森田ゆみ子議員(南区)代表質問,北陸新幹線,京都駅周辺,公園
〈代表質問の大要を紹介します〉
南区選出の森田ゆみ子です。日本共産党を代表して市政一般について市長に質問します。
1.北陸新幹線延伸計画中止とサンダーバード充実を
まず北陸新幹線延伸計画について伺います。
10月22日、石川県選出の自民党国会議員による自主研究会は、独自に費用便益を延伸ルート別に再試算した結果、小浜・京都ルート案は投資に見合う基準を大きく下回り、桂川案では基準の「1」に対して0.522、京都駅南北案は0.551と示されました。着工条件は明らかに満たされていません。米原ルートは滋賀県知事が「知事として求めていないし、お願いもしていない」と表明しており米原市長も否定的です。米原ルートを推進していた日本維新の会の衆議院議員も「JR東海の理解を得られない」との見解を示し、どのルートも混迷しています。
市長は未だに「日本海国土軸の一部を形成する重要な国家プロジェクト」や「国策としての意義は十分認識している」と述べられますが、与党プロジェクトチームの枠組みが変わった今こそ、京都市として、はっきり北陸新幹線延伸計画に反対を表明し、中止を求めるべきと思いますが、いかがですか。
コロナ後、オンラインでの会議や商談が増加しており一刻も早く移動するという需要が減っています。敦賀以南は景色も何も見えないトンネル内の移動が多くなる計画で観光客が移動手段として果たして選択するのでしょうか。少子化で人口が減少しているときに多額の税金の負担を後世に残してまで進める価値があるのか極めて疑問です。
延伸を中止しサンダーバードをより安全に走行できるように線路を再整備して金沢方面につなぐことの方が一番早くて今も未来の国民にも利があると思いますが、いかがですか。
【答弁→総合企画局長】 北陸新幹線は日本海国土軸の一部を形成する重要な国家プロジェクトであり、その意義は十二分に認識しているが、本市としては地下水への影響等の5つの懸念・課題について、市民の体感的な理解・納得が不可欠と考える。現在、ルートの再検証の方法等について調整が進められており、国の動向を注視している。サンダーバードについてはJR西日本において市民の思いを十分に受け止めていただきたいと考える。
2.正規職員の増で教職員の働き方改革を
次に教職員の働き方について伺います。
学校現場の人手不足が深刻です。校内暴力発生件数はコロナ前のR元年の本市、市立小中学校合わせて888件に比べR6年度は1469件と、1.65倍に増え、不登校も毎年過去最大を更新しています。深刻ないじめが増え、身近に多くの相談を受けていますが、対応に追われる教員は過労死寸前の勤務時間です。このままでは教員のやりがいや子どもたちとの信頼関係を築くことができません。給特法を見直し、行政としても真剣に取り組むべきです。病休・産休で欠員が生じた場合、長期にわたり未補充となっています。正規教員を増やし、教師一人当たりの授業時間を減らし、余裕と自信をもって働けるようにするべきと思いますが、いかがですか。
【答弁→教育長】 全国的に教員不足が課題となる中、本市では病休等による欠員に備え予め講師を配置する加配制度を昨年度から創設し、未補充の状況は欠員が最も多かった一昨年から約7割減少するなど大幅に改善。来年度は平成以降最大となる482名を新規採用する。この間、小学校の専科教育や小学校低学年と中学3年生の少人数教育の実施、校務支援員の全校配置、総合育成支援員、部活動指導員の配置拡大など、国の補助金や市独自予算を活用しながら人員体制強化に努めている。今後も引き続き、国に定数改善を要望し、子どもたちにとって最大の教育環境といえる教員が働きやすく、働き甲斐をもって教育に専念できる環境づくりに努める。
3.市営住宅新設など住民が住み続けられる京都駅周辺のまちづくりを
(1)京都駅周辺でも住み続けられるまちづくりを
9月議会の市長総括質疑で複数の議員から南区のジェントリフィケーションについて懸念する発言がありました。ジェントリフィケーションとは「都市の富裕化現象」です。
南区の東九条地域を拠点とする住民やアーティストたちが組織する、「東九条まちづくり連絡会」の方々が市長あてに「市民提言」を提出されました。また、報告会では「世界の様々な都市で、ジェントリフィケーションを抑止し、安心して暮らせる政策が実施されている。住宅を人権問題ととらえ、住民の中でも脆弱な人々の利益を最優先しなければならない。市場放任主義では、資金力の有る集団や支払い能力の高い個人ほど土地を取得し、高額での土地売買は周囲の土地に影響を与え、末には投機的開発が広がる危険がある」と指摘されています。これは、まさに京都駅周辺のことではありませんか。市民からの提言書は「宅地を売買する不動産業者の営業活動が目立ち、今のままでは高い賃料を払えるものが移り住み、住民層が一変するのではと危惧している」と訴えられています。
