日本共産党 京都市会議員団

メニュー

お問い合わせ

議会質問・討論

宿泊税条例の改正について反対討論,山本議員

2025.03.25

 日本共産党京都市会議員団は、議第21号京都市宿泊税条例の一部を改正する条例の制定について反対しています。私は議員団を代表し、その理由をのべ討論を行います。


 2017年宿泊税条例の制定当時、日本共産党市議団は、提案された宿泊税について①違法民泊の捕捉、②税の公平性、③使途の無限定、④観光政策の4点の問題を指摘し反対の態度を表明しました。そして、今、これまでの実施状況や議会の審議を経て、今なお宿泊税の問題点はなくなっていないことを指摘するものです。

 以下、党議員団が宿泊税条例の改正に反対する理由を述べます。


 第1は、税の公平性が解決されない点です。今回、制定時の3区分の定額制から5区分に改定され、2段階細分化されました。しかし、区分の中身をみると、6000円の宿泊料に対して400円の宿泊税は6.7%の負担であるのに対し、19000円の宿泊料では2.1%という不公平が生じています。また、宿泊料49000円なら1000円の税負担ですが、50000円なら4000円の税負担となり、宿泊料1000円の違いで3000円の税負担増と大きく差が生じ、宿泊料金設定に影響を及ぼしかねない内容となっています。税の公平性の課題を解決するためには、免税点の設定と定率制の導入を検討すべきです。


 第2は、税の引き上げに伴う大幅な増収によって、観光目的の使途を大きく逸脱している点にあります。税収規模を126億円、現行の2倍以上に拡大させますが、観光とは無関係な都市基盤整備に60億円充当すると言います。「国道1号線9号線バイパス、堀川通りの機能強化」についても充当すると認めており、財源ありきで過大な公共投資を促進する恐れもあります。使途の在り方を市民的議論で明確化していくことが必要です。


 第3に、宿泊税が「市民生活と観光の調和」を掲げていることから、市民的にはオーバーツーリズムの解決を期待された宿泊税ですが、期待には応えていない点です。観光課題対策への充当は、宿泊税が見込む133億円の行政需要のうち22億円足らずです。ごみの散乱対策やトイレ対策は、まだまだ不十分であることが観光地の住民の認識です。また、市バスの混雑は市民の移動を困難にしています。観光客激増の路線対策に追われて、周辺地域の市バスの減便が進められていることも「市民生活と観光の調和」と矛盾する事態と言わなければなりません。

 3月22日付京都新聞による宿泊施設に対するアンケート調査によれば、宿泊税引き上げに「反対」「どちらかといえば反対」「そもそも税徴収に反対」が計45.5%、「賛成」「どちらかといえば賛成」が32.7%で反対が多く、宿泊事業者から理解を得られていないことは重大であると指摘しておきます。
 以上の理由から、宿泊税条例を改定してもなお、大きな問題が生じており、反対します。

 もっとも、今日的に観光客などの流入による行政需要の拡大について、地方交付税措置はもとより、自治体独自の法定外税の必要性は認めるものであり、この機会に法定外税のあり方について識者の見解を紹介します。
 現行の宿泊税は、観光客が京都市のインフラやサービスから利益を得ていることにより税を負担してもらう応益原則に基づく目的税を採用していますが、観光客が京都市のインフラからどれだけの益を受けているかは証明不可能です。だからこそ、使途が曖昧になります。識者は過剰な観光客の訪問によって行政需要を増大させていることに対する法定外税の根拠として原因者課税が適切とされます。そして求められている法定外税は、流入人口の増大で行政需要が増大し、一般的な行政サービス、すなわち上下水道・ごみ処理・公共交通などの規模が大きくなることにありますから、一般的な行政サービスに充当するためには普通税化することが望ましいとされています。そのうえで、税収の使途については税の論理ではなく、市民的な議論で、観光課題対策、高齢者・福祉や子育て、教育など、必要な財源として活用すればよいとの立場です。党議員団は、「市民の豊かさにむすびつける」京都市独自の法定外税とするための検討を求めます。


 そして、最後に指摘したいのは、観光政策、オーバーツーリズム対策については、「住んでよし、訪れてよし」の京都とするための対策が、何よりも不可欠だということです。観光客の分散化対策がカギといいますが、観光地の住民生活はすでに限界に達しており、地域が維持できない事態を認識すべきです。宿泊施設拡充誘致方針を見直して、宿泊施設のベッド数の上限を定める総量規制が必要です。また、宿泊施設の立地規制も求めてきました。市民が住んで良かったと実感できるまちを作る、そして、そのことを通じて訪れる方にも魅力を感じられる京都市へ、市政を転換することこそ必要であることを指摘し討論とします。