西野さち子議員(伏見区)代表質問,政治姿勢,行財政改革,大型事業
2024.03.08
〈代表質問の大要を紹介します〉
伏見区選出の西野さち子です。日本共産党市会議員団を代表して、新市長に対して質問します。
質問の前に、1月1日に起こった能登半島の大震災で被災された皆さんにお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方に哀悼の意を表します。今もなお避難されている皆さんの生活が一刻も早く改善されるように、日本共産党としても全力で支援をいたします。また、3月6日現在で1474人の京都市職員の皆さんも支援に駆けつけていただいております。ご苦労様です。心から敬意を表します。
さて、今回の市長選挙において、福山和人さんを支援した幅広い市民の皆さんや政党では日本共産党のみならず、れいわ新選組、新社会党、緑の党グリーンズジャパン、さらには社会民主党や立憲民主党を支持する個人の方などが立場の違いを超えて手をつなぎ、市民の暮らしを守ろうと頑張りました。京都市政を再生しようと手をつないだ多くの皆さんにお礼を申し上げて、質問に入ります。
1.市長の政治姿勢 ―政治資金パーティー開催すべきではない
新市長就任直後の第1次編成予算案が提案されています。私は、まず松井市長の政治姿勢について質問します。
市長の選挙母体「文化首都京都を創る会」は選挙直前の1月13日に会費1万円でミネラルウォーター1本が配られた政治資金パーティーを開催したと報道されています。自民党国会議員の裏金問題を告発された上脇博之神戸学院大学教授は、利益率の高い政治資金パーティーは政治資金規制法の脱法的手法と指摘されています。今後市長は政治資金パーティーを開催すべきではないと考えますがいかがですか。
【答弁→市長】 ご指摘の政治資金パーティーは法令に則って適切に対応されたもの。今後も政治資金パーティーは法令に則って適切に対応されるべきだ。
2.「行財政改革計画」を撤回せよ
松井市長が昨年12月に発表された「政策集」には、門川前市長が市民の声を聴かずに強行した「行財政改革計画」による市民生活への深刻な影響について、改善する立場が全く見当たりません。門川前市長は16年前にも「乾いたタオルを絞る改革が必要」と言い、2020年9月には「行財政改革推進本部」幹部職員への訓示として、「社会的課題の解決、これを税金で、公務員が、行政がやるという時代は終わった」と言ってのけました。コロナ禍と異常な物価高騰に苦しむ市民の暮らしを、本来ならば応援すべきなのに、市民に負担を押し付けるという、まったく逆の政策を進めました。
新聞報道によると、4期16年間の門川市政に対する評価は、「あまり評価しない」が最多の34.0%。「全く評価しない」の29.1%と合わせると、63.1%になります。6割を超える市民の声は門川市政を評価していません。「門川市政の後継者ではない。継承したら京都が発展するとは思っていない」との松井市長の発言が報道されました。それならば、この世論調査結果をどのように受け止められますか。門川市政の「行財政改革計画」に対する強い批判があることを認められますか。市民の声を聴き「行財政改革計画」は、新市長によって撤回すべきことを強く求めますがいかがですか。
【答弁→市長】 「行財政改革計画」で見直された施策は、持続可能な制度へ再構築されてきたものであり、単純に時計の針を戻すようなことは考えていない。市財政は依然として油断できず、今後も収支均衡を継続していくためには、住民参加型の行財政運営が重要。社会情勢や今後の京都市政を展望した新たな行財政を推進するための計画を、令和7年度予算に合わせて策定する。
3.敬老乗車証制度は2年前に戻すべき
次に「行財政改革計画」がもたらした市民生活への影響と高すぎる国民健康保険料についてお聞きします。
まず最初に、敬老乗車証制度の改悪についてです。高齢者の皆さんが、社会参加をする手段に大きな効果を発揮してきたこの制度は、市民の宝と言われ活用されてきました。負担金が一昨年2倍になり、昨年10月には3倍から4.5倍になった結果、対象者の約7割近くの方が申請をしませんでした。その数は約18万9000人に上ります。京都市は持続可能な制度にするためと言ってきましたが、たった3割の方しか使えない制度にしてしまって、持続可能な制度と言えるのでしょうか。高齢者の社会参加の足を引っ張る制度改悪は2年前に戻すべきと考えますが、市長の認識をお伺いします。
