「地区計画の区域内における建築物等の制限に関する条例」一部改正の議案に賛成討論,平井議員
2023.12.12
日本共産党市会議員団は、「京都市地区計画の区域内における建築物等の制限に関する条例の一部を改正する条例の制定」について賛成の態度を表明していますので、私はその理由を述べて討論を行います。
まず、姉小路かいわいや祇園四条です。この2つの地区計画は、住民や事業者の発意で規制が強化されており、地域の実情や課題をそこに住む人やそこで働く人が問題意識を持ち、協議会などの集団をつくり、議論を通して形にしていくことは非常に重要であると考えます。
姉小路かいわいでは、住民の熱心な取り組みを受けて、町家保全や建築物の用途規制が行われ、特にマンション建設を最小限に抑えてきました。今回の地区計画の変更では、さらにA地区において「日用品の販売を主たる目的とする店舗で午後10時から翌日午前7時までの間において営業を行うもの」と、いわゆるコンビニ営業の進出を抑える新たな提案がされています。このように住民のみなさんが主体となる、まちづくりを進めるための地区計画の提案であり、賛成いたします。
しかし、西院イノベーション促進地区と洛西ニュータウン・タウンセンター地区計画については、問題があります。西院イノベーション促進地区では、元々の地区計画の範囲を広げ、一企業における高さや容積率、建築物の用途の制限などの設定変更が示されていまして、元々この区域は工場などが多い地域でありましたが、地域全体がほぼ一企業だけの地区計画となります。準工業地域における規制強化により住宅、学校、病院、老人ホーム、公衆浴場等が建てられなくなり、このことは居住空間を狭めることにつながります。企業の活動計画そのものを引き続き注視したいと思います。
洛西ニュータウン・タウンセンターにおける今回の地区計画の変更は、すでに都市計画審議会で、容積率、建蔽率、高度、用途地域などが決定されていますが、規制緩和の一連の流れでマンション建設を可能にするものであり、市長の言われる「都市の成長戦略」のもとで、高さ規制をなくし、31m以上のマンションを含む複合施設を可能にしています。際限のない高さの規制緩和はやめるべきです。しかも、敷地内にあるURや周辺市営住宅に空き室があるにも関わらず、そこへの入居も根本的に促していません。
京都市は「2018年の空き家率は5%であり、新たな方が入ってくる器が少ない。若者にニーズのある分譲マンションをタウンセンターでも建設できる」との旨の答弁をされましたが、空き家率について、コロナ前の調査であることや若者のニーズが分譲マンションだけなのかという点、分譲マンションの場合、売買価格が大きく跳ね上がることなどは全く想定されておらず、一気呵成に進めず、まずはニーズを把握する必要があります。
総じて、洛西ニュータウンの活性化のカギは住宅を単純に増やすこと、受け皿を大きくすることではなく、住んでいる人の要望に沿って、日常生活の根底にある公共交通や医療などの福祉施設、日用品購買施設の充実であり、この根本問題の解決を主眼にプロジェクトを進めるべきです。
最後にまちづくりは、事業者が主導で開発中心に行うものではありません。その地域で住んでいる方や働いている方が生活する中での発意や総意が大切にされる地区計画が肝要です。京都市は地域の主体的な意見を尊重し、市民に寄り添うことが必要です。このことを求めて討論を終わります。どうもありがとうございました。