赤阪 仁議員(伏見区・共産)代表質問 北陸新幹線延伸計画,教員不足解消,交通不便地域の解消

<代表質問の大要を紹介します>
伏見区選出の赤阪仁です。日本共産党議員団を代表して、玉本なるみ議員に続いて市長に質問し
1.北陸新幹線地下延伸計画はキッパリ中止し、住民のくらしをまん中に
初めに、北陸新幹線地下延伸計画について質問します。
昨年12月、与党PTのヒヤリングに対して市長は4つの懸念(①トンネル工事による地下水への影響 ②建設残土の処分地の確保 ③工事による交通渋滞 ④自治体の財政負担)を示しました。今年3月25日、国と鉄道運輸機構の自治体への説明会で、4つの懸念は払拭されたのでしょうか。
また京都仏教会は、「千年の愚行」と批判し、歴史都市京都を破壊する計画に反対しておられます。北陸新幹線地下延伸計画に多くの反対の声が上がっています。4つの懸念が払拭されていないのであれば、今こそきっぱりと中止を求めるべきではありませんか。いかがですか。
そもそも市民の多くが求めているのは、特急サンダーバードの金沢までの直行便の復活であり、在来線の充実です。昨年11月市会で全会一致で可決した国への意見書は、党派を超えた住民要求であることを示しました。市長は、意見書を重く受け止め、京都市としてもサンダーバード金沢直行便の復活・在来線の充実を、国に求めるべきではありませんか。いかがですか。
下京区五条高倉交差点で、水道管漏水事故が発生し大きく報道されました。埼玉県八潮市での下水道管破損事故もあり、上下水道等の老朽化したインフラ対策は全国共通の課題であり、喫緊の課題です。
北陸新幹線地下延伸に巨額の費用を投じている場合ではありません。北陸新幹線地下延伸計画より、住民生活の命綱である上下水道管など老朽化したインフラ整備にこそ予算を回すべきと国に対して、要望するべきではありませんか。
【答弁→市長】 北陸新幹線については、日本海国土軸の一部を形成する重要な国家プロジエクトであり、国策としての意義は十分認識しているが、京都市内を通るのであれば、4つの懸念に、西脇知事が言及された「文化・歴史的建造物等への影響」を加えた5つの懸念、課題に対し、市民の体感的な理解・納得を得ることが不可欠だ。引き続き、京都府と連携し、国や鉄道・運輸機構に対し慎重かつ丁寧な対応を求めていく。
サンダーバードは、多くの京都市民に愛着を持って受け入れられておりJR西日本には、市民の思いを十分に受け止めていただきたいと考えている。
水道に限らず、京都のまちのインフラ整備を進めることは、市民が豊かで安全な生活を過ごすうえで、また街の経済社会的な基盤を整備するうえできわめて重要、必要である。何が京都市にとって価値ある投資であるのか、賢く見極め選別したうえで、国への要望も含め戦略的・重点的に取り組んでいく。
2、都市の再開発、大型開発をやめ、京都の街並み、景観を守れ
次に、京都のまちづくりについて質問します。「京都市都市計画マスタープラン」改定後、京都市は連続的な規制緩和を行い、古都京都のまちがどうなるのか、心配の声が出ています。
京都駅前では、都市再生特別地区で、郵便局敷地の建て替えを高さ60mまで規制緩和をすすめようとしています。今年、3月31日に策定された「新京都戦略」では京都駅周辺を新たなビジネス・交流の創造拠点へ、オフィス・商業施設の供給促進、市有地の有効活用により都市機能を集積」することをリーディングプロジェクトとし、有識者会議が立ち上げられています。この有識者会議の前段には、京都商工会議所から意見書が出され、郵便局の建て替えと同じ高さ60mまでの規制緩和を要望しています。住民不在の大規模な規制緩和を地域的に広げるものであり、このような規制緩和はやめるべきです。これまで宿泊施設の増加が地価を高騰させてきましたが、加えて高さ規制が緩和されれば、住環境も悪くなります。ヨーロッパの市街地では、建物の高さを4階建てまでに規制するなど街並みと住環境に配慮するまちづくりが行われています。新景観政策を堅持し、中低層高密度の街を保全すべきです。住民が働き、住み続けられる街を隅々まで守るため、中低層高密度のまちづくりを進めるべきであり、新景観政策の堅持を求めます。いかがですか。
日本共産党議員団は、京都の景観と17か所の世界遺産保護のために、京都市の世界遺産保護条例制定をめざします。
