調整区間におけるバス運賃値上げの撤回を,請願について討論,河合議員
2024.10.02
日本共産党市会議員団は、請願第351号「調整区間における市バス運賃値上げの撤回」の不採択に反対し、本請願の採択を求めています。私は議員団を代表し討論いたします。
本請願は、今年6月から西京区ほぼ全域と南区・伏見区の一部で値上げされた市バス運賃を6月以前の運賃に戻すことを求めて西京区の方から提出されたものです。
もともと高かった西京区の市バス運賃は、例えば、阪急桂駅から洛西バスターミナルや桂坂まで240円、阪急桂駅から京都駅まで240円、これが270円に、桂坂や洛西ニュータウンから京都駅までは300円が330円に値上げされました。物価高騰で市民生活が厳しく家計のやりくりに市民が苦労している中での20円、30円の値上げは非常に重いものです。これまでも、調整区間では「バス一日券」は使えず、定期券は割高でした。市内中心部、均一区間とのサービス格差の大きさや高い運賃が課題となっていたにも関わらず、その解消は先送りされたまま、「バス一日券」は廃止。唯一均一運賃区間と同じ乗り継ぎ割引だったトラフィカ京カードも廃止されました。
2月の市長選挙で市長は、「市民生活への負担を避けるため、市バスの運賃改定回避に向けて全力で取り組む」と全市民に公約されましたが、値上げ後の市会では「市バス運賃の値上げ回避は、均一運賃区間だけ」と後付けの答弁をされました。調整区間と均一運賃区間とを区別し、『値上げやむなし』とした市長の発言、当局の対応に、「調整区間は切り捨てられた」と市民が怒り、落胆されるのは無理からぬことであります。物価高騰の波は全市民に降りかかっているのです。
請願者が取り組まれた「バス運賃を値上げしないでほしい」との市長あて署名が短期間で3100人を超えて寄せられたことを交通局も市長も重く受け止めるべきです。
日本共産党議員団は、物価高騰の下、バス運賃の値上げはすべきでないと一貫して主張し、市長にも求めてまいりました。
本請願の審査では、民間バス事業者の経営を圧迫しないようにすることが「調整区間の市バス運賃値上げの理由である旨、当局は説明されました。物価高騰の下、運賃値上げによる市民生活への影響や市バスの利用しにくさ等は考えられなかったのでしょうか。民間バス事業者から聞いている厳しい経営状況は理解するが、運賃値上げ発表以来寄せられている「値上げしないで」という市民の声には耳を貸さない当局の姿勢は重大です。
理事者からも他会派の議員もバス運賃値上げはやむをえないものであり、市民理解を進める丁寧な説明が大事であるということが、強調されていました。
しかし、説明ですむ問題ではありません。市民の負担の重さに心を寄せて最大限の努力を行うのが行政の責任ではありませんか。
この間、京都駅~嵐山区間、京都駅~高雄区間など長距離区間で進められてきた均一運賃区間の拡大は、西京区洛西地域の切実な要望であり、本市交通局としても実施方向であると示されてきましたが、民間バス事業者の経営を慮り、提案・協議すらされていないとのことであります。京都市としてバス事業者への経営支援と一体に均一運賃区間を広げ格差解消へ進むべきです。ところが今回の値上げで格差はさらに広がりました。
6月からの運賃値上げによる今年度の増収は約1億円と言われ、交通局の昨年度決算も黒字です。独立採算にこだわり市民に新たな負担をかけるのではなく、以前実施されていた一般会計からの繰入(支援)を要請し、市民負担を軽減することは、住民の福祉の増進に寄与することを目的としている公営交通事業として当然のことではありませんか。
今年度、バス路線維持のために2億9500万円が予算計上されたことは、周辺地域の路線確保にとって重要なことでありました。しかし、民間バスの運賃値上げの方向を昨年夏ごろには知っていながら、何の対策の跡もありません。京都市として、民間バス事業者に物価高騰下の市民生活の実態を伝えることはできたはずです。バス事業者の経営難、とりわけ運転士不足、運転士の処遇改善などについては全国的な課題でありますから、国に対して思い切った財政支援で公共交通を守るように市長からもっともっと強力に要請できたのではありませんか。新たな市民負担を回避するために、本市が「バス路線維持」の支援制度に留まらず、市内全域での「バス運賃値上げ回避」の支援策を講じることはできたはずです。
今また、山科区と伏見区横大路地域の京阪バスと市バス運賃が12月から値上げされると報道されています。バス事業者への支援の拡充は今からでもすぐにやるべき施策であり、そのことによって、公共交通の値上げの連鎖を食い止めるべきです。
以上述べましたように、本請願が求めている調整区間における市バス運賃を元に戻すこと、そのために本市として、交通局としてできることはあります。バスが重要な市民の暮らしの足である西京区民からの切実な請願です。議会として採択すべきです。同僚議員の賛同を求め、私の討論といたします。