えもとかよこ議員(右京区)代表質問,中学校給食,男女格差,教員の採用増
〈代表質問の大要を紹介します〉
右京区選出のえもとかよこです。日本共産党京都市会議員団を代表し、加藤あい議員、河合ようこ議員に引き続き質問します。
1.全員制中学校給食は子どもを真ん中に全力をつくす決意を
まず、中学校給食について質問します。
今、京都市の中学校給食は、選択制から全員制への移行に向けて、実施方式の検討が進められています。重い重い扉がやっと開きました。私は保護者、市民のみなさんとともに小学校のような全員制中学校給食の実現求めて12年間運動してきました。毎年署名を集め、議会に請願を出し続けてきました。請願は何回も否決されましたが、実現するまでやろうとみんなで励ましあいながら頑張ってきました。京都市や議会に提出した署名の数は7万筆を超えます。署名を集めた人の中には、毎日おにぎりだけを持ってくる友達がいることをわが子から聞き、胸を痛め、1人で数百筆の署名を集めた人もいます。選択制はクラスの喫食率が低いと子どもが嫌がるのは事実です。現在、市全体の喫食率は23%と下がり続けています。「わが子が中学生になるまでに間に合わせたい」とがんばって署名を集めていたのに、子どもが中学校を卒業してしまった保護者は大勢います。 市民を本当に待たせてしまいました。
門川市長は、前回の市長選に出馬された時、市民団体のアンケート に「選択制中学校給食は生徒1人ひとりの実情に応じて自由に選択できるもの。学校現場において定着している制度」と回答されました。中学校給食が選択制というのは、京都市は子育てしにくいと言われている大きな原因の一つです。
今度こそ、コスト重視ではなく子どもを真ん中にした良い給食にしなければなりません。行政の責任です。全力を尽くしましょう。市長の決意をお聞かせください。
【答弁→市長】 学校給食は、「生きた教材」として重要な役割を果たしている。
中学校給食については、学識経験者やPTA、学校関係者等が議論を尽くし、近隣の他都市に先駆けて平成12年度から、学校給食と家庭弁当の両方の良さを活かした選択制の中学校給食を導入し、令和元年度からは予約管理システムを導入するなど、献立内容の充実や利便性の向上に努めてきた。
今後、本市が培ってきた学校給食の実践を活かし、安全・安心はもとより、文化庁の京都移転を契機とした食文化推進本部の新設に象徴されるように、我が国の財産でもある京都の食文化を活かした全員制中学校給食の実施に向け、スピード感を持って取り組んでいく。
2.中学校給食の民間調理場方式の問題点について
京都市全員制中学校給食 検討会議が立ち上げられ、すでに3回開催されました。
1回目の会議で委員の皆さんから出された「安心・安全な給食」「温かくておいしい給食」「アレルギー対応」「学校給食という生きた教材を活用した食育の充実」「和食を中心とした食文化を生かした献立」「早期の実現」は、「基本的な考え方」の参考にすると教育委員会は示されました。現在、京都市から委託を受けたコンサルタント会社が、自校方式、親子方式、センター方式、民間調理場方式、4つの実施方式について、調査、比較検討を行っています。
今、当議員団が実施している中学校給食アンケートに寄せられている声をいくつか紹介します。こちらのパネルをご覧ください。
全員制中学校給食の実施方式は、学校調理方式、センター方式、デリバリー方式のどれが良いかという問いに対して、「学校調理方式」という回答が85.8%、センター方式9.7%、デリバリー方式4.5%でした。「小学校のような温かくて汁物もあるような給食が良い。食材は地元の農家や商店から購入してほしい」「つくってくれた人の顔が見える給食がいい」等の声が寄せられています。
京都市の小学校の給食はおいしいと評判です。小学校の給食がおいしいのは、児童の身近で調理され、流れてくる匂い、その匂いでおなかがすく、出来立てを食べるからではないでしょうか。
さいたま市は、児童・生徒により安全でおいしい給食を提供するため、給食センターから全市立小・中学校に給食施設を設置する事業を進め、狭い敷地の学校には2階建てで建てて、小学校も中学校もすべて自校方式で給食を実施しています。各学校の特色を生かした独自献立で、食材購入も学校ごとに行っています。大阪市は中学校126校全校、自校方式、親子方式、中学校でつくって中学校に運ぶ兄弟方式など全校学校でつくった給食を実施しています。兄弟方式の向日市は、中学生用のメニューで小学校の給食より1品多いおかずが提供されています。
センター、民間調理場方式は、調理から喫食までに時間がかかり、学校給食衛生管理基準における「調理後2時間以内の喫食に努める」ことに対して課題があります。大量調理のため、万が一食中毒が発生したときのリスクは大きいです。
また、全国で学校給食などを提供していた食堂運営会社「ホーユー」が営業を停止し、破産手続き開始を決定しました。同社が供給する全国の施設に影響が出ました。
学校給食は、安全・安心、そして安定した供給が求められます。利益を出さないとビジネスが成り立たない民間調理場方式で全員制を実施する方式は、不安定であると考えます。いかがでしょうか?
