北陸新幹線京都地下延伸計画は断念を,請願について討論,加藤議員
2024.06.20
日本共産党議員団は、請願339号「北陸新幹線京都延伸計画にかかる事業推進調査の進捗状況の照会及び結果の開示」、請願341号「北陸新幹線延伸計画の断念表明」の不採択に反対し、採択すべきと態度を表明していますので、党議員団を代表して討論します。
2件の請願は現在行われている脱法的調査、すなわち、本来、環境アセスメント終了後に行うとされているものを前倒しで行っている調査の内容や結果・評価等について、国交省や事業を進める鉄道建設運輸施設整備支援機構に対し、市長が照会し、調査結果等の公表を求めるものであり、また、京都地下延伸計画について本市会に断念表明を求めるものであります。
以下、請願を採択すべきと考える理由を三点述べます。
第一は、重大な影響を受ける可能性がある環境影響について、市民には知る権利があり、市長はその代表としてその権利を保障する責任があるからです。
先般、6月4日、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム委員長・自民党の西田参議院議員は新聞紙上で「すでにアセス(環境影響評価)は完了している」と発言したと報じられました。国交省も現地調査は終わっているとしています。しかしながら、請願審査を行った総務消防委員会における本市の総合企画局の答弁では「現地調査が終了したということは聞いていない」と相反する答弁がありました。昨日の報道でも、国交省が、地下水の重大な影響について、与党プロジェクトチームには報告されたとありました。
つまり、環境影響について、国費、すなわち、国民の税金が投じられているにもかかわらず、与党プロジェクトチームなど一部のみが結果等を知り、市民や京都市、議会には、現地調査が終わったかどうかすら、判然としない。事実上のブラックボックスになっています。
市長が、重大な影響を受けかねない市民のために、機構に照会をかけ、情報を公開することを求めている請願339号の趣旨は全く持って妥当であります。
市長は3月市会で「水源への影響が特に気になる」とされ、「そこはしっかり判断していかなければ」と述べました。今市会では、北陸新幹線延伸について「私は判断していない」と言われました。判断すべき時は今です。そのためにも、そして、山紫水明の地・本市における環境影響への重大な懸念があるからこそ、本市会は、市長が情報を機構に照会し市民に開示することを求めるべきであります。
請願を採択すべき理由の第二は、環境影響に加え、本市行財政運営に重大な影響を与えるのが北陸新幹線京都地下延伸計画であるからです。
本事業は、莫大な費用負担で採算性も見通せない上、京都の自然と環境を壊す大量輸送機関を整備するものであり、今の社会において必要とされている社会資本なのか、重大な疑念があります。まさに、「百害あって一利無しの無理筋計画」との請願341号の指摘のとおりであります。自民党・西田議員は、総工費が3兆円なら、地元負担は10年間、毎年1000億円と述べたと報道されました。推進している方の主張ですら、本市負担が例えば半分なら毎年500億円にも上るわけです。
思い返せば、前市長の下で進められてきた毎年500億円の財源不足との喧伝のなかでどれだけの市民サービスカットが行われてきたでしょうか。保育所補助金のカットや敬老乗車証改悪、コスト優先のセンター方式の中学校給食など枚挙にいとまがありません。子どもの医療費無料化・給食費無償化・第二子以降の保育料の無償化など子育て支援策の履行をも脅かしかねません。
それこそ、財政規律はどこに行ったのでしょうか。財政規律を北陸新幹線問題にこそ問わねばならないのではないでしょうか。市民生活最優先の市政のために、無理すじ計画をやめるよう求めることが、本市会に求められています。
請願を採択すべき第三の理由は、民意にこたえることが本市会の責務だからです。
これも請願341号の文書にある通り、先の市長選挙では、主な4候補は誰一人として、現行計画推進を掲げられませんでした。そして、昨年の統一地方選の候補者アンケートにおいても、現職市会議員の中で現行計画が適切と明確にお答えになっていたのはわずか15人、すなわち、全議席の2割であります。
いずれも、京都市民の世論を反映しています。一部の方たちによる一部の判断で、京都市に大きな禍根を残すようなことがあってはなりません。プロジェクトチームが、別案もあり、来年度にも着工などと言っている今こそ、京都市会が、民意に応えて現行計画断念の表明を行い、京都のまちに大きな禍根を残す巨大トンネル計画が回避されるよう取り組むべきであります。
以上、申し述べて討論とします。