日本共産党 京都市会議員団

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議会質問・討論

後期高齢者医療広域連合議会「個人情報保護法施行条例案」などについて

2023.02.10

議案第2号「個人情報保護法施行条例案」について質問します。

1、本条例の元になっている、そもそもの「個人情報の保護に関する法律」自体について、以下、何点か質問します。
(1)本法目的には「個人情報の…効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会…の実現に資するものであること」とありますが、具体的に説明されたい。
(2)法13条「…その区域内の事業者に対する支援…」とありますが、事業者とは具体的にどういう事業をされている者が想定されているのか。支援とは具体的にどういうことか。説明されたい。
(3)法69条2項「侵害するおそれが…」とありますが、この「おそれ」の基準は何か。おそれがあるかないかは誰が判断するのか。同項第4号には、前3号のような、保有個人情報の提供先について何も書かれていないが、この号はどこの誰に提供することが想定されているのか。「明らかに」とか「特別の理由」の「特別」について、明らかかどうか、特別かどうかは誰がどういう基準で判断するのか。

2、条例案への質問です。
(1)3条第1項第7号「法第69条第2項の規定による保有個人情報の利用又は提供を経常的に行うときは…」とのことですが、これは、本条例では「その利用の範囲又は提供先」を記載した帳簿を備え付けさえすればいいという意味であって、「利用又は提供を経常的に行う」こと自体の条件は法第69条第2項の規定によるので、本条例では既に前提とされている、という理解でいいのですか。
(2)上の場合、「経常的」の定義はどうか。「経常的」でない場合は帳簿に記載しなくていいのか、又は帳簿を備え付けなくてもいいのでしょうか。

3、議員提案条例案との関係
(1)議案第2号と発議第1号は、執行機関と議会とで別の条例として提案されていますが、前者の「行政機関の長等」の補助機関である広域連合職員と、後者の議会の補佐である職員とは明確に区別されていますか、それとも同じ職員が仕事上、区別しているのですか、それとも混然一体となっているのですか。最後の場合、別々の条例への対応で困ることはありませんか。

(第二質問)
 次の議案第3号も、議員提案による発議第1号も、いずれも、改正された個人情報保護法が元になっており、これら三つの条例案は、法の具体化にあたり、可能な限りその利用活用の抑制をめざされているのは分かりますが、やはりその法律は要するに個人情報の「保護から利用活用へ」との方向への改正ですから、先程のご答弁をお聞きしても、その法律への疑念は拭えません。私は法律には不案内ですが、条文を読む限り、地方公共団体が何かをするにあたっては「この法律の趣旨にのっとり」とされるでしょう。その趣旨はといえば「利用活用」となると思われます。突然「個人情報取扱事業者」とは…、と出てきて、それは「情報を事業の用に供している者をいう」というだけですし、更にこの事業者が「個人情報を取り扱うに当たっては」と、これまた取扱い自体が前提とされている上に、加えて、事業者による情報利用目的の特定は「できる限り」でいいとされる等々、そもそも事業者なる者が情報を取り扱ってもよいという規定がなく、それは前提とされた上での条文の展開になってるように思えます。これで保護になるのかと心配になりますが、立法者の意図は「そもそも保護ではなく利活用です」ということなのでしょうか。目的を中心に、この法律の趣旨のご説明を求めて質問とします。

