圧力にさらされ、正当に消費税分を転嫁できない問題を生んでいるのです。
一昨年、「ストップインボイス」の取組で声を上げたのが、声優・俳優・アニメ・マンガ・劇団員のエンタメ4団体です。どの業界でも半数以上が年収300万円以下、2割の人が廃業を検討している実態を明らかにしました。また、山田こうじ議員が代表質問で述べたように伝統産業従事者の多くも消費税免税業者であり、インボイスの実施で廃業が増えれば、京都の伝統産業の底が抜けることは火をみるより、明らかです。
日本商工会議所をはじめ、多くの関係者の声を受けて、政府は、3月末としていた事業者の登録申請期限を9月30日まで事実上延長する措置をとりました。しかし、それで制度の抱える問題を取り除くものではありません。インボイス制度はきっぱり中止すべきです。京都市議会として文化庁が移転したことを重く受け止めるのであれば、文化芸術の担い手を廃業においやるインボイス制度を少なくとも実施延期するよう声を上げようではありませんか。
さらには、京都市が減収要件なしの初の給付金制度として打ち出した「京都市中小企業等物価高騰対策支援金」、そして今議会、増額補正の追加支援で中小・小規模事業者を支援しようとしている今、事業者を廃業・倒産に追い込むインボイス制度の実施は延期するよう、今こそ国に声をあげるべきです。
以上、同僚議員の皆様の賛同を求め討論とします。