【答弁→保健福祉局長】 全体の交付率は概ね昨年度並みとなったが、敬老バス回数券は制度を創設して間もないことからメリットが十分伝わっておらず、情報発信を強化する。来年度には制度を検証し、結果を踏まえて対応する。
4.国からの保育士給与増額分を補助金に上乗せし、さらに働き続けられる昇給財源保障を
また、民間保育園への補助金が13億円削減され、大問題となりました。わが党は本来なら増額こそ必要で補助金を削るなどはすべきでないと求めてきました。特に人件費については、子どもの命を預かる専門性から考えても、他の業種に比べて低すぎる保育士の給与を、11年で昇給ストップにすることや、給食調理員は3人目から非正規にするなど、あまりにもひどい削減です。京都市の調査でも、3割の保育園でボーナスカットや昇給停止となっていることが明らかになりました。削減した補助金は元に戻すべきです。国は3歳から5歳児の保育士配置基準を改善し、人件費の5.2%アップを決めました。京都市は国が増額した分を活用し、補助金の上乗せをすべきです。そして、働き続けられるようモデル給与表の復活と、加算率の上限の経験年数11年規定を取り払い、12年目以降の昇給財源を保障すべきです。市長の認識はいかがですか。
【答弁→子ども若者はぐくみ局長】 これまでから国の給付費に加え市独自の補助を行っており、令和4年度に旧制度の課題を解消し適正化を図ったあとも、全体として処遇の維持向上はできている。制度のあるべき形は整ったと考えており、単純に元に戻す考えはない。子育て環境整備は現場のご意見や国、他都市の動向を把握しながら支援していく。職員給与は運営法人が決定するものであり、モデル給与表を示す考えはない。
5.消防職員削減方針は見直しを
また、門川前市長は任期中に、市の職員を4120人削減しました。市長選挙中にも話題となりましたが、消防職員については、2007年度当初は1902人だったものを、なんと2023年度には1521人へ381人も削減し、6分の1もの消防力が失われました。しかし、これに終わりません。2025年度までにさらに82人の削減計画です。その結果現場で何が起こっているかご存じでしょうか。消防ポンプ車の乗員は本来5人のところを、4人から3人体制にしています。3人だと運転と情報伝達で2人必要ですから放水は1人ですることになります。ある職員は「人員が減れば十分に対応できず、焼失面積の拡大も考えられる。市民の命と財産を守るために職員を増やすべき。このままでは救える命が救えなくなる」と指摘しています。さらに、これまでの3交代制から2交代制に変更されました。日勤が減り、24時間勤務が増え、職員はフラフラです。能登の大震災を受けて、防災の面からも消防職員の果たす役割は大きくなっています。職員の指摘のように市民の安心安全を脅かす消防職員の削減は見直すべきです。
【答弁→坂越副市長】 予防業務の集約化、管理業務の効率化、2交代勤務への移行など、組織・人員体制の適正化を進めている。2交代制への移行後も職員の時間外勤務は増加しておらず、休暇取得にも影響ないことから職員負担が増しているとは考えていない。こうした中でも昨年の人口1万人あたりの出火率は政令市で最も低い状況を維持、建物火災の焼損面積も過去最少となった。救急車現場到着時間の全国平均より約2分早く、政令市トップ水準だ。
6.「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震・防火リフォーム支援事業」の再構築は21年度までの補助制度を上回るものに