これに対し市長は「ジェントリフィケーションという、その地域を総とっかえするようなことは、私は京都らしくないと思っている」と回答されています。
京都駅周辺のまちづくりについて、市が行う施策の影響で住民が不本意に追い出されるようなことがあってはならないと考えますが、いかがですか。
【答弁→市長】 京都駅周辺では、西部、東部、東南部の3つの将来活性化構想に基づき、地域、事業者、行政が一体となって活性化に取り組んでいる。とりわけ南区の東南部エリアでは文化芸術の力で若者をはじめ新たな人を呼び込み、混ざり合うことで活性化を図り、その効果を周辺に波及させ、京都全体の発展につなげていく取り組みを進めている。本年10月にはチームラボバイオヴォルテックス京都が開業し、新たなにぎわいや活気が生まれつつあるが、町内会に加入いただき共生を重視している。一方で、街の発展が地価や家賃の高騰の上昇につながることも想定される。一般的に地域活性化による地価の上昇は市民生活の質の向上にもつながる効果も期待できるが、特定の地域の状況が急激に変化するなど軌道修正が必要な場合も想定される。引き続き現状を注視していかなければならない。多くの方に京都に住み続けていただくためには全市的な視点での対応が必要であり、引き続き多様な取り組みを総合的に推進していく。
(2)京都駅周辺の公共空間にこそ住民のための市営住宅建設を
京都市は岩本市営住宅について今後の活用はまだ未定なのに廃止しました。耐用年数70年で、まだ42年しかたっておらず最近まで40世帯が問題なく暮らしておられました。
近隣の住民がおっしゃるには「八条通を挟んだ北側に、岩本市営住宅住民も含めた地域の切望であるスーパーマーケットができると思っていた矢先に、市営住宅がなくなったらスーパーは採算が取れず撤退するのでは」と危惧をされています。
また、南区上鳥羽にお住いの方は、「年金がひと月あたり10万円しかなく家賃が6万円なので4万円で生活している。市営住宅に住みたいと京都市に相談するが、紹介された地域には無料定額診療制度のある病院がないので、家賃が安くなっても医療費や交通費が増えると元も子もない。引き続き南区に住みたい」とおっしゃっていました。
京都駅周辺には岩本市営住宅跡地をはじめ、公共の空き地がたくさんあります。
このような場所にこそ市営住宅を新設するべきです。京都駅周辺こそ住民が望む市営住宅の条件ではないかと思いますがいかがですか。京都市は市営住宅を廃止する一方で、住民のためでなく開発一辺倒になっているのではないでしょうか。
【答弁→都市計画局長】 所得が少ない方等のためのセーフティネットとしての市営住宅は公募をしても応募がない、あるいは応募が極めて少ない団地がある実態を踏まえ、供給量は全体として充足している。新たに建設することは考えていない。指摘の岩本市営住宅用地をはじめ団地の用途廃止や団地再生事業等で生み出された用地は市民全体の貴重な財産であり、民間活力の導入も視野に、地域の活性化や働く場の創出など本市全体の活性化、持続可能なまちづくりに活用する。
(3)京都駅周辺におけるさらなる都市計画の規制緩和はやめよ
京都市はこの間、京都駅周辺で緊急整備地域を拡大して、さらに都市再生特別地区を定めようとしており、現在、京都中央郵便局の建て替えで、高さ60mへの規制緩和が議論されています。京都市は、オフィスが不足しているといいますが、京都駅南部はすでにサウスベクトルによる規制緩和の影響でアバンティにも閉鎖している店舗もあります。京都駅周辺にオフィスが増えても、住民にとっては、家賃や地価高騰などで住みにくくなり住民が増えるわけではありません。新景観政策で100年後の未来を見据え、京都らしい町並みを後世に残すために2007年の議会で全会一致の確認されたばかりです。京都駅北側は31m以下に建物が並ぶ街並みを目指し、たゆまず努力してきました。
オーバーツーリズムの問題、地価高騰の問題を考えても、これ以上京都駅周辺に高さ規制を緩和してまでホテルが必要なのでしょうか。市長は都市再生特別地区を指定すべきではないと思いますが、いかがですか。
【答弁→まちづくり政策監】 京都中央郵便局の建て替えは、事業者から都市再生特別地区の活用の意思が示されているものの現時点で都市計画の提案は行われておらず、その妥当性が判断できる段階ではない。都市再生特別地区の指定に当たっては、ホテルかどうかではなく、オフィスや商業施設等の都市機能の集積や交通結節点機能の強化等の公共貢献、街並み景観への配慮など、地域の将来像の実現に寄与する良質な計画であるかどうかが重要な観点。今後、都市計画が提案されればこの観点から必要な判断を行う。
4.住民の声を活かした南区役所建て替えを
