加藤あい議員(左京区),代表質問,新京都戦略,北陸新幹線延伸
2025.02.27
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<代表質問の大要を紹介します>
左京区選出の加藤あいです。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。
国政の転換を
物価高騰のもと、市民のくらしを支える政治の役割が問われています。自民公明政権は大幅に軍事費を増やし、大企業には大盤振る舞いをしていますが、そこにメスを入れれば、社会保障や教育など国民生活を支える予算を大きく増やすことができます。日本共産党は消費税の引き下げを求めていますが、大企業・富裕層への応能負担で生み出せる15兆円の財源で可能です。わが党は、企業団体献金禁止はもとより、アメリカいいなりに軍拡をすすめる政治を変え、戦争準備よりも国民のくらし最優先の政治を実現するために全力を尽くすものです。
1.新京都戦略、来年度予算の3つの問題点を質す
(1)暮らしに追い打ちをかける予算案の転換を
松井市長のもとでの初めての通年予算案と新京都戦略が示されました。
私は、内容について3つの問題点があると考えています。
第1は、市民生活第一の徹底というものの、むしろ、市民のくらしに追い打ちをかける予算案となっていることです。国民健康保険料の32億円・10.35%もの引上げが示されました。今後5年間は毎年保険料を上げるとしています。市長、この物価高騰のおり、なぜ、値上げを回避しないのでしょうか。
国民健康保険制度の本質は、国民皆保険制度の基盤、社会保障であり、憲法の生存権保障です。高い国保料を払えずに医療にかかれず手遅れで亡くなった方を本市で発生させた痛苦の教訓を忘れてはなりません。また、敬老乗車証制度改悪や民間保育所補助金削減の継続、市バスの減便も示されました。これでは、市民生活第一は看板倒れだと言わなければなりません。京都の「都市の魅力と活力を向上させる」ことを、市民生活の豊かさにつなげるというのではなく、市政運営のど真ん中に「市民のくらし応援」を据えるべきです。
食材提供を行ってきた左京連帯広場のアンケートでは、物価高騰下でも収入に変化がない、または下がったとの回答が半数を超えました。節約しているものは「食費」や「電気・水道・ガス」が全年代を通して多数を占め、「節約できない、負担が大きく支援が必要」なものとして、消費税減税、国保料引き下げ、医療費負担軽減が挙げられました。30代・40代は給食費無償化が多いのが特徴でした。「我慢させているのは娘のおかわり」「子どもの習いごとを我慢させるのがかわいそう」「学費が高くて苦しい」などくらしの悲鳴があふれています。市長、物価高騰の中で、エンゲル係数が43年ぶりに上がるような事態で、家計が圧迫され市民が苦しんでいます。先の11月市会にわが党議員団は無所属議員とともに子ども医療費の無料化と給食費無償化の条例を提出しました。全会一致で「市立学校の給食費の無償化を求める決議」も採択しました。市長、食費や電気代などを削って教育費にまわさざるを得ない子育て中の世帯の実態について、どのようにお考えですか。子どもの基本的人権に対応する部分は最低限公費で賄うことが必要ではありませんか、認識をお聞きします。
小中学校給食費無償化について、市長は任期中に実施する道筋をどうつけるのかお答えください。一刻も早く実施すべきと考えますが、いかがですか。また、子ども医療費支給制度の18歳までの拡充を求めます。
【答弁→松井市長】 「新京都戦略」において、「市民生活第一の徹底」を掲げている。令和7年度予算案では、第2子以降保育料無償化、ヤングケアラーの支援、介護・看護の担い手確保対策などの予算を確保した。
「学校給食の無償化」については、国に支援制度の創設を働きかけながら総合的に検討する。「子ども医療費支給制度」については、中学生までの通院医療費の更なる制度拡充に向け、府市協調で取り組んでいく。将来世代のことも常に念頭において、限りある財源の中で、市民生活を守る政策を持続可能な形で実施していく。