「行財政改革計画」がもたらした弊害はこれらにとどまりません。防災の重要性が言われている中でも、門川前市長は「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震・防火リフォーム支援事業」の新規受付を2022年度から休止しました。休止されるまでの3年間だけを見ても、年間724件から533件と多くの市民の活用がされていました。松井市長は予算案でこの制度の再構築を提案されています。門川前市長の行財政改革があまりにも現実離れをしていたため、見直しは当然です。能登半島地震では家屋倒壊による圧死が92人、41%に上ったことを見ると未然に防ぐためには、耐震診断と耐震化を大幅に推進することが必要です。休止された制度を再構築する際には、例えば個人負担を軽減するために補助率を90%にするなどの改善をすべきです。いかがですか。
【答弁→坂越副市長】 耐震診断は無料で診断士を派遣、耐震化は「まちの匠・ぷらす」として補助額を2倍以上に引き上げ、全国最高水準の手厚いものにする。屋根軽量化などの「簡易改修」支援、感震ブレーカー設置の対象区域を大幅に拡大する。
7.「個人市民税の均等割減免制度の廃止」は撤回せよ
次に深刻な市民生活への支援についての認識を伺います。
来年度から始まる予定の「個人市民税の均等割減免制度の廃止」に対する認識です。57もの福祉施策に与える影響は子どもから障碍者、高齢者に至るまでが対象ですから幅広く深刻です。対象はこれまで非課税だった方です。支援が必要な低収入の方に対する大幅な負担増ですから、あまりにも残酷な負担増と言わなければなりません。例えば、後期高齢者医療における高額医療費の限度額は、外来で月8,000円だった方が18,000円に、国民健康保険の70歳未満の方では月35,400円が57,600円と大幅負担増となります。介護保険では、施設入所の自己負担上限額は月15,000円の方が44,400円になります。保育料や一時預かり、障害者支援施策についても大幅な負担増です。障害者日常生活用具については負担0円が月18,600円。障害者施設入所は0円が月37,200円になります。これらは57事業のほんの一部です。負担できなければこれまでの施策をあきらめざるを得ません。医療難民、介護難民を生むなど弱者切り捨ての京都市にしていいのでしょうか。松井市長はこのような冷たい施策は撤回すべきです。いかがですか。
【答弁→行財政局長】 制度廃止により影響が生じる福祉施策については、来年度から最長7年間経過措置を講じる。市民や事業者からの相談に丁寧に対応する。
8.高すぎる国民健康保険料は引き下げを
次に高すぎる国民健康保険料についてお聞きします。
来年度は京都府への納付金が28億円の大幅増となりました。京都市は本来ならば、保険料の引き上げが必要だが、異常な「物価高騰による被保険者の厳しい生活状況を踏まえ、保険料率を据え置く」ことを提案しました。一方、国が後期高齢者支援分の保険料の最高限度額を24万円に2万円引き上げをすることに合わせて、高額所得者層の保険料を引き上げ、中間所得者層の保険料負担を緩和すると提案しています。しかし、保険料率を据え置くために国保基金を活用した結果、基金の残高は10億1000万円に減ったため、令和7年度の保険料は値上げせざるを得ないとしていることは認められません。来年度の保険料率を据え置く判断は必要なことですが、現状でも高すぎる保険料の要因のおおもとには、国の医療費抑制方針があり、被保険者数の減少と共に、低所得者、年金受給者の比率が高くなっているという構造的な課題に対する国の対応があまりにも脆弱なことにあります。令和7年度も含めて引き下げるために京都市として、あらゆる方策を打つべきです。そして、国に対し、国庫負担率の引き上げを強く求め、保険料の引き下げに道を開くべきです。いかがですか。
まずここまでの答弁を求めます。
【答弁→保健福祉局長】 令和6年度は、府への納付金が大幅増加し、本来保険料引き上げが必要だが、被保険者の厳しい生活状況踏まえ保険料率を据え置く。令和7年度は基金残高が減少し、保険料引き上げを検討せざるを得ない状況だが、府と連携を一層密にし、検討する。引き続き国へ要望していく。
【西野議員】 答弁をいただきましたが、いま、パーティー券による裏金問題が大きな世論になっているにもかかわらず、政治資金パーティーはしないとはっきりとした答弁をされませんでした。これでは市民の理解は得られないことを指摘しておきます。
