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西野さち子議員(伏見区)代表質問,北陸新幹線,地球温暖化,市営住宅

〈代表質問の大要を紹介します〉

 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。
 質問に入る前に、7月20日投開票で行われた参議院選挙で、猛暑の中でご奮闘いただいた支持者やご支援いただいた有権者の皆さんにお礼を申し上げます。結果は、自公が衆参で過半数割れするという前向きな変化を生みました。まず消費税の減税を一刻も早く実現させなければなりません。各野党は減税を公約したのですから約束を果たすべきです。また、自公と日本維新の会や国民民主党、参政党などが主張する医療費削減、高額療養費の負担増、OTC類似薬の保険外しや病床削減などを許してはなりません。日本共産党は共同を広げ、市民の皆さんと連帯して奮闘する決意を申し上げて質問に入ります。

1.市民の暮らしを応援する施策の推進を

 まず最初に、2024年度決算について質問します。
 2024年度決算は、2022年度77億円、2023年度88億円に続いて58億円の黒字です。前市長による財政危機論は、財政見通しが大幅に違っていたことを証明しています。それならば、誤った財政危機論による行財政改革計画によって行われてきた敬老乗車証制度改悪、民間保育園補助金カット、市営住宅家賃減免制度改悪、市民税独自減免制度廃止などを見直すべきです。また、今年度実施の国保料の10%以上の値上げが異常な物価高騰に苦しむ市民に追い打ちをかけています。これらの市民負担増を元に戻し、国保会計への繰り入れを増やして今後5年間の値上げをストップするなど、市民の暮らしを応援する施策こそ必要です。そして、北陸新幹線京都地下延伸計画、鴨川東岸線第三工区、堀川通地下バイパスなどのムダ使いをやめるべきです。「戦略的投資」というのなら待ったなしの地球温暖化対策の大胆な推進や公共交通の拡充をすべきです。いかがですか。

【答弁→竹内副市長】 困難に直面する市民や事業者の暮らしを守るため、国・府と一体となった経済政策等によってきめ細かな支援を実施してきた。公共投資は、安心安全のみならず、市民生活の豊かさにつながる基盤を形成するものでもあり、災害時の緊急輸送道路となる鴨川東岸線や堀川通地下バイパスなどは、費用対効果も見定めながら着実に実施していく。北陸新幹線は、5つの懸念・課題に対して市民の体感的な理解・納得を得ることが不可欠。引き続き府と緊密に連携し、国や鉄道・運輸機構に対し慎重かつ丁寧な対応を求めていく。

2.景観と住環境を守ることに重点を置いた都市計画を

 次に、都市計画の在り方についてお聞きします。
 都市計画マスタープランについては、見直しの検討が進められていますが、住民が住みやすくなる計画に見直すべきです。
 2023年の都市計画の見直しで高さ規制を31メートルまで緩和された右京区西院地域の住民から、今年4月にマンション建設の指導を求める請願が出されました。31メートルのマンション建設が、住環境を壊すと訴えた請願が、全会一致で採択されました。このことは規制緩和による開発優先の政策が破綻していることを証明しているのではありませんか。ところが京都市は、都市再生緊急整備地域に指定されている京都駅前や三条京阪における開発計画など、これまでの都市計画を乱暴に踏みにじり、無秩序な開発優先で高さや容積率の規制緩和を進めています。これでは、地価高騰に拍車をかけ、住民が住み続けられなくなるのではありませんか。都市計画マスタープランは京都のまちづくりのおおもとになるものです。このまま進めば、京都が京都でなくなるのではありませんか。都市再生緊急整備地域指定の解除を国に求めること、そして都市計画マスタープランの見直しは、景観と住環境を守ることを重点に置いた都市計画に見直すことを求めます。いかがですか。

