生活保護基準引き下げ訴訟の最高裁判決にのっとって真摯な謝罪や補償を,意見書について討論,山田こうじ議員(右京区)
2025.12.11
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日本共産党京都市会議員団は「生活保護基準引下げ訴訟の最高裁判所判決にのっとった対応も求める意見書(案)」に賛成していますので、その理由を述べ討論します。
生活保護基準の大幅引き下げは憲法25条の生存権に反するとして、全国の利用者が国と自治体を訴えた「いのちのとりで裁判」の上告審判決で、最高裁は今年6月27日、保護基準引き下げを「違法」とする初の統一判断を示しました。2014年から全国29都道府県で1,027人がたたかうなかでの「画期的判決」です。
裁判長が判決を読み上げると、法廷の傍聴席の支援者から安堵のため息が聞かれました。最高裁前では、弁護団が「司法は生きていた」「勝訴」と書かれた紙を掲げました。集まった原告、支援者らは大きな歓声を上げました。
最高裁判所は厚生労働省が保護基準引き下げで物価下落率のみを使った「デフレ調整」には合理性がないと指摘。デフレ調整は社会保障審議会の生活保護基準部会などによる検討を経ておらず、専門的知見の裏付けを認められないとしました。厚生労働相の判断の過程・手続きには過誤、欠落があり、裁量権の逸脱、または乱用があったとして、生活保護法違反だと認定しています。
ところが。厚生労働大臣は、最高裁判決を受けてもなお原告への謝罪を拒否し、補償しようとしていません。それどころか原告との協議に応じようとせず、新たな減額を行おうとしています。
新たな減額改定を行うことは、法律で禁じられている「紛争の蒸し返し」に当たり、許すことはできません。
原告を含むすべての生活保護利用世帯に対し、現行の水準均衡方式ではなく、所得下位10%層を比較・均衡の対象にした「ゆがみ調整」を再実施するうえ、「デフレ調整(-4.78%)」に代わる新たな減額をしようとしています。更に、原告については「特別給付金」を出し、他の利用者との差をつけようとしています。
この様な対応策は、専門委員会報告書が示した選択肢の中で最も低い水準での対応であり、訴訟の敗者である厚生労働省が、その主導で原告側の意見は聞き置く形で専門委員会を開催してきた目的が、最高裁判決の意義を矮小化し、被害者の生活を顧みないものであることが明らかとなりました。
最高裁判所による勝訴判決の効力を全く無視するものであり許すことはできません。
再減額改定を行うことは、違法に不利益変更するものであり、加えて、原告とその他の利用者に格差をつける対応は、生活保護法が定める「無差別平等の原理」に反するものであり、生活保護利用者全員に差額全額を補償すべきです。厚生労働省の対応策は、司法軽視であり、国の三権分立、法の支配を揺るがすものであります。
生活保護世帯の8割は高齢者世帯と重度の障害・傷病世帯であり、本件訴訟に立ち上がった1027名の原告のうち2割を超える232名以上が亡くなっています。命あるうちの早期全面解決に向けた適切な政策判断と原告を含む全ての生活保護利用世帯に対する直接の真摯な謝罪を改めて強く求め賛成討論といたします。
