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議会質問・討論

河合ようこ議員(西京区)代表質問 国民健康保険,福祉施策,気候危機

2025.02.27

<代表質問の大要を紹介します>

1.国民健康保険料の引き上げ回避と保険料の引き下げを

 まず、国民健康保険料について質問します。
 市長は、来年度国民健康保険料の引き上げを提案しました。すべての被保険者の保険料引上げです。一人当たりの平均保険料は前年の10.35%、1万0222円もの引き上げで10万8968円になります。しかも、来年度から2029年度まで5年間毎年保険料を引き上げるというとんでもない提案です。「被保険者の負担は限界に達しつつある」と2010年当時の副市長が答弁されたように、今でも高すぎます。ある3人世帯の方は、所得350万円で年間55万円の保険料。1回5万5000円の支払いが重く「『8000円しか払えない』と窓口に相談に行き、3か月間は8000円の納付書をもらって収めたが、その後は8000円では納付書すらもらえなかった」と。こんなことが起こっています。市長はひと月約30万円の生活費で5万円を超える保険料は負担の限界、くらしを脅かしているとは思われませんか。
 本市では高い保険料が払えず、受診された時には手遅れで亡くなられるという痛恨の事案が1987年に起こりました。二度と同じことを起こしてはならないと市民の運動があり、本市は一般会計からの繰入れ等の対策を講じ、保険料を上げない努力をしてきたのです。ところが、市長は、国民健康保険料の引き上げを抑えるための繰入れについて「国保事業の相互扶助の本質から目をそらした負担の先送り」だと説明されました。看過できません。日本は国民皆保険の国です。その土台が国民健康保険であり、他の保険に入れない方でも国民健康保険に入ることによって医療を受ける権利を保障されているのです。国や自治体には、この受療権を保障する責任があります。このことについて市長はどうお考えですか。
今般提案の保険料引き上げは、市民のくらしに追い打ちをかけるものです。保険料が払えず、健康や命が失われるような事態を繰り返してならないという決意を市長はお持ちですか。いかがですか。
 本市がすべきは、一般会計からの繰入を増やし、保険料の引上げを何としても回避し、現状でも高すぎる国保料を引き下げるためにあらゆる方策を打つことです。国庫負担率の引上げを国に強く迫ることを求めます。いかがですか。

【答弁→市長】 国保は国民皆保険を支える重要な制度であり、医療を受ける権利を守るためにも、将来的に安定的に運営されることが不可欠である。そのためには、一般会計への過度な負担に頼ることのない財政運営を確立する必要がある。収支不足は年々拡大し、令和7年度では85億円。今後、仮に府への納付金が増額しなくても、保険料を据え置くには、5年間で400億円以上の臨時支援が必要。負担を先送りすることなく、相互扶助の考え方に基づき、納付金の変動に応じた保険料設定とすることを決断した。
 急激な負担増とならないよう、一般会計の財政支援64億円は確保し、令和7年度は国保基金から18億円、一般会計から35億円の臨時支援を行う。これにより、令和7年度の1人当たり保険料は、引上げを行っても約10万9千円と令和6年度の政令市平均の約12万5千円、あるいは府内15市平均の約11万6千円を下回っている。また、保険料の納付が困難な場合には、区役所・支所の保険年金課で状況をお聞きし、保険料減免制度の適用や納付相談など、きめ細かな対応を行っている。
 国保は高齢者や低所得者の加入割合が高く、財政基盤が脆弱という構造的な課題を抱えており、国に対し、医療保険制度の一本化と、それが実現するまでの間の財政支援の拡充を、引き続き要望する。

