日本共産党 京都市会議員団

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【声明】11月市会を終えて を発表

 本日、党議員団は11月市会の評価などについて、「【声明】11月市会を終えて」を発表しました。その本文は、下記の通りです。

日本共産党京都市会議員団
団長 西野さち子

一、はじめに
 11月市会は、17日間の日程を終えて12月11日に終了しました。党議員団は本市会に世界遺産保護条例案を提案しました。また、「2026年度京都市予算編成に対する要求書」、「暮らし支える緊急対策を求める申し入れ」を行いました。

一、党議員団提出議案について
 党議員団は2月13日に世界遺産保護条例の骨子案を発表。シンポジウムや説明会を開催し、市民・研究者・遺産所有者の方々などからご意見をいただき検討を重ねてきました。9月19日には条例案を発表し、11月25日の本会議で提案説明を行い、12月3日、文教はぐくみ委員会で審査されました。
 現在、国内の26の世界遺産のうち、半数の13の世界遺産において、各自治体が独自に世界遺産保護に関連した33もの条例を制定しています。党議員団は、提案に際して、条例前文で世界遺産を守ることが「人の心の中に平和の砦を築くことになる」とうたっており、「条例には人類普遍の理想に資する意義がある」と強調しました。また、条例案の特徴として、世界遺産の保全に対する市の責務を明確にすること、議会の関与や市民参加を保障し、保存・管理の状況が適切でない場合、市民が市長に意見の申し立てを行うことができる制度等による市民参加により、世界遺産の顕著な普遍的価値をゆるぎないものとしていくと説明しました。他党議員のみなさんからは「議員団で勉強会をし、議論をつくした」(自民党)、「時間と労力をかけての条例提案に心より敬意を表する」(維・京・国)などの受け止めとともに、積極的な質問が出され、ひとつひとつ丁寧に党議員が答えました。
 党議員団は最終本会議で討論に立ち、本条例が京都基本構想の具体化の上で重要な柱となること、世界遺産保護における地域コミュニティの参画を制度的に保障する条例が「京都ビジョン」(2012年世界遺産条約40周年記念会合において採択された提案)で示された方向に沿うものであること、「歴史的環境調整区域」を含む周辺環境の保全の重要性は国の文化審議会答申の具体化であること、本市の体制整備・必要な財政措置・専門職員の育成の規定も国の文化審議会答申の提起にこたえ世界遺産所有法人のみなさんの後押しとなることを強調。国の景観法制定時の付帯決議における京都の景観問題の国全体における重要な位置づけを述べました。
 無所属・井﨑議員が賛成、その他の会派・議員の反対で否決となりましたが、一連の過程の中で、11月には京都市が「古都京都の文化財を守るために」と題した新しいリーフレット5000部を発行。寺社城に加え、今後、順次、区役所等への配架が行われます。今回の提案は、京都市の世界遺産保護行政にインパクトを与え、市民・専門家・行政等の知恵と力を結集し京都の歴史と個性を守り抜くための新たな一歩となりました。党議員団は世界遺産保護、京都の価値を守り引き継ぐために、引き続き頑張ります。

一、市長提出議案について
 市長からは計84件の議案が提出されました。党議員団は、京都基本構想や産業技術研究所第4期中期目標の策定等75件について賛成し、市長等特別職・議員報酬の期末手当引上げ、ウィングス京都の面積を大幅に縮小する条例など9件について反対しました。

