北陸新幹線延伸計画は白紙撤回を,意見書について討論,えもとかよこ議員(右京区)
2025.10.30
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日本共産党京都市会議員団は、北陸新幹線延伸を白紙撤回するよう国に求める意見書に賛成しておりますので、会派を代表してその理由を申し述べます。
北陸新幹線延伸計画「小浜・京都ルート」案は京都仏教会からの反対も根強く、松井市長は5つの懸念・課題について、市民の体感的な理解・納得を得ることが不可欠との立場ですが、市民の合意は得られておりません。5月市会では「北陸新幹線延伸の京都市内大深度トンネルルートへの反対決議」を賛成多数で採択しております。
今般、9月市会に京都市内の高校生が「北陸新幹線延伸の建設費は高騰し人口減少していく中、将来世代の負担が大きい」「環境等への影響」「安全性への懸念」から、北陸新幹線延伸の反対決議及び白紙撤回の要請を求める請願を提出されました。
北陸新幹線延伸の経済的効果についてですが、石川県選出の自民党国会議員による自主研究会が独自に試算したところ、現行案の「小浜・京都ルート」の費用対効果は、投資に見合うとされる「1」を下回り、桂川ルートは0.522、南北ルートは0.551と公表しました。整備新幹線は費用対効果が「1」以上となることが着工条件の1つとなっています。建設費は膨張し続け、それに伴い費用対効果も大きく減少することが予想されます。「米原ルート」について滋賀県知事は「知事として求めていないし、お願いもしていない」と表明しており、米原市長も否定的です。
JR東海はリニア中央新幹線の総工事費も2021年4月時点で試算した7兆400億円から物価高騰の影響や難工事の対応等で4兆円増え、11兆円に上る見通しを明らかにしました。同様の事が北陸新幹線延伸で起きないと言えるでしょうか。
環境等の影響についてですが、鉄道・運輸機構の資料にある三次元水循環解析モデルの設定条件が十分に公開されておらず、そのモデルに基づき地下水利用に影響を与えないと結論づけていることには疑問があります。岐阜県瑞浪市大湫町は、JR東海が進めるリニア中央新幹線のトンネル工事の影響で地下水が流れてこなくなり、水がれ、地盤沈下が起きています。JR東海は地盤委員会で地下水位の低下は継続し、今後20センチ地盤沈下の可能性があると公表しました。住民は、広範囲で地盤沈下が広がれば若いものが出ていってしまう、長年かけてここまでの田んぼにしてきた、先達に申し訳ない、など怒りの声をあげておられます。一度破壊された水脈を復活させることはできません。掘ってからでは取返しがつきません。
鉄道・運輸機構の資料によると「小浜・京都ルート」のシールドトンネルの拠点となる立坑の位置は右京区宇多野です。工事が始まればここから土砂が搬出されますが、隣接する国道162号線は交通渋滞が日常的に発生しており、道路幅も狭く、交通事故のリスクが今以上に増えることは明らかです。地域住民は鉄道・運輸機構に説明会を求めていますが、全幹法には住民などの合意手続きがないので拒否し続けています。ヒ素を含む残土処分地も未定です。
北陸新幹線延伸の理由のひとつとして、災害時のリダンダンシーの確保が挙げられていますが、北陸新幹線終点の新駅は、現在の新大阪駅南側にあるロータリーの地下20メートルにつくると明らかにされていて、そこと大深度トンネルがつながります。新大阪駅周辺は南海トラフ地震による津波浸水想定区域であり、液状化、浸水等が想定され、東海道新幹線の代替機能が果たせるとはいえません。
そもそも事故・自然災害発生時に救助困難となる大深度地下に大量輸送機関を通すことは、果たして安全なのでしょうか。
北陸新幹線延伸計画により、将来世代にかかってくる建設費の負担、環境破壊は非常に重く深刻です。整備計画がつくられた1973年当時と比べ、人口減少は加速し、温暖化の影響により災害は激甚化・頻発化しております。南海トラフ大地震に備えた公共交通機関の耐震化、インフラ整備、サンダーバードの充実・金沢方面までの延伸にこそ、予算を割くべきです。
よって、同僚議員、先輩議員の意見書への賛同を呼び掛けて、討論といたします。