議案第8号「2023年度特別会計予算」について質問します。

1、本広域連合としての、2023年度の、予算編成にあたっての目標は何ですか。制度の現状をどう認識し、制度や運用上の改善への課題の有無、それが有るとすればその改善への方向をどう考えておられますか。
1、介護予防との連携や、地域の公衆衛生活動・保健予防活動の展開についての方向は?
1、健康診断受診率向上策はどうですか。
1、府内各医療圏毎の医療提供体制の現状はどうか。国の、ベッド削減方針等の医療政策の府内への影響はどうですか。
1、コロナでの搬入困難事例や、コロナによる一般疾病の入院・治療等への影響の事例はどうか。新年度の見通しはどうですか。
1、コロナによる傷病手当金が措置されてきた教訓から、これを来年度以降、傷病一般にも拡大適用していくことについて、被用者被保険者の人数や見込み額試算等、調査研究を来年度課題としてはどうですか。
1、これらの点について考える参考として、昨年11月17日付の「全国後期高齢者医療広域連合協議会の対厚生労働大臣宛て要望書」を手掛かりとしてお聞きします。
その(1)京都府広域連合からの持ち込み要望案はあったのかどうか。有ったとすればその提案のいきさつと顛末は如何ですか。
その(2)保険料と窓口一部負担金軽減は、一広域連合だけでは難しいとは思いますが、だからこそ、こういう要望書ではもっと明確に、それらの軽減について要望すべきではないでしょうか。
その(3)マイナンバーカードについては、特に後期高齢者については、なじみが薄いものであると思われます。健康保険証への代替転用は避け、あくまでも被保険者の任意に任せるべきことを強く要望すべきではないですか。
その(4)標準システムについては、各都道府県広域連合またはそれらを構成する各広域連合内各市町村の独自施策が有る場合、或いは今後有り得るとした場合、それらの展開への妨げになるようなことはないかどうか。如何でしょうか。
その(5)本要望書に倣って、本府広域連合独自の、対厚生労働大臣宛て、要望書の練り上げ・作成・全国協議会への提案または独自の提出、との方向性については如何ですか。

(第二質問)
 物価が上がり年金は実質値下げですから、保険料や一部負担金の引き上げはできるだけ避けたいという認識と、従って国への要望を強めようという方向が新年度の課題のひとつだと私は思います。
 健診や保健予防活動については、以前、健診を市町村から各保険者に移したことが失敗だったと私は思っています。当時から私は反対でした。広く、公衆衛生、保健予防活動への自治体の役割も財政も縮小し、保険者に任せても、各保険者にその為の体制が十分にあるわけではありません。後期高齢者広域連合なら尚更です。市町村の役割に戻し、保険者がそれに協力するという方向は如何でしょうか。
 コロナについては、国において、位置付けの緩和の方向ですが、私はそのことよりも前に、医療提供体制の拡大充実と医療機関への一層の支援が目下の課題だと考えます。京都市に感染者等の数字を聞きますと、10歳毎の数字しか把握していないということで、70歳以上と80歳以上の数字の差の1/2を単純に差引きしますと、75歳以上では、感染された方約27,000人、亡くなられた方約700人と推計されます。京都市の被保険者は53%ですから、これもごく単純に割り戻しますと、ざっと52,000人、1,320人の被保険者の皆さんが感染され、亡くなっておられることになります。引き続く対策の充実強化を求めておきます。
 次に、要望書についてですが、窓口負担の見直しや制度の運営体制については、「コールセンターの期間延長」や「慎重な検討を」等と遠慮がちな表現になっていますが、財政関係についての項目を前に持ってきて、もっと強力に「国庫負担割合の増加」との項目を掲げ、財政「支援」というより、国の財政「責任」、せめて「役割」ぐらいの言い方をしてもいいと思いますが如何でしょうか。
 マイナンバーカードについては、妥協的な言い方でなく、健康保険証を「廃止しないこと」と、もっとその点を明確に要望すべきだと思います。生涯一回とはいえ、利用の申込みは、高齢者にとっては簡単なことではありません。根本的な問題として、任意の、自発的カード非取得者の医療へのアクセスを奪うことは、国民皆保険の大原則上、絶対にできません。つい一昨日、政府はマイナ保険証を取得しない人に「資格確認書」を発行すると報道されています。カード所得を強制できないことも、医療を奪うこともできないことを、政府自身が認めた格好になっています。そんな姑息なことをするぐらいなら、カードと保険証の併用でいいではないですか。強制するな、医療を奪うなと、キッパリした要望とすべきことを求めます。そういう主張が全国の合意を得られないなら、私は本府広域連合独自の対国要望も、今後考えていけばいいと思いますが如何でしょうか。
 質問というより意見表明のようなことになりましたから、第二答弁は、可能な範囲で結構です。以上で終わります。