京都のまちの魅力向上、担税力の強化で、将来世代に過度な負担を残さない安定した財政運営を確立していく。
(2)大型公共事業推進や海外・首都圏企業誘致促進、市外から稼ぐ力を呼び込む政策の転換を
3つの問題点の2つ目は、大型公共事業推進や海外・首都圏企業誘致促進、市外から稼ぐ力を呼び込む政策を進めていることです。
来年度予算として、鴨川東岸線第3工区1億4100万円、税金投入111億円の京都駅改造に12億6000万円。新京都戦略では堀川地下バイパス、国道1号線・9号線バイパスなど大型道路建設が示されました。また、大阪・関西万博関連事業、MICE誘致に加え、海外・首都圏企業の呼び込みと優遇策を加速しています。市債発行は、これまでよりも毎年50億円多い450億円を目安にすると示されました。過去負債を2038年まで毎年35億円ずつ返すとしながら、50億円新たな借金を増やしていくことになります。金利の上昇リスクもあります。以前、行財政審議会では「平成初期の大規模投資に伴う重い公債費負担」「地下鉄への財政支援」が本市財政の厳しさの要因とされました。将来への負担を増大させるような新たな大型道路建設や過剰な投資は同じ過ちを繰り返すことになるのではありませんか。経済政策は、既存の中小企業への支援を軸に据えるべきです。
【答弁→財政担当局長】 新京都戦略においては、公共施設の老朽化対策をはじめ、必要な投資を計画的に実施できるよう、将来過度な負担が生じない範囲として、当面の市債発行額について年450億円程度を目安とすることを掲げた。費用対効果も見定めながら着実に実施していく。京都経済を力強く成長させていくうえでは、中小企業等の持続的な成長発展が重要であり、中小企業等の下支えや更なる成長の後押しなどを含めた経済政策を実施していく。

【加藤議員】
都市再生緊急整備地域拡大やサウスベクトルによる規制緩和、一部企業への税制優遇は極めて重大です。パネルをご覧ください。京都駅周辺の都市再生緊急整備地域をさらに拡大しています。京都郵便局の建替えの大幅な規制緩和をはじめとして都市開発事業は26となっています。そもそもこのように無限定で、業務地域を拡大することが本当に京都らしさなのでしょうか。
また、手数料新設を定める条例が提案されている通り、新たに都市再生特別区を定めようとしています。都市再生「特区」は、用途規制や形態規制の制限は適用せず、事業者による計画提案をそのまま認めるものであります。京都市も丸の内のように、東京都都心地域の「特区」のような道を行くのでしょうか。無理にミニ東京、ミニ丸の内を目指して果たしてうまくいくのでしょうか。
京都のまちの特質は三方の山々と大小の河川、豊かな自然環境と文化財・景観に恵まれながら、商業や工業、住まいが混在した中低層の居住地があることです。そんな特質を持つ京都のまちが学ぶべきは東京の高層ビル群の街並みではなく、落ち着き、活力もあるヨーロッパのような街並みではありませんか。ヨーロッパの大都市は中低層高密の都心を持っています。都心の業務地域を拡大するのではなく、むしろコンパクトにして、それぞれの居住圏域に生活の拠点を据えていくことが重要です。認識を伺います。わが党議員団は先般、世界遺産保護条例の骨子案を発表し市民意見を募集しているところであります。京都のまちの景観と住環境を守りひきつぐことこそ必要です。
【答弁→都市計画局長】 「保全・再生ゾーン」と「創造・再生ゾーン」の間での活力の好循環を目指している。特に京都駅南部では、都市の活力を伸ばす新たな拠点形成を目指し、都市計画を見直したうえ、都市再生緊急整備地域の拡大、サウスベクトルの取組を進めている。新たなオフィス・ラボの集積、ビジネス拠点の創出は不可欠。また、鉄道駅周辺など地域中核拠点エリアにおいては、働く場の創出など多様な都市機能の集積を図る「コンパクト・プラス・ネットワーク」の考え方のもと、まちづくりの取組を進めている。
(3)公共の再構築のため、職員体制の強化を
