日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

北陸新幹線延伸計画はやめよ(請願採択を求め討論),森田ゆみ子議員

2022.11.02

 日本共産党京都市会議員団は、請願第1134号「北陸新幹線延伸による地下水等への影響の独自調査の実施等」、請願第1135号「北陸新幹線に関するボーリング調査結果の公表」、請願第1136号「北陸新幹線延伸による伏見区の地下水への影響の独自調査の実施等」を採択すべきとの態度を表明しておりますので、私は議員団を代表し、その理由について述べます。

 請願では日本の環境アセスメント制度は、大型工事などで、地域や環境に甚大な影響が明らかな場合でも、計画中止という選択肢を持たず、悪影響を及ぼす可能性があるにもかかわらずなし崩し的に推進され取り返しがつかない事態を防ぐために、市が独自で調査して一定の考えを持つべきと述べています。 極めて当然の要望です。

 南区で行われた鉄道運輸機構による説明会でも、大深度地下を掘り進める中で水脈に突き当ったら水脈よりも下の層を掘ると説明していました。しかし京都には活断層が多く、地震が起こったときに水脈の下にトンネルがあれば大きな被害が出ることはだれもが想像がつく話です。また、京都市の豊かな地下水により多くの産業が生まれています。伏見区には名水スポットが多数あり、ペットボトルで水を汲みに来る方が多くおられます。古くからこの地域の清らかな水でお酒や豆腐を作っておられます。水質や水量が激変するなど、事業者の方の影響は計り知れません。かつて東山区での新幹線東山トンネル、稲荷山トンネル、地下鉄東西線などで地下水に大きな影響があったことは周知の事実であり、静岡県のリニアの工事での大井川の水量の問題は解決していません。

 南区で十条通の数か所において環境影響調査を行った時、どんな調査をするのか質問すると、「立坑からダンプカーなどで土砂を運び出す際、排気ガスや道路の振動を工事が始まる前と後で比較するため」との説明がありました。要するに実際に工事が始まらないと調査は終了しないという事ですが、ボーリング調査の場合は京都市の所有する敷地で行われたので、結果については市全体が把握しておくべきことであり住民に対しても公表すべきです。鉄道運輸機構任せでは環境に重大な影響があったとしても、結局工事の進捗ありきで、あとでどうなろうが取り返しがつかないことになるのではありませんか。

 そもそも北陸新幹線延伸計画は路線の80%を大深度地下・トンネルで賄う計画であり、地下深くにある土砂がどれだけ有害物質が含まれているのかもわからないまま、何の調査結果も公表しないまま進めることは許せないと多くの住民が訴えています。

 財政の問題でも代表質問での井上けんじ議員の質問に対して、「市の負担がないように国に求める」と答弁していますが、国の税金も住民の税金に変わりありません。税金の無駄な事業はやめるべきです。

 南海トラフなどの大地震で、東海道新幹線が壊滅的な被害があったときの代替交通インフラと言っていますが、地上の東海道新幹線が壊滅的な被害を受けて、長期間復旧できないほどの災害が大深度地下なら大丈夫なわけがありません。現在オンラインで企業の商談や会議ができるようになっており、高速鉄道での移動が減り、巨額を投じても採算が取れる見込みはありません。巨額の費用負担を発生させ、水枯れ問題だけでなく、残土の問題、調布の陥没事故など、環境に対して多くの悪影響を及ぼす危険性がある北陸新幹線延伸計画はやめるよう京都市会として、国に声を上げることで、住民の求めに真摯に対応すべきと訴えて討論とします。