請願の紹介

 二つの請願が出されていますが、紹介議員として、私から、その趣旨を一括して紹介させて頂きます。
 請願第1号は「後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担の引下げ等を求める」ものであります。保険料や一部負担金の高騰が被保険者に及ぼす実態の一端については、請願者からの添付資料を、是非ご参照願いたいと思います。既に昨年12月15日、厚労省の社会保障審議会では、来春2024年度の保険料改定について、一人当たり年間平均4,100円増となる最終案を了承したと報道されています。問題は、必要な保険給付費の一定割合を被保険者の保険料で賄おうとする本制度の仕組み自体にあり、これは被保険者の負担能力を全く考えないやり方であります。高齢になれば誰でも病気がちになるのは当たり前の話であって、しかも高齢者だけを囲い込んでいるという根本的な本制度の問題点からすれば、高齢者人口の増加と、人生にとって最も喜ぶべき長寿化との進行によって、その水準が一定の高止まり状態の成熟期に至るまでは、給付費が増加傾向であるのもまた当たり前の話であって、この構造的問題点への対処方法は、リスク分散という保険制度本来の姿である、全世代を対象とした被保険者構成とすること、若しくは給付費と保険料をリンクさせず、保険料の考え方を負担能力に応じた水準へ、その基準を変更することしかありません。そもそも医療や社会保障に要する経費は「国が向上及び増進に努めなければならない」との大原則が前提であり、負担能力に応じた保険料負担総額と給付費との差額は、国が必要な負担区分として措置しなければならない性格のものだと私は考えます。いわば定例的な値上げ予告制度ともいうべき2年毎の見直しなどというやり方自体を、根本的に見直すべきであると考えます。

 一部負担金については、そもそも保険料を払っているのに、なぜ保険給付を受ける際に更に負担が重なるのか、保険料納付、保険事故に遭遇、給付を受けるという一般的な保険原理の流れに照らしても全くそぐわないものであり、研究者によっては二重取りだとの指摘もあり、又実際欧州先進国では原則無料化が実現しています。医療機関や保険医の先生からは、昨秋の2倍化による一層の受診抑制傾向も報告されています。
 私のところの京都市では、敬老乗車証の交付を受ける際の負担金の引き上げや、そもそもの制度の対象者自体を年齢や所得によって狭めるという仕組に変更してしまっておりますが、目先の経費節減だけを目的にしたやり方は、結局、長い目で見た場合、外出抑制、受診抑制、そして社会生活全般への参加抑制となって、却って医療費や介護費用の増加傾向に連動していくのではないでしょうか。

 今般、まことに僅かながら保険料減免の対象が拡大されようとしていることについては、勿論歓迎すべきことでありますが、そもそもからいえば、本府広域連合被保険者の所得割基礎額は、100万円未満が82%も占め、減免適用が66%にも及んでいること自体が、既に被保険者所得水準と基本な保険料ベースとの乖離が生じている、保険料水準が高すぎることの証明です。物価が上がり、介護保険料・介護利用料も増加傾向の上更に国はケアプラン有料化も含め一層の引上げを計画、加えて年金は実質値下げ等々、タテ割行政の各担当部署では、それぞれその限りでの負担増であったとしても、それらをトータルで被るのは正に被保険者個人に集中することはいうまでもありません。是非、切実な実態に議会としても対応すべきであると考えます。