3つの問題点の3つ目は、公共の再構築のための行政の体制強化が見えないことです。
能登半島地震などでは公共の機能不全が明らかになりました。公務員削減が大きな影を落としています。本市は、消防職員は150人も削減して、2交替とし、わずか、10人増で社会情勢に応じることができるのでしょうか。3交替に戻すべきです。区役所については、今回、地域・企業など多様な主体、人と人をつなぐ「結節点」と示されました。必要なことは、税、医療衛生・保健所など集約化してきた行政体制を区役所に戻す「区役所行政の強化」です。マンパワー不足が復旧の妨げになる教訓からも、自治体職員体制を充実し、増員することを求めます。障害保健福祉事務の民間委託や市民窓口課と保険年金課の統合はやめるべきです。新しい公共として、行政のやるべき仕事をあいまいにしてはなりません。いかがですか。以上、ここまでの答弁を求めます。
【答弁→監察監】 持続可能な行財政を確立するため、市民サービスの向上を図りつつ、委託化や業務見直し、デジタル化などにより、効率的な執行体制を構築してきた。職員体制についても、これまでのような削減目標を設けず、市民の安心安全や戦略的な都市経営の推進、新しい公共を第一線で担う区役所の機能強化など、行政需要に的確かつ迅速に対応できる組織体制の構築を掲げている。
2.北陸新幹線延伸計画の中止を
(1)北陸新幹線延伸よりも、老朽化した既存インフラの整備こそ
次に、北陸新幹線延伸計画についてうかがいます。
昨年末、事業を進めてきた与党PTは多くの懸念と反対世論の広がりのなか、年内ルート選定と2025年度着工を断念せざるを得なくなりました。わが党は一貫して延伸計画を中止し、サンダーバード復活こそと訴えてきました。50年以上前の整備計画に縛られる必要はありません。在来線を復活すれば財政負担もかからず、北陸本線や湖西線も今まで通り守ることができます。多くの住民に喜ばれる最も現実的な提案です。南海トラフ地震が30年以内確率80%、人口減少・少子高齢化社会のもと、埼玉県八潮市の事態を見ても、既存インフラのメンテナンスにこそ力を入れるべきであります。5兆円もかけて30年後の新たな大量輸送機関をつくっている場合なのか、今の時代にどこに税金を投じていくべきなのか、本質的な問題が問われているのではありませんか、市長のご認識をうかがいます。いかがですか。
【答弁→財政担当局長】 必要な公共事業は、費用対効果も見定めながら、着実に実施していく。一方、既存インフラの老朽化が進んでおり、厳しい財政状況の下、十分対応しきれない施設も多くあった。令和7年度予算では、区役所や学校の維持修繕に係る予算を増額している。公共投資を適切にコントロールする中で、インフラや公共施設の維持管理を行っていく。
(2)懸念が一層深まる北陸新幹線延伸計画は、きっぱり中止を
京都市資料によると、本市事業者の地下水への依存割合は、酒造業で97.4%、染色業65%、金属製造業で61.3%、食品製造業・浴場でも約5割をしめています。市長も4つの懸念として、財政負担、残土処分、交通渋滞とあわせて地下水への影響をあげています。昨年10月、国交省は、自民党京都府連に、市営地下鉄東西線太秦天神川駅・二条駅間のシールド区間について井戸の「補償件数はゼロとされている」「周辺井戸への影響はほとんどない」と説明しました。北陸新幹線延伸で予定されているシールド工法は問題がないというのです。しかし、実際はそうではありません。

パネルをご覧ください。地下鉄東西線工事・太秦天神川から御陵駅の区間の井戸の補償は290ヶ所、そのうち101ヶ所・3分の1がシールド区間がしめていたことが交通局の資料で明らかになりました。重大な影響があったにもかかわらず、不都合な事実を明らかにせず事業を推進することは行政機関としてあるまじき行為です。また、国交省は水を通さない地層である難透水層で、浅い帯水層と深い帯水層が分かれていると説明していますが、実際には、きれいに分かれていません。断層に切られ、盆地周辺では乱れています。シールド工法は、上下が混ざり合って形成されている本市の多様な地下水の量と質に大きな影響を及ぼす可能性があります。市長、懸念は深まったのではありませんか。いかがですか。
