2025年度一般会計補正予算に反対討論,とがし豊議員(左京区)
2025.12.26
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日本共産党京都市会議員団は、議第214号2025年度一般会計補正予算に反対しておりますので、その理由を述べ、討論します。
今回提案されている12月補正予算は、国の経済対策重点支援地方交付金104億円のうち72億円を活用するとともに、全国一律に子ども一人あたり2万円を給付する国の財源37億円を活用するものです。非課税世帯の市民の24万5000世帯に対して1世帯5000円を給付する「暮らし応援給付金」17億円、子ども一人につき2万円の全国一律給付に京都市独自に5000円を上乗せする「物価高対応子育て応援手当」46億円は、物価高に苦しむ市民を支援する必要なものであり、速やかな実施が求められています。
しかしながら、「生活応援デジタル地域ポイント給付」45億円の予算については、実際の使用開始には8か月もの準備期間を要する上、給付を受けるためにマイナンバーカードを用いて手持ちのスマートフォンで申請しなければならず、マイナンバーカードを取得していない4分の1の市民は最初から対象外とされ、スマートフォンによる決済が困難な市民も含め多くの市民の皆さんを制度から締め出すものとなっており、認めることはできません。予算規模としても、市民の5割に相当する額しか計上されていません。
そもそも、国の重点交付金は、物価高騰に苦しむ市民のために京都市に配分されたものであり、当局の説明でも、今回の補正予算は市民を応援するための給付として示されました。事業目的が、物価高騰の影響をうける市民生活応援であるならば、全市民を対象とするのが当たり前です。ところが、対象はマイナンバーカードをもち、なおかつ、スマートフォンなどを持っていることと限定されています。質疑においても、マイナンバーカードやスマートフォンを持たない人への対応を問われた当局は、市民に対してマイナンバーカードやスマートフォンを持つようにとすすめるだけで、別の給付方法には言及しませんでした。デジタルポイントを利用できない市民を排除し、別の給付方法さえも検討しないとはあまりにも酷いのではありませんか。
市民からはこんな声が寄せられています。「この予算はマイナンバーカード普及のためのものではありません。物価高騰対策です。マイナンバーカードを持っていない市民を支援から排除する同制度は公平性に欠くものです」「直ちに市民に5000円を配るべきです」。
別の方は「私は80歳だがマイナンバーカードももっておらずスマートフォンも持たない。私のようなものは対象にしないというのはあまりにも酷い」。また、ある方は、マイナンバーカードをもたずスマートフォンを買い替えるお金もない「私のような貧乏人は補助金すら受け取れないのですか」と切実な声を寄せられています。マイナンバーカードを持ちスマートフォンがあったとしても、スマートフォンの性能やデータ容量の状況次第でアプリを入れることができないケースや、アプリを使う事自体が困難な方が生まれることも容易に想像できます。今回の補正予算はこうした市民の声にこそ答えるものにすべきだったのではありませんか。マイナンバーカードはあくまでも任意の制度であり、その所持の有無によって、物価高騰対策で差別的に扱うことは極めて重大です。スマートフォンを持っていない方を差別的に扱うことも許せません。市長には、平等な市政運営に心がけていただくように強く求めます。
迅速性という点でも、アプリ開発は今からであり、8ケ月先にならなければ使えないデジタル地域ポイントよりも、現金給付の方がはるかに市民の手元に早く届きます。
全市民対象に現金給付を行う岡山市ではおおむね半分の世帯に2月末には現金が銀行口座に振り込まれ、口座を登録していない市民には3月以降に順次支給される見通しです。同じく現金給付を行う新潟市では、現在給付方法の検討が行われており来年5月から6月に給付するとされる見通しです。京都市当局自身も、やろうと思えば、5か月から6か月程度あれば全市民への現金給付は完了できるとしています。岡山市等他の都市の給付方法を参考にすれば、もっと早く市民の手元に現金を届けることは可能なのではないでしょうか。京都市の今回の提案は、アプリ開発を優先し、市民への給付を遅らせるものであり、物価高の中で瀬戸際を生きる市民の苦しみに寄り添う姿勢に欠けるものを言わざるを得ません。
市長は、デジタル地域ポイント給付であれば、登録した市内事業者を支援できると言いますが、どれほどの事業者がこの枠組みに参画できるかは未知数であり、そもそも中小企業への支援というならば、賃上げ支援などの事業者への直接支援こそ検討すべきであります。
以上、今回の補正予算に関しては、重大な問題点があることから反対することを述べ、討論とします。