【答弁→まちづくり政策監】 都市再生緊急整備地域について、本市としても、公共貢献や周辺環境への配慮等を確認し、まちづくりの方針に沿っていると判断できるものに限り都市計画上の対応を行うもので、無秩序な開発優先の規制緩和との指摘は全く当たらない。次期都市計画マスタープランは、目指すべきまちの将来像をしっかりと描くもの。都市計画のインセンティブによる定住・移住の促進や戦略的企業誘致など、あらゆる施策を融合し、景観、住環境、都市機能のバランスを考慮しながら、若者・子育て世代の住む場所、働く場所の創出など、京都の未来を展望したまちづくりを積極果敢に進めていく。

3.北陸新幹線京都地下延伸計画の反対表明を

 次に、北陸新幹線京都地下延伸計画についてお聞きします。
 京都市会は「現在の計画をこのまま進めることは、京都市の未来に向けて重大な問題を招く」と6月6日の本会議で北陸新幹線京都地下延伸計画に反対の決議を採択しました。    
 参議院選挙のNHKの出口調査では「延伸の必要なし」が43%、「小浜京都ルート」が32%、「米原ルート」が25%となっており、「延伸の必要なし」が他の2ルートへの支持を上回る結果です。北陸新幹線延伸計画は、特に京都市民の同意が得られていないことが明らかになりました。しかしその結果を受けてもなお、自民党西田昌司参議院議員は「8年前にコースは決まったこと」「正しい情報が伝わっていない」「なぜ、小浜に決まったのか再検証を」などの発言からも、現行の小浜・京都ルートしかないという姿勢を崩していません。
 8月26日に日本共産党京都府委員会として、北陸新幹線延伸計画に対する見解を発表しました。そもそも人口減少が予想されるなか、このような大量輸送機関が本当に必要なのでしょうか。東京一極集中を加速させ、地方の衰退をもたらし、自然環境に負荷を与え、大きな電力消費で再エネ・省エネの流れに逆行する計画です。どのルートであれ北陸新幹線延伸計画そのものを断念すべきと表明しています。そして、在来線の充実とサンダーバードを金沢方面へ再度延伸することと、地域公共交通の拡充を求めています。
 しかし、市長はいまだに「日本海国土軸の一部を形成する重要な国家的プロジェクト」「国策としての意義は十分認識している」とおっしゃいますが、今の計画では5つの懸念や課題が解決されないことは明らかです。国や鉄道・運輸機構に対し、京都市として態度をはっきりと示す時ではありませんか。また、松井市長は、過去に市内で地下トンネル工事により井戸が枯れた事例があることなどから、市民の不安が根強いとして既に東海道新幹線があることを挙げ、北陸新幹線を「地元として要望しているわけではない」「市民の理解を得なければ市長としての職責は果たせない」と西田氏に伝えられたとの報道もあります。仏教界からの反対も根強く、議会や市民の合意が得られていないことは明らかです。まずは、市長が「市民合意が得られていない」という認識を示す必要があります。いかがですか。そのうえで、京都市としてはっきりと北陸新幹線京都地下延伸計画に反対を表明することが、市長の責務を果たすことになるのではありませんか。ムダに判断を引き延ばすのではなく、今こそ中止を求めるべきです。いかがですか。

【答弁→総合企画局長】 北陸新幹線は、日本海国土軸の一部を形成するとともに、重要な国家プロジェクトであり、国策としての意義については十分認識している。参院選の結果を踏まえ、ルート再検証の意向が示され、現時点では国政の動向を注視する必要があると認識。市として、京都市内を通るのであれば、「地下水への影響」「建設発生土への対応」「工事車両による交通渋滞」「京都市財政への重大な影響」「文化・歴史的建造物等への影響」の5つの懸念・課題について、市民の体感的な理解・納得を得ることが不可欠。引き続き府と緊密に連携し、国や鉄道・運輸機構に対して慎重かつ丁寧な対応を求めていく。