市民を苦しめてきた「行財政改革計画」撤回についても明確な答弁はありませんでした。市長は「施策等を市民目線で集中的に点検」「市民の意見を積極的に広く頂戴し」とおっしゃっていますが、市民の声は「行財政改革計画」の撤回です。必要なのは投資的経費の見直しです。これでは時計の針は前に進みません。そのことを申し上げておきます。
9.ムダな大型公共事業はやめ、市民生活優先の税金の使い方に切り替えを
次に大型公共事業のあり方について3点お聞きします。
1点目は、単年度は黒字でも公債償還基金からの借り入れ返済が460億円残っているとする一方で、市長の「政策集」には「都市の持続的成長に向け、堀川通の機能強化、大津方面や亀岡方面を結ぶ広域的な道路ネットワークの構築を国と連携して進めます。また、休止されている道路整備については、改めて精査の上再開します」とされている問題です。堀川通については、堀川通地下バイパストンネル計画の復活を指しておられるのでしょうか。交通量調査結果を見ても、他の一般道路との比較で大きな差はありません。京都市内の車の分担率は低下しており車の総量は減少しています。あえて堀川通の機能強化を提案された理由はどこにあるのでしょうか。2004年当時でも工事費が1200億円と言われていました。現在では2倍以上になることも考えられるのではないでしょうか。また、休止されている道路整備についても再開するといわれていますが、例えば「行財政改革計画」で休止中の鴨川東岸線第3工区は総事業費約70億円です。再開する必要はありません。今の京都市にそのような余裕があると考えておられるのでしょうか。税金の使い方の優先順位が全く逆ではありませんか。堀川通地下バイパスを含め国道1号線・9号線のバイパスについても必要はありません。くらしの予算を減らしたまま、大型公共工事のみ増やすのですか。市長は門川前市長と同じ道を歩むつもりですか。ムダな大型公共工事はやめ、市民生活の下支えを優先した税金の使い方に舵を切るべきです。いかがですか。
【答弁→行財政局長】 能登半島地震で、インフラ施設の重要性が改めて明らかになった。公共事業は都市基盤整備であり、経済波及効果も大きいことから、将来負担を的確にコントロールする中で、機を逃さず進めていく。堀川地下バイパスや国道1号線・9号線バイパスなどは、災害時の緊急輸送道路でもあり、財政負担を最大限軽減するための工夫等について国に求めていく。
10.北陸新幹線京都地下延伸計画は中止を
2点目は北陸新幹線京都地下延伸計画についてです。市長は選挙中に北陸新幹線京都延伸計画について、「関西全体の発展につながる国家プロジェクトであり、第二国土軸の必要性は十分理解する」とおっしゃっていました。しかし、現在の計画についての立場は明らかにされていません。「十分に説明を尽くすことを求めていく」と述べておられるのみです。市長選挙での大きな争点にもなった総事業費については、当初2兆1000億円と言われていた建設費が、4兆円を超えるのではないかともいわれています。事業者、国、地方自治体の負担はどのようになるのか、全く明らかにされていません。全延長の45%が京都市域になります。京都市の負担は1000億円を超えるともいわれている中で、京都市がその負担に耐えられると思っておられるのでしょうか。このまま突き進むと、この計画だけで京都市の財政は吹っ飛んでしまいます。それでも現計画の見直しが必要という認識はありませんか。市民生活を犠牲にしてまで進める事業だとは到底思えません。現計画の中止をはっきりと表明すべきです。