また、未来投資促進法に基づく、京都市成長戦略は、本来、転用が許可されていない優良農地を企業用地に転用しようとするものです。今、日本中で、コメの価格が高騰しています。その根本には、これまでの自民党政権の減反政策があり、「コメ作って飯食えない」といわれるような、日本農業切り捨て政策にあります。向島地域等の調整区域内の優良農地を巨大流通センターにすると、二度と農地への回復はできません。私は3年前から一貫して指摘してきました。政府も食料自給率、現在の38%を上げると発言しているときに、京都市は、食糧増産を求める市民の声に反し、農地転用を進めるべきではありません。向島農地は防災の役割を果たす自然のダムでもあります。京都市は、環境影響評価を実施し、自然豊かな向島の環境破壊、元々水田であった調整区域内の農地切り捨ての開発は中止し、都市農業と豊かな向島の自然を守るべきです。いかがですか
【答弁→竹内副市長】 都市計画において「硬直化することなく刷新を続ける」新景観政策の理念の下、景観、住環境、都市機能のバランスを考慮し、地域ごとの特性を踏まえポテンシャルを最大限に生かすことを目指している。京都の守るべき景観の骨格を堅持したうえで、都市計画のインセンティブによる定住・移住の促進や戦略的企業誘致など、あらゆる施策を融合し、若者・子育て世代の住む場所、働く場所の創出など、京都のまちづくりを進めていく。
【答弁→草木産業・文化融合戦略監】 向島地域において、営農環境を保全することを前提に地域未来投資促進法を活用した産業用地創出の取組を進めており、複数の事業者の進出が決定している。引き続き、産業用地の創出を進めるとともに、都市農業の振興にも取り組む。
3.市民の宝・敬老乗車証制度を元に戻せ。交通不便地域の改善を
次に、市内公共交通、市バス地下鉄の問題について質問します。京都市の敬老乗車証制度は、2022年度改悪によって「敬老乗車証の負担額をさらに2倍、3倍に引き上げられ、高くて申請をあきらめた」という利用者も多く、対象年齢を70歳から75歳に引き上げ、年収700万円以上を対象者から外す等、利用者約6万人から敬老乗車証を取り上げました。市民新聞を使って敬老バス回数券の周知をしていますが、「バス回数券は、すぐなくなった。敬老乗車証は高くて手が出ない」との、市民の声が出ています。さらに制度改悪は、市交通局への京都市からの繰入金を減少させ、交通局の経営を厳しくさせています。高齢者の運転免許返納者も増える今、高齢者の足を守り社会参加を保障するために、敬老乗車証制度をもとの制度に戻すことを求めます、いかがですか。
また、京都市民の通勤・通学、買い物等が困難な公共交通不便地域が取り残されています。市民が、公共交通機関を利用して行きたいところに行ける、「移動の権利」を保障するのが自治体の役割ではありませんか。「京都市交通基本条例」を制定し、全行政区に市民参加型の公共交通会議を設置し、市民参加のもと民間事業者の協力を求め、京都市の交通不便地域、交通困難地域の課題を解決する公的責任を果たすべきではありませんか。いかがですか。ところが、 3月22日、京都市はバス利用者の意見も聞かず、その影響についての検証もないまま、平日、市バスダイヤ19路線、80.5便も減便しました。「バス路線の減便で、早朝からの出勤にバスがなくなった」「通院に使っていたバス路線がなくなった」などの切実な声が寄せられています。また京都市は減便の理由に運転手不足を挙げていますが、市バスも地下鉄も黒字経営であり、運転手の処遇改善のため、給与表5表適用を1表に改善し、運転手を確保、増員することで、減便を元に戻すべきです。いかがですか。
【答弁→保健福祉局長】 敬老乗車証制度の見直しは、制度を維持していくため行ったものであり、敬老バス回数券の新設など利便性向上も図っている。昨年度実施した市民アンケート調査において、一定の理解を得られていることが確認できたことから、元の制度へ戻す考えはない。
【答弁→竹内副市長】 地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通計画を策定し、市民、事業者と連携した生活交通の維持・確保の取組を進めており、更に交通基本条例を制定する考えはない。また、交通課題は各地域で様々であり、区ごとの会議体ではなく、地域ごとに寄り添って、課題解決を支援していく。
【答弁→竹内副市長】 全国的にも、本市も運転士不足は深刻な状況にあり、非常事態宣言を発出している。今年3月のダイヤ改正では、減便を余儀なくされたものの市民生活への影響を最小限に抑えた。運転士確保に向け、独自の給与改善、働きやすい職場環境づくり、採用試験でも工夫しており、引き続き手立てを講じていく。
4.教員の処遇改善、教員不足の解消を
次に、学校の先生が足りない問題について質問します。京都市内の公立学校の先生が確保できず、欠員を生み出しています。昨年2月、全市で182人も教員が足りず、学校が大変な状態でした。今年は新年度スタートからも、担任の欠員が出ています。この間、年間300人程度の産休・育休の方がおられると聞きました。