4.生活保護最高裁判決を受けて、謝罪や被害回復、保護費増額を

 次に、生活保護制度についてお聞きします。
 6月27日に、生活扶助費の減額は違法だと訴えた「いのちのとりで裁判」で最高裁判所は原告勝訴の判決で国を断罪しました。司法における最終の判断であるこの最高裁判決は非常に重いものです。判決は「物価下落を理由とした引き下げは厚労相に裁量権の逸脱・乱用があり違法」とデフレ調整の妥当性を否定し、国の判断過程に誤りがあったと結論づけました。2013年に生活扶助費の減額、2015年に住宅扶助費と暖房費を削減し、その後も生活扶助費が削減されていきました。その結果、異常な物価高騰も追い打ちをかけ、「熱中症警戒アラートが出ても、エアコンを付けられない」「お米は買えない」「お風呂は週に1回」「食事は1食分を3回に分けて食べている」など、深刻な状況を引き起こしています。裁量権の逸脱・乱用という違法を国が行ったことにより被害を受けた生活保護利用者に対し、国はまずは謝罪をすべきです。そして、生活保護は法定受託事務とはいえ、京都市は今回断罪された事務を実施していた行政機関としての責任があります。最高裁判決後、9月26日に名古屋高裁では2件目になる原告勝訴の判断が下されました。最高裁判決を受けて京都市は上告を撤回し、謝罪を行うべきです。いかがですか。
 1957年に朝日茂さんが憲法25条の健康で文化的な最低限度の生活の保障を求めて提訴した裁判は、「人間裁判」と言われています。この朝日訴訟の浅沼裁判長の判決は「『健康で文化的』とは、国民がかろうじて生物としての生存を維持できるという程度のものではなく、『人間に値する生存』あるいは『人間としての生活』と言いうる内容を持つものでなければならない。憲法25条の『健康で文化的な生活』は、国民の権利であり、国は国民に具体的に保障する義務がある」と断罪しました。朝日訴訟の当時と現在は、非常に似通った社会状況にあります。異常な物価高騰の中、国民生活、中でも生活保護世帯は非常に困窮を極めています。違法に引き下げられた生活扶助費で健康で文化的な生活が可能だとは考えられません。
 今回、最高裁で違法と断罪されているのに、厚労省は原告への謝罪も違法性の解消もせず、専門家会議を設置しましたが理屈に合いません。違法をいつまで放置するつもりなのでしょうか。原告の2割を超える人がすでに亡くなっています。保護費の基準引き上げは生活保護世帯のみならず、他の47の福祉施策や最低賃金、教育、非課税の基準などへの影響がありますから、国民の生活水準引き上げにつながります。早急に被害回復と保護費増額を京都市から国に求めるべきです。いかがですか。
 まずは、ここまでの答弁を求めます。   

【答弁→保健福祉局長】 最高裁判決を受けた謝罪について、国は真摯に反省するとの表明に留めており、自治体に保護基準を定める裁量はないため、市独自で行うべきものとは考えていない。市を被告とする同様の訴訟は、法に基づき法務相の指揮を受けて対応しており、現時点で上告取下げ方針は示されていない。市は国に対して早期に対応方針を定めるよう求めており、方針が示され次第適切に対応していく。他都市とも連携し、物価高騰等の状況を踏まえ、生活実態を踏まえた保護基準とすることを引き続き要望していく。

【西野議員】 いまご答弁をいただきましたが、北陸新幹線延伸計画について、市長は答弁を避けられました。ここにきて、未だに「市民合意は得られていない」「断念すべき」と言えない立場が明らかになりました。非常に残念です。
 生活保護の利用者に対しては、早急に謝罪と被害回復をすべきことを合わせて強く求めて質問に入ります。

5.地球温暖化対策の抜本的強化を

(1)二酸化炭素削減目標の引上げや再エネ推進を

 京都市の地球温暖化対策について質問します。
 京都市では、今年気温が35度以上の日が60日を超え、8月25日には1時間に102ミリの猛烈な雨を記録し、観測史上最大の集中豪雨による浸水被害も出ました。日本共産党市会議員団は市長に対し、酷暑から市民を守るための緊急的な対策の申し入れをしました。
 教育現場では気温と水温が高くプールの授業ができない日が増え、2018年には猛暑のために祇園祭の花笠巡行が中止になりました。地球温暖化は想定を超えるスピードで進み、豪雨災害、農業被害、酷暑など、気候変動による被害が深刻となっており、教育や文化活動にも大きな影響が出ています。これ以上の温暖化を食い止めなければなりません。この危機的現状に対する市長の認識はいかがでしょうか。
 京都市地球温暖化対策推進委員会では、CO2削減目標の見直しが検討されています。今の目標も達成は容易ではないという前提に立って検討されていますが、本当に京都市はできることをすべて行っていると言えるでしょうか。国に追随し、2013年度を基準にして国と同じ2035年までに60%削減、2040年までに73%削減提案の方向ですが低すぎます。