【答弁→教育長】 食材価格や調理業務委託料を時勢に応じ適切に設定することで20年以上安定的に実施しており、他都市におけるー事例をもって、全ての民間調理場方式が不安定であると判断することは、妥当でないと考えている。
全員制中学校給食の実施に向けた検討については、現在、専門業者により、実現可能性や経費比較等の調査を実施するとともに、学識経験者やPTA代表等からなる検討会議を開催し、多角的な視点から御議論いただいているところだ。
今後、調査結果や検討会議での議論を踏まえ、安全・安心な給食提供はもとより、本市にとって持続可能で最適な方式について検討していく。
3.食育の充実と栄養教諭の配置はセットで考えるべき
次に、学校給食における食育推進に関わり、栄養教諭等の配置について伺います。
文科省はホームページ上で「学校教育において食育はどのように進められるべきか?」という質問に対し、「学校教育において食育を推進するには、食に関する知識や能力等を総合的に身につけることができるよう、学校教育活動全体で指導することが必要。指導内容を系統的に整理し、各教職員の役割と相互の連携を明確にした、食に関する指導に係る全体計画が必要であり、全体計画の作成、進行管理、評価の役割を中心的に担う『栄養教諭』を配置することが求められている」と回答しています。
自校方式では生徒数550人以上の学校に栄養教諭が1名配置されます。センター方式では生徒数1500人以下で1名、1501名から6000名で2名、と非常に少ないです。食育の推進には学校全体の指導体制の整備が必要であり、この職責を担うものが「児童生徒の栄養の指導及び管理をつかさどる」栄養教諭ではないでしょうか。私たちは1校1名の栄養教諭が必要だと考えます。
中学校給食検討会議で、全員制給食を実施するにあたり「食育の充実」は「基本的な考え方」の参考にするとされました。民間調理場方式では、今と同様、栄養教諭の配置基準はありません。食育を充実させることと栄養教諭の配置はセットで考えるべきではないでしょうか?いかがですか?
【答弁→教育長】 栄養教諭の国の定数は、自校調理でも、児童生徒数550人未満の学校では4校に1人となり、いずれの方式でも、1校1名配置とはならない。本市では、平成29年度から、独自財源も活用し、複数校兼務を含め、全小学校、総合支援学校に、栄養教諭による食育の指導が行える体制を実現し、中学校には、教育委員会に配置する栄養教諭と各校の食教育主任が連携し、各教科等の中での食に関する指導や、献立表を用いた食に関する情報発信、など食育の充実に努めてきた。
全員制中学校給食については、現在、安全・安心はもとより、コスト、更には京都の食文化を活かした、持続可能で最適な実施方式を検討中だが、どの方式であれ、食指導の充実に引き続き取り組んでいく。
4.給食に有機・府内産食材を活用するための献立・調達の分散化を
次に、学校給食の食材について伺います。
今、環境に負荷を与えず、子どもたちに安全なオーガニック給食が注目されています。先日、当議員団で木更津市に視察に行ってきました。木更津市は2019年から有機米を給食に取り入れ、今年は学校給食78日分の収穫ができる予定とのことです。2025年には有機米100%をめざしておられます。慣行米と有機米の差額を市が生産者に払っています。木更津市の小中学校の献立は11の地域でそれぞれ栄養士によってつくられ、農林水産課から生産者が紹介され、減農薬の野菜や地場産の食材が給食に使用されています。
京都市は統一献立、一括購入のため、野菜などの有機食材や府内産の食材の調達は困難とされていますが、献立や食材調達の分散化で、より安全でおいしい給食が実現できるのではないでしょうか。検討課題とすべきと考えます。いかがですか?