公立学校の教員は毎日多忙で身も心も削るような危機的な状況です。2023年の文科省調査によると、京都市で1か月以上の病気休暇を取得している教員の数は292人、3.98%。20政令市で割合が1番高いという深刻な実態をどううけとめていますか。「教員が健康でないと良い教育はできない、仕事のやりがいも生まれない」と、昨年の市長、教育長が参加する「京都市総合教育会議」でも指摘されています。児童・生徒の十分な教育を受ける権利、先生との信頼関係を築く機会を失うなど、影響を受けているのは子どもたちです。教員の長時間・過密労働の解決には、国の義務教育標準法の改正で、先生の数を増やし、先生一人の受け持ち時間を減らすことこそ、緊急に求められます。いま、国会で教員給与特別措置法の改定案が審議されています。残業代不支給制度を維持したまま、調整額を段階的に10%に引き上げることが柱ですが、これでは長時間労働の抑制効果がなく、先生方の「働かせ放題」を継続するもので認められません。また新たに「主務教諭」や「学級担任手当」を創設するなど、学校現場に分断を持ち込むことになります。給特法の根本問題である定額働かせ放題に手をつけず、表面的に取り繕っても、根本的改革になりません。次年度の正規採用人数の拡大とともに、今年、京都市は教員資格をもった1000人以上の臨時的任用教職員を採用しているのですから、年度途中でも正規教員を採用し、増員をすべきではありませんか。いかがですか。
【答弁→教育長】 昨年度、教員の欠員に備え、予め講師を配置する本市独自の加配制度の創設などの結果、今年度当初の担任の欠員はゼロ(小学校)、他の教員の欠員もほぼ生じていない。来年度の採用予定者は、中学校の35人学級実施も見据え、平成以降最大の400名以上としている。教員の積極的な確保に努めるとともに、国に対し定数改善を粘り強く要望していく。
5.学校調理の中学校給食実施、遠距離通学の全額公費負担の実現を
次に、子どもの教育条件整備について伺います。
まず、全員制中学校給食についてです。保護者・市民の長年の運動で2028年度実施計画を立てるまで進みました。ところが京都市は、学校調理方式ではなく大型給食センターで実施するとの計画を発表しました。民間事業者による、PFI手法で、計画から建設、事業管理まで一手に学校給食を民間委託する手法です。食中毒予防のために、給食調理から喫食まで2時間以内に、提供することとされています。市内63校の生徒・教職員21000食の給食センターと5000食の民間委託で行うといいますが、他都市の実態を見ても困難です。
また、学校給食の目的は、何より小・中学生に食育教育をすることです。成長期の中学生に、成長期の栄養と食育の充実を図るためには、各学校に栄養教諭の配置が求められます。給食の2時間喫食、各学校への栄養教諭の配置を実施するためにも、大型給食工場ではなく、学校調理での中学校給食を実施すべきではありませんか。いかがですか。
また、深刻な物価高謄が続き、国民の実質賃金は低下したまま、教育費の保護者負担が増え、就学支援制度の充実が必要です。京都市の小中学生が学校に通うのに、公共交通による遠距離通学を余儀なくされており、通学費の負担が発生しています。電車・バスの遠距離通学の保護者負担は年間約4000万円、義務教育無償化の立場から、全額公費負担すべきではありませんか。いかがですか。
【答弁→教育長】 専門調査の結果、自校方式や親子調理方式は実現困難である一方、給食センターは徹底した衛生管理やきめ細やかなアレルギー対応、比較的早期に全校実施が可能等のメリットを総合的に評価し決定したものであり、見直す予定はない。
専門調査や本市独自の検証で2時間喫食は可能と確認しており、更に一部民間調理場を活用することで、より安定的な運営体制を構築していく。栄養教諭については、引き続き国に制度改善を要望するとともに、外部有識者の助言等も生かし、献立作り等、食育の充実に努めていく。
小・中学生の通学費支援は、就学援助世帯及び学校統合によりやむなく通学が遠距離になった世帯を対象に全額公費負担し、それ以外の遠距離通学等世帯へも本市独自で一部補助している。今後とも、持続可能な制度として維持できるよう努めていく。
6.車いす乗車可能なスクールバスへ直ちに全車更新を
次に、障がい者差別禁止法に基づき、障がいのある子どもの自立と発達保障を進めるため、総合支援学校の通学バスの改善について質問します。
京都市立総合支援学校のスクールバスは、車いすで乗りおりできません。「スクールバスに車いすのまま乗車できないため、学校にも別の車いすを置いておく必要がある。乗務員さんに抱えてもらうため、介護者と子どもたちにとって危険です。中高生の女の子にとって精神的負担にもなる」という、子どもと保護者の皆さんの30年来の切実な声が寄せられています。市バスは車いすで乗れるのになぜ、との切実な声です。