〈基本構想〉
 今後25年間の京都市のまちづくりの基本となる「京都の価値や強み」「目指す未来の姿」を示す京都基本構想を全会一致で可決しました。党議員団は、本基本構想が市民的議論において作成されたものであり、京都の価値として、第一に歴史と伝統を引き継ぐ、第二に自然との共生、第三に平和の実現を掲げたこと、この25年間について示された課題認識と今後の方向性について一定評価し、賛成しました。
 また、特別委員会の審議や市長総括質疑の質問・本会議討論において、①京都の価値を損なうかもしれない重大事態にあって、景観を徹底して保全していくこと、②行政機能を強化し、瀬戸際を生きている市民の生活支援、ものづくり・伝統産業・商店など中小企業の生業を守り発展させる道筋を明確に示すこと、③今後の世界的潮流について、気候危機、世界の力学構造の変化、ケアの可視化とジェンダー平等、LGBTQの方々や外国人の方々の人権など、重視して進めるべきことの必要性を強調しました。基本構想の審議会や京都市未来共創チーム会議の議事録を、基本構想を補完する資料として明示する事を求めました。党議員団は、今後示される新京都戦略の改定や分野別計画で、具体的行政において、くらし応援のため、市政転換に向けて、徹底した議論を行うものです。

〈条例議案〉
 党議員団は職員・教職員等の期末手当引上げについては、人事委員会勧告に基づき、物価高騰下、賃金の引き上げは急務であることから、賛成しました。
 また、市長・副市長等特別職と議員報酬の期末手当引上げについて、議員報酬は多くの市民が物価高のもと市民の暮らしのための予算とすべきであり見送るべきことから、また、市長・副市長等についても市民サービスの削減は継続されており、市の政策判断に責任を負う下で妥当でないことから、引き上げに反対しました。無所属※5が双方とも反対。維・京・国、改新、無所属※2は議員報酬については反対し、市長・副市長等については賛成しました。
 ウィングス京都の面積大幅縮小について、反対討論で、令和6年度男女共同参画市民意識調査の各分野での平等感調査で、女性は学校教育以外のすべての分野(職場、家庭生活、地域活動、社会の慣習やしきたり、法律や制度、政治への参加)で男性の方が優遇されていると答えており、京都市においても男女平等が進んでいるとは言えない状況にあることを指摘。重要なのは、行政の役割であり、その拠点であるウィングス京都・男女共同参画センターは、機能強化こそ必要であることを述べました。

一、代表質問について
 物価高騰対策として消費税減税を国に求め、市独自の中小事業者賃上げ支援、伝統産業・西陣織織機のメンテナンスへの支援を求めました。医療機関への市独自の補助、医療従事者の処遇改善、OTC類似薬の保険外しはやめるよう国に求めるべきことを述べ、介護現場で働く労働者の賃上げ支援と空床確保の補助を求めました。
 オーバーツーリズム対策、宿泊施設の立地規制を要求。9月市会に続き「規制強化に向けて検討を進めていく」と答弁があり、簡易宿所の立地規制について旅館業法の趣旨に反しないことを国と確認したと説明がありました。
 京都市として、はっきり北陸新幹線延伸計画に反対を表明し、中止を求めるべきとして、北陸新幹線延伸計画中止とサンダーバード充実を求めました。
 正規職員増による教職員の働き方改革を求め、「来年度は平成以降最大となる482名を新規採用する」との答弁がありました。京都駅周辺での富裕化現象・ジェントリフィケーションを指摘。市が行う施策の影響で住民が不本意に追い出されるようなことがあってはならないと質し、市長が「効果も期待できるが、特定の地域の状況が急激に変化するなど軌道修正が必要な場合も想定される。引き続き現状を注視していかなければならない」と答弁しました。市営住宅建設、都市計画の規制緩和中止を求めました。また、東吉祥院公園の廃止撤回、西大路駅南側改札のバリアフリー化、循環バスの創設と市バスの乗り継ぎ無料の実現を求めました。