2.生活保護の引き上げ、生活困窮者への施策の拡充を

 次に生活保護・生活困窮者への施策について質問します。
 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳った日本国憲法第25条を具現化したのが生活保護です。生活保護基準は、受給者だけの問題ではなく、非課税限度額、最低賃金など様々な制度と連動しています。国民の最低生活水準を向上させる責任が国にあるにも関わらず、国は、「物価が下がった」ことを理由に生活保護基準を2013年から10%引き下げました。この間、物価高騰が続く下でも、引き下げたままです。クーラーをつけないと命が危険という酷暑の中でも生活保護受給者はクーラーもつけないで過ごされ、寒くても暖房はつけない、食事を減らす、入浴の回数を減らす、お金がかかるから人との付き合いはしないなど、「健康で文化的」とは到底言えない、命まで脅かされるようなくらしを強いられています。市長はこの事態をどう認識されていますか。
 政府は、生活保護費特例加算をひと月500円引上げるといいますが、物価高騰下の生活保護世帯の実態とあまりにもかけ離れたもので、怒りすら覚えます。いま、29の都道府県で生活保護基準引き下げは違法だとした裁判「いのちのとりで裁判」が闘われており、「国の判断は違法である」と指摘した判決が広がってきています。
 「これ以上何を削れと言うのか!生活できるようにしてほしい。生きる権利だ」と、これは私たちのところに寄せられた声です。少なくとも物価高騰に見合う生活保護基準の引き上げが必要ではありませんか。本市から国に、引き上げを求めるべきです。そして、本市として独自に冬季加算に加えた暖房費の上乗せ支給や夏には夏季見舞金支給等行うべきです。いかがですか。
 物価高騰の最中に、本市は市民税均等割減免制度を廃止しました。本市の施策についての経過措置は今年度から4年で打ち切りです。来年度は経過措置が75%となり、負担が生じてきます。昨年度は国のくらし応援給付金の給付対象だったのに、この減免制度廃止により今年度は対象外とされる方がおられます。市民生活はさらに厳しくなっているのに、です。経過措置の対象の方についてもくらし応援給付金と同額の国の支援金が受給できるようにすべきです。そして、市民税均等割減免制度そのものを復活することを求めます。いかがですか。

【答弁→並川・保健福祉局長】 生活保護基準は、国の責任で算定されるものであるため、本市独自で、基準の引上げや上乗せを行う考えはないが、他の政令市とも連携し、大都市の生活実態を踏まえた基準となるよう国に要望していく。
 また、市民税均等割減免制度については、第三者委員会等からの廃止の提言等も踏まえ、今年度から廃止したものであり、復活する考えはない。なお、経過措置対象者への京都市くらし応援給付金の支給は、多額の財政負担を要することに加え、経過措置の趣旨とそぐわないことから、実施は困難と考えている。

.敬老乗車証の対象拡大を。負担金の引き下げを

 次に敬老乗車証について質問します。
 敬老乗車証は、高齢者が「宝物」のように大事にされており、その役割は物価高騰、運賃値上げの下でますます大きくなっています。2022年度からの制度変更で、交付対象者は70歳以上から最終的には75歳以上に、所得700万円以上の方は対象外とされ、負担金は2023年度からは3倍~4.5倍に上がりました。当局は「より多くの方に利用していただきたい」と述べておられます。実態はどうでしょうか。パネルをご覧ください。制度見直し前2021年度に約44.7%だった敬老乗車証の交付率は、今年度30.9%まで減っています。当局が3割と見込んでいた敬老バス回数券利用の5%弱を併せても35%です。利用者は約5万人も減りました。

「敬老乗車者証守ろう!連絡会」が行ったアンケートでは、「物価高くて暮らしが厳しい」の声がほとんどで、「負担金が重くて敬老乗車証の交付をあきらめた」「負担金が高いので5000円のバス回数券にした」という方の7割が、そのことで「外出する回数が減った」と回答されています。物価高の下での負担金値上げにより外出機会が奪われている実態を市長はどうお考えですか。ご認識を伺います。制度見直しは、高齢者に敬老の念をもって「社会参加を支援し、福祉の増進に寄与する」という制度の趣旨に反していると思います。
 また、敬老乗車証制度による交通局や民間バスなど交通事業者への市の交付金は、事業者の運営支援の役割を果たしており、敬老乗車証の交付率は事業者への交付金に直結しています。制度変更後、利用者が減って、交付金の総額も2021年度57億9200万円から、今年度37億3300万円へパネルのように大幅に減少しています。
 敬老乗車証の適用に協力した民間事業者が「交付金は営業継続にかかわる」と改善を求めておられるとも聞きます。交付金減少は、今後の公共交通の運営を疲弊させかねず、市民の足の存続にも大きく影響します。
 名古屋市では敬老乗車証の利用実態や外出の効果検証を行い、65歳からの交付と負担金の最高額5000円という制度を続けておられ、横浜市では70歳以上を対象とした「敬老パス」の利用状況を分析し、利用が少ない地域での地域交通へ支援を拡充する等、制度充実の工夫をしています。本市も「より多くの方に利用していただきたい」と言うのであれば、こうした自治体を参考にして利用者を増やす制度に改善すべきです。「敬老乗車者証守ろう!連絡会」は2013年から敬老乗車証の改善を求める運動を続けておられ、先日29回目、本市に提出された署名は合計7万5千筆を超えました。議会陳情も相次いでいます。こうした市民の願いに応え、敬老乗車証を名実ともに高齢者の移動・社会参加を推進するものとするために、また、公共交通を支援し、市民の足を安定確保するために、少なくとも2021年度までの交付対象に戻し、負担金を引き下げ、利用しやすくすることを求めます。いかがですか。まず、ここまでの答弁を求めます。

