日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

統一協会問題の意見書についての討論,やまね議員

2022.11.02

 日本共産党京都市会議員団は、我が党提案の「旧統一教会の解散命令と被害者救済・被害防止を求める意見書(案)」、また、我が党ならびに民主・市民フォーラム、立憲民主党、および無所属議員1名と共同提案している「旧統一教会等による被害の救済・防止を求める意見書(案)」に賛成し、自民党・公明党が提案する「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による被害者救済に向けた関係法令改正に取り組むよう求める意見書(案)」に反対していますので、以下、その理由を述べ討論します。

 我が党ならびに民主・市民フォーラム、立憲民主党、無所属議員1名が共同提案する意見書案にあるように、全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、「旧統一教会に関する被害額の相談は、2010年から2021年までの12年間で約138億円に上る」とされています。このことは統一協会が2009年におこなった「コンプライアンス宣言」以後も、被害が根絶されていないことを示しています。

 また、国の旧統一教会問題関係省庁連絡会議の資料(9月30日時点)によれば、「相談集中強化期間」で、「9月5日~22日に1317件の相談」があったこと、「そのうち70%が金銭トラブル」「金銭の支出時期は20年を越えるものが37%で最多」とされています。このことは、古い被害を含めて、相談できずにいた被害者が多数存在するということにほかなりません。10月27日時点では、相談件数は3582件にまで増えています。

 にもかかわらず、自民党公明党提案の意見書案では、京都市における相談件数は「令和4年度は9月末までで3件」「令和元年度、2年度、3年度は0件であったと伺った」「しかしながら、全国的に、社会問題化しているのは事実」として、京都での被害がごくわずかなものであるかのような文章となっています。多くの被害が表に出てこなかった実態からみても、自民党公明党案は、被害の大きさ・深刻さについて誤解を与えかねないものであることを指摘しておきます。

 統一協会の被害者救済に本気で取り組むなら、我が党提案の意見書案で指摘しているように、霊感商法に関する相談が、2021年までの35年間で相談件数3万4537件、被害総額1237億円、しかもこれらは「氷山の一角」という認識こそ必要であることを申し述べておきます。

 次に、我が党提案の意見書案、そして、我が党ならびに民主・市民フォーラム、立憲民主党、無所属議員1名が共同提案する意見書案では、「旧統一教会と政治家の癒着を究明し、国民への説明責任を果たすこと」を求めていますが、自民党公明党案では、そのことが全くふれられていません。衆議院議長や現職大臣を含め、自民党を中心に多数の政治家が統一協会やその関連団体に❝お墨付き❞を与えてきたこと、選挙で支援を受けてきたことが、被害を根絶できなかった、被害を拡大させてきた背景にあることが社会的に問われている時に、統一協会と政治家の癒着にふれないということでは、全く不十分な内容だと言わざるをえません。

加えて指摘するなら、自民党公明党案では「安倍政権時の平成30年に消費者契約法の改正をおこなった」としていますが、安倍政権時の対応に触れるのであれば、2015年(平成27年)に文化庁が、それまでの姿勢を一変させ、統一協会の「名称変更」を認めたことこそ問題です。このことは統一協会の正体隠しに最大限利用されました。文化庁は7月末、日本共産党の宮本徹衆院議員に名称変更を認証した際の文書などを提出しましたが、変更理由に関わる記述は全て黒塗りです。1997年、文化庁は「実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできない」と統一協会の名称変更を認めませんでした。その方針がなぜ覆されたのか、政治家の関与と圧力はなかったのか、このことの徹底究明が求められていることを指摘しておきます。

最後に、日本共産党議員団の提案する意見書案では、統一協会の宗教法人としての「解散命令請求」を求めています。毎日新聞の調査でも82%(10月24日付)、日経新聞・テレビ東京の調査でも78%(10月31日付)の方が、「解散命令を請求すべきだと思う」と答えておられるように、すでに国民・市民のみなさんの声は明白です。

国会では10月19日、参院予算委員会で岸田首相が、宗教法人の解散命令を請求する要件について「行為の組織性や悪質性、継続性などが認められた場合」、また、刑事事件だけでなく「民法の不法行為も該当する」と答弁しました。統一協会がこの点で「解散命令を請求する要件」に該当することは、過去の事件・判例からも明らかです。

2009年11月、「先祖の因縁」などと不安をあおり高額な印鑑の購入を迫った「新世事件」の東京地裁判決では、印鑑販売会社社長に「懲役2年(執行猶予4年)、罰金300万円」が言い渡されました。当時の裁判長は「その手口は巧妙で悪質」「統一協会の信仰と混然一体となっているマニュアルをもとに、統一協会の信者を増やすことをも目的」として行われたもので、「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一貫であり、この点からも犯情は極めて悪い」としています。刑事事件で、統一協会の「組織性」「悪質性」「継続性」が断罪されています。また、2012年3月の札幌地裁判決では、「宗教性を秘匿した勧誘は違法」など、統一協会の布教活動そのものが違法と断罪されました。

現在「全国統一協会被害者家族の会」など計40の団体・個人が呼びかけ人となり、統一協会の解散命令(宗教法人格取り消し)を求めるネット署名も取り組まれています。文部科学大臣、法務大臣、検事総長に提出予定の申し入れ書では、解散を求める理由として、「統一協会による被害は重大で今なお継続している」こと、「刑事裁判を含め複数の裁判で同協会の組織的違法性が認定されている」こと、「国がこの問題に対処してこなかったことが間違い」であることなどが指摘され、統一協会は「全国民に被害をもたらす宗教法人」だと強調しています。

以上の点からも、統一協会の解散命令を請求することこそ、被害者救済の重要な一歩となると考えます。同僚議員のみなさんの賛同を心から訴え、私の討論とします。