日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

2021年度 一般会計 決算の討論,西野さち子議員

2022.11.02

 日本共産党京都市会議員団は報第1号一般会計決算、報第3号国民健康保険事業特別会計決算、報第4号介護保険事業特別会計決算、報第5号後期高齢者医療特別会計決算、報第6号中央卸売市場第一市場特別会計決算、については認定しない立場を表明していますので、その理由を述べて討論します。

 決算を認定しない第一の理由は、市長が「毎年500億円の財源不足」「このままでは財政は破綻する」と、財政危機をあおるネガティブキャンペーンで市民を脅し、「行財政改革計画」が提案された年度だからです。日本共産党市会議員団は当初から収入を小さく見積もり、支出を過大に見積もるものであり、500億円不足は事実ではないと指摘してきました。今年2月にも収入が予定より200億円の上振れだと報告されました。わが党の指摘が正しかったことが証明されました。200億円のうち187億円を予算編成時には予定していなかった公債償還基金に積み立てました。公債償還基金の残高も、「行財政改革計画」最終年度の2025年度必達目標だった1000億円を上回る1466億円を既に確保したとしています。今年度実行された保育園補助金のカットや敬老乗車証の負担金今年度2倍化など、53億円にもぼる市民負担増の必要はなかったことが明らかになっています。市長は「今さえよければいいわけではない」と答弁しましたが、コロナ禍や物価高騰に加え、痛み押し付けでは今の市民のくらしや中小業者の仕事が立ち行かなくなります。自治体本来の役割を放棄するに等しいものです。135万5040円と市財政からすればわずかな小中学校の遠距離通学費補助金までも持続可能な制度を維持するためとカットしたことはその本質を示しており重大です。市民のくらしが大変な今こそくらしの応援に予算を使うべきです。財政危機をあおり市民に痛みを押し付けてきたことに反省がなく、「毎年500億円の赤字」という前提が完全に崩れた「行財政改革計画」と今年度の53億円もの市民負担を撤回すべきです。

 決算を認定しない第2の理由は、若年子育て層の市外流出の理由が新景観政策にあるとして都市計画マスタープランの見直しを進め、今年度はさらに規制緩和を推し進めようとしているからです。「開発事業者の力を最大限に引き出しながら京都のまちづくりを進めていく」と開発を誘導し、高層ビルやマンションを林立させても若年子育て層の転入増加は見込めません。

 10月16日に投票が行われた大山崎町長選挙では、日本共産党と多くの町民の皆さんが支援した現職の前川町長が再選されました。その大山崎町ではあくまで暮らし子育て応援の好循環のまちづくりを進めています。自校式中学校給食の実施、上下水道基本料金の14か月無料など自然豊かな子育てのまちをつくり、高齢者支援など住民のくらしの下支えを積み重ねる中で、合計特殊出生率は全国平均1.36を上回る1.85、3年間で260世帯増加、税収も3.3億円増えています。学ぶべきではありませんか。1.17まで落ち込んだ京都市の特殊出生率の底上げの対策の一つとして、人口が減少している大規模市営住宅の改修や公募の在り方、七瀬川市営住宅、山端北市営住宅の廃止による跡地売却ではなく、いま進めている4団地の団地再生計画も含め、利便性の高い地域の市営住宅としての活用をすべきことを提案します。

 決算を認定しない第3の理由は、3年目になる新型コロナ感染症対策に対する対策の遅れです。コロナ感染の第7波が拡大する中、高齢者施設で入所者が感染、悪化し、入院を求めても入院が出来ないまま、施設で亡くなるという事が起こりました。また、市民が救急車を呼んでも搬送できないケースが急増しました。8月に新型コロナ重症患者を受け入れている京都の13医療機関の共同メッセージが出されましたが、「救急医療はすでに崩壊と言ってよい状況にあり、救急要請は通常の数倍、搬送困難となる事案が著しく増えている。」「救えるはずの命が救えないという、医療崩壊となっている」とされていました。消防局の局別審査では「このメッセージを見て厳しさを改めて痛感した。病床が空いていてもスタッフが足りていない」と答弁がありました。現在の京都府市の体制では、インフルエンザとコロナ感染第8波の同時流行への対応に懸念があるにもかかわらず、フォローアップセンターの体制強化だけでなく保健所体制を各行政区に戻す提案には背を向け続けていることは重大です。早急に体制を強化し第8波に備えるべきです。

 決算を認定しない4つ目の理由は財政難と市民には負担増を押し付けながら、北陸新幹線延伸計画や堀川通地下バイパストンネル計画など税金のむだ使いは見直さず、税収増の具体策さえも行っていないことです。法人市民税の法人税割税率8.2%を他の多くの政令市並みに制限税率上限の8.4%に引き上げれば、年間5億円、10年で50億円の増収が見込めるとわが党はこれまで繰り返し提案してきました。ところが、市長はいまだに何の行動も起こしていません。また、市民税の所得割の税率を1980年代は所得に応じて14段階にしていたものを改悪に改悪を重ね、2007年からは所得に関係なく一律の税率になっています。所得に応じた税率に見直すことが必要です。せめて高額所得階層について、3段階だった時の税率に戻せば、100億円の増収になります。市長は国に改正を求める事さえしていません。累進性、格差縮小を進める立場から、真剣に増収対策を打つべきです。

 決算を認定しない理由の5つ目は、中小企業支援の予算規模が小さすぎることです。局別質疑でも京都市は「中小企業が99%を占めている。雇用では70%を支え、経済の担い手、地域を支える京都の宝」「支援していく」と答弁しましたが、国の交付金の範囲内での支援しかなく、具体的な直接支援が少なすぎます。直ちに補正予算を組んで直接支援に踏み出し、これ以上の倒産をくい止める手立てを打つべきです。

 国民健康保険料について、京都市も「高い保険料負担は限界に達しつつある」との認識を示したにもかかわらず、保険料の負担軽減をせず、コロナ特例減免制度についても国基準からは1歩も出ず実態に合わせた減免に踏み出していません。

 中央卸売市場第一市場特別会計については、工事費総額の600億円が課題であること。また、負担割合は国が32%、市が10%、業者負担が58%と過大で、業者はこれを40年間の継続使用で負担することになります。整備事業に伴い、水産・青果合わせて21もの仲卸業者が廃業に追いこまれていることもあり、精査が必要な事業であることを指摘しておきます。

  最後に、統一協会と行政との問題について申し述べます。局別質疑では、理事者は曖昧な答弁を繰り返していましたが、市長総括質疑では、市長は「痛恨の極み」「行政として一切かかわりを持たない」「縁を切る」と答弁されました。反社会的カルト集団に京都市がお墨付きを与えることは許されません。関係団体を含め、全庁調査を行い毅然とした対応を取ることを求めて私の反対討論とします。