【答弁→並川・保健福祉局長】 制度の見直しは、情勢が変化する中、大切な制度として維持していくため、受益と負担や世代間の負担のバランスを考慮して行った。
 見直し後も全利用者の6割以上が、年9千円の負担でフリーパスを利用でき、敬老バス回数券の新設や民営バス敬老乗車証の適用地域の拡大による、利便性の向上も図っている。
 昨年、制度対象者や若年層アンケート調査で、負担金額が「適当である」との割合が高く、一定の理解を得られ、高齢者の社会参加に大きく寄与していることが確認できたことから、元に戻す考えはない。

【河合】 市長からは、市民のくらしに思いをいたす発言がありませんでした。物価高騰にいまあえぐ市民のいのちとくらしを守るために力を尽くさずして、何のための基礎自治体なのか。市民負担を増やさないためにこそ力を尽くすべきことと求めます。


4.民間保育園補助金を増額し配置基準の改善による保育士確保を

 次に、保育について質問します。
 保育士等の不足が深刻です。給与の低さがその大きな要因であり、解決には賃金・処遇の改善が必要であることは共通の認識になっています。本市は行財政改革計画で民間保育園等人件費等補助金を13億円カットし、給与引下げ等保育園運営に困難を招きました。関係者や市民から補助金復活、制度改善を求める要請があり、昨年度は約4億円を戻し、今年度は、補助金の算定根拠となる職員平均経験年数の上限11年を20年に引上げ、3歳児10:1の職員配置などの改善が行われました。現場の要望を反映したもので歓迎されています。しかし、職員の平均経験年数21年以上の保育園が15か園あるのに、20年を上限とし、また11年以降の加算割合を低くしたのでは安定した給与保障ができない園も出てくるではありませんか。平均経験年数の上限をなくし、実際の経験年数を反映した給与保障ができるようにすべきです。いかがですか。
 昨年度、「国の公定価格5.2%引き上げが現場に還元されていない」という声が寄せられており、今年度は10.7%の引き上げですが、「引上げ分が現場の給与引き上げに回るのか」という疑念の声も聞きます。保育現場の改善にと国が公定価格を引き上げた分は給与引き上げ等に還元するのは当然のことです。自治体独自の助成に5.2%の単価引き上げを行った自治体があります。そもそも本市は職員給与等補助金9億円をカットしたままです。保育士等の給与引き上げのために9億円の保育予算を戻すことを求めます。いかがですか。
 また、国基準を上回っている本市の保育士配置基準の下ですら、現場からは「人を増やしてほしい」という絶えることない要望が上がっています。保育士等の職員確保のためには、今本市として思い切った給与引き上げを行うとともに、配置基準の更なる改善が必要です。そうしてこそ、子どもたちの豊かな育ちが保障でき、「保育園で働きたい」という人も広がるのではないでしょうか。いかがですか。
 子どもの安全のためにと園長先生は老朽化修繕や日々の軽微な施設の補修等の予算確保に苦心されています。施設改修については、本市の補助制度を創設すべきです。いかがですか。

【答弁→福井・子ども若者はぐくみ局長】 人件費等補助制度は、個別の給与保障ではなく、全体として処遇の向上を図ることが目的。制度を再構築した経過を踏まえると、単純に元に戻すことや、国が公定価格を引き上げた分を、そのまま市の制度に反映させることは適切ではない。
一方、国を挙げて処遇改善の動きがあることを踏まえ、今年度、さらなる充実を行った。20年の上限や加算率の逓減についても、望ましい姿とは何かという観点で設定したものである。
今回の充実を通じ、「京都の保育」の魅力を高め、働きがいの向上や人材確保を図っていく。
施設改修への支援については、来年度、新たに民間保育園等の改築や大規模改修に係る支援のための予算を計上している。日々の軽微な施設の補修等については、物件費補助制度等で対応できる。

