京都基本構想案に賛成討論,加藤あい議員(左京区)
2025.12.11
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日本共産党京都市会議員団は議第206号 京都基本構想の策定について賛成していますので、私は議員団を代表して討論致します。
京都基本構想は何を示すものなのか、それは、諮問事項に表現されているとおり、「世界文化自由都市宣言に掲げる都市の理想像の実現に向け」「京都の価値や強み」「目指す未来の姿」を示す「計画」であります。諮問を受け、構想をねりあげられた審議会、また、未来共創チーム会議のみなさん、そして、多くの市民意見にも、敬意を表するものであります。
わが党議員団は、本基本構想が、市民的議論において作成されたものであり、京都の価値として、第一に歴史と伝統を引き継ぐ、第二に自然との共生、第三に平和の実現を掲げたこと、この25年間について示された課題認識と今後の方向性について一定評価し、賛成します。
以下、今後、具体化にあたってのわが党議員団の考えを述べます。
第一に、景観保全についてです。
市長は議論の中で「伝統的なまちなみ、木造建築、空が広い、緑が目に入る部分が広い、鴨川の清らかな水の流れ、山々が見える、それらは京都の根源的な価値の一つ」と述べられました。また、世界遺産は尊重されなければならないとも言われました。構想にあるとおり、この間の「本市の伝統的な町並みの変容」は明らかであり、そして、今、その価値を損なうかもしれない重大事態であります。開発・アクセルと制御・ブレーキのせめぎあいにおいて、制御・ブレーキにこそ行政の役割があります。京都の価値である景観を徹底して保全していくことを求めるものです。
第二に、暮らしと経済、行政の役割についてです。
構想において、憲法25条の生存権、13条の個人の尊厳、14条の法の下の平等が念頭に置かれまちのあり方が明記されていると答弁がありました。3.11や地震・豪雨災害の頻発、コロナ禍などを体験した25年であったからこそ行政の公的役割を明確にすべきことについて、第5章に行政の役割が明確化され、行政が全編に責任を負うと説明がありました。新型コロナ感染症の教訓は分野別計画の中で行政機能の強化として発展させることを求めます。瀬戸際を生きている市民の生活支援を求めます。また、京都のまちの経済を支えているのは中小企業です。ものづくり・伝統産業・商店など地域経済の振興について、自治体として中小企業の生業を守り発展させる道筋を明確に示すべきであることを指摘しておきます。
第三に、今後の世界的潮流についてです。
審議会等での議論において、気候危機、世界の力学構造の変化、ケアの可視化とジェンダー平等、LGBTQの方々や外国人の方々の人権について活発な議論が行われました。
気候危機について、まぎれもなく気候変動は一刻の猶予もありません。答弁にあった通り行政の果たす責任について新京都戦略や時期環境基本計画の中で明確に前進させることを求めるものです。
また、世界の力学構造の変化により、グローバルサウスなど、世界は一握りの大国が世界政治を思いのまま動かす時代から変わりつつあります。G20は富裕層への税の累進化や多国籍企業に対する課税強化を提唱しました。市長は「格差・貧困の是正に対しても一つのまちとしてどう取り組んでいけるかは大事な課題である」との認識を示されました。個人の尊厳を守るために格差と貧困を是正していく、それが、政治の役割です。
ケアの可視化とジェンダー平等について、審議会で「近代の権力構造によって女性が担ってきた領域、つまりケアなどが不可視化されてきた」「女性が無償で担うようになって結果としてケアの価値が希薄になった」と意見が出されました。ケアを可視化していく、お互いに支え合うためには、ジェンダー平等が切り離せないこと、社会構造の変化が必要であることは論を待ちません。次の25年が問われています。介護や子育てなどケアに携わらないことを前提とした社会モデル、いわゆる、ケアレスマンモデルの社会構造を克服することが時代の要請であることを強調しておきます。
審議会及び京都市未来共創チーム会議の議事録について、基本構想の文章と紐づけ、補完する資料として明示していくことを求めます。
最後に、言うまでもないことですが、この25年間というのは、自然の成り行きに任せてきたわけではありません。政治によって、くらしと地域の疲弊を招いてきたことの総括を行うべきであります。基本構想と現実との乖離をわが党は指摘し続けてきました。市民の身近な地域の発展や具体的施策実現の尺度で、行政運営をすすめていくべきであります。
党議員団は、今後示される新京都戦略の改定や分野別計画で、具体的行政において、くらし応援のため、市政転換に向けて、徹底した議論を引き続き行っていくことを申し述べて、討論とします。