【答弁→教育長】 本市の小学校では、全市を4ブロックに分け、食材の安定的確保と、大量一括購入により食材料費を抑えることを両立させている。
議員ご提案の献立や食材調達のさらなる細分化は、1日当たりの各食材の調達量減少によるコスト増等に繋がり、実施は困難だ。
現在、週4回のご飯は、全て京都産米を使用するとともに、年1回、全市立小学校で「京北産米」を提供する他、九条ねぎや伏見とうがらしの活用等、地産地消に努めている。
なお、食材は、京都府学校給食会並びに京都市学校給食協会で厳格な食品衛生検査を実施しており、引き続き、安心・安全な学校給食の一層の充実に努めていく。
5.「学校給食の無償化」は国待ちにならず、市独自に実施を
次に、学校給食の無償化について伺います。
学校給食を無償化する動きが全国の自治体で急速に広がっています。保護者・地域住民が教育費の保護者負担の軽減、教育の無償化を求め、少子化・過疎化への対応やこの間の異常な物価高への対策として、地方自治体が独自に取り組み始めたことがあります。
こうした動きを受けて、政府も「こども未来戦略方針の素案で学校給食費の無償化の実現に向けて具体的方策を検討する」と公表しました。 小学生と保育園の子どもがいる市民の方から「鍵盤ハーモニカ、絵具セット、学校で必ず使うものは高い。絵具セットは4800円、体操服は上下で4000円します。そして、月々の給食費が4700円で学校への支払いの大半を占めている。これに今後修学旅行の積み立てが加わるのかと思うとめまいがする。下の子の保育園への支払いもあり、子ども2人分の負担、本当にしんどい。給食費を無償にしてほしい!」と悲鳴のような声をお聞きしました。
小中学校とも給食費が今年度、無償の自治体は全国で493、東京都23区では18区、県庁所在地では青森市、大阪市、奈良市、那覇市が小中とも無償です。2人目から無償、中学生は無償など、部分的な無償化に取り組んでいる自治体もあります。
京都市会では国に対して全会一致で「給食費無償化」の意見書をあげています。市長も国に対して要望されています。京都市では49億2千万円で小学校も中学校も給食費を無償にできます。これは年間予算の0.5%です。国待ちにならず京都市独自に「給食費無償化」に取り組んでいく時ではないでしょうか?
【答弁→教育長】 昨今の物価高騰に伴う食材費の上昇について、市会のご理解をいただき、令和5年度当初予算で1億円、さらに、この度の9月補正予算で1億6千2百万円を計上し、小学校では児童1人あたりたり年間4千円の保護者負担を軽減するとともに、栄養バランスや量を従来通り維持した献立を提供している。
なお、給食費の無償化については、自治体間の財政力の格差によって、教育の根幹に関わる給食制度に格差が生じないよう、国の責任で、無償化をはじめとした恒久的な制度を構築すべきであり、これまで指定都市市長会や本市単独で行ってきた要望を、引き続き、継続していく。
6.防災の観点から中学校への給食施設の設置を
次に、防災の観点から学校給食施設の活用について質問いたします。
気候変動に伴う災害が激甚化・頻発化しています。環境省は地球温暖化が進行した世界では、台風がより発達した状態で上陸し、降水量の増加による河川の氾濫、風害、浸水のリスクが高まることを示しました。また南海トラフ巨大地震の発生確率が高まっていることは周知のとおりです。
本年6月、内閣府と文科省は『避難所における適切な食事の確保のため、学校給食施設等の活用を含めた災害時の体制づくり』を進めるよう、各都道府県消防防災主管課と各都道府県・指定都市教育委員会学校給食主管課に事務連絡を出しました。
先日、福井市の総合防災訓練に参加している学校給食の調理師さんにお話を伺いました。福井市は、災害時に迅速に対応できるよう、調理員の災害時の動き方を勤務中と勤務時間外に分けて示し、炊き出しの準備や衛星管理、給食施設被災状況チェックシート、炊き出し対応日誌を作成して、被災の状況を可視化、記録できるようにしています。訓練では普段おかずをつくるガス回転釜を使用し、1つの釜でおにぎり約400個ができたということでした。災害時では、道路が寸断され、食料等の配送ができないことが十分予測されます。避難所となる学校の給食施設を活用すれば被災者は早期に温かいものを口にすることができます。これは生きる力につながります。
今回、内閣府と文科省が出した『避難所における適切な食事の確保のため、学校給食施設等の活用を含めた災害時の体制づくり』の事務連絡は重要と考えます。 大規模災害時には避難所となる中学校にも給食施設をつくり、学校給食施設の活用を含めた災害時の体制づくりをすべきです。いかがでしょうか?
