OTC類似薬の保険適用除外はやめよ,意見書について討論,西野さち子議員(伏見区)
2025.12.11
-scaled-e1765437091430-1024x576.jpg)
日本共産党市会議員団は、自民党公明党から提案されています「持続可能な社会保険制度の構築を求める意見書(案)」に反対し、日本共産党市会議員団が提案しています「OTC類似薬の保険適用除外等を行わないことを求める意見書(案)」に賛成の立場を表明していますので、その理由を述べ討論します。
現役世代の保険料負担軽減を口実に、市販薬と効能が同じ「OTC類似薬」を保険適用から除外することが政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)に盛り込まれ、検討されています。
風邪薬や胃腸薬、湿布薬など市販薬と効能の似たOTC類似薬の保険適用除外は「現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減」のためとしていますが、保険適用から外すことによって薬代の負担増になることが懸念されています。日本医師会もOTC類似薬の保険適用除外について、医療機関の受診控えによる健康被害や経済負担の増加に加えて、医師の診察による処方ではない薬を購入することによる、薬の適正使用が難しくなることの3点をあげて、強い懸念を表明されています。
患者家族会や全国保険医団体連合会や新日本婦人の会が中心となって行われた、保険外しによる影響アンケートの中間報告では、10月30日時点で5687件の回答が寄せられました。自由記載欄には30代の難病で治療中の方は「鎮痛剤を保険外しにされると死活問題。働き盛りで子育て中でもあるのに金額を気にして、鎮痛剤を充分に使用できなくなると生活もままならない」また、別の病気で治療中の30代の方は「子どもをあと一人は、と思っていたが、現役世代の負担を重くするのならばあきらめざるを得ない」との悲痛な声が寄せられています。
厚生労働省の資料では、花粉症薬、湿布薬、総合感冒薬、解熱鎮痛薬の4品目を例示し、OTC類似薬と市販薬の薬剤費を比較し、保険外しになれば、8倍から最大50倍の自己負担増となることが明らかになりました。
難病で、医療費助成の対象疾病として月額の自己負担上限額が適用されている患者の場合は、使用しているOTC類似薬が保険適用除外になれば、難病の医療費助成制度から外され、大幅な負担増となります。アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患やリウマチや広範囲の皮膚炎などで長期にわたりOTC類似薬の使用が必要な患者も多くおられます。また、京都市の子どもの医療費助成制度では、月200円の負担で薬剤が処方されていますが、OTC類似薬を購入しなければならなくなることで、せっかくの医療費助成制度が意味を持たない事態が生じてしまいます。
厚生労働省は、11月27日の医療保険部会で保険適用除外を行わない代わりに、現行1割から3割の自己負担の引き上げや、選定療養制度(混合診療)を使って、薬代の全部または一部を保険から外し、その部分は全額自己負担にするなど、一部見直しの動きを示していますが、結局は患者に追加負担を求めるものです。
自民党公明党から提案されている意見書(案)は、OTC類似薬が保険適用除外となると「市販薬の購入が負担増となり受診等をためらい、症状の重篤化を招く可能性も否定できず、結果として、より高額な医療・治療を必要とするケースが増え、医療費全体としてはむしろ増加するリスクも指摘されている」としながら、「人口減少・少子長寿社会の進展に伴い、現行の社会保険制度をそのまま維持することは困難であり、限られた財源を真に必要な医療に重点配分する仕組みづくりは避けて通れない。すなわち、医療費の適正化は必要である」としていることは、OTC類似薬の保険適用除外を進める立場と言わざるを得ません。また、日本維新の会は「OTC類似薬を保険適用から外せば、1兆円の医療費削減につながる」と主張していますが、治療に薬を必要とする人々への負担を重くし、適切な医療や治療から遠ざけることにしかなりません。これでは、「持続可能な社会保険制度は構築」できないのではないでしょうか。
国民皆保険制度のもと、必要な医療は保険でカバーされるべきです。厚生労働省自身「厚労白書」などで「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」と掲げています。
最後に、自民維新による国民の命に係わる医療保険制度のさらなる4兆円削減は国民と健康を切り捨てるもので絶対に許してはいけないことを強く申し上げて私の賛成討論とします。