【答弁→松井市長】 北陸新幹線は、日本海国土軸の一部を形成し、東海道新幹線の代替路線としての役割も果たすもので、国策としての意義は十分認識している。しかし「地下水の量と質への影響」、「建設発生土」、「工事期間中の交通渋滞」、「市財政への大きな影響」の4つの懸念、また西脇知事も指摘されている「文化・歴史的建造物等への影響」について市民の理解を得ることが不可欠である。特に地下水への影響については、十分な科学的根拠に基づいた議論だけでなく、市民・事業者の体感的な納得を得ることが重要である。市財政への影響も、市の将来を考えると投資余力をいかなる事業に振り向けることが適切か、慎重な見極めが必要である。引き続き、京都府としっかりと緊密に連携し、国や機構に対し、4つの懸念について、慎重かつ丁寧な対応を求めていく。
3.宿泊税について
次に、宿泊税についてうかがいます。税額と税区分の見直しが示されました。観光政策の基本は「住んでよし、訪れてよし」ですが、地域では、オーバーツーリズムによって、「住んでよし」が崩れており、総量規制が必要な段階になっています。しかし、税額の算定根拠である財政需要額については、観光課題の解決は全体の2割もありません。その一方で、都市基盤整備として、堀川地下バイパスや、1号線・9号線バイパス、京都駅の改造までも上がっています。むしろ車を呼び込むことは文化観光都市として魅力を高めるという税の目的に逆行するのではありませんか。そもそも、状況の変わりやすい財源をあてにして都市基盤整備を行うというのは財政論としてもあるべき姿ではありません。税額の算定根拠に疑問があります。また、税区分についても、昔ながらの旅館や民宿の方などから「物価高騰の影響や支援策打ち切りなどで、むしろ日本人旅行者が減っており、毎日空室がある。宿泊税が倍になればそうした状況に拍車をかけるのではないか」との声がよせられています。旅館や民宿を守る措置を検討すべきです。いかがですか。
【答弁→副市長】 今回の宿泊税の見直しは、観光の推進や、市民生活と観光の調和・両立を推進する施策の財源を確保し、負担の更なる公平を図るために行うもの。宿泊施設の経営強化や魅力発信支援を含む観光振興、国際文化観光都市としての魅力の向上、交通混雑緩和や散乱ごみ対策などの観光課題対策を着実に実施していく。社会インフラの整備については、観光客の利便性向上にもつながることから、宿泊税収を活用し、市民生活と観光の更なる調和・両立を図っていく。
4.住居専用地域での民泊営業の規制強化を
次に、住居専用地域等の「民泊」規制についてうかがいます。
昨年、北白川小倉町への民泊施設が開業される計画に対し、住民の懸念が広がりました。「民泊営業が行われると、静謐(せいひつ)な住宅地としての性格が損なわれ、地域の独自性と住民の生活の質が脅かされる」との声が上がり、規制強化を求める署名が97世帯の町内で合計182筆提出されました。請願も提出され、11月市会では、第一種低層住居専用地域における届出要件や運用の厳格化、市独自ルールの検討を求める決議が採択され、今年1月6日には生活実態を確認できる書類の提出が要綱に明記されました。住民のみなさんの運動の成果です。
新法施行から6年になりますが、党市会議員団は条例提案時、修正案を提出し、住居専用地域と細街路沿いを通年規制とするよう求めてきました。実際、神戸市、明石市、兵庫県、大阪市などでは、すでに住居専用地域をについて、すべての期間、実施制限をかけています。当局は、民泊を1年中禁止するいわゆる「ゼロ日規制」は法の趣旨に反すると言い続けてきましたが、ゼロ日規制をしている大阪市、神戸市では訴訟案件は生じていません。住宅宿泊事業の総施設数は昨年12月で775件。コロナ禍前を上回り、増加傾向にあります。条例附則には施行後3年を経過した場合、検討を加え、必要があると認めるときは必要な措置を講じるものとすると定められています。「国においての見直しが行われていないため、検討はしていない」と当局は説明していますが、民泊施設が増加傾向にあることからも、他の自治体の状況を掌握し、見直しを検討し、住居専用地域・細街路沿いは通年規制とすることを求めます。いかがですか。