 再エネ技術は日進月歩で進んでいます。8月、日本共産党市会議員団は千葉県匝瑳市にある市民エネルギーちば株式会社による、ソーラーシェアリングの取り組みを視察しました。現地の写真をご覧ください。ソーラーパネルの下にはトラクターも入れます。高齢化などによる耕作放棄地が増加するなか、2011年の福島原発事故をきっかけに、エネルギーの自給自足を目指した市民による自然エネルギーへの取り組みが始められました。取り組みがどんどん広がり、匝瑳市飯塚地区にあった80ヘクタールもの耕作放棄地の4分の1の20ヘクタールで大豆と大麦の二毛作栽培が行われています。ソーラーシェアリングの取り組みは25か所、発電量は6メガワットに及びます。他の事業者のものも合わせると40か所で、ここでは自然破壊のメガソーラーではなく、農業最優先で地域経済への貢献と同時に災害対策に寄与しています。2019年の台風15号が千葉県を襲った時は、記録的な暴風で2000本の電柱が倒れましたが、この施設は無事でした。その時には無料充電所として活躍したそうです。現在は匝瑳市と協定を結び、23か所の無料充電所があります。再生エネルギーの拡大と農地を農業の生産手段として活用することで、事業で得られた収入は地域に還元され、匝瑳市の増収になっています。この取り組みは日本国内にとどまらず、30か国に広がりつつあります。そして、アメリカのアップル社、スウェーデンの家具メーカー「イケア」、アパレルメーカーの「ナイキ」等再エネ100%の電気でなければ買わないという、世界的企業も増えているということです。このような取り組みに学ぶならば、京都市にできることはまだまだあります。まずは京都市のCO2削減目標を引き上げるべきです。その目標達成のためにペロブスカイト太陽電池や地中熱の活用、省エネ拡大などを庁舎でさらに実施し、すべての公共建築物の再エネ100%(RE100)の目標を立てて推進するべきです。農地つぶしをやめ、営農型太陽光発電・ソーラーシェアリングに取り組む必要があります。京都市の本気度が問われています。危機感をもって地球温暖化対策を抜本的に強化するべきです。いかがですか。

【答弁→市長】 地球温暖化対策は人類共通の喫緊の課題であり、たゆまず取り組むことが必要。2030年度46%削減を着実に達成するとともに、早期の削減を図る観点から対策の強化・拡充と併せて、環境審議会で議論されている。さらなる削減に向けて速やかに取り組んでいく。本庁舎整備では地中熱を活用しており、新たな施設整備の際にはZEB・ZEH水準としている。ペロブスカイト太陽電池の活用可能性も含め、引き続き再エネ設備設置の拡大や徹底した省エネ等に取り組む。ソーラーシェアリングは農作物の収穫への影響等の課題はあるが、再エネ拡大に向けた一つの方策だと考えており、府補助金を紹介する等の支援を行う。あらゆる主体の皆様とともに、京都議定書誕生の地としての矜恃をしっかり持ち、一層取り組んでいく。