5.障がいのある方の生活支援施策の拡充を

 次に、障害者福祉施策について質問します。
 ケアラーネットの企画に参加し、「この子より1日でも長く生きたい」という親御さんの切実な声をお聞きしました。障害がある方の生活のサポートは、親御さん・ご兄弟など家族が担っておられることが多く、ご家族に何かあれば、その方の生活が成り立たない。ショートステイやグループホームを利用したい時に利用できないなど、支援施策が不十分なこと、ご家族は相談窓口など具体的な施策を求めておられることを実感しました。また、障害のある方の生活支援事業所の職員さんからは、日中は生活支援事業所に通っておられる方が地域で「一人で暮らしたい」という時に、365日の支援体制を組むことは容易でないという話をお聞きしました。「自立してくらしたい」という当たり前の権利が保障されていないのです。施設の職員不足や報酬日払い方式で必要な予算の保障がないこと、施設や施策への本市の補助金削減も影響しています。障害がある人たちの尊厳と権利が守られ、当たり前に地域生活が送れるように、それを支える家族や事業所の実態や困りに具体的に応える本市の施策が必要です。
 そこで、不足している入所施設、グループホーム、ショートステイを早期に増設すること、地域生活支援事業の移動支援は施設入所者も対象とすること、重度障害者利用事業所支援補助金を2020年度の水準に戻すことを求めます。いかがですか。 

【答弁→並川・保健福祉局長】 障がいのある方の施設入所を終わらせる迅速な措置に関する国連の勧告や、地域への移行を推進するとの国の方針に基づき必要量を見込んでおり、新たな施設を整備することは困難である。
 一方で、グループホーム及びショートステイについては、障がいのある方の地域生活の基盤となる重要なサービスであり、本市としても、重点的に整備に取り組む。
 次に、施設入所者の外出時の移動支援については、入所者の生活に関する費用として施設の報酬に含まれているため、施設で対応していただくべきものと考えている。
 最後に、重度障がいのある方が利用する事業所への本市独自の補助制度については、この間、国報酬における加算の拡充や制度の持続性の観点を踏まえ見直しを行っており、過去の水準に戻すことは考えていないが、医療的ケア者の新規受入れを促進する補助を新設することで、重度障がいのある方の受け入れ環境の充実に努めていく。

6.西京区・洛西のまちづくりにおける交通問題の解決、住民の声の反映を

 次に、西京区・洛西のまちづくりに関して伺います。
 昨年度、洛西「SAIKO」プロジェクトが立ち上げられ、洛西の活性化と称してさまざまな取り組みが市職員やボランティアなどの参加で行われています。
 かねてから、わが党議員団は「西京区の活性化には公共交通網の整備・拡充を」と求めてきました。
洛西ニュータウン開発時に本市は、地下鉄整備までの間はバス交通の充実で移動を保障すると住民に約束しています。しかし、バス路線の統合や減便、運賃値上げが行われ、住民からは「昼間、学校や買物施設にいける路線がなくなって困っている」「老人福祉センターに行く市バスがなくなり、敬老乗車証が使えない民間バスで往復400円負担が増えた」と困りの声があがっています。桂駅行きバス路線がなくなり困っている方に、当局は「乗り換えていただけたらいい」と言われました。運賃値上げした上、乗り換えしたらいいとは、あまりにも無責任ではありませんか。この間のバス運賃値上げや路線見直しは、「洛西SAIKOプロジェクト」の目的に反するものです。働く世代や若い方にも住んでもらおうというなら、バス運賃の引き下げが必要です。せめて均一運賃の230円にし、乗り継ぎは無料にすべきです。いかがですか。
 そして、せっかく拡大された洛西地域での敬老乗車証の民間バスへの適用は、利用できる方の地域や利用できる路線を区切らないで、西京区民がすべての民間バスに敬老乗車証を使えるようにすべきです。いかがですか。
 西京区には若い方から高齢者まで市民が集まれる場所が少なく、他の行政区にある「いきいき市民活動センター」「青少年活動センター」などもありません。学校統合や用途廃止による跡地は「売却しないで安価で利用できる施設にしてほしい」、また、「公園を」と求める声を多く聞いています。「学校の跡地は避難所に」との要望も強いです。西京区にある市立芸術大学、西陵中学校、竹の里小学校・川西市営住宅などの跡地の今後については、住民に開かれた場で、住民参加で話し合い、住民の声を反映した活用をすべきです。いかがですか。