また、この計画は京都市の地下に流れる良質で豊富な地下水への影響も計り知れません。琵琶湖に匹敵する水量が流れているといわれる地下水は、京都の地場産業でもある豆腐、お酒、和菓子などに留まらず表具などに使う糊にも最適だといわれています。京都の経済を支える地場産業を守ることこそ必要ではありませんか。また、京都府が少なくとも1000万㎥発生すると認めている大量の土砂についての責任ある方策が示されていません。土砂災害が多発する中、国においても盛土規制法が強化され市内全域が対象とされています。市内のどこにも大量の発生土を処理することは不可能です。さらに、その土砂を運搬する10トンダンプが15年間で延べ180万台が走り回ることによる大気汚染は京都市の掲げる2050年CO2ゼロの削減計画の足を引っ張ることになるのではありませんか。また、東海地震が発生した場合の代替機能が必要だと言われていますが、南海トラフ地震が発生すれば、京都市内にも大きな被害が想定されています。市内を走る断層は花折断層だけではありません。大小さまざまな断層があり、地下40mの大深度は安全だという保障はありません。奥深く地下にある線路において脱線が起きた場合、どうやって乗客を避難させるのでしょうか。地上へ通じるのは5㎞から10㎞の間隔で設置される立抗や斜坑しかありません。花折断層が震源の地震では地盤断面が2.4mずれると想定されているなかでどうして安全を確保することができるのでしょうか。さらに新大阪駅付近が津波の被害に襲われるということが、大阪府の地震被害想定において明らかにされています。津波が遡ってくるような状況で、代替路線の役割を果たせるのでしょうか。大地震の際の代替路線どころか、地震の際の避難対策すら見通せないではありませんか。これら様々な問題が指摘されている中で、市長は「自然環境や市民の生活環境、地元の財政負担に最大限配慮した計画になっている。しっかり精査し、慎重に判断」と述べています。もし、問題点が明らかになれば計画の見直しも含めて「判断する」と理解していいのでしょうか。福山候補をはじめとして市長選挙で北陸新幹線京都地下延伸計画に反対や見直しを訴えた候補者の得票率は計62%で民意は明らかです。それでも見直すという考えはお持ちではないのでしょうか。早急に現計画中止の判断を求めますがいかがですか。
【答弁→総合企画局長】 北陸新幹線は日本海国土軸の一部であり、重要な国家プロジェクトだ。自然・生活環境への影響の可能な限りの回避・低減、地方負担の極小化を国に求めている。ルートや施工方法などが明らかになり次第、精査し、慎重に判断する。
11.万博関連予算は見直し、早急に中止の立場に立つべき
3点目は万博関連予算についてです。
共同通信社が昨年11月に実施した万博に関する世論調査の結果は、「万博は不要」と答えた方が3人に2人にあたる68%にも上り、「維新支持」層でも65%が「不要」と答えました。インフラ整備も含める関連予算が13兆円を超える状況に、「万博は中止して、能登半島地震の支援に回すべき。中止、延期も含めて実施を強行していいのか」という世論が広がる中、市の予算案は新規・充実施策で4390万円と昨年度の約4倍近くにも増加していることは重大です。万博関連予算は、見直す時ではないでしょうか。今年の4月12日までに中止の決断をすれば、国が払う補償上限は348億円で済みます。早急に万博中止の立場に立つべきです。いかがですか。
【答弁→産業・文化融合戦略監】 大阪・関西万博は世界に京都の魅力を発信するチャンスであり、京都の更なる発展につなげていくことが重要。機運醸成や京都への誘客につなげるための京都ブースを活用した企画など、今後も「オール京都」の一員として役割を果たしていく。
12.能登半島地震の教訓からも、原発の停止・廃炉求める立場に立つべき
次に防災にも関連する原発のあり方についてです。
1月1日に発生した能登地域の大震災は、志賀原発の危うさを浮き彫りにしたのではないでしょうか。能登半島北部の活断層は、当初96㎞と想定されていましたが、結果は東西150㎞にわたって動いたとされています。能登半島の西側にある志賀原発は、長期にわたって運転停止中だったとはいえ、変圧器が損傷して油漏れが発生しました。そして、外部電源の受電用系統が一部使えなくなり、放射線量を測定するモニタリングポストが116台中18台で測定が確認できませんでした。志賀原発が立地する志賀町の町長は「海にも空にも逃げられない」と述べられています。原発が集中している若狭湾沿岸地域に隣接する京都も他人事ではありません。老朽原発が多いこの地域には、数多くの活断層が走っています。今回の能登地震のように想定外の断層移動がないとは断定できません。