(2)美浜原発の新増設・地質調査への反対表明を

 今年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」では、福島第一原発事故後に掲げてきた「可能な限り原発依存度を低減する」の文言を削除し、原子力の「最大限活用」や原発の新増設を明記し、原発回帰を鮮明にしたうえ、火力発電の維持を前提としました。2040年度の電源構成の目標では、原発の占める割合を、現在の2倍以上の2割程度に増やすとしています。これでは、再生可能エネルギーの割合を世界レベルに引き上げることはできません。
 国の方針に合わせるように関西電力は、次世代型の「革新軽水炉」を想定し、美浜原発敷地内に新たな原発建設に向けた地質調査をすることを発表しました。福島第一原発では、880トンあるデブリのうち取り出せたのはわずか0.9グラムで、事故処理はまだ緒についてもいないのです。そのような状況で市民の命を危険にさらす原発の新増設はもってのほかです。市民の安全を守るために、京都市は株主として原発の新増設と地質調査に反対を表明すべきです。いかがですか。

【答弁→環境政策局長】 エネルギーの安定供給と脱炭素の両立の実現は国全体で取り組むべき重要な課題と認識。市として「原発に依存しない持続可能で安心安全な電力供給体制の構築」を目指すとともに、原発を運転する場合は、万全の安全性の確保と立地住民の同意を大前提に必要な範囲で留めるべきだと求めてきた。今回の関西電力による調査については「本調査の結果のみをもって設置を判断するものではない」とのことだが、引き続き動向を注視していく。

6.「住まいは人権」の立場で市営住宅政策の推進を

 次に、市営住宅についてお聞きします。
 住宅政策の基本は「住宅は基本的人権」「適切な住居を求める権利保障」「住宅政策は福祉政策」でなければなりません。日本共産党市会議員団は「住まいは人権」の立場で先月政策を発表しました。主な内容は「空き住戸の改修をすすめ、新規建設も含めて管理戸数を増やし、通年公募を行うこと。最低でも誘導居住面積水準を確保すること。家賃を引き下げ、改悪された家賃減免制度をもとに戻すこと」等です。京都市はこれまで国言いなりの住宅政策を進め、市営住宅の管理戸数を減らすだけでなく、今ある空き住戸の改修はこの5年間で約半数にまで減らしています。その結果、今年6月募集の応募倍率の最高は単身者用で153倍、一般で41倍となっています。入りたくても入れない市営住宅になってしまっています。
 ところが京都市は、空き住戸の改修をして公募を増やすのではなく、公的に実施していた子育て世帯向けリノベーションの取り組みも、便利な立地で応募倍率の高い団地の住戸を民間不動産会社に安価で貸出す手法にしています。これでは、住宅政策の基本である「適切な住居を求める権利」を公的に保障することからはかけ離れた政策と言わざるを得ません。さらに、単身者用の住戸が全く足りません。市民のために収入基準を引き上げ、単身者用住戸の拡大をするとともに、若年の単身者も入居できるようにすべきです。住宅政策の基本に立ち返り、管理戸数の削減をやめ、空き住戸の改修を増やし、既存住宅の大規模修繕を進め、新規建設をすべきです。また、旧改良住宅を含め、すべての市営住宅を一般公募とし、年4回の公募ではなく、通年募集で市民の「適切な住居を求める権利」を保障すべきです。いかがですか。
 また、老朽化した市営住宅の再整備が進められていますが、再整備は元の管理戸数が基本でなければなりません。しかし、京都市は、整備戸数を減らしたうえ、住居面積を減らし、使用していた家具もまともに置けないような単身者用の35㎡の狭小住戸を増やし、住みにくい住戸を増やしています。住まいは福祉の土台であり、基本的人権の問題です。市営住宅の「質と量の最適化」というのであれば、最低でも誘導居住面積水準を確保すべきです。いかがですか。
 そして、改悪された家賃減免制度に悲鳴が上がっています。「医療費が高くついて家賃が払えない。改悪される前は減免が適用されて何とか払えて助かったが、家賃を滞納すれば退去でホームレスになる」との声にどう応えるのですか。生活保護基準にギリギリかからない世帯の悲痛な声です。早急に家賃減免制度を元に戻すべきです。いかがですか。

