いま、京都の世界遺産が危ない!? ―日本共産党京都市議団は「世界遺産保護条例」を提案します―
2025.11.13
みなさんに知ってほしいこと
1.「世界遺産」って何?
2.なぜ「世界遺産保護条例」が必要なの?
3.「世界遺産保護条例」はどんな中身?
4.世界遺産を守るためにできることは?
5.詳しい資料の紹介
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1.「世界遺産」って何?
みなさんは、「世界遺産」という言葉を知っていますか?
「世界遺産」とは、世界中の人々の宝物として守っていく必要がある、とても大切な文化財や自然のことです。国際機関であるユネスコが登録し、世界中には「世界遺産」が1200以上あります。「世界遺産」として登録された遺産は、戦争や開発などの理由で世界遺産の価値が失われないよう、世界中の人々が協力して守り、未来へ引きついでいくことが求められています。
京都市には、世界遺産「古都京都の文化財」17ヶ所の寺院・神社・城のうち、14ヶ所があります。

京都は、千年以上にわたって日本の都であり続けてきた日本文化の中心地です。世界遺産になっている寺院・神社・城の建物や庭などは、自然に囲まれ、いくつもの火災などを乗りこえて、今に引きつがれてきた、古都京都を代表するものばかりです。
「古都京都の文化財」は、17ヶ所の寺院・神社・城の一つひとつやその周辺地域だけではなく、17ヶ所全てをつなぐ地域を1つのまとまりとして考えて大切にしています。大切な文化財やそれをとりまく環境をこれからも守り、未来へ引きついでいくために、京都市と市民、訪れる人、事業者などが協力する必要があります。党議員団は、そのための条例をつくろうと呼びかけています。
2.なぜ「世界遺産保護条例」が必要なの?
必要な理由は大きく分けて3つあります。
①京都の世界遺産が危ないから
世界遺産の中で許可なく勝手に何かをつくったり変えたりすることは、文化財保護法などの法律で禁止されています。また、世界遺産がある場所の周辺も、景観などを守るための法律や条例(都道府県・市区町村が定めているルール)があります。
ところが、京都市内にある世界遺産をめぐって、様々な問題がおこっています。

京都市が管理する二条城では、「世界遺産」の範囲の中の樹木をたくさん切り倒し、駐車場がつくられました。この前後に住民などから約5000人分の反対署名が出されました。写真は、住民団体がユネスコに提出したもので、木々の伐採前後を示しています。