子どもたちの健康と豊かな食育、地域住民の避難所における適切な食事の確保のためにも、可能な限り中学校に給食施設を設置すべきと考えます。
【答弁→教育長】 本市では、地域による自主的な避難所の運営を基本としており、炊出しも地域住民の方などが行うことを想定している。各校で定めている学校防災マニュアルにおいて、給食調理室の利用は、回転釜等の大型調理器具の取扱いが地域住民の方等にとって難しいことや、学校教育活動をできるだけ早期に再開し、給食を実施しようとする場合に課題があることから、一般家庭と同様のガスコンロや調理器具等が整っている家庭科調理室が使用できることを共通理解として明記している。
今後とも、国からの事務連絡の趣旨や課題等も踏まえつつ、適切な食事の確保のための手法について、引き続き、関係局区等と緊密に連携していく。
7.男女格差の是正にむけ京都市職場の女性管理職の増員を
次に、男女格差の是正についてお伺いします。
今、女性の低年金は深刻な問題となっています。1人暮らしの女性の貧困率は、勤労世代は24%、高齢期は46%と2人に1人が貧困に陥っています。女性の正社員の賃金水準は男性の7割で、男女賃金格差が女性の低年金、男女年金格差とつながっています。そして、女性の約6割が低賃金の非正規で働いています。非正規雇用の割合が高いことが、シングルマザーの貧困を生み出しています。女性管理職比率を増やし男女格差是正、管理職も職員も育休、介護休暇、病気休職などが気がねなくとれる体制づくり、非正規から正規へ、京都市が男女格差をなくし、人間らしく働けるモデルとなることは、民間企業にも良い影響をもたらすと考えます。
京都市が公表している職員給与の男女差異情報によると、常勤職員の男性の給与に対する女性の給与の割合は83.6%。給与制度上、男女で差異は設けていないので、この差は女性の役職者が少ないことが原因です。また、子育て世代の賃金差は80.1%。部分休業を女性がとることが多いせいではないでしょうか。
令和3年度係長能力認定試験実施状況は、男性237名、女性89名と女性は受験者数の26%。京都市職労がニュースで、昇任や管理職への登用を希望しない理由を男女別で出していますが、「自分には向いていない」「家庭や地域、個人の時間との両立が困難」「やりがいや魅力を感じない」などがあがっています。
また、管理職は介護休暇などの休暇取得が困難、土日出勤、残業は月に60~70時間しているとも聞いています。
管理職でも休暇取得や土日出勤の振り替えができること、残業をなくしていくことが必要ではないでしょうか?このまま人を減らしていけば、管理職はますます忙しくなり、女性管理職の割合も上がりません。今年度、京都市職員の管理職員に占める女性職員の割合は18.3%。この数値をどのように分析されていますか?また、職場は限界まで人が減らされ、育休取得者がいる職場では、残された職員が過密に仕事をこなしていると聞いています。産休・育休等はすべて正職員による代替をすべきです。いかがでしょうか?
