日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

高額療養費自己負担引き上げ撤回を,意見書について討論,玉本議員

2025.03.25

 日本共産党市会議員団は、「高額療養費の自己負担引上げの撤回を求める意見書 」案を提案しております。私は議員団を代表し賛成討論を行います。


 高額療養費制度はがんをはじめとする命に関わる治療を受け、かつ高額な医療費を支払う患者とその家族にとっては、治療を受けるうえでまさに命の綱と言える大切な制度です。


 医療の進歩で、治りにくいと言われていた疾患でも、治療薬の開発や移植などの技術の進展で、疾患の完治や延命効果も進展しています。それは喜ばしいことであり、医療費が増大するのは当然のことではないでしょうか。今回、高額療養費の上限額を引き上げ、治療をあきらめる方を増やし、医療費を削減しようとするのは、国民の命をないがしろにするものです。


 全国がん患者団体連合会から見直しの要望が出され、アンケート調査も実施されたところ、短期間に3623人の声が寄せられました。「高額療養費制度のおかげでなんとか治療が続けられている」という声と、「今の状況でも仕事の収入が減り、生活が厳しく、負担の引き上げはとんでもない」という声で溢れていました。がんになり治療を受けながら、生きようとする皆さんの切実な声であり、患者さんにより沿い治療やケアをする医師、看護師などの医療従事者の声でした。高額療養費の方針を検討する立場にある政府や国会議員、市民の身近にいる私たち市会議員もアンケートの声及び、京都市民の声も聴き行動しなくてはならないと強く思います。


 20代女性は「正直、政府に『治療を辞めて死ね』と言われているのかと思いました」、同じく20代女性は「スキルス胃がん患者です。小さな子どもがおり、この子を遺して死ねません。高額療養費制度を使っていますが、 支払いは苦しいです。家族に申し訳ないです。引き上げされることを知り泣きました。スキルス胃がんは治らないみたいです。私はいずれ死ぬのでしょうが、子どものために少しでも長く生きたい。毎月さらに多くの医療費を支払うことはできません。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています」、30代女性は「子どもの将来と自分の命が天秤に乗った状態です。進学できない未来と母親を早く亡くす未来、子どもにとって何が正解か分かりません。とても苦しいです。だから引き上げには反対です」、30代女性は「生活費を切り詰めながら、治療をしています。これ以上、医療費がかかるとなると、治療をあきらめざるを得ません。政府は、若い世代のがん患者に、死んでほしいのでしょうか?若い世代の患者が、無理なく治療を受けられるよう、制度をお願いします」等など、この声に応えるのが政治ではないでしょうか。


 また、今回の引上げは、命に関わる問題であるにもかかわらず、当事者の意見を聴かず、短期間で拙速に取り決め提案されたものであり、プロセスも不適切でありました。国会での審議で、石破首相は「これだけ高い療養費を払うならば、治療をあきらめるという方が一人も出ないようにすることはくれぐれも徹底していく」という旨を答弁しています。本年8月の実施は凍結しましたが、今年の秋までに方針を検討するとしています。全国がん患者団体連合会のアンケート結果からも、上限額の引き上げはあってはならないことは明らかですが、少なくとも、制度を利用している方々の生活実態の調査の実施、当事者や患者団体等の意見の事前聴取という適正な手続きを経るべきであります。京都市会としても、国に対して、凍結ではなく、一旦白紙撤回し、再検討のスタートすることを強く求めることを、同僚議員の皆様のご賛同を求めて賛成討論を終わります。