仁和寺の門前にある土地は、住民のみなさんがコンビニやガソリンスタンドの計画を止めてきました。ところが、この場所に建ててよい広さの2倍もあるホテルを、京都市が特別に許可しました。多くの住民がその許可に反対し、裁判所にうったえています。
そして、いま、京都駅周辺や三条駅前など、京都市内のあちこちで、大きな開発計画も進んでいます。そうした計画は、世界遺産に与える影響が大きいのです。そのためにも、「世界遺産を守る」ルールづくりが多くの人から求められています。
②市民などがもっと世界遺産に関わることが大切だから
世界遺産に登録されてから、世界遺産やその周辺の景観に影響を与える住宅地開発などが計画されていました。法律などでは「合法」でも、周辺地域の人々などが反対して、開発を行う事業者を強く説得する中で、計画の見直し・中止がされたこともありました。京都市の努力だけではなく、その地域に住む住民・市民の力があってこそ世界遺産が守られます。そのことは、京都市も関わってつくった、世界遺産を守り続けるための計画にも書かれています。
また、世界遺産を守るための世界的なルール(「世界遺産条約」などのこと。条約は憲法と同じくらいの力を持つ)でも、世界遺産がある地域の住民・市民が世界遺産に関わることが、世界遺産を守る上でとても大切だとされています。今回党議員団が提案する条例では、市民などが世界遺産を守るためにもっと関われるしくみをつくろうとしています。
③世界遺産がある都道府県・市区町村に世界遺産に関する条例が多くある
いま、日本には26の世界遺産がありますが、そのうち半分である13の世界遺産に33の条例があります。その内容にはいろんな種類があります。党議員団が今年訪れた山梨県(世界遺産富士山)の担当の方は、「条例によって、いろいろな取り組みの根拠がしっかり定まった」「世界遺産に対する県民の意識が高まった」など、条例をつくったことで生まれた良い影響をお話しされていました。
世界遺産を守るためのルールにおいて、都道府県・市区町村でのルールづくりが大切だとされており、世界的にも、日本国内でもそうしたルールづくりの動きは強まっています。いま、日本には世界遺産を直接対象とした法律がありません。だからこそ、こうした条例をつくって、世界遺産をより強く守っていくことが大切ではないでしょうか。
3.「世界遺産保護条例」はどんな中身?
条例のポイントは大きく分けて4つあります。
①目的と基本的な考え
②京都市や市民、事業者の役割と世界遺産を守る範囲
③具体的な取り組み
④市民が参加して守るしくみ
①目的と基本的な考え
・京都市として、より強い世界遺産保護の意思を示す
・世界遺産保護の取り組みを総合的に進める
・千年以上にわたる日本文化の中心としての価値をもつ世界遺産を未来へひきつぐ
・世界遺産に関わるすべての人が協力し、取り組みへ積極的に関わるしくみをつくる
②京都市や市民、事業者の役割と世界遺産を守る範囲
・京都市がするべきこと、市民や世界遺産を訪れる人々、事業者などが努めることなどを明らかにする
・市は、世界遺産を守る取り組みをするための予算を確保する
・「守るべき世界遺産の範囲」を決める
③具体的な取り組み
・「守るべき世界遺産の範囲」における景観や自然環境を守る
・世界遺産である文化財そのものの保存・管理
・世界遺産を訪れる人々が集中することによる影響を防ぐ
・市民や訪れる人々が、世界遺産について学ぶ機会や情報を得られるようにする
・市民などが世界遺産を守るために行う活動を支える
・世界遺産を守るための見回りや調査・研究・体制を強める
④市民が参加して守るしくみ

4.世界遺産を守るためにできることは?
①世界遺産や「古都京都の文化財」について知る・訪れる
インターネットや本・雑誌など、いろいろなメディアで、世界遺産について知ることができます。京都市ホームページで見ることができるサイトをいくつか紹介します。
・京都の小学5年生、6年生のための「京都再発見帖」(小学生向けに世界遺産を紹介した冊子)
・文化遺産オンライン~世界遺産と無形文化遺産~(文化庁が管理するサイト)
党議員団が提案する「世界遺産保護条例」の資料は「5.詳しい資料の紹介」でご覧ください。
②世界遺産についての思いや願いを友だちなどと話す・SNSで発信する
世界遺産について思っていることや感じていること、「こうなってほしい」という願いを友だちなど身近な人と話したり、XやインスタグラムなどのSNSで投稿したりしてみましょう。
③京都市会で「世界遺産保護条例」についての議論を傍聴する
党議員団は、11月25日から始まる11月市会に「世界遺産保護条例」を提案し、議論が行われる予定です。議論の様子をぜひ直接聞きに来てください。
【議論される日】
11月25日(月) 本会議(条例の提案説明)
傍聴券が必要です。本庁舎1階の受付か、本庁舎2階にある党議員団の部屋にお越しください。
※その後、担当する「常任委員会」で詳しい議論が行われます。その日時は決まり次第お知らせします。
5.詳しい資料の紹介
■世界遺産保護条例「やさしい版」(このサイトの内容をさらに簡単に説明している資料です)
■条例案に関する詳しい説明資料(11月7日開催の条例案説明会での報告資料です)
■「京都市世界遺産保護条例」案(11月7日時点)
■11月7日開催「いま、なぜ『世界遺産保護条例』を制定するのか」における、条例案についての報告動画(報告者:とがし豊議員・左京区)
■その他の「世界遺産保護条例」に関する資料は、以下のリンクよりご覧ください