【答弁→監察監】 これまでから、徹底的な働き方改革を進めており、御指摘の管理職の休暇取得促進はもとより、休日出勤の振替についても既に実施している。
女性管理職については、門川市長就任時の9.6%から18.3%と大きく向上させ、他都市平均を上回るとともに、現在、14人の区長・担当区長のうち半数が女性であるなど、要職への登用を進めている。
また、この間、業務の効率化等により、計画的な人員削減を行う一方で、新たな行政需要への対応に必要な人員はしっかり確保しつつ、時間外勤務を3割減少させるとともに、育児休業については、男性の取得率が75.2%と政令市でも上位となる中、代替としての正職員での配置を大幅に増加させるなど、適切な職員配置に努めている。
引き続き、女性をはじめすべての職員が意欲をもち、能力を十分発揮できる職場づくりを進めていく。
8.防災危機管理室における女性職員の増員について
次に、防災の現場に女性リーダーが必要という観点からお伺いします。
「災害時の避難所で、生理用品の備蓄がなかった、着替え、トイレなどのプライバシーが守られず怖い思いをした」、「女性トイレが少ない」、「みんながいる場所で授乳しなければならずストレスを感じた」など、女性たちは大変苦しい思いをしてきました。東日本大震災では、避難所で性暴力被害も起きています。内閣府は2020年、女性の視点を盛り込んだ防災・復興ガイドラインを作成しました。避難所に限らず災害時のいろんな場面で、物事を決める場に女性のリーダーが必要です。
こちらのパネルをご覧ください。
京都市本庁の行政職員のうち、防災危機管理室に配置されている女性職員の数は令和3年度は1名、比率は4.3%と政令市の中で最下位です。
防災危機管理室に配置されている女性職員の数を増やすべきではないでしょうか。 いかがですか。
【答弁→監察監】 本市では、災害の予防から復興までの全ての過程を通じ、男女共同参画をはじめ多様な視点を取り入れた災害対応を目指しており、関係部局はもとより、地域女性連合会や助産師会等にも御意見を伺ってきている。これらにより、避難所の運営協議会への女性の参加、男女別更衣室の設置、女性用品等の女性による配付など、女性に寄り添った運営を行うこととしている。
また、職員配置の観点からも、現在、現場のトップとなる区長・担当区長のうち半数が女性職員であるなど、女性の視点を災害対応に生かすとともに、防災現場に限らず、女性をはじめ多様な視点を市政に反映させることは重要だと認識しており、適材適所の配置に努める。
9.先生足りない問題と長時間労働の是正について
最後に、先生足りない問題・長時間労働の改善について伺います。
京都市で、令和元年度年間約1800時間、月にして150時間、令和2年度は年間1300時間、2年間にわたり過酷な働き方を強いられてきた労務災害が発生しました。現在も過労死レベルである月80時間を超える長時間勤務の教員が107名おられるとのこと。命がかかっている問題です。早急に対策を求めます。文科省が公表した調査結果によると1カ月の残業時間が45時間を超える教員は小学校で約65%、中学校では約77%に上ります。学生が教員志望をあきらめる大きな要因となっています。京都市では、行事や校時表の見直し、学校を早く閉める日をつくることで、教員の時間外労働を減らす対策が実施されていますが、持ち帰り仕事の時間数や内容も把握すべきです。
残業の多さに反し、公立学校の教員は「給特法」を背景に残業手当が支給されません。教員にも残業代を支給することが必要です。8月28日の中教審の特別部会で、緊急提言が出され、国の標準を上回る授業時数を行っている学校は見直すことが盛り込まれました。他都市よりも多い年間205日の授業日数を定めている京都市の授業時数は全国平均を上回っており、見直すべきではないでしょうか?
子どもたちの未来を築く教育を充実させるためにも、先生の命と健康を守るためにも、京都市独自で教員を増やすこと、教員一人ずつの持ち時間数を減らすこと、休憩時間を十分確保すること、人間らしいまともな働き方を実現させることが急務です。京都市にはその責任があります。市長の決意を求め、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
【答弁→教育長】 本市では、校務支援員の全学校・幼稚園への配置や部活動指導員の配置拡大、採点補助ソフトの導入などの取組により、教員の月あたりの平均超過勤務時間数は、令和元年度と比較して令和4年度は約12%減少している。
また、独自予算による少人数教育や専科指導のための教員の増員により、教員の授業負担や持ち時間数の軽減に努めるとともに、令和4年度の1学級あたりの児童生徒数も、小学校で28.2人、中学校で31.6人と政令市の中でもトップレベルの少ない水準であるなど、きめ細かな教育の充実と教員の負担軽減に取り組むことで、一定の成果が現れているが、引き続き、超過勤務縮減に向けた取組を進めていく必要があると認識している。
今後とも、教職員の処遇や定数の改善など、国への要望を重ねつつ、教職員が健康で心豊かな生活を送りながら、一人一人の子どもと向き合えるための働き方改革を進めていく。