【答弁→都市計画局長】 入居収入基準は、府や大半の政令市と同等としており、現時点で引上げは予定していない。単身入居の若者までの拡充は困難だが、空き住戸の目的外使用での活用において居住支援法人と連携し、若年単身者を含む様々な住宅困窮者支援を進めている。管理戸数は、社会情勢の変化等を踏まえ、保有量と質の最適化を図ることにしている。計画的に団地再生に取組むとともに、存続・活用する住宅は計画的な改修・維持管理を実施し、新たな建設は考えていない。公募は、改良住宅も含め年4回の公募を行うとともに、申込みがなかった住戸は通年で入居者を募集。団地再生事業で整備する住戸は、35㎡の住戸でも国が定める公営住宅の面積水準25㎡を上回り、周辺の民間賃貸住宅と比べても遜色のない面積を確保。家賃減免は、世帯の実態がより的確に反映できるよう制度を改善しており、見直す予定はない。

7.市の責任で醍醐コミュニティバスへの支援拡充を

 次に、醍醐コミュニティバスについてお聞きします。 
 醍醐地域の暮らしの足として2004年2月から運行されてきた醍醐コミュニティバスは、「醍醐コミュニティバス市民の会」が運営し、ヤサカバスに運行委託をして、地域住民の努力で運行されてきました。ところが、突然、運休が実行されました。7月21日から日曜祝日と平日の夕方6時台のバスの運休は、住民生活に大きな影響を与えています。日曜祝日は外出ができない人や買い物ができなくて困っている人など、暮らしに大きな影響があり、悲鳴が上がっています。さらに、醍醐コミュニティバスの運営に疑義が持たれたことが波及して、今年は醍醐地域のふれあいプラザと福祉のまち醍醐の取り組みが中止になりました。
 京都市は外環状線沿いの六地蔵から山科駅までを「ミータス山科-醍醐」と銘打って、開発の対象と位置付けていますが、これでは、人口減少に歯止めをかけ、移住・定住促進を目的としても効果は半減といわざるを得ません。暮らしの足を守る責任は、これまで住民任せにしてきた京都市にあります。その責任は重大です。醍醐地域の活性化と言うのならまず、暮らしの足の確保こそ必要です。市の責任で醍醐コミュニティバスの拡充をすべきです。いかがですか。

【答弁→都市計画局長】 本市としてもこれまで適宜支援してきたが、今回の減便は運行事業者が運転士を確保できず、やむを得ず判断されたものと聞いている。公共交通を取り巻く環境が非常に厳しい中、将来にわたって地域の足を維持・確保していくため、市民の皆様、交通事業者、行政が連携し、それぞれが主体的に役割を果たすことが不可欠。市の果たすべき主な役割は事業者への支援であり、担い手確保の取組を積極的に支援している。今後とも、時宜に応じた支援を継続し、地域の生活交通の維持・確保を図り、地域の活性化を目指していく。

8.東部クリーンセンター跡地の活用について(要望)

 最後に「ミータス山科-醍醐」の中でも、中心的な課題となっている東部クリーンセンター跡地活用について要望します。
 昨年1月に出された資料では、東部クリーンセンターの除却費用は、27億3千万円と示されました。この金額は土地及び建物の形状や規模、構造等を考慮の上、不動産鑑定士が2023年9月1日を調査時点として査定し、取りまとめた調査報告書に基づく価格とされています。この調査報告書は企業秘密であるとして公表はされていなので、全くのブラックボックスで検証ができません。そして、今年6月に、「解体費50億円超 大幅上振れ」と新聞報道されました。先の27億円には焼却炉の撤去費が含まれていなかったと説明されていますが、市民に納得できる説明が必要です。京都市の説明責任が問われます。
 また、この東部クリーンセンター跡地活用について、これまでから、多くの住民要望や提案が寄せられています。代表的なものは「図書館・老人保養センターを残してほしい」「スケボーのできる公園を」というものです。図書館については複合図書館の整備が発表されていますが、老人保養センターやスケボー公園についてはまだ何も方向が出されていません。醍醐十校区連絡協議会や醍醐地域公害防止対策協議会の意見だけではなく、住民の意見を広く取り入れた取り組みにすることが必要です。スケボー公園の設置が求められています。図書館・老人保養センター・緑地帯を残すことを強く要望して私の質問を終わります。