【答弁→竹内副市長】 「洛西SAIKOプロジェクト」では、交通のバージョンアップを図る。市バス定期券の民間バスとの共通利用化や鉄道駅とまちの中心とを最短ルートで結ぶ路線の新設など、スピード感をもって取り組んでいる。
 洛西地域におけるバス運賃改定は、バス事業者が厳しい経営状況にあり、現行の路線・ダイヤ維持さえ困難であることから、運転士等の確保に向けた処遇改善や将来の設備投資のために実施された。将来に持続可能な公共交通を確立するには、バス事業者の主体的かつ安定的な収入確保が不可欠であり、そのための運賃改定である。
 敬老乗車証制度については、現状より拡充することは、西京区以外の地域の方々との公平性の観点や、多額の市税負担の増大を招くことから、民営バス全線への適用等は考えていない。
 市有財産等の活用については、市民の御意見やご要望に耳を傾けながら活用を進めてきた。西京区・洛西地域に当たっても、地域に求められる政策ニーズを踏まえた資産の活用を積極的に進めていく。

7.気候危機・地球温暖化対策の目標引き上げと具体的な打開策を

 最後に、気候危機対策について質問します。
 地球温暖化の激化により、世界各地で熱波や寒波、干ばつ、大洪水、ハリケーンの頻発、気温上昇による乾燥での山火事など異常気象が起こり、日本でも大雨による洪水・土砂崩れ被害が多発、猛暑が長期にわたり、子どもが外遊びさえできない。また、農業への被害等これまでの想定を上回るスピードと規模で被害が拡大しています。気温上昇によってシベリアやアラスカなどの永久凍土からメタンガスが溶け出し、さらに温暖化を加速させるなど取り返しのつかない事態が起こり始めています。
 世界は「パリ協定」で、平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えることを決めていますが、ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関の発表では、昨年1年間の世界の平均気温は1850年以降最も高く、産業革命前と比べ既に1.6℃高くなったという事態です。
 こうした中、昨年8月、気候危機の深刻化により生命や健康などの権利が侵害されているとして、日本で暮らす15歳から29歳までの若者が火力発電事業者10社に対し、科学が求める水準に二酸化炭素削減を求める民事訴訟を起こしました。「この地球をできる限り今の状態のまま将来世代に残したい。そのために、できることはすべてやりたい」と原告の若者は述べています。
 一方、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書で気温上昇を1.5℃に抑えるためには、温室効果ガスを2035年に2013年度比66%の削減を必要としている中で、日本政府は2030年に46%削減、2035年に60%削減を目標としており、これでは未来世代に多大な被害をもたらします。本市の目標も政府と同様です。市長は、「目標を引き上げるべき」だというわが党議員の質問に「目標引き上げは『高い理想』」「目標を引き上げて経済・社会活動が成り立つのか」と述べられました。社会の存続さえも問われているにも拘らず、危機感がなさすぎです。国の低い目標でなく、大幅な省エネの推進と一体に温室効果ガスを2030年に50~60%削減、2035年には75~85%削減する目標に引き上げるべきです。市長の決意を伺います。
 市営住宅をはじめ公共施設を再生可能エネルギー100%を徹底した省エネ建設とし、再生可能エネルギーを拡充するなど、本市は目標の達成のためにやれることをすべてやっているでしょうか。例えば、西京区では畑で榊を栽培しながらソーラーシェアリングをされている農家があります。農業しながら発電もでき新たな収入を得られるこうした取り組みがひろがれば、農業振興と環境課題の解決が進むのではないでしょうか。こうした取り組みへの支援などまだまだできることはあります。ソーラーシェアリングへの補助制度の創設など再生可能エネルギー拡充への具体策の強化を求めます。いかがですか。
 政府は、第7次エネルギー基本計画で原発を最大限活用とする方針に大転換しました。福島原発事故の教訓を投げ捨てた露骨な原発回帰です。これまでも原発再稼働が進められ、関西電力管内でも再生可能エネルギーの出力抑制が相次ぐなど、原発の稼働が再生可能エネルギーの促進を妨げてきました。本市が政府に追随せず、原発ゼロの立場に立ち、気候危機打開に真剣に取り組むことを求め、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

【答弁→市長】 削減目標の在り方については、京都市環境審議会でのご議論も頂き、検討を進めるが、市域の温室効果ガス排出量は着実に減少しているものの、このままのペースでは現行目標の達成が容易ではない状況だ。まずは、取組の強化・拡充も図り、現行目標の達成に全力を挙げる。
 ソーラーシェアリングについては、一般的に、初期投資が大きいことや日照量が減ることによる農作物の収穫量への影響などが課題となっている。令和6年度から、京都府が京都市内で活用可能な補助制度を設けるなど、普及拡大に向けた支援を実施しており、引き続き、京都府等と連携して取り組んでいく。
 そのうえで、再生可能エネルギーの普及拡大に向けては、住宅・建築物の屋根における太陽光発電のポテンシャルが大きいため、導入費用を支援する取組など、引き続き、強力に推進していく。