日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

消費税5%,インボイス中止を,意見書について討論,井上議員

2022.12.12

  只今議題となっております意見書案を、日本共産党市議団から提案させて頂いておりますので、私は会派を代表し、これを採択すべしとの立場から、他会派の皆さんのご賛同を求め、討論します。

  物価高対策としましては、異次元の金融緩和・超低金利政策の見直し、輸入に頼らない、農産物・製造業をはじめとする自主的なモノづくり、国内生産、一刻も早くロシアの侵略戦争をやめさせることなど根本的な対策とともに、当面の策としても、物価高に見合う賃金や、生活保護費・年金等社会保障給付の底上げ、中小零細企業支援、高齢者医療一部負担金値上げや介護保険利用料等の値上げ方針の撤回等々が必要です。またこれらの対策は、物価高対策に留まらず、経済全般の建て直しの為にも必要です。そんな中で、国の対策はと言えば、ガソリンや輸入小麦、電気ガス代といった部分的一時的な価格抑制策だけで、規模も対象の設定も効果も全く不十分であります。消費税の減税こそは、今日の物価高の情勢に鑑みて、極めて適切且つ効果的な対策です。

  物価高があらゆる分野に及んでいることから、全ての分野、業種、世帯にその成果が及び、また財源や情勢の変化により数年の期限を区切ってということになるでしょうが、少なくともその期間中は効果が続くと言う意味でも効果的です。買う人も売る人も、また事業の大小、業種の違いも関係ありません。どこかで線を引いて少しの差で対象外になる人に恨まれることもありません。一律の現金給付で使ってしまえばそれで終わりということでもありません。申請や審査等の手続きも要りません。単純明快に、あまねく効果が及びます。物価高の影響は所得の低い程厳しくなっていきますが、消費税減税は、逆に一番打撃を受けている所得の低い世帯程、効果が大きいことになっていきます。本市でも、減収要件の緩和・撤廃や、使途の拡大など、今回の支援金や給付金等、大変喜ばれておりますが、その上に、国において消費税減税が加われば、更に、市民の暮らしや営業を応援することになるでしょう。

 財源についてですが、財務省の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保が500兆円も積み上がっています。消費税収約22兆円ですから、5%として1年当たり11兆円2,2%の時限的内部留保税課税で足りる計算です。元々、下請け中小企業と労働者の汗の結晶ですし、また政府の大企業大幅減税の賜です。政府の超低金利政策が円安となり輸入品の値上がりとなっていますが、逆に輸出大企業は、元々、輸出還付金、税務署からの莫大な戻し税の収入に加え、今日の円安輸出でも大幅に利益が増えています。社会的に還元されて当然です。消費税や社会保障の話の時には財政危機と言いながら、軍備拡大には湯水の如しではありませんか。税金の集め方使い方の改善で財源は可能です。

 GDPをはじめ、経済の諸指標の落ち込み、日本経済の低迷は、経済の6割を占める個人消費の後退が原因と言われ、更にその原因は、国民の消費購買力の低下と言われています。賃上げと消費税減税が、売買の活発化へのカギであり、この方向は、ひいては、小売から流通、製造の活発化に繋がり、製造大企業の売上げアップにも繋がります。今日、特に大企業は金融所得など営業外利益ばかりが増え、これは企業にとっても本来の姿ではないハズであります。個人消費の拡大こそが日本経済を立て直すカギであり、また消費税減税こそが、消費拡大の推進力であります。勿論、賃上げや消費税減税はこれらの社会的意義とともに、物価高から市民の生活を守る、直接的な意義と役割、効果を持つものであることは言うまでもありません。

 元々消費税は、低所得ほど負担割合が高くなり、格差是正、所得再分配という税金の役割に真っ向から反する最悪の欠陥税制、逆進性による格差拡大推進の税金であります。社会保障に使われている訳でもありません。というより、目的税とか特定財源とかではありませんから、総計予算主義の原則に基づいて、他の税目と共に国の大きな財布に一旦入った後、それぞれ必要な一般経費に充てられていく普通税であって、お金に色はついていませんから、何に使われたかと言うようなことは誰にも分かりようがありません。法律に「使う」と書いてあるからといって、そんな抽象的な言葉だけでは何の根拠にもなりえません。敢えて言えば、消費税によって収入が増えた分、社会保障にも充てることのできる財政規模が大きくなった、全体として財源が増えたというだけのことでしかありません。もっとも最近は、消費税増税の分だけ、或いはそれ以上に富裕層や大企業への所得税や法人税の相次ぐ減税の為に、全体として財源が増えたとも言えなくなっており、今や消費税が最大の税収税目となって、我が国の税収構造が大きく歪められています。シャウプ勧告以来、曲がりなりにも守られてきた、直接税中心、応能負担という大原則が、消費税によって踏みにじられています。

 インボイスは、年間売上高1千万円以下の免税事業者が、親会社との関係で言えば、取引を断られるか、消費税分の値引きを迫られるかのどちらかになりますし、それらを避けようと思えば自ら課税事業者になって少ない売り上げの中から消費税を納めるか、いずれかの選択を迫られることになります。究極の選択は廃業に追い込まれます。例えば売上げ500万円、経費400万円なら消費税10万円、経費300万なら20万円にもなりますし、簡易課税で計算しても、売上げ300万円として消費税13,6200円、所得税住民税や保険料を払った後の税引き後所得の月額145,947円とほぼ変わらない額、即ち1ヶ月分の所得が消費税で消えることになってしまいます。自治体の公共入札等においても、インボイスに登録しなければ入札参加を認めない、個人タクシーに駅構内への出入りを認めない等の自治体が既に生まれています。これはさすがに国も公正取引を妨げるとの考えのようですが、事業者間だけでなく地方自治体や指定管理者の団体、納入業者にとっても物品の調達や施設の貸し出し等の対応にも関わって来る可能性があります。小規模事業者やフリーランスで働く人たち、またシルバー人材センターの会員、更に、映画演劇、アニメ等の文化芸術関係で働く人たちも影響を受けると言われており、仕事が続けられなくなれば、日本の文化の将来にも影響すると言われています。未だ未だ知られておらず、今のままでは来年に実施といっても混乱は必至です。今現在、複数税率ですが、インボイスが実施されていない現状で何も問題は起こっていません。

 日本漫画家協会や日本アニメーター演出協会、SF作家クラブ、などが反対の声明を発表、日本俳優連合は「個人情報の公表・商用利用に抗議する声明文」を発表されるなど、商工業者だけでなく、反対や批判、懸念の声が広がっており、政府与党の税調役員や議員からも実施延期に言及とも伝えられています。

 本市でも「中小企業は京都の宝」だと言われています。その宝を守る為にも、本意見書案を是非採択して国に声を挙げたいと思います。ご賛同を呼びかけ、討論とします。