次に南区の区役所建て替えについて質問します。
今年の3月20日に行われた、南区総合庁舎再整備に向けた、区民対話集会に参加して、どんな区役所になってほしいのか、交わされた意見をお聞きしました。区役所で待っている間の過ごし方や、区役所を通して、ボランティアや趣味の教室、アート作品の展示などが資料で示され、それにそった意見が多くみられました。気軽に利用できる身近な区役所が望まれます。南区役所の4階以上はUR住宅になっていて、今でも多くの方が住まわれています。空き部屋も多く、短期間に立ち退きを入居の条件として住んでいる方も少なからずおられました。URの住民は再開発後もこの場所で住みたいとおっしゃっていました。
行政区が変われば利用できる介護施設が変わってしまうため、仮移転でも南区内で用意してほしいなどの意見も聞いています。ヘルスピアは廃止になりましたが、公的な健康管理体制がある、民間にはまねができないかけがえのない施設でした。
区役所の建物に比べ、まだ比較的新しいヘルスピア内にも区役所業務が続いています。
新しい南区の総合庁舎には住民の声をしっかり聞いてヘルスピアの機能や、区民ホール、会議室など設けるべきと思いますが、いかがですか。
【答弁→文化市民局長】 昨年度は区民対話集会や区民アンケートで様々な提案を受けた。今年度は南区内の3つの高校や南青少年活動センターと連携してワークショップを実施し、自習スペースや高齢者の豊かな経験を次世代につなぐための多世代交流の場づくりなどの提案をうかがっている。区庁舎整備については区民の声を丁寧に聞きながら必要な機能について検討を進め、皆様に親しまれ、気軽に集い、つながり、混ざり合うことができる庁舎をめざす。
5.スポーツ公園が必要、東吉祥院公園の廃止撤回を
次に巨大給食工場建設予定地とされている、東吉祥院公園について質問します。
私は市会議員になる前から、中学校でも温かくておいしい全員制の給食をと訴えてきました。それに対し京都市は「愛情弁当を作ってあげたい保護者の要望がある」と全員制に否定的でした。一方、京都市の東山泉小中学校以外の小中一貫校では自校方式で給食が提供されており子どもたちにも好評です。この度、9月議会で給食センターの整備運営事業、実施契約の締結が可決されましたが、全員制の中学校給食は、できるところから学校調理方式でスタートさせるべきです。
問題山積みの巨大給食工場建設のために、東吉祥院公園という近隣住民の広域避難所と、スポーツ公園としての市民の財産を取り上げてはならないと思います。
国が定めた市民一人当たりの公園面積は10㎡ですが、京都市は5.21㎡しかありません。東吉祥院公園はもともと市民のための運動公園だった所を教育委員会が臨時的に借りていたものです。教育委員会の管轄になり、学校の跡地として1時間1万7千円に今は設定されています。他都市では運動公園と定義されている公園でも予約が入っていないときは一般に開放されていて、住民が自由に使うことができるようになっていますが、京都市の運動公園は通常施錠されていて「有料利用者の公平性をはかる」と一般市民の利用を禁止しています。一方で、京都市はスポーツ関係者の方から「利用料を安くしてほしい」との要望に対しては「あまねく市民からお預かりしている税金で管理している公園に、一部のスポーツ関係者だけを優遇できない」と言われます。市長は市民がお金の心配なく自由に体を動かしたりスポーツに専念できるために応援する気持ちはないのでしょうか。
南区のスポーツ公園はなかなか予約が取れず、ほかのグラウンドも取り合いになっています。スポーツ関係者の方から伺うと「それぞれのグラウンドをどれだけのチームがホームグラウンドとして利用しているのか京都市は把握しているのか」と、いう意見や「他都市のグラウンドもなかなか予約が取れないが、苦労してとれたとしても、少年チームは保護者が代わる代わる送迎を負担している」、また「サッカーのシニアチームも増え、高齢になれば体力差が出るので年齢で分けたシニアチームも増えている。市民がスポーツする場所として残してほしい」などと話されています。
1万㎡もある市民の財産、東吉祥院公園を市民から奪うべきではありません。廃止は撤回すべきです。子どもから高齢者まで生き生きとスポーツできるグラウンドを増やすべきです。若者が市内に住んでもらうためにもスポーツ公園が必要だと思いますが、いかがですか。
【答弁→文化市民局長】 元東吉祥院公園は昭和38年以降約60年間、塔南高校のグラウンドとして使用され、同校の移転後は喫緊の課題である全員制中学校給食のための給食センターの整備が進められている。グラウンド等の屋外スポーツのできる公園は元東吉祥院公園を開設した昭和35年以降9カ所から22カ所と充実している。広域避難場所も近隣に「吉祥院公園・桂川左岸久世橋上流」「上鳥羽公園」等が確保されている。廃止を撤回する予定はないが、今後も市民のスポーツ環境向上に取り組む。