【答弁→保健福祉局長】 本市では、住宅宿泊事業法の範囲内で、全国で最も厳しいといわれる条例をはじめとした独自ルールを定め、宿泊施設の営業者への厳格な指導に取り組んでいる。
住居専用地域における全期間の住宅宿泊事業の制限等について、国は、法の目的を逸脱し、適切でないとの見解を示しており、現行法の下での規制の強化は困難である。本市独自ルールに基づき、監視指導を徹底するとともに、規制が可能となるよう法の見直しを国に要望していく。
5.魅力ある市営住宅、住み続けられる地域づくりを
次に、市営住宅についてうかがいます。
市営住宅は2025年1月末現在で、79団地・523棟・2万2500戸となっていますが、空き住戸が6700戸と3割にも上っています。しかし、公募・改修方針があるのはわずか400戸、2%未満です。背景には、住宅マスタープランや市営住宅ストック総合活用指針での管理戸数削減方針があります。市営住宅にお住まいの方からは、「高齢化で自治会を解散した」「草引きが困難」などコミュニティ機能の低下を懸念する声が上がっています。空き家が放置され、住環境が悪化しているのです。
目的外使用がすすめられていますが、その前に、本来の目的で使用されていません。公営住宅法には「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備」するとあります。自治体住宅政策とは地域コミュニティに生きる住民の要求に根差し、住まいと生活の質を向上するために市場に介入する公的手段のことです。昨今の地価高騰により、適切な住宅確保が困難になっています。公営住宅の削減は民間住宅の高騰に一層拍車をかけることになります。「アフォーダビリティ」・適正な住居費負担を実現するため、公営住宅を積極的に改修・公募し、住宅相場を引き下げるべきです。
来年度、ストック総合活用指針の見直し点検が行われます。よって、4点求めます。第1に「危機的な財政状況」を前提に策定された削減ありきの方針は見直す、第2に、積極的に改修し多様な世帯の居住を実現していく、第3に、「門川行革」の負の遺産である家賃減免制度の改悪を見直し、家賃を引き下げる、また、入居基準については、5都市が行っている子育て世帯住宅の入居収入基準の引き上げを本市においても実施する、第4に、単身者住宅について若者の入居を認めることで、魅力あるストックづくりと住み続けられるまちづくりを求めます。いかがですか。
養正市営住宅では、住みよい養正地域を考える会が団地住民や学区民、建築家のみなさんにより結成され、運動が続けられてきました。しかし、「団地再生計画」はまちづくりの主役である住民を脇において、276世帯の住民の多くが反対する中、一人暮らし・35平米という狭小住宅含む3つのパターンの住戸プランに限定されました。ストック総合活用指針においては「団地再生事業等による新築住棟には・・・コミュニティ・ミックスに配慮した住戸を計画していきます」としているにもかかわらず、実際には、ファミリー層向けの住宅を増やしてほしいとの要望に対し、空いた土地の活用で考えると、されてきました。本来、「団地再生計画」で建替える公営住宅本体でこそ多様な世帯が住み続けられる地域をつくる、コミュニティ・ミックスをふまえた計画とするべきではありませんか。いかがですか。
【答弁→都市計画局長】 市営住宅ストック総合活用指針は、社会情勢の変化等を踏まえ、市営住宅の質とともに量の最適化を図るとしており、財政状況による削減ありきの方針ではない。一般公募に加え、子育て世帯向け専用住戸、優先入居等を実施。空き住戸を目的外使用許可し、民間事業者による若者・子育て世帯向け住宅「こと×こと」の提供や子ども食堂など多様な活用を進めている。
