伏見区向島における、「地区計画の区域内における建築物等の制限に関する条例」改正に反対討論,赤阪議員
2024.06.20
日本共産党議員団は、議第73号議案の条例改正案に反対しておりますので、その理由を述べて討論をします。
まず第一に、現在計画中の農地が「物流センター用地」に代わりますと、地元農協役員が語るように、米作りや、伝統野菜を作る優良農地5.5haも破壊される計画だからです。今後この土地を含め、全部で43haも農地をつぶそうとしています。農地追い出し計画にほかならないではありませんか。そもそも市街化調整区域である農業・農地には建築物を建てることが原則禁止、農小屋など必要最小限のものを建てる場合も個別の許可が必要となり、それ以外は認められません。ところが今回の条例改正は、「向島国道1号周辺地区」における地区計画を決定し、建築物の敷地、構造及び用途制限を取っ払い、準工業地域に準じる制限とする規制緩和をすすめるものです。農地を企業の産業用地として、①事務所②倉庫③工場④工場に付属するもの⑤バス停留所上屋という建築物を可能とします。建築物の高さ制限は42mまで、200%の容積率、建蔽率は60%まで最高限度まで可能とし、敷地面積の最低限度は1万㎡というのですから大きいです。農業よりも大企業の用地確保を優先するものであり、許せません。
第二に、営農を希望する農家の皆さんの営農環境の保全ができていないからです。
昨年の私の代表質問に対して、副市長は、「不足する産業用地を創出するため、向島地域の農業振興地以外の農地を地域未来投資促進法における重点促進地域に指定し、周辺農地の営農環境の保全を前提に農地利用を可能とする一方で、希望される方には農業を続けていただけるなど、土地利用の幅を広げている」と答弁をしております。ところが、今回の建築物は42m(地上5階建て)もの高さがあり、まちづくり常任委員会でのわが党の議員が「営農環境に影響はないのか」と問うと、理事者は「一部日影となる部分がある」と認めました。
第三に、京都市の将来世代のことを考えた時に、決して手放してはならない農地だからです。産業用地の創出にお金をかけるのではなく、残り少ない農地・生産緑地を残し、農業で食べていけるような、営農振興策を前進させ、4年後に始まる全員制中学校給食の献立材料を地消地産で供給できる地域農業に発展させるべきではありませんか。
第四に、今回の産業用地転換は、本市の都市計画の考え方にも反するものだからです。京都市都市計画マスタープランには農地について「緑のオープンスペース、避難のための空間、雨水の貯留や都市の水循環機能、公共施設などの保留地といった多様な機能を有する都市に必要なものとして、維持・活用」と書かれています。これに反するのは明らかです。市街化調整区域における農地の位置付けは、非常に重要なものだと都市農業基本法にも書かれています。一旦壊した農地の機能と自然環境破壊は簡単に回復できるものではありません。
最後に、一言申し述べます。今、日本と京都の農業は重大な岐路に立っています。先祖代々の土地で営農できないようにしてよいのでしょうか。京都市は産業用地の創出にお金をかけるのではなく、農地を守り、農業で食べていけるような営農振興策を支援することにまい進すべきであることを強く指摘しておきます。歴代の自民党政治は70年代の68%から今日の38%まで食料自給率を下げ、大企業の輸出産業の儲けの犠牲に安価な海外農産物輸入を拡大し、自国農業を衰退させてきた歴史的経過があります。先日農水大臣は、わが党の議員の答弁で、「もはやお金を出したら海外の安い食料が手に入る時代は終わった」と、輸入依存する食料政策から、自国での食料生産拡大を強調しました。農家の所得補償を外し、高額な農業機械は、農家を機械貧乏に陥れています。生産・原材料の肥料や種、苗などの海外依存で、「コメつくっても飯食えない」と語る、家族農業つぶしの政策に責任があるのはだれの目にも明らかではありませんか。未来の京都市を大規模物流センターに変える、京都市による農業・環境破壊の経済・まちづくり政策には断固として反対する意見を表明して討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。