京都市は関西電力株主総会への提案の中で「原発において、ひとたび大事故が発生すれば、住民の命が脅かされ、くらしや経済活動への影響は過酷なものになることを忘れてはなりません」としながら、あくまで脱原発依存の立場です。しかし、能登の大震災でかつて安全だとして原発の建設計画があった珠洲市でも、断層が動き約1mも地面が隆起したことからも日本国内には安全な原発は存在しえないことが、明らかになったのではありませんか。一刻も早くすべての原発の廃炉に向けての立場を明らかにすべきです。大飯原発から100キロ圏内に京都市内全域が入り、琵琶湖は40キロ圏内にあります。琵琶湖の水が汚染されれば京都市民の命の水が確保できなくなりますから、京都市民を放射能から守るために一刻も早く原発を止め、廃炉にすべきです。いかがですか。
【答弁→危機管理監】 平成24年3月の市会決議も踏まえ、原発に依存しない社会を目指す。原発に依存しない安定した電力供給体制が構築されるまでの間、原発の運転する場合は、万全の安全性確保と立地住民の同意を大前提に、必要な範囲に留めるべきという基本的立場に変わりはない。
13.東部クリーンセンター跡地は市民のために活用を
次に東部クリーンセンターの跡地活用について伺います。
東部クリーンセンターは1980年から30年間稼働し、2013年度3月に休止しました。旧余熱利用センターを含め4万4000㎡という広大な土地で地下鉄石田駅にも近く、便利な場所にありますから、市民からは子どものために「思いっきり遊びまわれる公園にしてほしい」、高齢者からは「高齢者施設や子どもが遊ぶ姿を見ながら休憩のできるスペースがあれば元気になる」などの声があります。また、敷地内にある老人保養センターは地域の高齢者の交流の場であり、特にお風呂は毎日通っているという方も少なくありません。特に一人くらしの方からは「人の目があるので安心してお風呂に入れる」と言われています。だからこそ、2013年にクリーンセンターが休止する際には、余熱利用センターとして稼働していた温水プール、保養センター、図書館を残してほしいという大きな運動が起こったのです。温水プールは廃止されてしまいましたが、新たにボイラーを設置してお風呂と図書館は残りました。この施設の指定管理者の指定期間が2029年度まで提案されていますが、引き続き残すべきです。
今、東部クリーンセンターが廃止され、跡地活用にむけて土壌調査が進められています。地表から50cmの深さの表層調査の結果で10mまでの深度調査も行われる予定です。表層調査で5000万円の予算ですから、今後予想される深度調査や汚染土壌の処理なども含めれば1億円を優に超える費用が必要になると考えられます。更地にした場合の売却価格が41億7000万円との鑑定がされていますが、建物除却の27億3000万円の見込み額と土壌調査などの費用を差し引くと、土地の鑑定額の約4分の1程度の額で売却ということになります。ここまで税金を使うのならば、市民のために活用すべきではないでしょうか。市民が努力してごみを減らした結果できたクリーンセンターの跡地は市民の財産です。東部クリーンセンター跡地について、老人保養センターと図書館を市の施設として残し、土地は民間売却ではなく、市民のための活用をすべきです。いかがですか。
【答弁→総合企画局長】 貴重な大規模市有地で、昨年の都市計画見直しの対象エリアであり大きな可能性を有する一方で、土地の不整形や既存施設撤去に約30億円要すること、土壌汚染状況が不明なことなど課題もある。活用にむけてはこれまで事業者からの提案を求めてきたが、具体的な活用提案には至っていない。跡地活用方法や老人保養センター・図書館の在り方は、地域のご理解を得る中で、民間の知恵や活力も借りながら検討をすすめる。
【西野議員】 松井市長は議会においても、市長を応援された政党だけではなく、広くすべての議員の声にも耳を傾けることが必要です。また、投票率は4年前より0.96ポイント向上したとはいえ、41.67%と約6割の有権者が投票しませんでした。市長の得票は、有権者の15.6%です。残り84.4%の市民の声もしっかりと受けとめて市政運営をすべきことを申し上げて私の質問を終わります。