家賃減免は、審議会の意見を踏まえたものであり見直す予定はない。入居収入基準についても、府や大半の政令市と同等であり、現時点で引上げは予定していない。単身の入居については、高齢者のニーズが高く、若者まで拡充することは困難。空き住戸の目的外使用で、居住支援法人と連携した若年単身者を含む様々な住宅困窮者を支援する取組も進めている。養正市営住宅等の団地再生では、家族向け、単身向けに対応する民間賃貸住宅と遜色のない3パターンの住戸を予定し、コミュニティ・ミックスを踏まえた計画としている。
6.不登校児童・生徒への支援、深刻な教員不足の解消を
(1)不登校児童・生徒が安心して通える居場所づくりを
最後に、不登校児童・生徒への支援、教員不足解消についてうかがいます。
不登校児童・生徒は、全国でも大幅に増加し、本市でもピークをさらに大きく超える3151人となっています。教員の精神疾患による病休者は昨年度は年間87人ですが、今年度は上半期で52人と、増加傾向です。
学校が子どもにとっても教員にとっても、安心できる場となっていません。また親も「不登校離職」と言われるように、低学年の場合付き添う必要があるため、仕事を制限せざるを得ない状況で、大変な苦境に追い込まれています。学校に子どもをあわせるのではなく、ありのままの子どもに学校をあわせる。不登校の原因を探求するのではなく、どうすれば来てくれるか考えることが重要です。ヨーロッパの国では校則はほぼありません。教員は専門職で自由で自律的、20人前後の少人数学級です。不登校の深刻さは子どもの責任ではなく、公教育の側に課題があるのではありませんか。教育長の認識をうかがいます。また、子どもがフリースクールや居場所等へ通う親への経済的支援は亀岡市・舞鶴市、近江八幡市や草津市などが実施しています。本市でも実施を検討すべきです。不登校特例校は定員がうまっており、校内での居場所も、子ども支援コーディネーターも不足しています。子ども支援コーディネーターを全中学校区へ配置し、子どもたちが学びたいときに学べる環境を整えていくことを求めます。
【答弁→教育長】 全国的な不登校増加の背景は、学校に行けない子どもたちの休養の必要性の浸透やコロナ禍での登校意欲の低下等、複数の要因が重なっている。本市では校内サポートルームの拡充、学びの多様化学校の設置、フリースクールへの事業委託、メタバースを活用した支援等、個々に応じた学びの継続や居場所づくりに先進的に取り組んでおり、引き続ききめ細かな支援を進めていく。
(2)深刻な教員不足の解消を
教育の自由度を高めるためにも、教員のウェルビーイング向上のためにも、教員の負担軽減が重要です。教員未配置校はもちろん、定数を満たしていても、長時間・過密労働は深刻です。「想定外の休職者、産休代替が必要になった場合は穴があく」「年休も取れず、かつかつ」「小学校5年生まで35人学級だけど、30人以下ならみんながみえる」との先生の声が寄せられています。国の9000人にも及ぶ定数削減は論外といわなければなりません。緊急に基礎定数を増やし、教員の1日のコマ数を減らすよう求めるべきです。いかがですか。また、京都市教育委員会としても、定数を満たすことはもちろん、定数よりも多く教員を採用すること、30人学級を中学3年生にとどまらず、他の学年においても実施することを求めます。以上で、私の質問を終わります。
【答弁→教育長】 今年度から、予め講師を配置する本市独自の加配制度を創設、また小学校の教科担任制のための教員加配の拡充や、令和8年度からの中学校の35人学級の実施など、今後の国の定数改善を見通して、来年度実施する教員採用試験の新規採用者数を大幅に増やす予定である。国に対して更なる定数改善を粘り強く要望するとともに、教員体制の充実に努めていく。
【加藤議員】 住み続けられる街、京都のために、北陸新幹線京都延伸計画を止めることは必須であることを訴えたいと思います。開発資本のための市政運営ではなく、いかに、住環境を守っていくのか問われていることを重ねて申し上げて、質問を終わります。