6.西大路駅南側改札のバリアフリー化を
次に西大路駅南側改札のバリアフリー化についてお伺いします。
今年度のまちづくり委員会の質疑で、JR西大路駅の南側改札のバリアフリー化には課題を残しているとの答弁がありました。西大路駅西側にはワコール本社や、GSユアサ、日本新薬のビルが、ちょっと北に行くと堀場製作所の本社もあります。駅の西側に大きなマンションが建ち、子育て世代の住民も増えており、南側改札のバリアフリーの需要が高まっています。バリアフリー化の要望は当初から西大路通の西側にある南側改札でしたが、それに対しJR西日本は「改札が1つしかないので、物理的に工事ができない、もう一つ改札ができれば、議論できる」ということでした。北東側の改札はR4年に完成しており3年以上経過しました。南側改札から上がる、大阪方面のホームは東海道新幹線の線路下にあるのでエレベーター建設は困難ということですが、従前から京都市やJRの説明では京都駅方面のホームにはエレベーターを設置することは可能だということでした。ここにエレベーターが設置されれば、ホームの東側がすでにバリアフリーになっているので、ちょっと遠回りになりますが大阪方面にも利用でき便利になります。一刻も早く実現していただきたいと思います。
それにとどまらず、当初から北西側にも改札があれば便利という乗客からの要望もお聞きしておりました。例えば駅の北側アクセス通路の西側にあるエレベーター付近にも自動改札を設け、京都駅方面行のホーム西側からも陸橋で直接北側に行けるようにすれば、多くの乗客が便利で、狭いホームでの渋滞を緩和し安全対策にも資すると思います。
JR西大路駅、南側改札のバリアフリー化は住民や労働者の大きな要望です。京都市として乗客の動向調査を行い、JR西日本や、JR東海と連携し、前向きに計画して実現していただきたいと思いますが、いかがですか。
【答弁→都市計画局長】 令和4年3月にエレベーターを備えた北側駅舎が完成し、北側からの利用が必要ではあるものの一定のバリアフリー経路が確保された。南側駅舎については、同駅バリアフリー化基本構想では「駅全体の乗降客の流動状況を踏まえ改善を検討していく」とされている。新幹線の高架が駅をまたいでいるという構造上の制約やJR西日本においてはバリアフリー未整備駅から優先的に進める必要があり、ただちに実施は困難と聞いている。本市としては西大路駅の一層のバリアフリー化が図られるよう引き続き強く申し入れを行っていく。
7.循環バスを創設し、市バスの乗り継ぎ無料の実現を
最後に、市バスの乗り継ぎ無料と循環バスについてお伺いします。
私は市会議員になって10年間一貫して循環バスと乗り継ぎ無料を訴えてきました。
例えば大阪では「公共バスの乗り継ぎ無料は、イコカ」などで片道分1回だけ乗り継ぎしても210円で目的地まで行けます。大阪市民であろうが、観光客であろうが、登録作業は一切ありません。一方、京都市は市民と観光客を差別化するためと月額3600円以上の利用した乗客に対し1回乗りつぎで150円分のポイントを還元していますが、それでも1回乗り継ぐと310円の負担です。そのうえ複雑な登録作業があり市民にとっては使いにくい制度です。
南区には交通不便地域が多く、長い路線が一日数本しかない路線もあります。住民が増えている南区の地域でも、高齢者はタクシーを利用するか自家用車を運転して移動するしかない状態です。
住民が京都市に住み続けたいと思っていただくためにも、自宅の近くを通り近隣の買い物や駅、学校などの施設をつなぐ循環バスをぐるぐる回して、循環バスと幹線バスが乗り継ぎ無料で連絡できれば市民にも観光客にも便利になるのではないでしょうか。処遇改善で運転手を確保し、バス車両が入れないような住宅街へは、他都市でも行っているようなデマンドタクシーのような工夫もすべと思いますが、いかがですか。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【答弁→竹内副市長】 本市中心部は鉄道を軸に、きめ細かい公共交通網が発達し、山間部では集落に沿って運航する路線バス等が生活の足を担っているが、その経営環境は、担い手不足、利用者の減少等により厳しさを増し、既存路線の維持も困難な状況。バスの無料乗継は事業者の経営への影響も大きく、解決すべき困難な課題もあるが、引き続き検討していく。
デマンド交通等の検討は、交通問題をまちづくりの一環としてとらえ、地域の総意として必要性を共有いただき、将来にわたる安定した利用見込みが必要。引き続き事業者や住民とともにそれぞれの役割を果たすことによって生活交通の確保と利便性の向上に努める。