 傷病手当金の改善については、これを自営業者にも拡大することと、コロナ感染症に限らず一般の傷病にも拡大することとの2重の課題があると思います。特に後者については、コロナから傷病一般への拡大適用が大きな課題です。現職の労働者が、同じ職場で同じ仕事を続けているのに、75歳になった途端に制度が目の前から消えてなくなるというのは制度間の整合性がとれていないと言わない訳にいきません。制度発足当初は75歳以上の労働者を想定しにくかったのかも知れませんが、現に、少数とはいえコロナに限っても該当者がおられます。高齢者の医療確保法では、その第86条で「後期高齢者医療広域連合は…条例の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の…給付を行うことができる」とされていますから、これは専ら、本府広域連合独自の判断で可能です。またこの問題について考える場合、国保でも、少なくとも被用者労働者については制度を創るべきだと考えます。私の京都市で言いますと、国保被保険者のうち、被用者は1/3を占めています。各市町村や、また今日では府も保険者とされていますから、是非検討されるよう呼びかけておきたいと思います。

 また請願第2号は「後期高齢者医療被保険者証廃止を行わず、マイナンバーカード取得強要の中止を求める」ものであります。ご承知の通り、国は、来年秋、現在の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化するとの方針を打ち出しています。しかし一方、「行政手続きにおける特定の個人を識別する為の番号の利用等に関する法律」、即ちマイナンバー法は、第16条ー2や第17条で「住民基本台帳に記録されている者の、申請に基づき、申請により」と、任意取得の原則を定めています。「医療保険法の一部改正」でも、カードの健康保険証としての利用は「できる」とされているだけです。任意で取得しない人は、医療機関に行けなくなるのでしょうか。こんなおかしいことはありません。法律に基づく大原則が、なぜ一片の閣議や、まして担当大臣の記者会見だけで踏みにじられなければならないのでしょうか。これは、任意でカードを申請しない人の、広く健康保険法上に基づく診察や治療の権利を奪うことに他なりません。マイナンバー法にも後期高齢者医療保険制度にも反する、二重の意味で大問題と言わなければなりません。「しっかり広報する」とか「デジタル社会だから取得は当たり前」等と国は言いますが、こんな言い草は法的には何の意味もありません。事実上、カード取得を強要する強権的な手法は法律違反ですし、また憲法で謳う個人の尊厳にも反するものです。請願書の言われる通り、国においては、直ちに方針を撤回すべきであります。

 以上述べた点は、マイナンバーカード自体への評価とは全く関係ありません。制度の枠組み上、取得の有無は任意ですから、取得している人もそうでない人も、保険証の廃止はおかしいという点で一致できるものと確信します。請願はこの立場からのものであります。その上で、以上を前提に、議論の補強の為、以下、私の、カードへの疑問を申し上げます。
 同カードは、法律で「効率的な情報の『管理』及び『利用』」と書かれ、また「公正な給付と負担の確保」とも書かれています。管理は本人と自治体以外の管理も否定されておりませんし、利用とは誰の何の目的での利用かについても、限定や歯止めがある訳でもありません。第6条では「個人番号…を利用する事業者は」と書かれています。個人の医療履歴や情報、投薬の内容や経過等々を誰がどのように利用するのか、事業者とは誰なのか、具体的には何も分かりません。併行して進められている個人情報保護制度や国の「デジタル化」の昨今の一連の法改正や動向によると、「データの円滑な流通、個人情報の有用性、効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会の実現に資する」等々の言葉が躍っています。カードの利用が便利になりすぎて自治体や医療機関の窓口がATMのようになれば、公務や医療における対人関係が希薄になったり、民間の事業者にも代わりが可能にもなってくると言われています。カードが運転免許証にもなり、納税にも使われる、自治体と国との管理・連携が強められる、等々の動きになってくれば、個人情報は、単に医療分野のみならず、国も警察も税務署も、そして更には IT大企業にも行き渡ることにもなっていくでしょう。既に膨大な情報は経済界にとって「21世紀の石油」とも言われるぐらい、利益の源泉になるとされています。

 最後に私の希望を申し上げます。現在、紹介議員に限定されている請願書の趣旨説明について、請願者からの申出があればこれを認めることにしてはどうかという希望です。この点につきまして今後の改善方を希望しておきます。
 二つの請願の採択を呼びかけまして、紹介とさせて頂きます。