公共施設の有料化と値上げに反対する討論 やまね議員
2022.03.25
日本共産党議員団は、議第21号~38号、40号~49号、51号~53号、55号~63号、67号~69号に反対の態度を表明していますので、その理由を述べ討論します。
今回、市民活動総合センター(ひと・まち交流館京都)をはじめ、文化会館、スポーツ施設、都市公園など、京都市が設置した多くの公共施設で、市民負担増のオンパレードとなっています。絶滅の危機に瀕している動物たちを保全する「種の保存」、動物を通じて世界の現状を学ぶ「環境教育」など、極めて公共性の高い事業をおこなっている動物園まで、入園料値上げが提案されていることは重大です。 何より問題なのは、それぞれの公共施設が果たしている役割や設置目的を無視し、利用者の声も聞かないまま、負担増が行われようとしていることです。 例えば、局別質疑でも答弁があったように、市民活動総合センター(ひと・まち交流館京都)の設置目的は、「NPOや地域団体の方々、ボランティア団体の方々など、特定の分野を超えた公益的な市民活動を総合的に支援する」「市民の相互交流、連携を図る」というものです。「会議室をこれまで無料にしてきたのは、市民の自主的な活動を一層促進するため」との答弁もありました。だからこそ、昨年11月に行財政局が示した資料「使用料の検討状況について」の中でも、「公費負担割合についての『共通の基準』に基づく検討対象施設」には含まれず、「主たる利用者が無料の施設」として運営されてきたのです。 ところが今回、市長から、これまで無料だった会議室等を有料化するという提案が出され、多くの市民のみなさんから陳情をはじめ切実な声が寄せられています。毎月2回、戦争や暴力の排除、難民問題、気候危機など、様々な社会問題を学ぶ場をつくっておられる研究会のみなさんは、有料化される会場費がそのまま赤字になるとのことです。アルコール依存症やギャンブル依存症からの脱却を目指す自助グループのみなさんは、新たに毎月2万円近くの赤字になるとのことです。いずれも参加者の経済状況にも配慮され運営されてきたものですが、これまでと同じように活動を継続していけるのかという事態に直面されています。にもかかわらず、3月17日の総務消防委員会、その後の担当局への聞き取りでは、京都市がこうした利用者の切実な声について、何ら聞き取りもせず、有料化を決めた事実が明らかとなりました。 市民活動への参加、生涯学習・社会学習の場において、所得の格差が影を落とすようなことがあってはなりません。行政の果たすべき役割は、どんな所得状況にある方であっても、社会活動に参加する権利を保障する、公益性が担保される条件をいかに整えるかという点にこそあります。だからこそ、公共施設は、無料に、そして料金を取る場合でも極めて低料金で、市民の権利保障を行うために運営されるべきであり、そこに民間の貸会場とは決定的に違う点があります。「市民活動を推進する」と言いながら、今回の市長提案は、その条件を自ら掘り崩しているようなものだと言われなければなりません。 また、受益者負担の考え方や、「施設を使う人と使わない人の負担の公平性を考える」「近隣の類似施設との比較で値上げをする」などという議論は、市民の権利とこれを保障すべき行政との関係を、市場原理と同様の関係に置き換えようとするものであり、市民の所得格差も考慮しないものです。その行き着く先は「負担を賄いうる者のみが施設や制度・施策のサービスを受けることができる」「負担できない者は利用できない」という、格差社会の押しつけ、自治体のあるべき姿からかけ離れたものとなることを厳しく指摘しておきます。
加えて、今回の負担増は、京都市が示す基準に照らしても、説明がつかないものとなっています。11月に示された行財政局資料によれば、大学のまち交流センター(キャンパスプラザ京都)、無鄰菴、岩倉具視幽棲旧宅、旧三井家下鴨別邸、青少年科学センター、横大路運動公園、市民スポーツ会館などは、いずれも京都市が示す「公費負担割合の上限額」をすでに下回っており、この点からも、市民負担を増やす必要はありません。公費負担割合上限額を75%、つまり本来なら75%は公費で賄ってもおかしくないと京都市自身が考えている、大学のまち交流センター(キャンパスプラザ京都)は、現状でも公費負担は28.7%に過ぎず、本来ならもっと公費負担を増やす、値下げをしてもおかしくない施設です。 さらに、二条城、宝が池公園運動施設、深草墓園、市営駐車場に至っては、すでに公費負担がゼロどころかマイナス、すなわち、必要経費は全て市民・利用者の負担で賄われ、それ以上におつりがくる状態となっています。公費負担割合上限額を50%としている二条城の公費負担はマイナス82.6%です。おつりがくるどころか取り過ぎとも言える状態です。その二条城で、小学校児童の観覧料50%増、中学校、高校、高等専門学校の学生の観覧料14%増と、子どもたちにまで負担を押しつけようというのです。京都市自身が示した基準から見ても、全く値上げの必要のない施設まで、この際値上げをしてしまおうという、まさに「便乗値上げ」でしかありません。 公共性・公益性、市民や子どもたちの権利保障という行政の役割を無視し、さらにコロナ禍での市民生活の厳しさにも寄り添わない、今回の公共施設の有料化・値上げ・負担増計画は中止することを重ねて求め、私の討論と致します。