京都市は、今年度、車いす乗車可能なスクールバスをようやく1台更新導入する予定ですが、すべての車いすの子どもたちが安心して通えるように、スクールバスを直ちに全車更新すべきです。いかがですか。
【答弁→教育長】 車椅子のまま乗車できる仕様の総合支援学校スクールバスは、今年度1台導入するが、一度に全て更新することは、多額の予算が必要なため困難であり、児童生徒数の増加状況も注視しながら実現を図っていく。
7.学生支援施策の充実を(通学定期の割引率引き上げ、奨学金返済支援)
次に、学生支援について伺います。
京都は学生の多いまちですが、学生の皆さんから、市バス・地下鉄の定期券が高いという不満の声が寄せられます。他の政令市と比較すると、京都市の学生の通学バス定期券割引率は、40%、公営バスを走らせている7都市の中で上から5番目、仙台市、東京都と並んで、一番低い割引率です。地下鉄の割引率は50%で、8都市の下から2番目と低い、それも約40年前から据え置かれたままです。公営市バスの平均割引45.1%を下回っています。学生のまちなのに冷たいではありませんか。交通費の負担の軽減のために、大学生のバス・地下鉄通学定期券の割引率の引き上げを求めます。いかがですか。
また奨学金を受けた学生は、大学卒業と同時に、平均300万円の奨学金返済の負担を抱えることになります。中には、1000万円借りた若者もあり、月4万円40歳代までローン返済が続くという実態があり、賃上げが物価高に追いつかない経済情勢の下で、生活費に食い込み、ゆとりのない生活を強いられています。
現在、京都府は就労・奨学金返済の支援として、府内にある中小企業で働く従業員の奨学金返済負担を支援していますが、京都市には独自の支援策がありません。府内支援対象企業数は2025年1月時点では293社、うち京都市内企業が174社、約6割も占めています。市としても、独自予算を計上して、府の就労一体型の奨学金支援制度に上乗せして、中小企業の人材確保と従業員の定着、就職者の負担軽減の取り組み支援をすべきです。また京都市独自の奨学金返済支援制度を作るなど、学生支援をすべきです。若者支援、中小企業支援として取り組むことを求めます。いかがですか。
【答弁→公営企業管理者交通局長】 市バス・地下鉄の通学定期券の割引率を引上げることは、学生支援の観点からは有効ではあるが、財政に与える影響が大きく、燃料費や人件費の高騰など、慎重に検討していきたい。
【答弁→草木産業・文化融合戦略監】 京都府の「就労・奨学金返済一体型支援事業」については、周知の拡大等、利用促進に向けた取組を強化し、地域企業、中小企業の担い手確保に努めていく。
8.安心して住み続けられる市営住宅の充実を
最後に、安心して住み続けられる市営住宅について質問します。
2021年、前市長は、市の財政が破綻すると市民を脅かし、「京都市行財政改革計画」を強行しました。中でも市営住宅の「家賃減免制度変更は5年間で5億円」という新たな負担増を低所得居住者に押し付けています。
そもそも「家賃減免制度」は低所得世帯の家賃負担を軽減し、安心して住み続けられる「人権保障」の福祉制度です。京都市は、一方的に家賃減免基準を変更し、2021年度まで8割減免の月4800円の家賃世帯が、5年後には月2万4000円と家賃を上げるのですからたまりません。住民は「収入が変わらないのに、家賃負担は大変」、「毎日買い物に行っても、物価は上がるばかり」「コメも買えない」と悲鳴の声を上げています。弱い者いじめ以外の何物でもありません。「市民生活第一」というなら、今からでも家賃減免基準を元に戻すべきです。そして、市営住宅のシャワー付きのお風呂への改修、畳替えの実施など民間住宅で当たり前の設備に家主として責任を果たすことを求めます。いかがですか。指定管理者制度の導入は、施策の継続性の欠如、市民サービスより収益性が優先され、議会のチェック機能の低下、不安定労働者を生み出すもので反対です。市の直営で市営住宅の管理責任を果たすことを求めて質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【答弁→都市計画局長】 家賃減免制度は、住宅審議会の答申を踏まえ実施したもので見直す予定はない。老朽化した浴室へのシャワー機器の設置には、多額の経費を要することから、現在13団地約4,500戸の団地再生、7団地約1,000戸の住替え事業により解決を図っているところ。畳については、新たに入居者を募集する際に取り替えている。