日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

「軍拡財源確保法案」を今国会で採決しないよう求める,意見書について討論,河合議員

2023.05.29

  日本共産党市会議員団は、 「『我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案』 を今国会で採決しないよう求める意見書(案)」に賛成し、維新・京都・国民市会議員団、立憲民主党市会議員団、民主市民フォーラム市会議員団提案の「防衛費増額のための安易な増税を行わないことを求める意見書(案)」に反対しています。 私は議員団を代表し、討論します。

 岸田政権は、『我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案』いわゆる「軍拡財源確保法案」を、現在開会中の国会で成立させようとしています。しかしながら、衆議院ではわが党のみならず、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党が反対しました。重大な問題があるがゆえではないでしょうか。本法案は、安全保障関連3 文書 に基づき2023年から2027年度までの5年間で防衛費43兆円にするために防衛費を捻出しようとするものです。その内容は、第1に、税外収入による防衛力強化資金の創設、第2に決算剰余金の活用、 第3に税制措置 、第4に歳出改革であり、看過できない問題があります。

 まず流用の問題です。特別会計などの流用により4兆6000億円を確保し、そのうち1兆2000億円を今年度の軍事費にあて、残り3兆4000億円を防衛力強化資金に繰り入れて、来年度以降の軍備の拡大に使うとしています。これは憲法86条と財政法11条に規定する予算の単年度主義の破壊であり、財政民主主義をも壊すものであります。4兆6000億円の税外収入には、国立病院機構や社会保険病院などを運営する地域医療機能推進機構の積立金の一部を返納されることも含まれています。医療に回すべき財源を軍備拡大に回すなど本末転倒であります。

 また、国の会計で歳入が歳出を上回った時の差額である決算剰余金。この活用は3兆5000億円が見込まれていますが、決算剰余金は、これまで補正予算の財源に充てられてきたものです。これを軍事費に回すとなれば、補正予算の財源が不足し、必要な予算を確保するために、赤字国債を増発せざるをえなくなります。軍事費に国債をあてるという戦時国債の無制限の発行が侵略戦争拡大につながった反省にたって、財政法4条で原則禁止とされた国債発行という「禁じ手」に踏み出すものであり、とうてい認められません。

 さらに政府は、増税によって最大3兆5000億円を確保しようとしています。「税制改正大綱」では、法人税、たばこ税の増税に加えて、東日本大震災の被災地復興のための復興特別所得税を回すとまで言っています。「復興のため」といって国民に求めた税を詐欺的に流用したうえ、期間の延長によって庶民増税をおしつけるものです。しかもこの問題での中央公聴会も地方公聴会も開かれず、被災地の人たちの意見も聞かれていません。被災地はもとより、国民の大きな批判が起こるのも当然ではないでしょうか。

 加えて、政府は歳出改革によって3兆円余りを捻出するといいますが、衆議院の委員会でのわが党国会議員の質問にたいして、岸田首相は「どこをどう削るか」を明らかにしませんでした。全くもって不透明であります。これら全ては大軍拡を進めるためのものであります。

 その上、安全保障三文書で政府が示した軍拡計画は10年後まで続き、高額兵器購入に伴う後年度負担も雪だるま式に膨らみます。2023年から2027年の5年間に政府が契約した兵器購入費のうち2028年度以降にローンで支払う額は16兆5000億円にものぼります。防衛費は5年間で43兆円では収まらず、新たな予算確保が避けられません。維新・京都・国民、立憲、民フの意見書(案)で述べられている「安易な」増税の前提は大軍拡であり、増税を止める唯一の道は大軍拡を止めることであります。その一里塚である財源確保法(案)を止めることがどうしても必要なのではないでしょうか。

 今、共同通信の世論調査では防衛増税に約8割が 「反対」し、約9割が岸田首相の説明を「不十分」としています。 国民の理解は得られていません。同時に、いま物価高騰等により国民生活が苦しくなっている下で、国の予算は軍事費拡大ではなく医療や福祉、教育、子育てなど国民のくらしやいのちに最優先して充てられるべきです。

 よって、今国会で本法案を採決すべきでないと、いま政府に意見を上げるのが本市会の責務であります。

 以上申し述べて、私の討論といたします。