一、 議員提出議案について
〈意見書・決議について〉
(※1天方議員、※2井﨑議員、※3きくち議員、※4繁議員、※5菅谷議員、※6平田議員)
 「危機的状況にある自治体病院の存続に向けた財政支援を求める意見書」等6件を全会一致で採択しました。
 党議員団・公明党・無所属※2が提案した「今後も非核三原則を堅持することを求める意見書」は、無所属※5※6が賛成しましたが、他会派議員が反対し否決されました。先般、首相官邸の高官が「(日本は)核(兵器)を持つべきだ」と発言しましたが、首相は、高官を罷免し、非核三原則を国是として堅持することを表明するべきです。被爆80年の今年、被爆者や世界の多くの国々、核兵器廃絶を求め運動してきた人たちの願いにこたえることが必要であり、各会派議員の立場が問われています。
 党議員団、維・京・国、改新、無所属※2が提案した「人種差別に反対する声明を発出することを求める決議」は無所属※5が賛成しましたが、自民・公明・無所属※3※4※6が反対。採決の前夜まで賛成を表明していた無所属※6(立憲民主党)が反対したため、1票差で否決されました。決議は「多文化共生アクション京都」のみなさんが提出された「京都市として人種差別に反対する声明を発出することを求める」陳情と同趣旨のものです。若いみなさんが主権者として行動されたことで、京都市会の約半数が「ヘイトスピーチ・ヘイトクライムは許されない」「首長や行政が人種差別は許されないと表明することが互いの文化の違いを理解するうえで大変重要だ」と考えていることが示されました。
 党議員団が提案した「生活保護基準引き下げ訴訟の最高裁判所判決にのっとった対応を求める意見書」は無所属※2が賛成しましたが、他会派・議員が反対し否決されました。討論に立ち、最高裁判決を受けてもなお新たな減額改定を行うことは、法律で禁じられている「紛争の蒸し返し」に当たり、許すことはできないこと、生活保護法が定める「無差別平等の原理」に反するものであり、生活保護利用者全員に差額全額を補償するべきことを述べました。
 党議員団が提案した「OTC類似薬の保険適用除外等を行わないことを求める意見書」は無所属※2が賛成しましたが、否決されました。医療費抑制政策を前提にする内容であることから党議員団が反対した「持続可能な社会保険制度の構築を求める意見書」(自民、公明、無所属※1※3※4提案、党議員団反対)は賛成多数で可決。党議員団は討論に立ち、自民・公明等の意見書が「医療費の適正化は必要である」としていることは、OTC類似薬の保険適用除外を進める立場と言わざるを得ず、治療に薬を必要とする人々への負担を重くし、適切な医療や治療から遠ざけることはあってはならないと述べました。
 維・京・国、改新、無所属※5が提案した「『物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金』の効果的・効率的な執行を求める決議」は、党議員団、無所属※2※6が賛成し可決しました。

〈海外行政調査、都市間交流について〉
 コロナ禍で中断され、改選以降では初めての実施となる海外行政調査(ビジネスクラス利用)について、党議員団は反対しましたが、党議員団以外の会派・議員の賛成で決定されました。一方、議会友好交流協定を締結している台南市への議員の派遣(エコノミークラス利用)については、無所属※5以外の賛成で決定しました。
 党議員団は、台南市への議員の派遣は、都市間における相互交流を行うものであり、台南市議会からは2018年・2019年と2度にわたり計28人の議員が来訪されていること、陶藝台日交流展が開かれる文化交流であることをふまえて賛成、参加しました。また、党議員団は、海外行政調査に反対する討論に立ち、再生可能エネルギーの飛躍的活用や脱炭素化について、国内事例に学ぶべきものがあること、厳しい市民生活と京都経済の状況の下で、1議員あたり約100万円、全体で約1400万円の公金を新たに投じるものであり、市民理解は得られず、見送るべきと述べました。無所属※5は海外行政調査に賛成しました。

一、請願・陳情
 陳情については「人種差別に反対する声明の発出等」「住宅扶助基準額の引き上げ等の要請」「第三者委員会(いじめ問題調査委員会)の中立性確保及び第一・第二事案の合同調査の実施」「小規模保育事業における3歳以上児の受け入れ等、3から5歳児の受け入れ申請体制の整備」が提出され、党議員団は委員会審議で願い実現に奮闘しました。

一、 最後に
 補正予算が計上されるため12月特別市会が始まります。党議員団は、先の申し入れの立場で徹底論戦します。府知事選挙の日程が決定しました。大軍拡で暮らしを押しつぶす国の政治の防波堤となる府政への転換に力をつくします。