日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

インボイス制度の実施延期を,請願について討論,山田議員

2023.07.04

 日本共産党京都市会議員団は「インボイス制度の実施延期の要請」の請願について採択するべきとの立場を表明しています。私は議員団を代表し、その理由を述べ討論します。

 コロナ禍に加え物価高騰が営業を圧迫しています。政府はインボイス制度の実施により現在の免税事業者161万社が新たに課税事業者になり、2480億円の増税になるとしています。1社平均154千円の新たな税負担を強いることとなります。物価高倒産が前年の3.4倍に上っている今インボイスの実施は、零細事業者にとっては死活問題であり、廃業せざるを得ない事業者が多数発生し地域経済にとって大打撃です。

 インボイスは税率変更を伴わない増税であり、食材、生活用品、電気代など物価上昇を招き、一層の消費不況となり、事業者のみならず、全国民に影響する切実な問題です。

 5月29日付全国商工新聞には、日本で最も愛されている絵本「いない いない ばあ」をはじめ、紙芝居など出版している「童心社」の社長さんが登場されています。

 取引先の8割が免税事業者と推察され、「一緒に仕事をしている作家さんやデザイナーさんの顔がちらつくわけですよ。すると『消費税お願いします』『だめなら原稿料から引きます』とはとても言えない。その人の作品や原稿、デザインが欲しくて仕事をお願いしているので、『登録事業者』で代わりを探せばいいという話ではないわけですよ」と仰っています。

 また「出版業界では著者や制作に携わるフリーランス等が免税事業者であっても『インボイス』の発行をお願いせざるを得なくなり、出版に携わる人々の関係を悪化させたり、免税事業者である人々を取引から排除されたりすることが起こりかねず、出版活動に支障をきたす懸念が大きい」と強調したうえで「インボイス制度の導入に対しては反対であることを表明いたします」「免税事業者の方に『番号登録』をお願いすることは致しません。その場合も従来通りのお取引条件の継続を基本とさせていただきます」と取引先500社に文書を送付されたそうです。 

 「作家さん、フリーランスが主な取引先である出版社は大変なことになる。大切に育んできた絵本や紙芝居つくりの未来を閉ざさないでほしい」とも仰っています。

 その結果、童心社の消費税負担は数千万円になるということです。

 様々な、立場の違う各種団体から、インボイス実施中止や延期を要請されています。 

 また、適正な課税を行う上でインボイスが必要だとされていますが、煩雑な実務が求められます。そのためインボイス導入で新たに課税事業者となり申告する場合も、インボイスを使い実額計算で消費税申告するのではなく、みな仕入れ率を使った簡易課税を選択すると答えた方も多いのが実態です。 

 零細事業者にとってはインボイス発行の意味がありません。

 インボイスの実施が迫るなか、インボイスを登録した事業者のインボイスの取り下げが増加しています。昨年5月以降取り下げ・失効件数は4月末時点で4,735件にも上ります。昨年5月取り下げ・失効件数は170件だったのが11月には500件を超え、2月3月には800件に迫る勢いとなっています。「制度の中身が知られるにつれ、『インボイスは嫌だ』と取り下げ件数が増えています。

 全国商工団体連合会の調査では、3月末時点で全国35都道府県176自治体で「インボイス中止・延期を求める意見書」が採択されています。採択された自治体の20%が全会一致です。

 本市会でも、本請願を採択すべきであることを申し述べ、 討論といたします。